こんにちは
ホシノルリです。
前回では、何だかアキトさんが連合軍と戦っていたバッタを打ち落としたり
何の装備もなしでバッタの群れに飛び込んだりしていましたが、獣魔術ってなんなんですか?
―ま、そんな事を考えても仕方ないので本編に行きましょう
機動戦艦ナデシコ ―闇達の輪舞
第一話:………これって、誘拐じゃないの?
Ruri side-
こんにちは。ホシノルリです。
突然ですけど、私たちが乗っているネルガルの新造戦艦”ナデシコ”なんですが
今現在、停泊しているドックごと木星蜥蜴に襲撃を受けています。
しかも、遅刻してきた”すちゃらか”な艦長がその見た目とは違いマトモな作戦を立てても
その作戦に必要なパイロットの一人は自爆して足を骨折して出撃不可
ドックの守備隊はもう壊滅してるし
派遣されてきた軍人さん達は有効な作戦を考え中らしいんだけど、この状況をひっくり返すのはちょっとムリそうだし
艦長の作戦で囮として出たエステバリスも所々被弾してちょっと危なげな感じ
はぁ………こんなので、大丈夫なのかしら?
Akito side-
「出でよ、光牙!!」
一瞬のタイムラグを置いて掌から現れた複数の光の龍が目の前のバッタへ喰らいつく
バッタの持つ防御フィールドを無視して突き刺さった光牙を最後まで確認せずに俺は次の目標へと視線を向ける
呆気なくバッタを破壊した俺を脅威と感じたのか、複数のバッタが一斉に群がってくる
「邪魔だっ!!テンカワアキトの名に於いて命ず、出でよ闇魚!」
バッタの群れへと向けた左腕から、体が闇で構成された巨大魚がバッタを含めた周囲を包み込んだ
その隙に俺は光牙を地面へと放ち反動で跳ぶ。眼下には、目標である俺を見失って右往左往しているバッタの姿が見えた
「消えろ!テンカワアキトの名に於いて命ず、出でよイエントウ!」
下へと向けた掌から巨大な髑髏のような獣魔が炎を纏い現れ、固まっていたバッタを地面ごと一息に飲み込む
イエントウを召喚した事により、バッタ達が俺の方を一斉に見上げてきた
―と思った次の瞬間には左腕の肘から先が吹き飛んでいた。
一瞬の事に少し驚いて下を見ると、殆どのバッタが機銃で銃撃して来ていた。
俺はまだ無事な右腕をバッタへと向け
「出でよ光牙」
全力を持って光牙を召喚した。
刹那、現れた膨大な数の光の龍がバッタへと喰らい付き鉄屑へと還す。
左腕を失った痛みとバランスの微妙な変化で少し着地を失敗したが、俺は痛みや失血などを無視して立ち上がり海の方へと走り出した。
先程、光牙を利用して跳んだ時に、ピンク色の機動兵器がバッタに殺到されていたのが見えたからだ。
「邪魔をするな!出でよ凍血球!!」
なおもしつこく襲い掛かってくるバッタへ、獣魔を召喚しながら手を振り翳す。
同時に現れた水晶柱を多数生やしたような球体が後方のバッタへと接触し、一瞬で周囲諸共凍結させた
「出でよ走鱗」
俺はその結果を確認せずにボード状の生物―移動用の獣魔だ―に乗りバッタの隙間を疾駆する
その途中、何発かの銃弾が体を抉り、爆炎が背中を焦したが俺はその痛みを無視して機動兵器が見えた方向へと急ぐ
―この程度の傷ならば、戦っている間に『治る』
Itsuki side-
「ああっ、もうしつこいですね!!」
思わず口をついてしまった悪態と同時に私は目の前のバッタへライフルを乱射して離脱した
四方八方に立ち塞がるバッタの包囲網から逃れるために無茶な機動を行ったためか
視界の端に幾つも真赤な警告ウィンドウが開くのが見えたけど、そんなのをいちいち確認していく暇は無い。
なにしろ、出撃時からバランサーが不調なのですから――――
無意識の内に、私は吐き捨てるように呟き目の前のバッタへライフルを一斉射して離脱する
大量のバッタから逃れるために無茶な機動を行ったためでしょうか、汗で髪が額に張り付いて気持ちが悪い
エステ自体も数箇所被弾して赤い警告ウィンドウを開いて警告を促して来てる………
「バランサーの調子が悪いのに、何でこんなにウジャウジャと…………ッ!?」
背部からの衝撃に、一瞬意識が飛びそうになるのを何とか制御して背後のバッタをワイヤードフィストで破壊して
エステのバーニヤを全開にして密集地からの脱出を図ります。
それを読んでいたのか、エステを取り囲んでいたバッタが背部に搭載していたミサイルを私の方へと一斉に発射してきました―――
「ちょ、ちょっとマジですか!?」
地面を埋め尽くす程のバッタから放たれた膨大なミサイル
軽く見積もってもその総量は私が乗るエステを十回以上破壊する事が可能だと思います。
絶望的な結果しか想像できないその状況で私は
「き……………キャァァァァァァァァ!!」
叫ぶしかありませんでした
・
・
・
・
・
そう言えば、自己紹介がまだでしたね。
私の名前はイツキ・カザマと言います。
ヤマダジ『ダイゴウジ・ガイだっ!!』……さんと同じくプロスさんにスカウトされたパイロットです
私のエステのバランサー異状。原因は、ヤマ『ガイだっ!!』ダさんのおバカな行動のせいです
まったく………生きて帰れたら生まれてきた事を後悔させて上げます!!
Ruri side-
まずい、です。
凄くまずい状況です。
「カザマ機、完全に包囲されました。オートバランサー異状。
さらに機体損傷度が35%を突破、この状況では絶望的です」
「ちょっと!?
カザマさん、任務はもういいから早く脱出しなさい!!」
副提督の、ムネタケ………さんでしたっけ?
その人がイツキさんに必死で呼びかけてます。
「―――あれ?」
「どうしたんですか、ミナトさん?」
「んっとねぇ、イツキちゃんが戦ってる所の斜め下かな?
のところのバッタの数が減ってきてるんじゃない?」
えっと…………確かに、減ってますね。それもかなりの数が
連合軍は既に全滅してますし、エステはイツキさんが使用している以外出ていませんし……
「何故でしょう?」
「はれ?どうしたんですかぁ?」
「あ、艦長。イツキさんの交戦地点以外の場所でバッタが何者かに撃破されているようなのですが」
「ふぇ、援軍ですか?」
艦長…………あなた一応艦長なんですから、もう少し気合入れませんか?
ミナトさんが苦笑しているのはともかく、プロスさんの額に青筋走ってますよ?
「いえ、そのような通信及び識別信号は確認できません。
…………映像に出しますか?」
「あ、おね「お願いします、ルリさん。」……う〜」
上のはプロスさんが艦長の言葉を遮った訳なんですけど
プロスさん、何で胃薬の瓶を握りしめてるんですか?
「分かりました、ウィンドウに――――あ、大変です」
”何か”がバッタと交戦していると思われる場所の映像を出そうとしたのですが
イツキさんの機体がバッタに完全に包囲されています。
「「「「あ」」」」(フクベ・ルリ以外全員)
ちゅどどどどどどどどど!!
なんだか、ギャグのような爆裂音と共に少なくとも100を超えるであろうミサイルがピンクのエステに殺到しました
あの爆発では、幾らディストーションフィールドを展開したエステとはいえ無事では済まないでしょう
っていうか、欠片も残らないかもしれません。成仏してくださいイツキさん、なむなむ。
―――でも、囮の彼女が撃墜されたなら、この艦もピンチですね。
こんな場所で命を散らすんですか……………出来るなら、もっと別の場所が良かったんですけどね
なんて事を考えているうちに、煙が晴れてきましたね。
―――――って、何ですかアレ?
Itsuki side-
「―――――――――――――!!」
無数のミサイルが炸裂した瞬間、私は死への恐怖で目を瞑り反射的に体を丸めて衝撃に備えた
―――のだが、その問題の衝撃が私と機体を襲う事は無かった
―なんで?
いつまでたっても衝撃が襲ってこない事を不思議に思い目を開けた彼女は
「―――――なに、コレ?」
機体を覆っている薄蒼い障壁を見て、思考が停止した。
Akito side-
(………間に合った)
煙の向こうから蒼い四角錐がちらりと見えた事に、アキトは安堵のため息を漏らす。
が、それも一瞬。
自分と言う新たな目標を感知したバッタが照準を合わせてくる
それを”感じた”俺は先手必勝とばかりにそのバッタ達に右手を掲げ獣魔を召喚する
「出でよ、雷蛇!!」
一斉に振り返ったバッタを雷を纏った蛇が一瞬で内部の電子機器を破壊する。
途端、多くのバッタが誤作動を引き起こし爆発、又は無差別に周囲を攻撃し自爆した
「
それを見た俺は、既に『再生』し終っていた左手を翳しながら言葉を発した。
それと同時に機動兵器を保護していた蒼い四角錐が消失する。
そしてそれによって空中に固定されるようになっていた機動兵器が落下する。
「出でよ、光牙!!」
機動兵器の落下地点の周辺のバッタを破壊し、更に俺に襲い掛かってきたヤツも破壊する
もう4〜50位破壊した筈だが、一向に減る気配がない…………増殖でもしてるのかよ!?
「くそっ!お前ら何機いるんだよ!!」
Itsuki Side-
な、何なんですかアレは―――
『―イツキさん、大丈夫ですか?』
「えっ?あ、はい大丈夫です―」
唐突に通信士の………レイナードさんが聞いてきましたので咄嗟に返事をしてしまいましたが
私はそれよりも、先程の蒼い障壁――それと大量のバッタを消滅せしめた閃光の方が気になります
「ってそれより!今さっきのは何なんですか?」
『ああ………それが此方でも確認したばかりなので、何が何やら』
私の質問に、プロスペクターさんがわざわざ答えてくれました。
って、何でレイナードさんじゃなくてプロスさんなんですか?
『取り合えず、エステの限界が近いので早々に帰還してください。』
「あ、はい。ですが………」
『イツキさん。お気持ちは分かりますが、今は貴女の身の安全のほうが先です。
それに、フレームの方も限界に近いようですのでハイ』
「…分かりました。」
渋々ながらも、私は機体を反転させてその場から離脱を始めた。
その間にも謎の閃光が大量のバッタを破壊していってます
ほぼ全てのバッタがその謎の閃光の方を攻撃対象へと切り替えたらしく
離脱する私を攻撃してくる物は殆ど無く、何とかその場から脱出することが出来ました………
Ruri Side-
「ナデシコ、浮上しました。」
先程、正体不明の”何か”がバッタと戦闘をしている間にカザマさんが海底ゲート上付近へと退避を完了し
浮上し始めたナデシコの上部へとなんとか着艦したようで、ウィンドウのカザマさんは安堵の表情を浮かべています。
「敵無人兵器、すべて射程圏内へと入っています。
が、先程確認された”何か”は確認できません。」
「分かりました。正体不明の”何か”は無視します。
グラビティブラスト、撃てぇ〜〜〜〜〜っ!!」
艦長の号令によって発射されたグラビティブラストの重力波の奔流が、全てのバッタを例外なく破壊していきます。
その光景は、データとしてその威力を知っていた私も呆然とするほどでした。
「………無人兵器の掃討を確認しました。
状況は、地上施設への被害は甚大。さらに負傷者多数ながらも死者は辛うじてナシ。」
「結果的に見れば、大勝ってわけね。
たいしたモノね。この艦の性能も、艦長の指揮能力も。」
「ふむ………大したものだ。」
副提督と提督が、感心したように呟きました
いえ、実際感心してるようですが………
「処で、ホシノさん。さっきのバッタを破壊していた”何か”ですが……探せますか?」
「あ、はい。
分かりました。基地内及び周囲を捜査してみます――」
グラビティブラストを受けた場所に、その”何か”がまだ居るとは思えませんが
ま、だめもとで探してみましょう。
「――生命反応確認。ウィンドウに出します。」
「………え?」
「合成、ですか?」
「信じられませんなぁ」
映し出された映像に皆さんが信じられないモノを見るような顔で呟きます。
まあ仕方ないと思いますよ?グラビティブラストが直撃した場所で平然と立っている人なんて見たら。
「イツキさん。取り合えず、彼を連れてきてもらえませんか?
先程のこと云々以前に、何故そのような場所に居るのか気になりますし。」
『は、はぁ………わかりました』
「………あれ?」
「どうしたの、ユリカ?」
「あの人、何処かで見た事がある様な気がするんだけど………」
「そうなの?僕は見覚えは無いけど、気のせいじゃないかな」
「う〜〜〜んそうかなぁ……」
『あの、連れて来ましたけど?』
艦長が唸っている処に、イツキさんからの連絡が入りました。
どうやら、格納庫へ到着したようですね。
「あ、お疲れ様でした。直ぐに行きますので、近くの会議室の方へと案内してくれますか」
『分かりました。』
「では、私は問題の彼の方へ向かいますので」
そう言ってプロスさんはブリッジを出て行きました。
何となくですけど、逃げたような気がするのは私だけですか?
Akito side-
……俺、何でこんなところに居るんだ?
確か、某黒い悪魔のようにうじゃうじゃと群がって来るバッタを手当り次第に破壊してたら
突然黒い閃光みたいなのが迫って来たから慌てて四天聖精奉還を召喚して防御して……
そうそう。それで周りのバッタが全部破壊されたからこれからどうしようって考えてたら
あのピンクのロボットが木馬みたいな艦の方から近づいてきてここに案内されたんだよ……な?
驚いてちょっと放心気味だったから記憶がイマイチ……
っと、誰か来たみたいだな。
「ほぅ、あなたですか。サセボドックの所に居たという人は。
あ、私プロスペクターと申します。プロスと呼んでください。」
突然現れたちょび髭のおっさん―プロスさん―が軽く頭を下げながら名刺を差し出してきた。
……腕が残像を残して動いたのは、気のせいだろう。
「テンカワアキトです。宜しく」
「これは丁寧に――
さて、早速ですが少々お聞きしたい事がありますが宜しいですか?」
「ええ、俺が答えられる範囲なら構いませんが?」
よく分からないが、プロスさんが探るような目でこっちを見てる気がする
……それに何か、何処からか視線がちくちく刺さってきてる様な
「ええ。それで結構です。
では―何故サセボドックのど真ん中に居たのですか?
そして、どうやって生き残ったのですか?」
い、いきなり核心を突いてくるか
どうする。普通に話しても大丈夫……かな?
――プロスさんの目が何となく怖いけど
「えっと……
まず一つ目の質問ですが、バッタを手当り次第に破壊してたら
何時の間にか中央部まで移動していました。
二つ目の質問ですが、これは実際に見て貰った方が理解して貰えるでしょう
――出でよ四天聖精奉還」
――おお、これは面白いかも
普段真面目な人の驚いた顔程楽しめる物は無いって『あの人』が言ってたけど
まさか、こんなに面白いなんて……
「プッ……ククッ」
「……はっ!?
わ、私は一体何を!?」
ま、まあこんな非常識な事が目の前で起これば誰でもこうなるだろうけど
ここまで露骨な反応を見せられると、笑いが……
「クスクス……で、分かってもらえましたか?
これが俺をあの黒い閃光から守ってくれたモノです。」
「は、はい。微妙に分からなかった様な気もしますが……
ふむ―――バッタを生身で………なら、体術のほうも」
「えっと……プロスさん何を?」
「しかもテンカワさんはIFSを……ならば――テンカワさん。貴方、パイロットをやりませんか?」
「はい?」
何を考えたのかは知らないけど
ど素人の俺がパイロット?冗談だろ!?
Ruri side-
「―と、言う訳で急遽コック兼パイロットとして雇用したテンカワアキトさんです」
「よろしく、お願いします。うう……結局押し切られてしまった。」
何が『と、言う訳』なのかは分からないけど
サセボドックで収容された人―テンカワさん―がコック兼パイロットとして紹介されました。
―でもコックと兼用って、なんで?
突然の事なので、皆さん驚いていましたが
―直ぐに正気を取り戻して興味津々で見ているのは何故でしょうか。
「――そして、下部に居るのがそれぞれ操舵士のハルカミナトさん、通信士のメグミ・レイナードさん
それとこの艦のメインシステム・思兼のオペレータのホシノルリさんです。」
? 私を見た瞬間、表情に変化がありましたね……何でしょう
嫌悪……でしょうか?
「プロスさん。この戦艦は子供を乗せるほど人手が足りないんですか?」
「いえいえ。そういう訳ではありません
ホシノさんは特殊な技能の持ち主でして、彼女抜きでは
この艦は性能を十分に発揮できないようになっておりまして……」
不機嫌さを隠さずに皮肉を言うテンカワさんに
プロスさんが少し慌てて説明しています。でも、プロスさん冷や汗が出てますよ?
「ねえねえメグミちゃん。結構いいんじゃないかしら、彼?」
「そうですねミナトさん。うまく言えませんけど、いいですねあの人」
かと思えば、ミナトさんとメグミさんはテンカワさんを早速品定めしてますし
―そう言えば、こういう時には真っ先に騒ぎそうな人が静かですね。
少し不安でしたので、こっそり見てみる事にしました。艦長の姿を――
「へぇ。さっきの人、パイロットになったんだ。
プロスさんも何考えてるんだろうね、ユリカ―――ユリカ?」
「テンカワ……テンカワ……テンカワ」
何でしょう。副長が艦長の顔を覗き込むような仕草をしています。
その艦長は何かを考え込んでいるようにも見えますけど?
「――さて、それではテンカワさん。
現在乗艦している他のパイロットに紹介しますので行きましょうか」
「あ〜〜っ!!アキトだアキト!!!」
…………っぅ〜〜〜〜〜〜
な、なんですか今の『爆声』は!?
こ、鼓膜が……まだ『きぃ〜〜ん』っていってます。
他の皆さんは―――比較的離れていたミナトさんとメグミさんは大丈夫そうです。
問題は、ブリッジ上部に居た人達ですが――
定位置でお茶をしていた提督と副提督は何とか無事……じゃないみたいです
何か、副提督が横になった提督の胸を押しています―――見なかった事にしましょう。
爆心地である艦長の直ぐ側に居た副長は…………軽く頭を振っているだけです。
―副長、アナタ本当に人間ですか?
って、その原因の艦長は何処にいった……ナニをしてるんですか?
「アキトアキトアキト〜〜〜
久しぶりだね。覚えてる?ユリカだよユリカ〜〜〜!!」
「なぁっ!?
ちょ、あんた誰……ってか、鬱陶しい!!」
ずべしっ!!
あ、纏わりつかれてたテンカワさんが艦長を張り倒した。
「う〜何するのよあきとぉ〜〜〜」
「それはこっちの台詞だ!
突然俺の名前を叫んで飛びついて来たりして……一体何なんだ!?」
テンカワさんに張り倒された艦長ですが、なおもしつこく飛び掛ったりしています
あ、後ろで副長が血の涙を流してる……何で?
「忘れたの?火星でお隣だったユリカだよ〜〜!」
「…………へ?
火星で隣だったって…………あっ!?」
艦長の言葉に考え込んだテンカワさんが何かを思い出したかのようです。
―その間も迫りくる艦長を無意識の内にいなしているのは凄いですが
「もしかして、高校で同じクラスだった速瀬?」
「……それとも一緒の孤児院だった鷲尾?」
幾らか心当たりがあるのか、半ば手当りしだいに名前を挙げてるような気がしますが
あ、艦長の肩が微妙に震えてる
「それとも……」
「う…………うそよ〜〜〜!?
アキトが私の事を覚えてないなんて〜〜〜〜!!」
ずだただだだ〜〜〜っ!!
あ〜あ。艦長行っちゃった。
けど、艦長の暴走の原因になったテンカワさんは状況を余り理解していないみたい。
「……何だったんだ?」
「ふぅ。困ったものですな艦長も……
仕方ありません。アオイ副長、艦長が戻るまでお願いします。」
「うう……ユリカ〜〜〜〜………へ?え、ええ分かりました」
艦長の突然の奇行を見たプロスさんが何かを諦めたかのように副長に指揮をお願いしています。
問題の副長ですが、何か小さな声で呟いていましたが、プロスさんの言葉で正気に戻ったようです。
―副長、頭の切り替え早いですね。
「では、今度こそ他のパイロットの所へ行きましょう。
イツキさんは多分格納庫で調整をしていると思いますので。」
「は、はあ……でも、良いんですかさっきの?」
「はい。問題ありません。」
「そ、そうですか……」
「それでは行きましょうか」
そう言ってプロスさんが未だ釈然としない顔で突っ立っているテンカワさんを引き摺ってブリッジを出て行きました
―プロスさん、事態の収拾が面倒でまた逃げましたね?
あとがき
ども、お久です。
と言っても一週間ほどですが
自分がほんの一週間程度で第二話を完成できるとは……
さて、まあ自己否定じみた事は置いといて
自分でも思ったんですが、アキト君理不尽に強すぎ
白兵戦なら現時点でも北辰に楽勝で勝てそうな気がする
しかも、途中で調子に乗って色々と獣魔を使わせたし
予定ならアキトが使う獣魔は八雲と同程度だった筈なのに、何で雷蛇が……
そう言えば、作中には全く書いていませんでしたが
アキト君はヘアバンドみたいな物をして額を隠しています。
まあ詳しい事はここでは述べませんが、そういう事です。
最後に、読んでいて突っ込み所が満載でさらに中途半端な切り方とは思いますが
広い心で読んで貰えると嬉しいです。自分でも分かってますので(泣
てか、ここら辺で切らないとずるずると変な風に長くなりそうだったし
勝手に人物紹介その1
イツキカザマ
年齢20歳、女性
元連合宇宙軍機動兵器パイロット
パイロットの腕は一流。
ろくでもない上司にしつこく絡まれ思わず殴った事により軍を除隊
それを何処からか聞きつけたプロスがスカウトし、ナデシコへ乗艦する事になった。
とりあえず、最初は当たり障りの無いところで。
初っ端からアキトにするとネタバレしすぎますから……
管理人の感想
ケルトの三日月さんからの投稿です。
ほほぉ、額にバンダナねぇ(笑)
それより、最近はイツキが最初からナデシコに乗り込むパターンが多いですね。
どうあっても、最初の出撃にガイは出してもらえないんだ(苦笑)
しかしあの漫画の設定上、アキトには守らなければいけない『存在』がいるわけで・・・
やっぱり、ヒロインなのか?