巨大な影が廃墟となった町でたたずんでいる。
そこから、少し離れたところに小柄な影があった。

 

 

そこここに落ちている白骨。打ち捨てられた車。荒らされた商店。
腰まで伸びた髪が風に揺れていた。

 

 

 

 

周囲からかすかに聞こえる足音。

 

(………5…6…7……8人か。囲まれたかな…………)

 

「そろそろ出てきたらどうだ?」

 

問の答えは背後からあった。

 

「動くな!………手を挙げてゆっくりと振り向け。」

 

言われた通りにして振り向く。三人ほどアサルトライフルらしき物を持っていた。

 

「なんて危ないもん持ってるんだよ。」

 

左右からは、4人ほどが和弓を手にしていた。

 

「捕虜が無駄口をたたくな!……名前は?」

 

「俺か?……俺はテンカワアキト。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナデシコ

 

もしも………

 

 

 

 

 

 

 

 

原因不明の奇病が発生してから約1年が経った。
通称火星病。
人体を媒介とした異常な感染力と長い潜伏期間のため、火星圏内のほぼ全員が感染していた。
致死率は70%。うち20歳以上の致死率は90%以上。
火星の空には、連合軍のミサイル衛星と、ビックバリア発生器が当初の目的…………
外敵の排除に使われずに守るべき物をねらっている。
そのことで絶望した人々によって、盗賊行為、新興宗教の人狩りが起こっていた。
そこで、自警団が生まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「テンカワ?…………聞き覚えあるなあ。………………もしかして、むっつりアキトか?」

 

「むっつりって…………そう言う奴は、………もしや、自称冒険家のいかれクレイ!」

 

「おお、憶えていてくれたか、マイブラザー。」

 

クレイ…………金髪の大男が大げさなジェスチャーをした。アキトは、その行動に青筋を立てて、

 

「誰がブラザーだ!!お前のせいで死にかけたことが何度あった!!」

 

腹にパンチを入れた。が、ひらりとかわされた。

 

「では、我が親友。そのおかげでミスマルユリカと仲良くなれたじゃないか。なにが不満なんだ?」

 

「そのおかげでなあ、追っかけられて友達から嫌われるわ。上級生に呼び出されるわ。
 バイオレンスな日々が続いたんだぞ!!」

 

ローキックから裏拳、一歩踏み込んで肘。すべてかわされる。

 

「そういやお前の隠れファンもいっぱい離れたな。」

 

「………そんなんあったのか?」

 

拳を掴まれた状態でにらみ合う(?)

 

「お前なぁ。……まあそれはともかく。お前、男だったよな?」

 

「そうだが?」

 

「そんなマント被ってるからわからんかったが、俺には女に見えるぞ。声も高いし………」

 

「ちょっとな…………聞かないでくれ。」

 

忌々しそうに答えた。

 

そう、アレは……………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《少し前、イネスの実験室》

 

イスに座ったアキトがイネスに何かを打たれていた。

 

「それで、なんのナノマシンなんだ?」

 

「説明しましょう。」

 

アキトの顔に少々苦みが浮かんだ。

 

「これは、ナノマシンを消去するナノマシンよ。
 このナノマシンはシリコンと………………………………………。」

 

いつの間にか3枚のウィンドウを開き、生き生きと説明していた。

 

「…………なのよ。このナノマシンには人体の補修にもかなりの効果を持っているから…………
 聞いてる?あきとくん。」

 

「もちろん。」

 

「そう。じゃあ…………これは、特殊な構成で成り立っています。
 このナノマシンの…………………………………。」

 

「くーくーくー。」

 

 

 

 

それから、2時間後。

 

「………女性化と一時的な記憶喪失が考えられる。……これが問題点ね。質問は?」

 

「……聞いてなかった。」

 

「まあいいわ。簡単に説明するから。それで……。」

 

そのとき、コミュニケが反応した。

 

「テンカワくん。これから第3実験場にきてくれないかい。
 いい機体が出来たんだよ。いいですか?ドクター」

 

 

 

 

「やあテンカワ君、これが新しい君の機体だよ。」

 

アカツキの合図とともにその機体に掛かっていたカバーが滑り落ちた。

 

「へえ。」

 

蒼い機体だった。背後に大型ブースターと安定翼らしき物。両肩と腰に姿勢制御スラスター。
所々から重力波ユニットがはみ出ていた。それに、黒いマントがあった。
武装に、エステサイズの黒いバスタードソードと赤い刀身を持つ刀の二振り。

 

「どうだい。この機体は。
 サレナの3倍近い移動速度………亜光速とそれに見合う攻撃力を持つ機体だよ。
 多少不格好だが、もうこれ以上の機体は出来ないだろうね。
 ……まったく、壊すために作ったとは思えないできだよ。」

 

「銘は?」

 

「開発名ブルー。正式名は………死神スルトだってさ。
 そして、その赤い剣はレーヴァテイン、黒いのは………なんだったかな?」

 

「神々を狩る死神スルト………“黒き者”か、悪くないかもな。
 だがこの機体は蒼いが、なぜ“黒き者”なんだ?」

 

「まあ乗ってみてよ。…………おっと、それからこのナノマシンを打たないと動かないよ。」

 

どこからか注射器を出すアカツキ。元ナデシコ乗組員はナゾの固まりだ。

 

「なぜだ?」

 

「だって、今までのだとこれを起動するだけで精一杯だからね。新型のサンプルだよ。」

 

このナノマシンと先ほど打ったナノマシンがあんな効果を生むとは………………。

 

起動しようとした時、機体が暴走。ジャンプした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《倒れてから1時間後》

 

「本当に大丈夫か?」

 

「よっと……………大丈夫だって。」

 

ハッチから星空を見上げているアキトの顔は、少し青かった。
それは、この機体が発しているのかもしれない。
クレイは、他の隊員を帰らせアキトとともにこの機体のある場所にきていた。

 

「ええと。システムチェック終了。破損個所なし。事故修復機構にも異常なし。」

 

「アキト。いけるか?」

 

「周囲の生命反応1。…………大丈夫みたいだ。手に乗ってくれ。」

 

ここにきてから約半年。
なぜか自分の知っている……………火星進攻の前と似ている世界に跳んだ。
跳んでくる半年前までは………………それと、この世界では、ボソンジャンプが使えない。
それは、元からこの世界では使えないのか。それとも女の身体になったからなのかは分からない。

 

「やっと俺達のコロニーにもロボット小隊が出来るんだな。」

 

この世界では、ネルガルの研究員が残したエステバリスや無人兵器の無人工場があった。
工場そのものはアキトの敵ではないのだが…………
公の工場以外にも生産プラントがあるようですべての工場を破壊できない。

 

「だから、入るかどうかは考え中だって。しばらくは厄介になるけどさ。」

 

「なんでだよ。ここにはお前の両親の墓があるんだろ?それに香澄やマリーもいるぜ。
 お前が人殺ししたくないってんならおれが変わってやってもいいぞ。」

 

「ヒトを殺すことになんの躊躇もないよ。この機体は俺以外に扱える代物でもないし………
 組織って奴が性に合わないだけだよ。」

 

「そんなもんかな?」

 

「そんなもんだよ。」

 

何処か重い何かを感じさせる声だった。クレイもそれに気づいたのか口を閉じた。
話ずらそうなクレイに向かって、何処か影のある笑みをかけた。

 

「この機体で、自分の限界を試してみたいだけだよ。」

 

「ン、そ……そうか。」

 

なんだかドギマギしているクレイに目で先をうながした。

 

「い……いや、今お前に見とれていてな。
 お前が男の時にファンクラブが出来た理由が分かったよ」

 

後のテンカワファンクラブ会長クレイ。今現在自分が変態かどうか思考中。

 

「見えてきたぞ。……………我らがコロニー、ミカエルにようこそ。」

 

 

 

 

 

 

そして、地下に眠るモノが起きる。

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

あいさつのまえにひとこと

 

アキトの女ヴァージョンを書きたかったんじゃあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。

 

 

はあはあはあ……………こんにちは、小舞子です。
この作品を続けるかどうかは、今現在不明です。
もし次が読みたいという方がおられましたら………メールください。

 

 

 

管理人の感想

 

 

 

小舞子さんからの投稿です!!

おお、逆行物ですか?

・・・いや、何やら様子が変ですね(笑)

と言うより、アキト君がアキトちゃんになってますが(爆)

しかし、そう来ましたか。

・・・今度は男を手玉に取るんだな、アキトよ(苦笑)

さて、新しい期待と謎の病原菌・・・

続きが気になりますね。

皆さんも小舞子さんに催促のメールを出しましょう!!

 

それでは、小舞子さん投稿有難うございました!!

 

さて、感想のメールを出す時には、この 小舞子さん の名前をクリックして下さいね!!

後、もしメールが事情により出せ無い方は、掲示板にでも感想をお願いします!!

出来れば、この 掲示板 に感想を書き込んで下さいね!! 

 

 

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