許せなかった―――
何も、出来なかった自分が―――
無力だった自分が―――
銃を向けられた両親に対して、何も出来なかった自分が
どうしようもなく、許せなかった
だから、僕は―――
闇達の輪舞
閑話:一つの偶然―邂逅編1
「ねぇ、どうかしたの?」
ふと、顔を上げると何処かの民族衣装らしき物を着た少女が俺を見下ろしていた
年は―――僕より、少し上ぐらいだと思う
「珍しいわね。ニンゲンがこの”聖地”に迷い込むなんて。」
「―はい。”昆侖の虚”はほぼ全てサンハーラ後から我々が新たに”門”を設けて制御しておりますので。」
少女の呟きに、少女の斜め後ろに居た大男が仰々しく応えた。
何だか、主従関係に在りそうな感じだ。
「えっと――――取り合えず、ココ何処?」
そう。
ほんの数秒前に気付いた事だが、いつの間にか僕は知らない場所に座っていた
確か、ユートピアコロニー近くの草原にいたハズ
それなのに、辺りを見回すと見慣れぬ岩場しか目に入らない。
「ここ?そう言えば、ニンゲンにはこの”聖地”の存在は忘れ去られていたわね。」
「”聖地”?聖地って、あのエルサレムとかいう場所?」
荒れ果てた岩場の何処が”聖地”なのか分からずに僕は思わず呟いた。
その”普通のニンゲン”なら当たり前の問い掛けには、少女ではなく、大男の方が答えてくれた。
「違う。”聖地”とはその存在する大地全てを表すもの。全ての”闇の者”の”三只眼吽迦羅”の聖地。
決して彼のような”ニンゲン”が口にする便宜上の聖地ではない。」
「”ヤミノモノ”?”サンジヤンウンカラ”?
えっと……………ナニ、それ?」
「あ〜。そう言えば、あれから数百年経ったんだし一介のニンゲンが詳しく知っているわけなかったわね。
ベナレス。面倒とは思うけど後で説明してあげてね。」
「御意」
少女にベナレスと呼ばれた大男が仰々しく答える。
……どうも、いまいち状況が分からない
どうして、僕は火星にいないのだろう?
どうして、僕の目の前に彼女がいるのだろう?
どうして、彼女の額には瞳があるのだろう?
どうして―――
「ちょ、ちょっと!どうしたのよ!?」
「――どうやら、混乱して意識が途絶えたのでしょう。
休息のために鬼眼城へと連れて行ったほうが良いと思いますが。」
「ん。ベナレスがそう言うのなら、そうした方がいいでしょうね。
―けど、彼女達が見たらなんていうかしらね?」
意識が途切れる時に、少女のクスリと笑う声が聞こえた気がする―――
あとがき
本編が全然進んでないくせに閑話を投稿してみました。
とは言っても、元はこれが第一話になる予定でしたが
これだと初っ端からネタ満載でしばらくナデシコが出なくなるので断念したものです。
微妙に短い上に登場人物も3名(内2名は名を表記せず)と、分かる人にしか分からない仕様になってます。
って、3×3の最終巻を読んだ人なら誰でも分かりますよね?
一応『邂逅編』と銘打っている以上、特訓編やら休息編やら恋愛編(?)見たいなモノも考えてはいます。
遅筆ですのでいつ投稿できるかは分かりませんが……
次回の閑話では、3×3の主要人物(但し人間以外)を色々と出す予定です。
とは言っても、多分投稿するのはナデシコが火星に行くまで話が進んだ後とは思いますが
そういう訳で、期待しないで「そう言えばこんなんあったな〜」ぐらいの気持ちで待っててもらえると嬉しいです。
管理人の感想
えっと、龍皇はコピーさんの僕でしたよね?
となると、やっぱり消去法だと・・・そうなるなぁ(苦笑)