あの忘れえぬ日々
火星の大地で対峙する、ブラックサレナと夜天光。
あれに乗るのは、俺から全てを奪い去った相手。
あいつの事を忘れた日は一日たりともない。
「よくぞここまで・・・人の執念、見せてもらった」
邪魔な補助機を投げ捨てる。
「北辰!勝負だ!!」
下手な小細工は、相手につけいる隙を与えるだけだと分かっている。俺は抜き打ちの構えを取り最初で最後の一撃に全神経を集中させる。
北辰も同様に抜き打ちの構えを取り、俺達はにらみ合う。
どのくらい時がたったのだろうか。俺達は永遠とも呼べるにらみ合いの末、まったく同時に動き出した。
ザシュゥッ!!
バーニアを全開にして一直線に相手に突っ込んで行く。
リーチはこちらの方が短い。こちらの一撃を打ち込むために俺は、ブラックサレナの間合いに自ら夜天光を招き入れた。
キュィィィィン!!!
夜天光の拳がディストーションフィールドを突き破りブラックサレナの装甲に当たるが更に前へ踏み込み、そして己の全てを込めた必殺の一撃を夜天光のコックピットへ叩き込む。
「うおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
ガシィィィッ!!
ブラックサレナの拳は夜天光のディストーションフィールドを突き破り、確実にコックピットに突き刺さっていた。
ほんの少しの差の勝利。それを分けたのは、執念かあるいわ・・・
「・・・終わった」
俺は全ての復讐が終わったのを感じていた。
しばらくそのままの状態でいたが、やがてブラックサレナの追加装甲が戦闘補助用AI”サレナ”によってパージされ、中に入っていたピンクのエステバリスの姿が露になる。
それはナデシコに乗っていた時からアキトを守ってきた愛機。
その姿は己の心を代弁するかのようにもう戻れぬ日々を悲しみ、泣いているようだった。
<ラピス、これからユーチャリスに戻る。ジャンプの準備をして置いてくれ。>
<アキト、ユリカはイイの?>
<ルリちゃん達に任しておけば問題ない。それに・・・>
(血塗られたこの手でユリカをもう抱きしめる事は出来ない。)
<それに?どうしたのアキト?>
<・・・イヤなんでもないよラピス。ジャンプの準備の方を頼む。>
<うん、わかった。>
ユーチャリスに戻りながら思うのは、もう戻る事の出来ないあの暖かく満ち足りていた日々。
頭を振ってそれを振り払う。
なに馬鹿な事を考えている。もうあの頃には戻れないのを誰より知っているのはお前じゃないか。
誰がお前を受け入れてくれる。今のお前はコック兼パイロットのテンカワアキトではなく、血塗られた復讐鬼なのだから。
それでも、心の奥底で願ってしまう自分がいる。
かけがえのない友の下へ!
そして、愛する家族の下に戻れたら!!っと
そしてそれを否定する自分がいる。
ラピスを俺の復讐に巻き込み!
そして無関係な人々の命を奪っておきながら!
自分だけ幸せになれると思っているのか!!っと
ブリッジに入ってラピスに話しかける。
「ラピス、俺の復讐は終わった。もう俺に付き合う必要はないんだぞ?」
「何でそんな事を言うの?わたしは、自分の意思でアキトの側にいるんだよ。今も、これからも」
「そうか・・・」
俺に残された時間は、あと半年。だから俺は・・・
「アキト、ジャンプの準備はできてるよ」
「ジャンプフィールド展開 ジャンプ先 ネルガル月ドック」
血に塗られた俺にユリカとルリちゃんそれにラピスを幸せにする資格はない。
でも、三人の幸せを願うことぐらいは許されるはずだ。
どうか俺の死の上に俺の友に家族そして愛するヒトたちが笑って暮らせる世界があることを
「ジャンプ」
あとがきっぽいもの
はじめまして。玖堂 沖と申します。
HTMLは大丈夫でしたでしょうか?なにせ完璧な初心者なのでちゃんとなっているか不安で。
初めてSSと言うものに挑戦してみましたが元々、文章を書くのがあまり得意じゃなかったのでメチャメチャ苦労しました。
まさに作家の皆様の偉大さが、身に沁みてよく分かりました。
大変、作者の勉強にもなるので気が向いたら批判、批評または感想など貰えたら死ぬほどうれしいです。
最後になりましたが、この駄文に最後までお付き合い頂きまことにありがとうございました。m(__
__)m
代理人の感想
こんばんは。
よくまとまっている掌編であると思います。
ただ、オチの前の盛り上げが少し足りないのと、後純粋に文章がこなれてませんね。
もう何回か読み返して修正を繰り返せば=推敲すればもっと完成度は高くなったと思いますね。
では、次回作に期待しています。
できれば短編をw