時は2185年
アキト8歳,ユリカ9歳の別れの年‥‥‥星間戦争が始まった。
発端は火星でのクーデター‥‥‥ユートピアコロニー航宙空港で起こったことが全ての始まりだった。
火星独立派の起こしたことになり、火星駐留軍によって速やかに終結‥‥‥するはずだったのだが。
月面独立争乱から100年‥‥‥いまだ地球によって月・火星にたいして植民地支配が続いていた。
軍内ですらパイロットにナノマシン処理がほどこされて間もなく‥‥‥一般(とくに政府内部)ではナノマシンに対して拒否的であった。
火星にいる人たちは、よほどの人物でないかぎり地球はおろか月までの移動にも事欠く始末。
輸送品の物価も高く、生鮮食品は地球の10倍以上。
駐留軍との摩擦も大きく、時折、住民との小競り合いも起こった。
元から治安がよいとは言えず、どこの家庭にも銃器が置かれていることもあり‥‥‥大部分の駐留軍が引き上げた今、ネルガルのトップ・軍の上層部の思惑が外れ、クーデターの嵐を止めるモノはなかった。
しかも、豊富な地下資源・最新の実験機(試作品)・若いながらも高品質な人材。
この独立戦争は成功しかけていた、木星連合が現れる前は‥‥‥‥‥
地球圏〜木星圏にも飛び火した戦争が3年続き、莫大な物量を支えきれなくなった地球・高機能だが攻め込むほど力のない火星・数は多いが力・資材が不足している木星連合、このまま泥沼化した戦争が終結するかと思われた。
ところが‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
それは、木星連合と火星の防衛隊との戦闘がちょうど火星極冠遺跡の氷上でおきたときのことだ。
戦端が開いてから3時間がたったとき、“白い霧”が火星極点から100km圏内にいた戦艦・機動兵器等を飲み込んだ。
そのとき、アキト(11歳)は戦闘空母で、主にコック見習い・機体の整備・艦内の清掃‥‥‥たまにパイロットのマネゴトをしていた。
それだけなら、まだ大したことではなかった。
この後、本当の地獄が全世界を被った。
現存するほぼ全ての武器が効かないほどの防御力があり、地球連合の双胴型戦闘空母の装甲をも食い破り、木連のダイマジンクラスを完全破壊する攻撃力を持つ。
当時最強の火星製機動兵器ですら太刀打ちできなかった。
その“霧”から現れた生物が、火星極冠以外に火星はおろか‥木星・地球の全区域に発生した。
幸いにして、火星極冠以外の“霧”は1,2時間ほどで消え、“霧”から現れた生物は環境の変化からか衰弱死した。
“霧”を調査しようとしても、いくつかのルート以外は中にはいることもできない。
そして、“霧”の中はまったく別の世界で、何の装備もない人間では2時間も保たない空間が広がっていた。
中に入った調査隊は、ほぼ全滅していた。
ある者は化け物に、またある者は毒気に‥‥‥
その何者も拒む世界を“聖域”と呼んで怖れた。
それから、7年が過ぎた。
機動戦艦ナデシコもどき
古代の蠱毒
オープニング
現在時刻 AM 04:28
ここに、自らの幸福を認めず超弩級学園戦闘空母 第一番艦 “ナデシコ”内を無言で疾走する少年がいた。
仮にこの少年をAと呼称しよう。
Aは、体格は中肉中背、黒に近い茶髪、年は17,8と言ったところか。
生活要員を示す黄色の制服に身を包み、顔をノッペリとした口のところにだけ切り込みのような穴が開いている仮面をかぶり、標準サイズの機動兵器が通り抜けることができる通路で100m9秒台で駆け抜けている。
その後ろから、三名の女性がAを追いかけていた。(AM
02:00から直線距離で約70km)
そのなかの一人‥‥‥髪の長い女の手には、毒々しい色をした紫の煙を出すモノがあった。
まるで、でたとこプリンセスの『毒毒プリン』のように‥‥‥‥‥‥腐海の木々が出す毒素のように。
彼女達やAの着ている服の胸元に色は違うが、内側からかすかに輝く大きな石がはめこまれていた。
その輝きで、それぞれの料理から出る煙が身体に触れないようになっていた。
その外側では、強化樹脂装甲が腐っていった。
「アキト〜〜〜〜まってよーおいしいお夜食‥‥」
ゲシッ
あ、足引っかけた。
「キャッ」
謎の料理はなんとかなったが、髪の長い女は転けてしまったが‥‥‥上から落ちてきた鉄板に料理が潰されてしまった。
あのにやりとした表情‥‥‥恐るべし、三つ編みの少女。
「ジャマです、ユリカさん(ニヤソ)。あきとサ〜〜ン(キャピキャピ)、これぞ最強の栄養ドリンク‥‥‥」
「メグミのヤツ……させるか‥‥よっ」
ドンッ
おお、ショルダータックル。
「ウワッ」
ビタン‥‥ガシャン。
お盆の上にコップじゃあそら落ちるわな。
「オット、ごめんよ〜〜」
「リョーコさん‥‥させません。ちょっと力を貸してね、うんしょ‥‥‥たあ」
先ほどユリカと呼ばれた女が、厚さ3pはありそうな鉄板を軽々と放り投げた。
「リョーコさん、あ〜〜〜〜〜ぶ〜〜〜〜〜な〜〜〜〜〜〜い〜〜〜〜〜〜〜〜♪」
妙に間延びした声に、リョーコが振り向くと‥‥
ズバッ‥‥カラン
石‥‥‥‥
第五回合同探査によって、岩山に同化した機動戦艦Yナデシコ(Yユニット付きナデシコA)と初期に取り込まれた最初の生存者‥‥‥テンカワ=アキトを発見・保護した。
発見されたときから、五感が多少(かなり)おかしくなっている。
そして、なでしこが同化している岩山の中から不思議な石が大量に見つかった。
非常に堅く、重力波反応がブラックホール並で、どんなに圧力,加熱,冷却,電圧をかけても何の変化もない。
ただ、チューリップクリスタル(以下CC)の構成と、とてもよく似ていることしか分からなかった。
このCCのような石には通常のCCとは違い‥‥‥素養があるモノには、“属性”と呼ばれる物質の操作,魔の力を持つ武具・獣の召喚,身体能力の異常増加,再生能力が、個人差はあるが使えるようになる。(他に特殊能力があるモノもある)
何より、“霧”の中の生き物にかなりの効果があるのだ。
そして現在。
石との感応できるモノは、なぜかそこそこ若い年代に限られていた。
そこで、ちょうどいい年齢の者を集めるために、発掘されたナデシコを核として、巨大な浮島が完成した。
外観上は、大きな島の上部で海に浮かぶようにナデシコがめり込んだ‥‥‥全長 約6km,全幅 約4km。
それぞれの国の思惑から、様々な戦艦・空母・シャトルがくっつき、数名のマッドな連中が停泊していたモノ全てを使い個別で改造をしまくり、中央の緑地帯を除けば、空飛ぶガラクタの山と化していた。
ちはみにYナデシコとは、ヤマトの波動砲のような言語道断の兵器だから、ヤマトのようなナデシコ→ヤマトナデシコ→Yユニットナデシコ→Yナデシコとなった。(実話:1000%コレクションより)
「何しやがる!!」
いつの間にか薄く光る刀を持って飛んできていた鉄板を切り裂いた。
この娘達が立ち止まっている間にAは逃げる逃げる。
いつの間にか自転車を使っていた。
まあ、こいつ等は気付いてはいないが‥‥‥
ちなみにリョーコの料理はそこら辺に転がっていた。
「こんなモノ飛んでくるなんて‥‥‥‥大丈夫ですか?リョウコさん」
本気で心配している風なメグミ。
「そうそう。何でこんなモノ飛んできたんだろ?」
自分がやったことを棚にあげて、いつもの調子で心配そうに言うユリカ。
「........」
青筋を立てているリョーコ。
コエエ‥‥‥Aをおっかけるか!!
「いつかはけりつけなきゃいけねえと思ってたんだ」
「ふえええ、リョーコさん怖いよ」
「まあまあ、リョウコさん‥‥落ち着いて」
「うるせえ! 行くぞ」
「「きゃああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ............」」
さっさとAを追っかけよう。(汗汗)
最後に一言、落ちた料理が金属を溶かしているよ。
と、いうわけで魔の料理から逃げ切った少年A(アキトというらしい)は山田の部屋まで来ていた。
現在AM 05:04
山田の部屋には特殊な防音装置が付いているのだが、それでもうち消すことができないほどの音が流れている。
‥‥‥‥ちなみに山田の部屋とは普通の部屋ではなく、学内病院の個室の一つである。
別名 ヌシの部屋,バカの部屋,騒音と熱血の部屋,死からの生還したモノの部屋などなどの名がある。
「あら、アキト君‥‥ヤマダ君のお見舞い?」
腰まで伸ばしている金髪、不敵に輝く瞳、上から85/60/86と言う文字の上ではそれほどではないが、実際はなかなかグラマーな身体の持ち主。
「あら、ありがとう。でもね、女性のスリーサイズをいきなりばらさない方がいいと思うわよ。」
ひいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ.........
「ちゃんとあとから実験してあげるから待ってなさい。(^_^#)」
青筋立てながらにこやかに言うなよ、にこやかに。
「ところで、イネスさんはなぜここに?」
ナイスフォローだ、アキト。
この天の声につっこみいれないように!!
「あとで舞台裏こいやええと‥‥‥そうそう、なかなか治らないヤマダ君に新しく調合した薬を使おうかと思ってね」
言いながら、試験管の中で泡立っている薄緑の薬を見せる………なぜ泡立つ?
しかも、不気味に光っているような‥‥まさか、発光塗料!?
もしくは、虫・異星人の体液か?
「これはね、体内のナノマシンに作用して、より高速で、より量の多いデータ送信が可能になるはずの薬よ。まず、この中に‥‥‥」
はず?はずって何だ?
それは、本当に薬なんだろうな?
「あ、すいません。これから朝のおつとめなんでこれで失礼します」
あからさまに、忙しそうに駈けていったな。
折角の実験材料がいなくなったことに不満があるのか、それとも説明したかったのか、ちっとすねた顔をしていたが、
「しょうがない、今回はヤマダ君だけでよしとするか。アキト君には、あとからとっておきのあの薬を試してみましょう。うふふふふふふふふふふ♪ さーて、実験実験♪」
そして、10日間ここらの病室は静かであった………ちゃんちゃん。
ところ変わって、中央公園噴水前…………別名、屋台通り。
まだ暗い中で、かなりの人数がうごめいていた。
ここでは、よく食堂が閉鎖されるので、有志と閉鎖したところの食堂メンバーで様々な屋台をだしている。
閉鎖の理由は、なぜか爆発しているからだ‥‥‥ダレがとは言わないが、いつもの‥‥だ。
ここ数日で、十軒以上の食堂で爆発,検査中になって、ここ、屋台通りはにぎやかになっている。
アキトは、なじみの人間に軽く挨拶してからユリカ達の追撃をかわしながら仕込んでいた新作スープの出来を確認しようと屋台に近づいていった。
「またか」と、言う風な表情を浮かべ、どこからかけっこうでかいハリセンと鉛でできたお盆を取り出し、忍び足で近づく。
そこにいるにいる小さな影が気づかないように…………
そこでは、銀色の髪の少女が中心となってラーメンを啜っていた。
気配を殺してすぐ後ろからよく見ると、大きな鍋に造っておいたラーメンのスープが半分はなくなっている。
そして、屋台のカウンターには、冗談のようにドンブリが重ねて置いてあった。
少し青筋をたてながら、タイミングを計ってお盆とハリセンを振り抜いた。
パンパンパンパンガン
「コラッ、ルリ! ラピス! クリスタル! アマゾナイト! ………えーと、ハーリー!」
青みがかった髪をした幼女、ルリ
薄桃色に見える髪の幼女、ラピス
透き通るような髪の少女、クリスタル
どこかアキトに似ている少女、アマゾナイト
説明不要の少年、ハーリー(?)
「なんで、お前まで勝手にラーメン喰ってるんだ? アマゾナイトくん」
「は……はい、お兄さまのラーメンがおいしいからですよ♪」
アマゾナイト=天河石‥‥つまり、両親のDNAからできたアキトの妹。
「そんなこと聞いてるんじゃない!なんで、開店前に半分も食べてるんだ!?」
「イヤだわ♪そんな私が大飯ぐらいみたいに(よよよ)」
「そうじゃないだろ! 味見役がこんなに食ってどうすんだよ!!」
そして、屋台の反対側に回ったルリ達は………屋台に隠れるように腰を落として集まっていた。
「ルリ、ラピス。今のうちに逃げるよ。ラピス、あれを」
「ですが、テンカワさんが‥‥‥」
「あれは、兄妹でスキンシップを楽しんでるから‥‥ジャマしちゃあ、野暮ってモノだよ」
「オワッタヨ、クリス」
「よし、撤収」
「ハチミツクマサン」
「‥‥分かりました」
テンカワ兄妹が口喧嘩、ラピス,クリスタル,ルリは、生け贄を残し脱走。
いつもの朝の様子なのか、周りの人たちはほほえましく(?)見守っている。
他にいたような気がするが、どーでもいいか。
「うぐううっぐぐぐぐうううぐぐぐううう」
なに?『ボクのことを無視すると天罰がおきるぞ』? 誰だお前?
「おい、この子‥‥空に向かって誰と話してんだ?」
「ぐうぐぐううぐうっぐうっぐううぐぐぐううっぐぐぐうぐぐ」
えーと、『この話で、ルリさんとボクをくっつける話にしないと、きっとPCが落ちるぞ』
‥‥‥そうかい、そんなにルリとくっつけてほしいのか。その前にお前ホントに誰だ?
「‥‥‥この子はね、聞くも涙、語るも涙の話があってね」
「ふんふん」
「まあ立ち話ってのもなんだから座って座って‥‥‥それでね」
「うぐ、うぐ(うんうん)」
残念ながら、名前すら出てこないお前の運命は‥‥‥‥ぐふふふふふふふふふふふ、さらばだ。
「ふぐふっぐぐうぐふぐふぐぐふふぐぐぐぐ」
ッポン
アキトがハーリーの肩に手を置き、いかにも同情してますって表情でいる。
「ええと、ハーリー(?)君‥‥今日の分のラーメン代はいいから、はやくイネスさんところに行って来い」
「は?」
アキトは、ハーリーの顔を見ないように優しく語りかけている。
ハーリーは、猿ぐつわを取ってもらい、不思議そうに言葉を返す。
その後ろで、アマゾナイト‥‥‥テンカワ・セキが、あっちを向いて‥‥まるで泣いているように肩を振るわせていた。
自分にとって、姉御とも言えるセキが肩を振るわせているのを見て、さらにパニックになっている。
「え? その、あの、何のことですか?」
「分かっているよ。ハーリー(?)君………セキ、早くイネスさんのところに送ってやってくれ」
セキが、「ワカッタ」と震える声で返した。
まあ、分かるヤツは分かっているだろう、だから詳しい説明は省く。
かなり笑っていた。
ああ、火星に日が昇る。
管理人の感想
小舞子さんからの投稿です!!
先に投稿していただいた、古代の蟲毒のリメイクだそうです。
よって、以前から掲載してたぶんにつきましては削除させてもらいました。
しかし、今度はオリキャラも出てきましたね。
さてさて、今後はどのようなストーリーになるのでしょうか(笑)
それでは、小舞子さん投稿有難うございました!!
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