ナデシコINゴーストスイーパー
第二話
おとぼけスイーパー御統ユリカ現る

雪山で幽霊の枝織ちゃんと出会い一騒動あって彼女が東除霊事務所で働き始めて数ヶ月がたった。
最初のころは初めてのためか色々とドジな面もあったが、慣れてくると幽霊だけど物の持ち運びが出来たり、壁などの障害物を関係なく移動できるなど利点からとても有能な助手となっていた。
普段の生活でも、今まで俺と舞歌さんで分担していた事務所の掃除や依頼客がきたときのお茶汲みなどをこなし、その天真爛漫で素直な性格からもはや事務所の看板娘といえるようになった。
その間俺と舞歌さんはずいぶんと懐かれ、舞歌さんは「舞姉さん」、俺は「アー君」と枝織ちゃんに呼ばれるようになった。
そんなある日のこととある依頼が舞い込んだ。その依頼とは…

「きょ、共同作戦?!待って!そんな話は聞いてないわ!」ん?舞歌さんの様子がおかしいな?
「じゃ、そゆことでわたしは帰るわ。」という舞歌さんの長い髪を目の前にいる女性がつかんだ。
「ぷんぷん。ユリカ、舞歌ちゃんとお仕事するの楽しみにしてたんだよー。そんないいかたしちゃ駄目―。」

そこへ依頼者が仕事の内容を説明しに来た。

「ここは新築マンションなんですが建物の相が悪かったらしく、周辺から霊が集まって人が住めないんです。千体以上もの霊を除霊するわけですし、早急に作業を進めるためにも、お二人で協力していただきたく思いまして。」
「ユリカが舞歌ちゃんも呼んだほうがいいって言ったんだよー。いいでしょ、ユリカのおねがーい。」
「全く、同業者は私だけじゃないんだからほかをあたりなさい、ほかを!」

話が読めないので舞歌さんにこの女性の事を聞いてみた。

「あの、ずいぶん親しげみたいですが舞歌さんのお友達ですか?」それに対し舞歌さんはこう答えた。
「うーん、友達って言うか知り合いね」
「ひっどーい!お友達じゃないのー?あ、そうだ!私御統ユリカっていうの。よろしくねっ!ぶいっ!!」

ぶ、ぶいっ?なんつーか枝織ちゃん以上に天真爛漫でぼけっとした子だな。

「あ、お、俺は天川アキトって言います。」そう言って俺は頭を下げた。そのときユリカさんも近づいて頭を下げてきた。

ゴチンッ!

いい音がして俺たちは互いの頭をぶつけてしまった。
その次の瞬間、俺はなんか訳のわからん謎の生物達の襲撃を受けた。

「でえぇぇぇっ!なんだぁぁぁーっ!」ガブッ
「だ、大丈夫?アキト君?ユリカはね「式神使い」といって12匹の鬼を自在に操る能力があるのよ…って聞いてるかしら(汗)」
「ほええぇぇっ、駄目だよみんなー。――と、それより舞歌ちゃん一緒にお仕事しようよ。でないと…、……(涙)。」
「あーっもう解ったわよ!」「わーい、舞歌ちゃんだーい好きっ!」
『きゃははっ、なんだかんだ言っても優しいね、舞姉さん。』
「…あなたは式神使いの恐ろしさを知らないからよ…ふう(溜息)。」

その後なんとか助かり、とりあえず作戦会議が開かれた。
マンションの図面を見つつ…

「このマンションは採光を考えて上階へいくほど面積が小さくなっています。なるべくユニークなデザインにするというコンセプトで複雑な多層構造にしたんですが…」
「なるほどね…、最上階のこのガラス張りの部分が鬼門から霊を呼び込むアンテナの役目になってるのね。で、どうするのユリカ?これだといくら祓おうと霊があつまってきてしまうわ。」
「んとねー、ユリカが霊たちを食い止めるからその間に舞歌ちゃんは結界を作って霊の侵入を防いでね。」
「…そのあと二人でたまった霊を除霊すれば、問題の部分を改築して人が住めるようになるってことね。 OK!それじゃさっそくやるわよ。」といいながら、除霊道具の呪符や神通棍を装備していく舞歌。
「ほえー、すごーい。舞歌ちゃんて攻撃系の道具ほとんど使えるんだぁ。ユリカなんか霊能者でも自分じゃ何にも出来ないんだよー。」
「――それより中は悪霊だらけよ。準備はいい!?」
そして、マンション内に突入していく舞歌とユリカ。その後数十分してアキトが気が付いた。
「ううう、えらい目にあった。?舞歌さんたちはどうしたの枝織ちゃん?」
『二人でマンションの中に入っていったけど、どうかしたの?』
「うん、何か嫌な予感がするんだ。俺も中に入るよ」
『えっ、危ないよアー君!!舞姉さんたちみたいな力は持ってないんだよ、死んじゃうよ!』
「でも、行かなきゃ大変なことになる気がするんだ。大丈夫、あまり無理はしないから。」

そう言いながら枝織に微笑むアキト。そして顔を赤らめる枝織。

『(ぽっ)う、うんわかった。でも本当に無理しちゃ駄目だよ。したら怒るからね!!』
「…わかったよ。」そういってマンションにアキトは入っていく。

そのころ、舞歌たちは最上階にたどりついていた。

「私が結界を作る間、奴らを近づけないで!!」
「はーーい。」
「念!!」ババッ、キィーン

どんどん結界が張られていく。「よし、後三枚で完成するわ!!」
「急いでー、そろそろ式神ちゃんたちがばてて来ちゃったからー。」

悪霊たちは何かに気づいたようにユリカを見る。

『あの女、あっちの女だ!』『連れておる化物は強いがあやつ自身は弱いぞ!』『殺せ…!』ユリカをめがけ悪霊たちが襲い掛かる。しかし間一髪で式神「サンチラ」の電撃が悪霊たちを屠り去る。
「ま、舞歌ちゃん、なんかユリカを狙いうちし始めたよぅー。」
「終わったら手伝うから待ちなさい!結界が完成すれば新しい霊は入ってこれなくなるわ!」
「でもでも、待てそうも無いよー。」そういった瞬間、式神たちの隙間を抜け悪霊がユリカに襲い掛かる。しかし、そのとき「危ない!!」遅れて上ってきたアキトがユリカをかばった。
「えっ、アキト君なんでここに!!」舞歌が叫ぶ
「大丈夫です!早く除霊を!!」アキトは叫び返す
アキトにかばわれたユリカは直撃は受けなかったがかすり傷を負い頬から血を流している。
「ふぇ、血だよぅ、ふ、ふぇぇーーーーーーっ!!」
ボビュビュビュゥゥーーン!ユリカの体から一斉に12の式神が飛び出し暴れだす。
『ぐおっ!?』『ぐわわーっ!?』悪霊たちは断末魔の叫びをあげ次々と消えていく。
「お、落ち着きなさい、ユリカ!!式神のコントロールを…!!」
「ふええぇーーーーーーーん!!」舞歌の声は聞こえていないようで大声で泣き叫び続けるユリカ。
「ちっ、駄目だわ。アキト君、逃げるわよ!!」「は、はい。」

そう言いながらアキトと舞歌はマンションから逃げ出した。
ズバッ、ドゴッ、ドガガガガッ!!式神たちとユリカの暴走は続きあとには瓦礫の山が築かれていた。

「…まあ、悪霊の心配だけは無くなったわね…。」
「ごめんなさーい。興奮するとユリカ、式神ちゃんたちのコントロールが出来なくってー。」
「わ…、私のマンション…、私の新築マンションが…。」依頼人は呆然と立ち尽くし真っ白な灰と化していた。
「で、アキト君何故あんな事をしたの?答えなさい。」舞歌がアキトを問い詰める。
「…何か、嫌な予感がして、どうしても行かなけりゃ駄目だと思って…。」
「あなた…、それであんな真似をしたの?(予知?そんなことあるわけないか)」
「アキト君一歩間違えたらあなた死んでたのよ?…それなのに」そう言って舞歌はアキトに平手打ちをする。
「つっ!?」アキトはその一撃を避けずに受ける。
『舞姉さん、やめてよ!』「舞歌ちゃん、だめー!」枝織とユリカが止める。
『アー君は、何かが危ないって言って舞姉さんたちを助けに言ったんだよ』
「ユリカだってかばって貰わなかったら今ごろ…」

二人して舞歌に言い寄る。

「…解ってるわ、でも…」舞歌はそう言いながら一滴の涙を流した。
「…すみません、舞歌さん。もう無茶はしないよう気をつけますから…」そう言ってアキトは自分のハンカチで舞歌の目元を拭く。
「…ありがとう…」赤くなりつつアキトに言う舞歌。
とそこへ何故か目を潤ませ顔を赤くしたユリカが「アキト君いえアキトあなたは私の王子様だわ。」と言い出した。
「へっ!?」突然のことにアキトは目が点だ。
「窮地を救う王子様のごとくアキトは現れた、これはもう運命なのよ!!」
「………」無言でアキトは逃げ出した。「待ってぇー、アキトォー!」ユリカはそれを追いかける
あとにはちょっと不機嫌な枝織と「ちぃ、ライバルが増えたわ…」と呟く舞歌が残されていた。


あとがき
試験のレポートを書くつもりだったけど何故かこれを書いてしまった留年の危機に瀕する
漢(おとこ)混沌の覇王です。
今回ユリかを出し、アキト惚れさせました。
しかし、最終的にはジュンとユリカくっつけるつもりです。
…まあ、チハヤ、ユキナ、ユリカの四角関係になるかもしれませんが、ジュンをそこそこ活躍させます。
自分で言っといてジュンの活躍する姿があまり想像できませんが(爆)