Actionクリスマス記念
某組織の野望・オペレ−ションX!!
ナデシコ内の一室・・・。
そこで来るべきある一日に向けての対策が行われていた。
そう。ここは某組合の秘密会議場である・・・。
秘密といっても、某クワト○大尉並みに、誰も知らぬものは無いという公然の秘密であるが。
そしてここでは来るべき12月24日及び25日への対策会議が行われていた・・・。
「というわけで、24日は我々はいかに行動すべきか!!」
大きく叫ぶのはジュ、いや失礼。作戦部長である。
全体から、わぁ〜っ、とひときわ大きな歓声が上がる。
雰囲気は最初から最高潮に盛り上がり、会場の中はすでに熱気であふれかえっている。
「テンカワ・アキトの24、25両日の行動表を、諜報部が極秘に入手した!これを見るんだ、諸君!!」
そういって作戦部長が壁を叩くと同時に、ディスプレイに大きく映し出されるのはテンカワ・アキトのクリスマスの予定表である。
「これは諜報部が極秘に入手したシロモノだ。この羨ましい予定は何だ!」
バシバシッ、と壁を激しく叩き、激昂しながら高らかに演説を行う。
それに呼応して、会議場のあちこちから嘆息の声や怒りに震える叫び声、電波に反応した声などが上がる。
アキトの予定表。
それにはびっちりと予定が2日間休みなしに組み込まれている。
見るだけでは羨ましい限りなのだが、本人にとって見ればまさに地獄の予定表である。
某同盟構成員は15人なのだが、キリが悪いと言うことで12人、各4時間ずつに切り分けられている。
切り捨てられた人物は不幸としか言いようがないだろう・・・。
さて、ここで、その注目すべきクライマックスを取り上げてみよう。
まず3人目のホシノ・ルリ。
当該時間が昼に割り当てられているために、アキトと一緒にランチを取ることは確実であろう。
アキトの体を狙ってはいるが、アキト本人にとってさほど被害はない。その貞操を奪われるくらいで済むだろう。
5人目のミスマル・ユリカ。
ユリカは幸運にもディナーの時間、ド本命の時間帯を引き当てた。こういった所で運をたぐり寄せるのは、流石に大したものである。
しかし、アキトにとってこれは地獄の責め苦、いやそれ以上の拷問だろう。
ユリカ特製ディナーをお召し上がりの可能性は非常に高い。これ以降アキトの意識が残っているのかどうかは疑問である。6人目以降は不幸としかいいようがないだろう。
12人目。メグミ・レイナードである・・・。
最後の最後になってこの人はないだろうという舞台設定&作者の奸智。
あのスタミナドリンクがパワーアップして待ち受けていることは疑う余地がない。
果たしてアキトは生き残れるのか?
そして、数日後無事に除夜の鐘を聞くことができるのか?
だが、そんなことは組合にとってはさして重要なことではない。
12人もとクリスマスを過ごすという人間は、彼らにとってはもはや敵といった軽い存在ではないのだ。
「このような暴挙を許していいのだろうか?いや、許されるはずはない!!」
各所からおおおお、と声が上がる。かつて無いほどヒートアップしている。
「テンカワ・アキト許すまじ!」
「たとえ天が許し、神がその行いを許そうとも、我々だけは許すまい!」
「テンカワ・アキトを誅殺すべし!!」
「いざ、人誅を下す!!」
わき起こる怒声、罵声を作戦部長が制止する。
「そう、人誅だ!!そしてこの両日の作戦名をオペレーションXと名付ける!」
うおおおおおおっ、と会議場全体が震え上がる。
壇上にいる作戦部長は、その沸き起こる魂の叫びに対し、両手をあげてしきりに押さえ込む。
「さて、この作戦を行うに当たり、良い作戦があればどんどんと提案して欲しい。ではまず・・・」
しかし、他の幹部達は一向に動き出す様子がない。いや、作戦部長の言葉を続けるのを遮って動いたものがいる。
「あ〜、そのことなんだがな、作戦部長?」
中年整備班長である、技術部長が言いにくそうに切り出す。
目線は中空を泳ぎ、どこかソワソワとしている感がある。
「なんです?」
「水を差すようで悪いんだが、俺はその作戦には不参加だ」
ざわざわざわっ
会議場全体がどよめく。
「なんでだぁっ!!」
「ふざけんなぁっ〜!」
一部から抗議の声が挙がってもいる。
「何故なんです!!ウリ、いや技術部長!?」
机を叩き、声を荒げて作戦部長はそれに抗議する。目は赤く血走り、鬼気すら感じさせるほどだ。
「いやな、その時はナデシコがカワサキシティのドッグで検査調整中なのと重なって特別休暇が取れただろ?」
「まあ、そうですが・・・僕は居残り組です・・・」
悲痛な声を漏らす。これほどまでに力の入った演説をしていたのはそういうわけだったのか?
「それでなぁ。言いにくいんだが、久しぶりに家族と過ごすクリスマス、ってのをオリエと約束しちまってな・・・」
その発言に、会場のテンションは一気に下がった。
「そうだよな・・家族かぁ・・・」
「そういや俺も休暇取れてたしなぁ・・・」
「嫁さん、元気かなぁ・・・」
「俺も久々に家族とクリスマスにするかなぁ」
会場各所から脱落者が次々に出ている。
「ま、待つんだ!テンカワに人誅を下すんだろう!」
作戦部長が必死になって押しとどめようとするが、懐かしい家族とのクリスマスという甘い誘惑に勝てるものは皆無であった。
もはや大勢は決したようだ。大半が家族と過ごすクリスマス、という懐かしい響きにつられてしまっている。
「そ、そうだ!諜報部長?君は!?」
この劣勢を挽回しようと、諜報部長に確認を取る。しかし、この一言が取り返しのつかない事態を招いた。
「ごめんなさぁ〜い、作戦部長・・・。僕はウリバタケさんとこのクリスマスパーティーに行くってキョウカちゃんと約束してるんです〜。そりゃ僕だってルリさんとアイツのデートを妨害したいのは山々なんですけど、学校の友達とかも集めるからって、ラピスと一緒に行くことになってるんです〜」
申し訳なさそうに、だがしかしちょっと嬉しそうに作戦部長に語る諜報部長であった。
「何だと!ハーリーてめぇうちの娘に手を出す気か!?」
ウリバタケはこの事実を聞かされていなかったようである。当然といえば当然ではあるが・・・。
娘が好意を寄せている男の子に対し、父親はだいぶ反感をもっている。そのことで母親がどちらの肩を持つかといえば、『身近に』暮らしている娘の肩を持つのは当然であろう。
家族をおっぽり出して戦艦に乗っている夫の言い分など聞く耳持たないのが普通というものだろう。
キョウカがハーリーを呼ぶことに、ウリバタケは反対するに決まっているのだから、はじめから知らせないでいたのである。夫には家族でクリスマスを過ごそう、と偽ったのである。
「ほ、ホームパーティーみたいなもんだって言ってますよぉぉぉ。僕の両親も来ますしぃぃ」
ウリバタケにがくがくと揺さぶられ、首をカクカクと振られながらハーリーがか細く答える。
おっと、二人が引き離されて技術部=ウリバタケ派と諜報部=ハーリー派の睨み合いが始まった模様だぁっ!
じりじりと間合いを詰め・・・、あっ技術部が一気に攻勢に出たぁ!これは堪らない諜報部!防戦一方だ!!このままではまずいぞ?それとも何か策があるのか!?
ああっ!!技術部の内部から反乱が発生したぁっ!
これに乗じて諜報部が反撃にすかさず移った!いや、これはあまりにも出来過ぎている。おそらくはもともと諜報部員が技術部の中に埋伏の計を仕掛けていたのか!?
喧噪の渦に包まれた秘密会議場において、作戦部長が燃え尽きかけでたたずんでいた。
「そ、そんな・・・幹部2人が不参加って・・・」
驚愕の事実に呆然とするしかない作戦部長。
そして、この時点においてオペレーションXの不成立が確定したのである。
・・・
「くくく、これでこの両日は邪魔されませんね・・・」
ナデシコのオペレーター席。そこに座って、悪魔のような笑みを浮かべるのはホシノ・ルリその人である。
「オリエさんに頼んだ甲斐があったというものですな。これで邪魔されずにアキトさんと過ごせる訳です・・・」
そう、ウリバタケ脱落というシナリオは彼女が中心となって描いたものであった。もちろん、ハーリー脱落と言うことも計算に入っている。
更に言えば、クリスマスの時期にナデシコの点検というのは、アキトとゆっくりクリスマスを、という某同盟の綿密な計画の元に成り立っているのであった。
「さて、両日をアキトさんと過ごすために他のメンバーを出し抜く計画を考えないといけませんね」
そして次なる陰謀を練るルリであった。
・・・
「か、会長は裏切ったりしませんよね・・・?ふ、2人でだけでも人誅を・・・」
最後の望みとばかりに、会長へと視線を向ける作戦部長。
しかし、そんな副長の望みを会長は無惨に断ち切った。
「ダメダメ、僕だってクリスマスには予定が入ってるんだから」
マジすか、会長?
エリナさんに溜まりまくった仕事を押しつけられているんですかね?
「いや、仕事もあるけど、それだけじゃあないよ?」
ナレーションというか、作者の言に答えるのはどうかと思うが、良しとしようか・・・。
そして、その場にガックリと崩れ落ちる作戦部長。
「そ、そんな・・・」
もはや彼の周りには黒い黒いオーラと縦線がほとばしっているだけである。
彼自身は真っ白い灰となって、今にも風に吹かれて崩れ去ってしまいそうだ・・・。
ひとへに風の前の塵に同じ、と吟じたくなるような光景だ。
「オイ、副長の周りには近づくな・・・」
「二度とこっちの世界に戻ってこれなくなるぞ・・・」
これ以上不幸をおわされるのは、不幸に巻き込まれるのはごめんだ、というばかりに組合員達は蜂の子を散らすように散っていく。
作戦部長はなにやらブツブツと言っている。
「・・・うふふふ・・・もう僕なんて・・・aiう゛う゛う゛faiuawfujsあausdhfwffwhぎょdaぎa・・・」
・・・もはや地球の言語を喋っていないようなので近づかないでおこう・・・。
「ところで会長?24日の予定って・・・?」
組合員が恐る恐る会長にたずねる。
はっはっは、と笑ってから会長は周りのみんなを集めて小声でしゃべり出す。
「野暮だなぁ、みんな。まあいいさ。話してあげようか」
組合員達はここぞとばかりに聞き耳を立てたり、顔を寄せ合って聞いている。
「僕はねぇ・・・3人の美少女達と過ごすんだよ」
小声ながらも、おおおおっ、と歓声が漏れる。
しかし、アカ、ゴホンゴホン、会長さんよ?一体どうやって3人もの美少女と約束を取り付けたのだ?
「彼女たちはね、僕のことを『お兄ちゃん』とか『お兄さま』とか『にぃや』って呼んでくれるんだよ。な?たまんないだろ?」
再び、オオオオオオオオッ、と歓声が漏れる。今度の歓声はかなり大きい。ビッグウェーブだ。
おいおい、いったい全体ホントにどうやってそんな3人の美少女を・・・?
まさか?危ないルートから手に入れたとか、借金のカタに引き離したとかなのか?お兄ちゃん、と呼ばせているようだし。
しかし、何となく嫌な予感がするな・・・?
「ほんとはねぇ、12人全員いて欲しかったんだけどもね〜」
12人全員?
なんだか話がだんだんと怪しくなってきたぞ・・・。
「発売元からは3人しか出ないもんでね。僕がネルガルの力で作らせようとしたら、エリナ君に止められちゃってさぁ・・・」
だんだんといやな予感が膨らんできたぞ・・・。
・・・まさか・・・!!!
「本当は僕はね〜、『兄ちゃま、チェキよ!』とか『おにいたま、ダイダイダーイ好き』とか呼ばれたいんだけどね〜」
ジャストミーーート!!(福澤アナ調で)
嫌な予感的中〜〜〜!
それかいな〜ぁっ!!
「結局僕のポケットマネーで出さなくちゃいけなかったし、3人しか居ないんだよ〜。がっくし・・・」
真底がっかりしているが・・・アンタ、それでいいのか?ネルガルの会長だろ、仮にも?
いや、その前に人として何か間違っていないか?
「さあ、待っててね!可憐ちゃん、咲耶ちゃん、亜里亜ちゃ〜ん!!おにいたまが、今か今かと君たちと過ごすクリスマスを首を長〜くして待っているからね〜〜〜〜!!!」
「新しい会長を立てる必要性が非常に高いわね・・・。ホシノ・ルリに早いところアキト君をネルガル会長に仕立て上げる計画書の提出をお願いしないと・・・」
隠しモニターでその様子を監察していたエリナは、ボソリと洩らしたのであった。
〜あとがき〜
拙作を最後まで読んで頂いて、どうも有り難うございます。
クスリとか、ダッハッハとか笑っていただければ光栄ですわ。
感想を書いていただけたら(メール大歓迎。ウイルスはめーなのよ)今後の励みになります。
一部ファンの方に対して、頭にくる表現(殺人料理とスタミナドリンクの件ですね、ハイ)が含まれているかもしれませんが、くれぐれも
「あっ間違えてウィルスメール送っちゃった〜♪」
なんてことのないようにお願いします(笑)。
主にユリカファン(いるんすかね?私は2番目くらいに好きですけど)とメグミファン(特に議長様)の方々ですね。
ジュンとアカツキは・・・別にいいですね?壊したままで。
ま、勢いで書き上げたんで非常に拙い作品になってます。
某日に向けての某組合の企みについてなんですけど、何とも無茶苦茶・・・
あと、某組合と某同盟の設定を使わせて頂いたことに、各々の作者様に感謝の意を表明いたします。
って、なんやか役人言葉やなぁ・・・
とにかく、非常に感謝しております。有り難うございました。
オチというか会長の狂行(笑)。
記事を見て電波が来ました。これを書きたいがために他の部分を書いたようなものです。
オチの部分に関しては、それ以外に何もコメントいたしません。
いや訂正、したくありません・・・。
G'sマガジンとか買ってません、持ってません。
信じてくださいよぉ・・・
代理人の感想
嗚呼、人はこうして堕ちてゆくのだなぁ(爆)。
注意一秒汚名一生。
思えば某氏につけられた大蒲鉾という仇名も、某キャラが象呼ばわりされるのも、
ちょっとした一言がきっかけだったんだよなぁ・・・・。
まぁ、少なくともアタシャ雑誌の名前なんてすらすら出てきませんし(激爆)。
・・・・・・・・・・・・・強く生きて下さいね(核爆)。