機動戦艦ナデシコ黒衣の堕天使・鏡
第1話 再会
「お前の名前はアキトだ。」
「ええ、カイトあなたの弟よ。」
・・・・なんでこんなことになったんだ?←一回り大きく
あれから3年がたった。
俺はテンカワ・アキトとしてこの世に生を受けた。
しかし俺は連邦軍特殊任務実行部隊「シャドウミラー」の副長のテンカワ・アキトだったはずだ。
だが、今の俺は、火星生まれのテンカワ・カイト。
どうやら、システムXNの暴走によりこのパラレルワールドに来たらしい。
そして、テンカワ・カイトという名の人間となったらしい。
「ふう・・・」
まあ、仕方ない。考えるのはよそう。
しかし、静かだ・・・。
こんな平和な日を俺が望んでいたのか?
あの夫婦を見て、俺も将来彼女と結婚できればあんなふうにできるのだろうか。
俺が生を受けて、13年。
いろいろなことが起きた。
アキトが生まれ、そのアキトが隣にいるミスマル家の長女、ミスマル=ユリカと遊んでいたとき、彼女を怪我させてしまったとき。
アキトの話を聞く限り、危険地域に行きたいと言ったユリカが悪いと感じるのだが、お隣なので一応謝った。←ユリカが悪いの部分のみ一回り大きく
あれから、俺もアキトも彼女には近づきたくなかったが。
・・・・それでもしつこく、アキトによってくるのは何故だ?←一回り大きく
俺は、父親が軍人だったこともあり、剣を学んだ。
シャドウミラー時代、剣を得意としていたため、剣は得意分野だったが、世の中は広いと感じた。
ブリットと互角に戦えた俺が親父の前ではまともにかすりもしないのだ。
親父は、俺に他にも素質があると見抜き、いろいろなことを教えてくれた。
・・・・しかし、今にして思えば年頃の子供とは思えないほどの殺伐した内容だったな。
人の殺し方とか、生存術とか、およそ子供に教える内容ではない。←人の殺し方、生存術のみ一回り大きく
まあ、そのおかげでいろいろ人脈ができたのだが。
親父によると、お袋は、クリムゾングループの科学者で今でもクリムゾンとは付き合いがあるそうだ。
お袋に連れられて、クリムゾングループのパーティーに出席した際、社長ロバート・クリムゾンと、二人の娘に会った。
どちらも性格的には気に入っているんだが、まあ俺のタイプじゃないな。
そんなこんなで、いろいろやりながら、俺は13年間を過ごした。
13年後、俺は13歳、アキトは10歳になっていた。
・・・・そして、運命の日。
この日が俺の幸せの日々に終止符を打つこととなった。
ドシュ!!←一回り大きく赤色で
目の前に死体がある。それは俺の母親のものだ。
俺の眼前には、黒服の男がいる。そして黒服をまとめているのは赤い服をきた壮年の男。
「さて、そろそろ終わりにしますか。」
赤服の声と共に黒服が四方八方に散り、俺を取り囲む。
「さて、死になさい。」
俺は突進してきた黒服を尻目に上にジャンプして、銃を構え、下にいる黒服を狙うが、
ドシュドシュドシュ!!←一回り大きく赤色で
またたくまに、崩れ落ちる黒服ども。
その光景に驚く、赤服。
「まさか、ネルガルシークレットサービスの精鋭がこうも簡単に全滅するとは・・・」
赤服はかけていた眼鏡を元に戻し、構えを取る。
「死ぬ前に名前を聞いておきましょうか。私はネルガルSSのリーダー、プロスペクター」
「俺はテンカワ・カイト。お前が殺したテンカワ博士の長男だ。」
「ほう、テンカワ博士の長男。なるほど、かなりの腕前ですね。」
「さて、そろそろ死んでもらおう。」
「あなたがですよ。」
・・・ちっ、さすがにきついな。
だが、ここで死ぬわけにはいかない。
アキトを探すまでは!!
ゴォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!←一回り大きく
「ん?」
・・・何の音だ。
こっちに何かが近づいてくるのが分かる。
ドォン!!←一回り大きく
「うぉ!!」
そこに現われたのは何と機動兵器。しかも見覚えがある。
これはグルンガスト参式!!
「乗れ、テンカワ・カイト」
コクピットから現われたのは、まさしくゼンガー・ゾンボルトだった。
生きていたのか・・・。
俺はグルンガスト参式の腕に乗った。
ゼンガーは俺が腕に乗るのを確認すると、コクピットを閉じグルンガストを上昇させた。
「なんですか、あれは・・・・」
プロスは唖然としていた。
俺はゼンガーに助け出され、隠れ家ともいうべきところを連れて行かれた。
「テンカワ・カイトだな?
俺は昔テンカワ・コウ大佐にお世話になっていたゼンガー・ゾンボルトだ。」
「ええ、ありがとうございます。しかしなぜ、私を?」
「テンカワ夫妻が、何者かに狙われていると聞いたからだ。大恩ある俺はすぐさま駆けつけようとしたが、君しか助け出すことができなかった。すまない。」
「いえ、かまいませんよ。私はあなたが生きていてくれたのが嬉しいのですから。地球連邦軍特殊戦技教導隊出身、元地球連邦軍特殊鎮圧部隊「ベオウルーフズ」隊長、ゼンガー・ゾンボルト少佐?」
俺の返答に明らかに狼狽する。やはり彼は・・・。
「なっ、なぜそのことを・・・、君は一体・・・。」
「自己紹介が遅れましたね。俺はテンカワ・カイト。テンカワ博士の長男です。ですが、あなた方の世界では、地球連邦軍特殊任務実行部隊「シャドウミラー」の副長、テンカワ・アキト大尉です。」
「何!
黒衣の堕天使か!」←下のみ一回り大きく
俺は地球連邦軍ではこう呼ばれていたようだ。
俺の服装、黒い戦闘服と、肩にあるエンブレムの天使をイメージしたもの。
そして、あまりの力。
それを総評して、俺は黒衣の堕天使と呼ばれていた。
「しかし、あなたが俺の異名を知っているとは・・・光栄ですね。」
「そうか、君もあの戦場にいたのだな。」
「ええ、あの場には、アクセル隊長、レモン博士、ブリット、クスハ、キョウスケ大尉などの人間がいましたから。私はあれはシステムXNの暴走ではないかと思っていますが。」
「システムXN・・・空間転移装置か・・・」
「そういえば、あなたは今までどうしていたのですか、あなたはアースクレイドルの事件の際、行方不明になっていたはず。」
ゼンガーは、アースクレイドルのことを話した。
ソフィア博士の死。
現われた敵に対して斬艦刀を振るったこと。
瀕死になった時、鳥とイルカと豹があらわれ、彼を助けてくれたこと。
そして、ある女性に出会ったこと。
女性と共に暮らしていたこと。
そして・・・・・。
「子供がうまれたぁ!!」←一回り大きく
「そうだ・・・・」←一回り小さく赤色で
ゼンガーは赤くなった。
まさか、まさか、朴念仁と呼ばれたゼンガー少佐に恋人がいて、しかも結婚し、子供が生まれるとは!!←一回り大きく
キョウスケ大尉やブリットが聞いたら、驚いて失神するかも知れんな。
「で、その女性は、あちらの世界に置き去りですか?」
「いや、何か知らんが、俺と共に着いて来た。」
ゼンガーが戸を開けると、そこには巫女服の姿をした女性と、黒い服を着た少女がいた。
「俺の妻のククルだ。そして、娘のイルイだ。」
「ククルだ。よろしくな。」
「イルイです。よろしくね、カイトおにいちゃん。」
はう・・・・
俺は目の前が真っ暗になった。
「お、お兄ちゃん!!」←一回り大きく
目をさめると、そこにはイルイがいた。
ああ、先ほどのは夢じゃなかったんだな。
「大丈夫?
お兄ちゃん?」
そこには上目使いで俺を見ているイルイがいた。
・・・か、可愛い。
ああ、これ以上近づかないでくれ、俺の理性が吹っ飛ぶ。
俺はふと元の世界にいたときの恋人ラミアを思い浮かべた。
ああ、あのころは懐かしかったな。ブリットとはアホ騒ぎをしたし、ラミアとは半デートみたいなこともやった。ブリットがクスハを、俺がラミアを紹介したときのキョウスケ大尉の顔はすごかったな。
・・・あの後、1週間ぐらい寝込んでいたっけ。
はあ・・・。
元の世界に帰りたい・・・。
「何をため息ついているアキト。」
ああ、そうそうこんな声で・・・・・。
声?
俺が横を見ると、そこにはさっきまで思い浮かべていたラミアの姿があった。
「ら、ラミア?」←一回り大きく
「どうした、私だぞ。何をそう興奮している?」
上目使いで私を見るラミア。
・・・・・っていつのまに女の子らしくなったんだ?←一回り大きく
前は機械的な動作しかしなかったのに。
それ以前に、何でお前がここにいるんだ?
「料理だ。おいておくぞ。」
コトン!!←一回り大きく
えーと、料理。もしかしてクスハの栄養ドリンク並みの色と味ですか?←栄養ドリンク並みの色と味ですか?のみ一回り大きく
いや、よく見てみると、普通の色だ。
いやいや、色は普通でも味が違うかもしれない。←味が違うかもしれないのみ一回り大きく
パクッ!←一回り大きく
・・・ん、味はいい悪くないぞ。むしろいい、士官学校時代に食べたエルザム少佐の味付けに似ているな。
「おいしいか?」
ああ、おいしいおいしい。でも、夢じゃないだろうか。
そうだ、夢なんだ、ラミアがこんなところにいるわけがない。
左頬をつねってみる。
「痛てて」
夢じゃないようだ。
でも、なぜだ?
「すまん、ラミア。少し外に出ていてくれないか。俺はカイトと話がある。」
「分かりました。少佐。」
ラミアが立ち去ると同時にゼンガー少佐が話しかけてきた。
「さて、状況を説明しよう。」
ゼンガー少佐は俺に話してくれた。
・・・光が当たりを覆い、シャドウミラーとベオウルーフズが光に消えていったことを。
・・・消えようとした瞬間、たまたま近くにいたアンジュルグをつかんだこと。
・・・気がついたとき、周りにククルとイルイ、アンジュルグがいたこと。
・・・ラミアのあまりの機械的な動作にイルイとククルが性格を直す教育をしたこと。←イルイとククルが性格を直す教育をしたことのみ一回り大きく
おいおい、最後の方はかなり重要じゃないか。
レモン博士が聞いたら泣くぞ。
「まあ、あれだ。とりあえずこれからどうする。」
・・・・・俺は、どうするか。
この分だとブリットたちも、この世界にいる可能性がある。
だが、現状動くのはまずい。ネルガルに見つかる可能性があるからだ。
現状は動かず、体を鍛えるのが得策か。
「とりあえず、しばらく厄介になってかまいませんか?」
「かまわないが、家は働かぬもの食うべからずだ。それでもいいか?」
「ええ、訓練にもなりますし、ラミアともどもよろしくお願いします。」
「分かった。それから君の名前だが、ルイン・ゾンボルトという風に私の名を突けることにした。まあつまり、私の養子だ。」←私の養子だのみ一回り大きく
マジですか!!←一回り大きく
まあ、俺は平静を装って。
「分かりました。これからよろしくお願いします。父さん。」
「うむ、息子よ。」
こうして、俺とラミアはゼンガー少佐の息子たちとなった。
あとがき
キョウスケ:前回は燃えな展開だったが、今回は萌えな展開だな。
カイト:ああ、俺のキャラも変わっているしな。シリアスから一転してギャグになっているからな。
悠:書いていてこうなった。
カイト:しかし、ゼンガー少佐をまさかこのタイミングで出すとはな。
キョウスケ:ああ、それも1児の父親。
カイト:性格かなり違っているし。
悠:言うな・・・。
キョウスケ:で、ククルとイルイか。あの二人を一緒に出して、まさか一緒くたにまとめるとは思わなかったぞ。
悠:何を言っている。俺が今脳内構想しているOG小説ではククルはゼンガーの妻として確定なんだぞ。
キョウスケ&カイト:マジですか?
悠:ああ、俺は第2次αであの二人を見てから人目で気に入ったんだ。いつかククルが仲間にできると思ったのにな。それが・・・クストースのバカヤロウ!!
キョウスケ:ああ、掲示板でも騒いでいたな。大部分のユーザーがククルが仲間になると思っていたからな。
悠:だから、ここで書いている。
キョウスケ:まあ、いいか。
アキト:シクシクシク・・・・
悠:ん?
いたのか?
存在感ない主人公の片割れ。
アキト:シクシクシク・・・。
カイト:確かに、こいつの話は数分で終わり、
キョウスケ:カイトの話は数十分かかった。
カイト:しかも俺の話は燃え、萌え要素あり。
キョウスケ:こいつの話は、説明のみ。しかも暗い。
悠:なんでだろうな。
アキト:俺に出番ぉ!!
悠:まあ第3の主人公が現われたら、こいつの影はますます薄くなると思うが。
カイト:第3の主人公?
誰だ、それは?
悠:今回出ているよ、セリフなかったけど。
カイト:ああ、あいつか。
悠:彼はある人間に連れ去られ、ある国で生活する。その辺は中盤以降で明らかになるということで。
キョウスケ:話は変わるが、プロローグでウォーダンは「貴様を倒し、俺は本物になってみせる」と言っていたな。もう本物になれないんじゃないか?
悠:ああそうそう、ゼンガー結婚して一児の親だ。もはやウォーダンは実力で勝っても、恋愛では勝てないな。
キョウスケ:俺にはゼンガーに止めを刺そうとしているときにイルイが現われ、「ゼンガーを殺さないで」と言っているイルイに見とれているスキに、ゼンガーの斬艦刀が奴を刺すという光景が目に浮かぶのだが。
悠:ああ。そうなると、ウォーダンはもはやギャグキャラだな。
キョウスケ:さて、次回は?
悠:「ゼンガーの元で修行を積み、軍人としての道を選んだカイトとラミア。しかし、そこで待ち受けていたのは・・・・」
カイト:だれだ?
悠:それは本編のお楽しみ。それでは!
悠:それから、これも書き直しバージョンです。感想を書いていただきましたプロフェッサー圧縮さん、ノバさんありがとうございます。後、今後は1話ずつ送って行きたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。
圧縮教授のSS的愛情
・・・おほん。
ようこそ我が研究室へ。
今回は久々に、活きのいいスクエア・クレイモアSSが入っての、今検分しておるところじゃ。
・・・・・・ふむ。スーパーロボット大戦オリジナルジェネレーション(OG)中心の別世界ものかの?
そして3つプロローグがあるようじゃが、これはそれぞれが別の平行宇宙での話、と考えて良いのかの?
どうにもこうにも説明不足じゃぞ。プロローグ1後書きで「次はキョウスケのプロローグ」と書いたところで、同じ世界を別視点で書いているのか違う世界の話なのかなど解るものではない。
儂はプロローグ2でゼンガー登場時に矛盾を感じ、そのラストで「別世界の話か?」と気付いたが・・・・・・もし思い至らなかったら、代理人に「コレで全部かね?」と問い合わせるところじゃったろう。
まあ、プロローグ2で各機体の説明を入れたのは良い事じゃが。しかし、それ以前に説明しなくてはならないことが多々あるぞ。
第1話にしてもそうじゃ。
ジャンプしてから5年後には鍛え直している、という描写が入っておるが・・・・・・何か意味があるのかの?
成長すると共に過ごした日々、イベント。
そういったものの一環に見えるが、だとしてもあまりに中途半端。
ここから、読者は何も想像することができぬのじゃ。
却って1行で済んでいる、ゼンガー結婚の経緯の方に注目が行ってしまっているぞ。
描写とは、即ち情報じゃ。
量が多ければ良いというものではない。量と質が、その価値を決定する。
一度、書き上げてから1ヵ月ほど放置して、自分で読み直してみる事じゃ。
「一体自分は何を考えてコレを書いたのか」と、さっぱり解らなくて愕然とすること受けあいじゃ。
イベントを考え、更にそれを文章に転写する作業は大変な事じゃが、それなくして小説は成り立たん。
思いつかないから、で見切り発車していては何時まで経っても精進出来ぬぞ。
最後に一言。
Actionだからと言って、別段アキトを必ず出さねばならぬということはない。
出すのが苦痛なら、いっそ出さずに「その他投稿」にしてみるのも一手。
無理をしても良いことはないぞ。
さて。儂はそろそろ次の研究に取り掛からねばならん。この辺で失礼するよ。
儂の話が聞きたくなったら、いつでもおいで。儂はいつでも、ここにおる。
それじゃあ、ごきげんよう。