<み、ミスマル司令!!大変です!!!>
会議室のウインドウに大写しになってあらわれたのはカイトさんでした。
「あ、カイトさん。こんにちは」
「あ、カイト君だー。久しぶり〜!」
「これはこれはカイトさん、実に久しぶりですなぁ」
ナデシコのメンバーは、久々にカイトさんと会って色々と感慨深いみたいです。カイトさんは元ナデシコのクルー。宇宙軍で諜報部に所属しているので、滅多に顔を合わせません。
<ア、ルリさん、ユリカさん、プロスさんもゴートさんもお久しぶりです>
カイトさんも久々に顔を合わせて懐かしそうな顔をしました。
「カイト君?そんなことを言いに緊急通信を入れた訳じゃないんだろう?」
<か、会長?何でここに、ッとそれよりも>
アカツキさんにいわれて用件を思い出したふうに、カイトさんは緊張した面持ちになります。アカツキさんのネルガルともだいぶ深そうな関係の様です。
機動戦艦ナデシコ
A Story after the Movie...
“E”s from Venus
第3話 独立ナデシコ部隊
「ふむ、察するに火星の後継者関連ですかな?」
プロスさんが眼鏡を押し上げながらそういいました。
<まあ、そうですが・・・事が大きすぎます>
その次の一言にはそこにいる全ての人が注目しました。
<草壁春樹やシンジョウ・アリトモ、南雲義政を中心とする火星の後継者の主要メンバーが、拘留中の拘置所から連れ去られました!>
驚愕の事実にそこにいるほぼ全ての人が驚いたみたいです。
しかし、カイトさんは更に言葉を続けました。
<更に、今回の犯行における声明が出されています。現在2CHで放送しているはずです>
ジュンさんが急いで2CHをつけると、ニュースキャスターがこの事件について臨時ニュースといって喋っていました。
<繰り返しお伝えしています。
先程、火星の後継者の主要メンバーである草壁春樹元中将やシンジョウ・アリトモ元中佐、南雲義政元中佐らが拘留中の拘置所より脱出したことが明らかになりました。
これについての犯行声明が出されております。ご覧下さい>
画面が切り替わって、もう私たちにはお馴染みになった火星の後継者の服を着た人が何やら叫んでいます。
<私は火星の後継者中佐、小早川元昭である!
先程、我等が指導者草壁春樹中将を、地球連合の手より救出することに成功した!!>
<ここに、我等は再び新しき秩序の下で、理想郷の建設を求める聖戦を開始することを誓う!
これは地球連合への宣戦布告でもある!
今こそ立ち上がれ、立てよ同志!!いざ火星に集うのだ、我が同志たちよ!!>
<エ〜、現在ライブ中継を御覧頂いております。
火星の後継者の主要メンバーが拘置所より脱出しました。
また、ヒサゴプラン各ターミナルコロニーにて戦端が開かれた模様です。くり返しお伝えします・・・>
「あれあれ、全宇宙圏に向けての放送とはご丁寧に」
「やはりまたもや火星の後継者か・・・」
「しかし、また今更何をしようというんでしょうね。ナデシコを奪って戦力にしようというのは分かりますが・・・」
一連の報道を見ながらネルガル3人衆がぼそりと呟きました。
<更に諜報部が手に入れた極秘情報ですが、月基地を壊滅させた機動兵器は夜天光ただ1機のようです・・・。目撃情報では、基地内に急に現れたとか・・・>
「ボソンジャンプですか・・・?」
私はカイトさんに問いただしました。敵がボソンジャンプを使えるというのは、かなり厄介です。
<ボース粒子は未確認ですが、僕の判断ではそうかと思います、言い切れませんけど・・・。
後、統合軍の対応ですが、火星の後継者の三度目の反乱は統合軍の威信に懸けて叩きつぶすという方針のようですね。さすがにここまでコケにされては、黙っていら・・・>
統合軍についてカイトさんが言おうとしたところに、いきなり割り込み回線が入りました。
<そ〜の〜と〜りぃ!今回の火星の後継者の反乱は我が統合軍が全力をもって当たっている!>
思った通りに統合軍の通信でした。この特徴的な頭の暑苦しい人は、確か・・・アタマ准将?
「アズマ准将、もう少し落ち着いて喋ってくれないかね?こちらは会議中なんだよ」
<フン!ネルガルと宇宙軍が寄り集まって、談合の相談ですかな?>
そうそう、アズマ准将です。ミスマル司令が極めて冷静に対応しようとしますが、アズマ准将は以前と同じに暑苦しくて嫌味たっぷりの言葉を投げかけてきてくれます。
「それで用件はなんですかな?」
<まあいいだろう。用件は火星の後継者の鎮圧には宇宙軍は手出し無用ということだ!!>
「なっ!それは我々は蚊帳の外と言う事ですか、またしても!!」
ジュンさんが怒号を飛ばしますが、統合軍の通信が入った時点で簡単に予想できたことでした。
<ガッハッハ!まあそういうことだ。まあ、宇宙軍は地球の警備でもしておいてくれたまえ。がっはっは>
アズマ准将はガハハ笑いを残して通信を切ってくれました。ホント、暑苦しい人です。
「で、かくしてまたも宇宙軍は蚊帳の外・・・というわけですな」
ムネタケ参謀長がお茶をすすりながら話します。
「でもでも、ナデシコの捜索という名目ならいいんじゃないですか?」
「おお!さすがユリカァ!そういったスレスレの所に目を付けるとは!!」
ユリカさんが名案を出しました。
ナデシコDの捜索。
これなら、火星の後継者の鎮圧になりません。統合軍は月基地は正体不明機によって襲われたと発表していますし、ネルガルもドックが襲われたのは伏せています。
「ええ、それなら統合軍の言った鎮圧に当たりませんな。さすがはユリカさんです」
「しかしこれは一歩間違えると、ナデシコが訓練中の南雲の時と同じ状況になってしまいますが」
プロスさんはユリカさんの作戦をほめますが、そういうような事態も、最悪考えられます。
<そうならないように穏便に事を進めて欲しいものですけどね・・・>
カイトさんは大人の意見というのを出してきます。でも、ナデシコの出撃を止められるとは思っていないようです。
ちょっとずるいですけど、双方ともに被害者は出来るだけ出したくありませんから、ここは私が・・・。
「わかりました。ナデシコC艦長ホシノ・ルリ。ただ今より『ナデシコDの捜索任務』につきます」
私は起立して敬礼の姿勢をしました。なるべく被害者を出さないためには、私が行かないとダメですから。
「そんなに堅くならなくてもいいよ、ルリ君。それとわかっているとは思うが、これは一応極秘任務扱いだ」
「おおっぴらに行動すると、統合軍がうるさいですからなぁ」
ミスマル司令が極秘任務という形の作戦をとります。ムネタケ参謀長のいうように、統合軍の宇宙軍嫌いは相当なものになっていますから。
「うむ、人選は基本的にホシノ少佐に一任するよ」
「いいんですか?私が決めてしまっても?」
「はいは〜い!ルリちゃん、あたしも行くよ〜!」
ユリカさんが勢い良く立ち上がって名乗りを上げます。でも、すぐにミスマル司令はそれを止めようとします。ま、いつものことですけどね。
「ユゥリィカゥワァァ〜!!お前を危険にさらすわけには行かないんだよ!」
「そうだよユリカ!相手は火星の後継者なんだから、あまりにも危険だよ」
ジュンさんもユリカさんを止めます。
「でもでもぉ、ルリちゃんばっかりに負担をさせるのはあたしイヤ!」
「そうだねぇ。もし相手がボソンジャンプを使えるのならば、どこにいても危険であることに変わりはないからね」
「それにA級ジャンパーのユリカさんがおられれば、ジャンプを使うことも出来ます。戦略的な幅は大きく広がりますからな。そのほうがより経済的ですしな」
ユリカさんを止める人と、助け船を出す人。
でもどうやら助け船を出す人の方が優勢です。私もユリカさんにいて欲しいですから、当然賛成です。
「私もユリカさんがいた方がいいと思います」
「さっすがルリちゃん!!よ〜し、けって〜い!!ぶいっ」
というわけで、ユリカさんはナデシコCの提督として参加が決定しました。
他に宇宙軍からの参加は、サブロウタさん、ハーリー君、リョーコさんとおなじみのメンバー。
「プロスさん、お願いしますね」
「はいはい、わかっておりますよ」
後はまた、ナデシコ組を集めることになりそうです。
明日からプロスさんと一緒に、ナデシコクルーを集めましょうか。忙しくなりそうです。
〜あとがき〜
第3話をお送りしました、こーそんおうです。
今回はオリキャラ(と言ってええんかな?)のカイト君が登場。
でも、カイト君のこと全然わからんのですけどね。何たってサターンをやってないから。そもそも持ってもないし。
だから彼の存在設定は非常に薄くなっています。
でも流石にカイト君の簡単な紹介を。
連合宇宙軍所属の少佐。宇宙軍の情報局の所属です。諜報部長も兼ねています。
ちなみに彼はIFSの強化体質なので、いわゆる間諜任務はしませんが、電子情報の操作を行います。一応遺伝子もいじくってるんやけども、瞳の色は黄金ではない。コンピューター制御の能力はルリちゃんやハーリー君よりも少し苦手な設定。
ま、滅多に出す機会はないでしょうねぇ・・・。
カイトファンの方、カミソリレターその他はご勘弁を。サターンやりゃあなんとかなるんやろけども・・・。
代理人様の感想にありましたが、あとみっくばず〜かは装備しておりません。
ただし、強奪の元ネタは0083そのものです。
「ソロモンよ!私は帰ってきたぁぁぁっ!!!」
ソロモンの悪夢最高やぁ!!
以上、壊れ気味の作者でした。
感想、誤字・脱字・誤植、批判等意見はお気軽に出して下さい〜
代理人の感想
アズマ准将・・・・・・・・・・
生きてたのかアンタ。(核爆発)
いや〜、てっきりアマテラスと運命を共にしたのかと思ってましたよ(笑)。
でもこのままだと某バーミンガムと同じ運命を辿りそうな予感(爆)。
※バーミンガム・・・「0083」に登場した連邦艦隊旗艦。
アトミックバズーカの標的にされて真っ先に撃沈・・・というか蒸発した。
ちなみにカイトに関しては投稿作家の音威神矢さんが「The blank of 3years」の資料を作成していらっしゃるので
そちらを参照すると言うのも手かと思います。