赤き力の世界にて・・・

 

 

 

 

 

第47話「荒ぶる竜の咆吼・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

果てしない闇が続く真空の空間・・・・宇宙。

頑ななまでに、命ある者を拒む空間でもある。

 

この異世界・・・というべきか、この事象世界では、容易に到達できる場所ではない・・・

 

この世界の住人は、時に、魔法という超常的な手段を用い、干渉することはあっても、

それは永い時の流れでホンの一瞬・・・・・・微々たるものでしかない。

 

 

その様な空間に・・・・遙か事象の果てより辿り着いた二体のエステバリスが、光の刃を構え戦っていた!

 

 

ギュィィーーーン!!

 

 

ブローディアのDFSより発生した光の刃と、ブラック・サレナが無手より作りし赤い光の刃がぶつかり合う!!

 

 

「威力は互角か!!」

 

 

数度斬り合い、圧す事も、圧される事もない事実に、アキトは互いの光刃の威力を比較する。

発生させる元のエネルギーの違いにより、色こそ若干違うものの、威力はほぼ同等のようだった!

 

 

「あいつむかつく!!こっちの攻撃全部受け止めちゃって!!

しかもなに!?DFSも使わずにディストーション・フィールドを集束するなんて、非常識極まりないじゃない!!」

 

 

ディアが憤慨したように画面に映っているブラック・サレナを睨む。

相手が人間だったら・・・その意見は至極まっとうかもしれないが・・・・今回の相手は魔族。

しかも、現存している魔族の中でかなりの上位にいるほどの実力者。

多少のデタラメぐらいは当たり前だろう・・・・

 

だが、それだけであれば、アキトはすでに勝っていただろう・・・

一番の問題なのは・・・・アキトと対等、とまではいかないが、それなりに追随する操縦の『技術』だった。

 

現時点で、アキトが手加減無しで幾度もDFSを振るっているのにも関わらず、

グロウが操るブラック・サレナは、その全てを受け止めるなり避けるなりして、傷一つ負っていない!

 

 

「どうやら、ブラック・サレナと融合したというのは伊達じゃないらしいな・・・・」

『どういうこと?アキト兄』

 

「ブラック・サレナの動きの端々に、俺のクセとかがでている・・・・

機体と融合したためか、それとも俺の残留思念というヤツを取り込んだ所為かは分からないがな・・・・」

 

「ということは・・・・アキト兄と闘っているようなものなの?」

「端的に言えばそうなるな。もっとも・・・俺はこんな芸当空間転移はできないがな!」

 

 

ブローディアは空間の揺らぎから吐き出された無数の赤い光弾をDFSで弾き、光弾同士をぶつける!

一度の動きで二つ以上迎撃しているため、光弾は急速に数を減らしている!

 

 

「凄い!凄いよアキト兄!!」

「以前、ニースが似たようなことをやっていたのを見てな。見よう見まねだが・・・良いアイデアだな」

 

「やれやれ・・・・あなたは本当に非常識だ」

「それはお互い様だ!!」

 

 

全ての光弾を消滅させたアキトは、ラグナ・ランチャーを使いグラビティー・ブラストを撃ち出す!!

 

 

「空間操作はなかなか便利でして・・・攻撃にも防御にも使えるんですよ」

 

 

ブラックサレナが右手を突き出すと、その前の空間が歪み、穴が穿たれる!!

ブラック・サレナに迫ったグラビティ・ブラストは、その空間に空いた黒い穴へと吸い込まれて消え去った!!

 

 

「―――――ッ!!」

 

 

ブローディアはその場から素早く右手に飛翔する!!

それから一瞬遅れて、黒い閃光グラビティー・ブラストがブローディアの居た空間を貫く!!

 

 

「今度はこっちが放ったものを返したのか」

「そうです。どうですか?自分が放ったものを返される気分は」

「別に、予想範囲内だ!」

 

 

ブローディアのDFSより発生していた光の刃が赤く染まる!!

そして、振り下ろされた赤い光刃より、真紅の竜が解き放たれる!!

 

 

「手を変えようとも同じ事!自分の技に砕かれなさい!!」

 

 

真紅の竜が、ブラック・サレナが作りだした漆黒の穴に飛び込む・・・・・

―――――手前で、真紅の竜は大きく旋回し、穴を回避してその後ろにいるブラック・サレナに牙を剥く!!

 

 

「竜・・・・神の眷属たる存在・・・・見た目だけとはいえ、不愉快ですね!」

 

 

ブラック・サレナは赤い光刃で真紅の竜に斬りつける!!が、その光刃を真紅の竜は噛み砕いた!!

邪魔するモノが無くなった真紅の竜は、ブラック・サレナに向かって再び顎を広げる!!

 

 

「チィッ!!」

 

 

グロウの舌打ちと共に、ブラック・サレナの姿がぶれ、消え去る!

そして、別の場所に転移したブラックサレナは、先程よりも赤黒く光る光刃を作り出し、

真紅の竜をその胴体半ばから真っ二つに斬り裂いた!!

 

 

「ずるい!」

「空間転移か・・・まあ、エネルギー弾も跳ばせるんだから、不可能じゃないはずだな」

『アキト兄!そんな悠長な事言ってる場合じゃないよ!!』

「・・・・そうだ!こっちもボソン・ジャンプで対抗するっていうのは?」

『ナイス、ディア!』

「だったらさっそく計算を・・・・・」

 

「焦るな、二人とも。荒だった感情は判断を狂わせる。少しは冷静になれ」

「『でも・・・・』」

 

「ボソン・ジャンプをしても、ディア達が動けなくなるのだからこっちが不利になるだけだ。

それに、空間転移できるから優勢なんじゃない。勝つ手段は必ずある。諦めない限りは・・・・・」

 

「良い言葉ですね」

 

「魔族のお前にそう言われるとは意外だな」

 

「意外に思わなくても結構ですよ。何せ、私が良い言葉といった理由は、

そういった信念を持った人間が、絶望したときの感情・・・・それがこの上なく美味だからです」

 

「趣味悪〜い」

『ホントホント、いやな感じだよね』

 

「それは魔族にとって褒め言葉ですよ。さて・・・そろそろ・・・・・」

 

 

ブラック・サレナの姿がぶれて消える!

それと同時にブローディアは振り返り、背後から迫ってくる赤黒い光刃を受け止める!!

 

 

「お遊びは終わりにしましょうか。覇王ダイナスト様も本気になられたご様子ですからね」

「なに!?」

「本気になった覇王ダイナスト様を相手に、『赤の竜神の騎士スィーフィード・ナイト』達はどこまで持つでしょうかね?」

「彼女達は絶対に勝つ!!」

「だと良いですねぇ・・・・心配ですか?」

「心配など・・・・するものか!!俺はみんなを信じる!!」

 

 

ブローディアはDFSを振りぬき、ブラック・サレナを弾き飛ばす!

飛ばされたブラック・サレナは、光刃を伸ばしてブローディアに刺突攻撃する!

 

伸びてきた赤黒い光刃を、ブローディアはDFSで横にそらせる!!

 

―――――だが、赤黒い光刃はグニャリ!とたわむと、DFSの光の刃に蛇のように巻き付いた!!

 

 

「―――――ッ!!」

「貴方達が使っている光の刃ものと同じ考えをしていると・・・・絶望をする前に死にますよ!!」

 

 

赤黒い光刃をそのままに、ブラック・サレナはブローディアに向けてハンド・カノンを構え、光弾を連射する!!

 

アキトはすかさず集中を解き、DFSより光刃を消して束縛より逃れると、迫り来る光弾を何とか避ける!!

が、避けたと思った光弾は直角に折れ曲がり、ブローディアを追撃する!!

 

 

「空間を歪ませて角度を変えたか!?」

『「なんてインチキ!!」』

 

 

アキトはブローディアのDFSに光の刃を灯すと、迫り来る光弾を斬り捨てる!!

斬られた光弾は爆発し、ブローディアの視界を妨げた!!

 

 

「これが狙いか!となると次は・・・・」

「アキト兄!エネルギーが接近してるよ!!」

 

 

ディアの言葉をほぼ同時に、爆発を貫くように伸びてくる赤黒い閃光は、

まるで蛇か何かように虚空を滑るように這いながらブローディアに迫る!!

 

 

「さっきと同じものか!!」

 

 

アキトはDFSの出力を上げると、赤黒い光の蛇を叩き斬るべく振るう!!

しかし、赤黒い蛇はDFSの光刃が届く一歩手前で枝分かれし、二本に増えた!!

 

しかも、その二本が四本に分裂し、さらには八本へと分かれた!!

ここまで枝分かれすると、本当なら細くなるのだろうが・・・

送られるエネルギーの方が多いのか、八匹の蛇は細くなるどころかさらに巨大化する!!

 

 

「八匹の大蛇!?趣味悪い!!」

『そんな事言ってる場合じゃないよ!ディア!!やばいよ!』

「大丈夫だ!この程度・・・北斗の猛攻に比べれば!!」

 

 

アキトの言葉に嘘偽りはないのか、ブローディアは八匹の蛇の攻撃を完全に避ける!!

その上、避けると同時に蛇の胴体を断ち斬り、確実にその数を減らす・・・・・が、

減ったその分、他の蛇が枝分かれをして、すぐ元の数に戻る!!

 

 

「キリがないよ!アキト兄!!」

「だったら・・・大元を叩くまでだ!!」

 

 

ブローディアは八匹の蛇の猛攻をくぐり抜けると、その根元であるブラック・サレナに迫る!!

 

 

「やはりそう来ましたか!!」

 

「アキト兄!全方位から光弾が!!」

 

 

後方を除いた周囲全てから現れた光弾が、ブローディアに襲いかかる!!

唯一光弾がない後方からは、先程避けた八匹の大蛇が迫り、牙を剥いている!!

 

 

「予想通りだ!ブロス、アレをもう一度やるぞ!」

『え・・・あ、了解!!』

「ハァァッッ!!」

 

 

DFSから光の刃が消え去り、その全てのエネルギーは、ブローディアのある一点に向かって集束する!!

その場所は、真紅に煌めきながら大きく広がる!!

 

 

「薙ぎ払え!!真紅の翼よ!!」

 

 

ブローディアの真紅の翼が広がったことにより、間近まで迫っていた光弾は、全て撃墜されて爆発する!!

だが、光翼の範囲外にあった光弾は、爆発によって見えなくなったブローディアに殺到した!!

 

 

「例の時空間転移ボソン・ジャンプをした感触はない・・・確実に当たった!!」

 

 

グロウはトドメを刺すために、赤黒い八匹の大蛇を操り、ブローディアのあった地点へと殺到させる!!

ブローディアのあった地点は、追撃の光弾によりさらに爆発している!!

 

八匹の蛇はブローディアの居た辺りの空間を貫くべく、余計な動きなどせず、一直線に突進する!!

八つの蛇・・・と言ってはいるものの、実際には動きが似ているだけで、先端は錐のように鋭いだけなのだ。

 

爆光おさまらぬ空間に、八匹もの大蛇が殺到した・・・・その一瞬後!

ブローディアが爆発を突き抜けてその姿を現せた!!

 

 

「―――――なっ!!」

 

 

強烈に光る真紅の盾で大蛇を受け止めたブローディアが、もの凄い勢いでブラック・サレナに迫る!!

大蛇の突進を、ディストーション・フィールドを集中させた盾で受け止め、そのまま流されているのだ!

 

無論、ただのディストーション・フィールドの盾では、大蛇の突進を止められない・・・・

だが、大量のフェザーが内包された盾は、半端ではないほどの防御力を誇っている!!

 

自分で自分の首を絞めていることに気がついたグロウは、慌てて大蛇を消し、元の光の剣に戻した。

 

だが、すでに遅い!!

 

加速された状態のブローディアは、勢いそのままに飛翔し、ブラック・サレナに猛スピードで迫る!!

 

 

「ブロス!フェザー・シールドを解除!使われていた全てのディストーション・フィールドをDFSに!!」

『了解!!』

 

 

真紅の光盾フェザー・シールドに使われていたエネルギーが、そのままDFSに移される!!

その際、一緒にフェザーも移行され、巨大な真紅の光刃フェザー・ソードを形成した!!

 

 

「いっけぇぇっ!アキト兄!!」

「クッ!転移が間に合わない!!」

 

 

直前まで八匹もの大蛇を維持していた為か、グロウはブラック・サレナを転移させるのが遅れた!!

その為、赤黒い光の刃でフェザー・ソードを受け止めた!!

 

だが、真紅の光刃フェザー・ソードの前に赤黒い光刃は容易く散らされ、、ブラック・サレナの右腕・・・肘から先を斬った!!

 

その直後、姿を消したブラック・サレナは、ブローディアからかなり離れた場所に出現した・・・

 

 

「グゥゥッッ・・・・・・・・・融合のしすぎですかね、かなり効きましたよ・・・・」

「それは済まなかったな・・・一撃で片をつけるつもりだったんだが・・・・次で決めてやる!!」

 

「やれやれ・・・機体での戦闘こういった戦いでは、貴方の方が『一日の長』がありますね・・・

やはり元・魔族として、それらしい戦い方をしますか・・・・」

 

 

ブラック・サレナは残った左腕を上にかざすと、その掌の上に二つの光球を作り出す・・・・

 

 

「それでは・・・・有効範囲まで近づきますか」

 

 

グロウがそう言うと同時に、ブラック・サレナが二つの光球を含めて空間転移する!

アキトは、ディアが感知するよりも先に、右方向から微かながら殺気を感じた!!

 

 

「そっちか!!」

 

 

ブローディアがなにもない空間に向かってDFSを振るったのと、

虚空から光球だけが出現するのとがほぼ同時だった!

 

斬られた光球は、閃光と共に爆発する!!

 

 

「光球だけ!?」

「―――――ッ!!後ろ!!」

 

 

先程よりも大きな殺気を後方から感じたアキトは、先程と同じくなにもない空間をDFSで薙いだ!!

だが、現れたのは二つ目の光球のみ!それ出現した直後、DFSによって斬られた!!

 

 

「また光球だけ!?」

「ヤツはどこに・・・・・なにっ!?」

 

 

二度目の爆発の中から、ブラック・サレナの左腕が突き出される!!

その左手は、ハンド・カノンを構えているわけでも、赤黒い光の刃を構えているわけでもない・・・・

ただ、ブローディアに向かって掌を向けているだけだった。

 

それを見た瞬間、アキトは奇妙な衝撃を感じると共に、いきなり気が遠くなる!

 

 

「少し搦め手でいきます・・・・楽しんで下さいね」

 

 

という、グロウの声が聞こえたときには、アキトの意識は朦朧としており、周りは完全な闇に覆われた・・・

 

遠くからディアの声が聞こえた気がしたアキトだが・・・それはあまりにも不鮮明で、はっきりと聞き取れない・・・

その声も、数秒程度で完全に聞こえなくなり、完全な静寂が訪れる。

そして・・・・アキトの意識は途切れた・・・・・・・・

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「こ、ここは・・・・・・何処だ?俺はブローディアに乗っていたはず・・・・」

 

 

目が覚めたアキトは周りを見回す・・・・だが、そこは一切の光が存在しない無明の空間。

何かが見えるわけでもない・・・・足元・・・自分の立っている地面すら見えないほどの闇。

 

だが不思議なことに、自分の体はつま先まですべて見えた。

そのことにアキトは気がつかなかったが・・・・ただの闇ではないことだけは薄々と感じていた。

 

 

「ディア!ブロス!聞こえないのか!いるのなら返事をしてくれ!!」

 

 

アキトの声は、まるで吸い込まれるように闇の中へと消えていった・・・・・

残響も反響もない・・・・本当の意味で消えていった。

 

 

「一体どうなっているんだ?・・・・・・とりあえず、明かりを・・・・・・明かりよライティング!!」

 

 

アキトは『明かりライティング』の魔術を唱えるが、光は一向に現れない・・・

それどころか、魔導士が魔術発動時に必ず感じる魔力の流れすら、感じなかった・・・・

 

驚いたアキトは、すぐさま別の方法で光を灯そうとした。

その方法とは極限まで昇華した精神タマシイの光・・・・『昂氣』

 

しかし・・・・・その昂氣すら発動しない・・・いくらアキトが力を篭めようとも・・・・・

 

 

「そんなバカな・・・・」

 

 

呆然とするアキト・・・・・・・最近知ったばかりの魔術ならいざ知らず、

使い方を忘れようもない昂氣すら使えなかったことに、かなりのショックをうけているのだ。

 

それでも、右手に昂氣を纏わせようと努力するが・・・・その努力が実ることはなかった。

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・??」

 

 

少しの間、右の掌をジッと見つめていたアキトの耳に、微かな音が聞こえた。

その微かな音は、時が経つにつれ次第に大きくなり、より鮮明に聞こえ始める・・・

 

 

「オ・・・・・オオオ・・・・・・オオオオオ・・・・・・・・・」

「これは・・・・音じゃない、呻き声か!?」

 

 

アキトが音の正体に気がつくや否や、音は声となり、明確な言葉になる・・・

 

 

「痛い・・・苦しい・・・・・」

「一体どこから・・・・何処に居るんだ!!」

 

 

呻き声は全方位から聞こえるため、相手の場所が特定できない。

ならば・・・と思い、アキトは声の主の氣を感じようとしたのだが、その感覚すら失っているのにまたもや呆然とした。

その上、氣を感じる感覚を失っているためか、練氣も集束もできない・・・・・

 

 

「この暗闇がグロウの仕業なのは間違いはない・・・・・脱出できるか?」

 

 

とりあえず、一番最初に音が聞こえた方向に向かって疾走をするアキト。

だが、いくら走ろうとも闇からでることはできなかった・・・・

 

むしろ、なにも変化がないため、本当に走っているのか疑わしい・・・・

実際、それを裏付けるように、聞こえてくる声から遠ざかることも、近づくこともない。

ただ、呻き声が大きくなってゆくばかり・・・・・・

 

激しい徒労感に襲われたアキトは足を止め、もう一度周りを見回した。

 

 

(気を失う直前に感じたのは魔氣・・・・・殺意などが無かったために気がつくのが遅れたが・・・

アレの所為で気を失ったのは間違いはない・・・・問題はその後だ。

俺が気を失ってから、大して時間は経っていないはず・・・・その間に空間転移かけられたのか?

もしくは、何らかの結界内に閉じ込められたのか・・・・・それぐらいしか考えられない)

 

 

アキトは無駄だとは思いつつ、もう一度『明かりライティング』を試した・・・

他にも、烈閃槍エルメキア・ランスなどの攻撃呪文も使ってみたが、結果は同じ・・・・

昂氣も試したが・・・・・やはりというべきか、燐光すら発生することはなかった。

 

その間にも呻き声は大きくなっている・・・・・

しかも、全方位から響いているためか、まるで数百・・・否、数千程の人が呻いているように聞こえる。

 

その呻き声がアキトを包み込むよう響き、間近まで接近したその時!

 

 

「―――――ッ!!」

 

 

アキトは驚きのあまり、一瞬だけだが身体が硬直した・・・・

それもそうだろう・・・・上下左右、全ての闇から苦悶する人の顔が浮かび上がったのだから!!

 

まるで壁に掛けられた仮面の如く並んでいる顔は、老若男女問わず様々であった。

その顔一つ一つが、苦悶の表情を浮かべて血の涙を流し、呻き声を発していた・・・・

 

まるで悪夢のような光景・・・・・まともな精神では、半日すら保たないだろう・・・・・・

 

この光景に気圧されたアキトの耳に、鮮明になった呻き声がはっきりと聞こえてきた・・・・

 

 

「苦しい・・・何で私が殺されければならなかったの・・・・・」

「僕はただお父さんについてきただけだったのに・・・・何で殺されるんだよ・・・・」

「俺は・・・・・家族と平和に暮らしていただけなのに・・・・・みんな殺された・・・・」

「・・・老い先短い儂が・・・なぜにここまで苦しんで殺されなければならないんじゃ・・・・・・」

 

 

歳、性別すらバラバラなのに、共通しているのは『殺された』ということ・・・

それと・・・・・怨嗟の言葉を他の誰でもない、アキトに向かって呟いていることだった!

 

 

「まさか・・・・・・・・」

 

 

アキトは怨嗟の言葉を紡ぐ人達について、一つの可能性を考えついた。

その考えを肯定するかのように、顔達はアキトを睨み付け、負の感情をぶつける!

 

 

「・・・・貴様がコロニーを落としたせいで・・・・・」

「お前のせいで・・・・お前のせいで・・・・・・・・」

「お兄ちゃんがやった・・・・僕、なにも悪いことしてないのに・・・・」

「あなたさえ・・・・あなたさえ来なければ・・・・・・」

 

『ここにいる皆は死ななかった!

お前が殺したのだ!!この殺人鬼め!!』

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

罵声を浴びせかけられるアキト・・・・弁明の声を上げるわけでもなく、無視するわけでもなく・・・・

手を強く握りしめ、ただ黙ってその場に立ち、真っ直ぐに顔の数々を見据えた・・・・・

 

すると、怨嗟の声はまるで並が引くように小さくなり・・・・消えた・・・・

だが、顔は相変わらず、アキトを憎しみなどの感情を込めて睨んでいる・・・・・・

 

静寂が辺りを包み込む・・・・その時、アキトの前方の空間に淡い光が発生し、その中から一人の女性が現れた・・・

珍しい色の髪をツインテールにした、金色の目をした十六歳ぐらいの女性・・・

 

それは・・・・アキトがとてもよく知っている女性・・・

 

 

「ル・・・リちゃん」

「アキトさん・・・・・」

 

 

アキトの目の前に現れたルリは、アキトを悲しみに満ちた目で見ている・・・・

ルリはここにはいない・・・そう、頭では理解しているアキトだが、

ルリの瞳から涙がこぼれ落ちるたびに、心の何処かがざわめいていた・・・・・・・・

 

 

「アキトさん・・・・貴方は数多くの人を殺した・・・・それはまぎれもない事実・・・・

だから・・・・償いましょう、アキトさん・・・貴方の命で・・・・・・・」

 

 

ルリは、いつの間にか持っていた漆黒の刀身をした短剣を両手で構え、

一歩・・・また一歩とアキトに近づく・・・・

アキトは・・・・涙を流しながら近づくルリを、ただ静かに見据えているだけだった。

 

 

「寂しくはありません・・・・私も・・・すぐに後を追います。ユリカさんも・・・・・すでに先に逝って待っています・・・」

 

 

ルリの後方の闇に、白い簡素なベッドが現れる・・・・・

その上には、焦点の定まらない瞳を虚空に向けたまま横たわっている、ユリカの姿があった・・・・

そのユリカの心臓がある位置には、黒い柄が、まるで位牌のように突き立っていた。

 

 

「ユリカ・・・・・・・」

「さあ、アキトさん・・・・死んで下さい!!」

 

 

歩み寄ったルリは、アキトの心臓のある場所に向けて短剣を突き出す!!

 

 

「ごめん・・・・・ルリちゃん」

 

 

アキトは中指と人差し指で短剣の刃を掴み、動きを止めた!

ルリは驚愕の表情でそれを見ると、今度は力を篭めて無理矢理刺そうとするが、短剣はビクともしない!!

 

 

「俺は死ねないんだ・・・・こんな俺でも、待っていてくれる人がいるからね・・・

俺は・・・・自分を信じ、待っていてくれる人がいる限り・・・死ねないんだ」

 

 

アキトは指に力を篭め、黒い色をした刃を粉々に砕く!!

氣功術も・・・・魔法も・・・・昂氣すら使えない状態で、魔族の創り出した黒きナイフを自力で!!

 

 

「バカな・・・貴方は本当に人間か!?」

 

 

ナイフを砕かれたことに驚愕し、ふらつくように後ろに下がろうとしたルリの頭を、アキトは鷲掴みする!!

その身体より、赤い光が暁の如く燦然と放たれる!!

 

 

「そ、そんな・・・・・全ての力は封印したはず!!神の力とて例外ではない!!」

 

 

力を封印した・・・といってはいるが、グロウがしたことは、力を使うのに必要な感覚を封じただけ・・・

魔力であれば、魔力許容量キャパシティを・・・といった感じに。

力そのものを封じたわけではない・・・たが、普通ならば、人間にはそれだけで手も足も出ない・・・が、

アキトの感情の爆発によって高まった赤竜の力が、その封印を凌駕しまったのだ・・・・・・

 

 

「俺が帰るその時まで・・・・・さようなら、ルリちゃん・・・・ユリカ・・・・・・・・」

 

「ギャアアァァァァーーーーッ!!!」

 

 

アキトが言い終えると同時に、赤き光が強い閃光となって周囲全てを照らした!!

赤竜の力である光に照らされた無数の顔は解けて消え去り、闇はガラスの如く粉々になった!

ユリカの幻影も、朝露の如く、何の痕跡も残さず消え去った・・・・・・・・・

一番間近にいたルリは、悲鳴をあげながらその場から姿を消した!!

 

 

「よくも、偽物とはいえルリちゃんをこの手に掛けさせたな・・・・グロウ!」

 

 

全ての力を取り戻したアキトは、ルリに化けていたグロウが逃げる様を、その目で捕らえていた。

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「アキト兄!!アキト兄ってば!!」

「・・・・・ディアか。どうかしたのか?」

 

 

アキトはディアの声を聞きつつ、周囲を見回した。

そこはまぎれもなく、ブローディアの内部・・・・気を失う前と寸分違わぬ場所であった。

 

 

「どうかしたのか?じゃないって!!」

「済まない・・・俺が気を失ってからどれくらい時間が経ったんだ?」

「へ?アキト兄・・・・気絶してたの?」

「ああ・・・・」

『アキト兄がいきなり黙ってから十秒足らずだよ?ブラック・サレナもいきなり転移して遠ざかるし・・・・』

 

「そうか・・・・・・・

(おそらく、俺の精神に直接攻撃を仕掛け、一瞬だけ意識を失いかけたその隙に、

俺の精神を精神世界面アストラル・サイドに張った結界で隔離したのか。)」

 

 

アキトは目を瞑ると深呼吸を繰り返し・・・・ゆっくりと目蓋を開ける。

そして・・・・ブラック・サレナ、その中にいるグロウを睨んだ!

 

 

「ディア!ブロス!」

「『は、はい!!』」

「一気に片づける!全力でサポートしてくれ!!」

「わ、わかった!!」

『了解!!』

 

 

一瞬、アキトの気合いに気圧されたものの、ディアとブロスはすぐさま返事をして、能力を全開にする!!

それを感じたアキトは、ブローディアを操縦し、ブラック・サレナに向かって全力で飛翔する!!

 

 

「グロウ・・・・貴様は二度と復活できないように、微塵に打ち砕く!!」

 

 

感情の爆発によって高まった意志力に呼応した赤竜の力が、

赤い光となってアキトの身体から立ち上る!

 

 

「人間風情が!!」

 

 

グロウはブローディアのDFSで斬り裂かれる寸前で、ブラック・サレナを転移させる!!

そして、ブローディアの後方百メートル付近に出現した・・・瞬間!!

すでに放たれていた黒い閃光がブラック・サレナの残っていた右腕を根元から消滅させる!!

 

 

「グオオオォォォッ!!そんなバカなぁっ!出現よりも先に攻撃するなど!!」

 

 

そう・・・ブラック・サレナは出現してから攻撃されたのではない。

ブローディアがすかさず放った黒い閃光グラビティー・ブラストの軌道上に転移してきただけなのだ!

 

 

「少し、狙いが甘かったか」

「偶然は二度もない!!」

「偶然かどうか・・・その身をもって確かめろ!!」

 

 

ラグナ・ランチャーより、再度、グラビティー・ブラストが撃ち出される!!

グロウはその攻撃グラビティー・ブラストを空間転移で避ける!!

 

その際、精神世界面アストラル・サイドにある自分の体の一部を切り離し、

わざとおこした空間の歪みと共に、ブローディアの後方に転移させる!!

 

そして、グロウ自身は気配を絶ち、ブローディアの下方、

少々離れた所に空間を歪ませず出現し、攻撃する・・・予定だった。

 

もし、アキトが気配を察知していたり、レーダーなどで空間の歪みを察知してからの攻撃であれば、

間違いなくこの手に引っ掛かる・・・その為、今までわざと大きく空間を歪ませてきたのだから・・・・

 

そう、グロウは考えていた・・・魔族を棄てた故か、格下である人間という種族相手に用意周到な戦略だった。

 

だが・・・・・・現実はグロウの考えを遙かに凌駕していた!!

 

 

「二度目の偶然だな」

「―――――っ!!」

 

 

グロウが転移して直後に見たもの・・・・それは、ラグナ・ランチャーの銃口!!

焦ったグロウが転移するのと、ブローディアが引き金を引いたのがほぼ同時だった!

 

 

(バカなバカなバカなバカな!!一度目はともかく、二度目は感知不可能だったはず!!)

 

 

一度体勢を立て直すつもりなのか、ブローディアよりやや離れた所に転移したブラック・サレナ・・・・

だが、体勢など立て直す隙などなかった!!

空間を渡り終えたときにはすでに、DFSを構えたブローディアが斬りかかろうとしていたのだから!!

 

ブラック・サレナは、残った左手より赤黒い光の剣を創り出し、何とかブローディアのDFSを受け止める!!

しかし、急造したためか、ブラック・サレナの赤黒い光刃はブローディアのDFSに圧され、大きくたわむ!

 

 

「これで三度目だ」

「なぜだ!!なぜ空間転移先がわかる!!」

「なぜかな・・・お前が現れる位置がわかるんだ・・・・自分でも恐ろしいくらいにな!!」

「クッ!!(こうなれば精神世界面アストラル・サイドからの攻撃で!!)」

 

 

エステバリスの接近戦・・・・しかも、アキトがいるのはそこそこ狭い内部・・・・

瞬時に対処できる生身の戦いではないため、精神世界面アストラル・サイドの攻撃を回避するのは限りなく難しい・・・

事実、殺気がなかったとはいえ、アキトはグロウの精神波攻撃を避けることができなかった!

 

グロウは先程と同じく、殺意などの気を完全に消し、一撃必殺のために力を溜める!!

並大抵の精神世界面アストラル・サイドの攻撃では、赤竜の力を纏っている今、効かないと思ったのだ。

 

 

(これほどの力であれば、例え咄嗟に防御したとしても、気絶は確実・・・その隙に一気にしとめる!!)

 

 

ブローディアのDFSをブラック・サレナが赤黒い光の剣で受け止めたまま、

グロウ自身は、ブローディア内部にいるアキトに向かって、右手に持った杖を突き付ける!!

 

グロウの繰りだした攻撃は、精神世界面アストラル・サイドを突き進み、まるで閃光の矢の如く、アキトに向かって襲いかかる!!

 

 

った!!―――――グギャァァァッ!!!」

 

 

当たった感触を得た瞬間、グロウの右腕が持っていた杖ごと消滅する!!

 

グロウが精神世界面アストラル・サイドから直接繰りだした攻撃を、アキトは赤竜の力を集束させた右手で握りつぶしたのだ。

 

魔族の力と神の力は相反するもの・・・神の力がそこにあるだけで、魔の力はうち消されてしまう。

故に、アキトがグロウの攻撃を握りつぶした際、神の力がグロウの本体に伝わり、腕ごと消滅させたのだ!

 

 

グロウの集中が途切れたことにより、ブラック・サレナが持っていた光の刃も消え去り、

障害のなくなったブローディアのDFSはブラック・サレナの残っていた左腕を斬り飛ばした!!

 

 

「グゥォォォオオオオッッッ!!おのれぇぇっ、忌々しい神の力よ!!」

 

 

肉体と精神のダメージで二重に苦しむグロウは、ブローディア内部にいるアキトを睨む!

 

 

「―――――ッ!!」

 

 

グロウはアキトを見たとき、思わず身体を硬直させた!

モニターではなく、精神世界面アストラル・サイド越しにであるにも関わらず、自分を睨み返したアキトに!

そして、赤竜の力を受けたその目が『神眼』となり、虹彩が赤く煌めいていることに!

 

身体を硬直させた感情・・・・それは恐怖・・・・・

魔族を棄てた故か・・・それとも相手が自分の想像を超えた者だからか・・・・・・

グロウは、人間相手に決して感じてはならない感情を抱いてしまっていた。

 

 

「私が・・・・私が人間如きに!!」

 

 

憎悪の感情を表情に強く出しながら、グロウは恐怖をも上回る憤怒にかられる!

人間格下の存在に恐怖を感じてしまったという事実に、捨てたつもりの魔族のプライドが傷つけられたのだ。

 

そんなグロウの様子を静かに見ていたアキトは、最後の一撃を準備していた。

 

 

「ブロス、ラグナ・ランチャーの初弾は?」

『四日前に言われてたからね。充填はとっくに終わってるよ』

「準備しておいてくれ・・・次に動いたときにケリを付ける」

『でも大丈夫なの?撃った弾を転移されて返されたら・・・僕たちが消滅しちゃうよ?』

「大丈夫だ・・・俺に任せろ」

『了解!!』

 

 

キュィィィィーーーーン・・・・・・

 

 

ラグナ・ランチャーからエネルギーの集束している音が響く。

 

 

「グロウ・・・貴様が先程言っていたのはまぎれもない事実だ・・・俺は大量虐殺者だ。

だから、何を言われようとも否定もしないし、言い訳もしない・・・・だがな・・・

俺の大切な人達ユリカとルリちゃんを汚すような真似をした事・・・それは絶対に許せない!!」

 

「それがどうした!人間如きがいい気になるなぁっ!!」

 

 

グロウの声と共に、ブラック・サレナの周囲に無数の赤い光弾が発生する!!

その赤い光弾は一つ一つが電光を纏い、もの凄いエネルギーを秘めているように見える!

 

 

「塵も残さず消え去れ!」

 

 

その数、三十ほどもある赤い雷光弾は、グロウの合図と共にブローディアに向かって飛翔する!!

その進路上にあった隕石は、雷光弾によって穴が穿たれる!!

それは、内包するエネルギーと収束率が今までとは桁違いということの証明でもあった!

 

 

ブローディアは迫り来る雷光弾の群を上昇することによって避ける!

が、雷光弾は急角度で折れ曲がり、上昇したブローディアを追尾する!!

 

 

「悪いが・・・もう終わりにさせてもらう!!」

 

 

ブローディアのDFSに灯っていた光の刃が、血の如き真紅へと変化する!

そして、その真紅の光刃を振りかぶり・・・・光弾の群に向かって一気に振りぬく!!

 

 

「秘剣 飛竜翼斬!!」

 

「そのような攻撃が当たるものか!!」

 

 

飛竜翼斬が迫ると同時に、八方に散らばる雷光弾の群!

それでも、巨大な弧月型エネルギーである飛竜翼斬から逃げ切れず、

五つの電光弾が衝突し、爆発をおこした!!

 

飛竜翼斬より逃げおおせた雷光弾は、爆発した場所を回避しながら再びブローディアに迫る!

 

 

「ブロス!!」

『オッケー!いつでもいけるよ!!』

 

 

ディストーション・フィールドがブローディアの翼に集束する!

フェザーはディストーション・フィールドに反応し、赤く輝き始め、巨大な光翼を形成する!!

 

 

「真紅の翼よ!数多の敵を撃ち抜け!!羽根の弾丸フェザー・ブレッド!!

 

 

大きく振るわれた真紅の光翼より、無数のフェザーが撃ち出される!!

撃ち出されたフェザーは、ブロスのナビによって超高速で雷光弾を射抜き、爆発させる!!

 

 

「クッ!ならばもう一度!!」

 

 

ブラック・サレナは再びディストーション・フィールドを展開、集束して光弾を作り出そうとする・・・

だが、そのような隙を二度も与えるアキトではない!

 

真紅の光刃フェザー・ソードを構えたブローディアが、ブラック・サレナとの間合いを一気に縮め、斬りかかる!

ブラック・サレナが咄嗟に張ったディストーション・フィールドも、真紅の光刃フェザー・ソードの前には役にたたず、

さしたる抵抗もできず、あっさりと斬り裂かれて霧散した!!

 

 

「グゥッ!!」

 

 

グロウは慌てて空間転移をおこなうが、時すでに遅く、右肩から袈裟懸けに深く斬られる!

そして、そのまま空間転移をおこない、離れた場所に出現した瞬間、自分の失策に気がついた!!

 

 

「(しまった!テンカワ・アキトは神眼を使っている!!)―――――ガァアアアアッッ!!」

 

 

グロウは突如胴体に走った激痛に苦悶の咆哮を上げる!

ブラック・サレナが転移し終えたとほぼ同時に、全力で飛翔してきたブローディアが、

すれ違い様にブラック・サレナを胴体から真っ二つに斬り裂いたのだ!

 

アキトは、グロウがダメージを受けているのを、精神世界面アストラル・サイド越しに、虹彩が微かに赤く染まった目で見ていた。

 

怒りにより増幅された赤竜の力故なのか・・・それとも他に要因があるのかはわからないが、

今のアキトは、『視る』力に関してだけは、『赤竜の力』の元の持ち主であるルナを超えていた!

 

 

アキトは、すぐさまブローディアをラグナ・ランチャーを構えさせながら反転させると、

真っ二つになったブラック・サレナに向かって瞬時に照準を合わせる!

 

 

「安らかに眠れ・・・・かつての相棒ブラック・サレナよ!!」

 

 

ラグナ・ランチャーよりマイクロ・ブラックホール弾が撃ち出される!

グロウは慌てて空間転移を行おうとしたが、もう既に遅い!!

 

 

「やめろぉぉーーーーっ!!」

 

 

ガゴォォォォォォォッッッッ!!

 

 

マイクロ・ブラックホール弾がブラック・サレナと接触し、その力を発揮する!!

発揮された破壊力は、ブラック・サレナを完膚無きまで破壊しながら、有り余る余波で宇宙空間を振動させる!!

 

 

そして・・・・・グロウの叫び声すら、マイクロ・ブラックホールは呑み込み、

ブラック・サレナを塵一つ残さず消滅させ、虚空へと消え去った・・・・・

 

 

 

 

 

(第四十八話に続く・・・・)

 

 

 

―――――あとがき―――――

 

 

どうも、ケインです。

アキトとグロウとの決着がつきました。

色々と無茶なシーンがあると思いますが・・・勘弁して下さい。

 

それと、おそらく、質問があるでしょうから言っておきますが、アキトの『神眼』は、一時的なものです。

赤竜の力がまた安定すれば、使えなくなります。将来的にはわかりませんが・・・暫くは無理でしょう。

 

さて・・・次回はルナ達と覇王との決着です。それで、戦闘シーンだけの話は終わります。

どう言った決着の仕方になるかは・・・少々お待ち下さい。

 

それでは最後に・・・K・Oさん、1トンさん、15さん、haruさん、K−DAIさん、NTRC直さん、pedoroさん、

            アリア・ミリディールさん、ナイツさん、ホワイトさん、やんやんさん、逢川さん、下屋敷さん、

            月神さん、時の番人さん、堕竜さん、大谷さん、夢幻草さん、遊び人さん、

            ノバさん、Dark−Asasssinさん、零さん、GPO3さん。

 

感想、誠にありがとうございます。

 

それでは・・・次回、『闇、砕け散るとき・・・』にて会いましょう。

 

 

 

 

代理人の反省

ん〜〜〜。考えてみるとラスボスなんですよね、この連中。

それをもって「戦闘ばかりで云々」というのは

今回ばかりは間違っていたかな、ケインさんに余計な負荷をかけてしまったかな、と反省。

まことに申し訳ない。

 

 

 

追伸

王道ではありますが、こんな手の込んだ攻撃できたのね、スレイヤーズの魔族って(笑)。>精神幻覚