機動戦艦ナデシコ

 

〜ILLEGAL REQUEST〜

 

 

 

 

 

第9話     奇跡の作戦「キスか?」って俺かよ!?

 

 

 

夢を・・・・・・・
夢を見ていた。

 

懐かしい記憶。
悲しい想い出。
楽しかった出来事。

 

そんな曖昧な情報の集合体を。

 

夢は俺に問う。

 

幸せとは何か?
平和とは何か?

 

俺は答える。

 

人によりその基準は変わってしまう。俺は・・・・・・・大切な人と笑い合える時があることだと思う。
曖昧な言葉だよな、実際?けど、自分も、他人も、こういうのが良い、って言う事なんじゃないか?

 

俺の言葉を受け、夢は更に言葉を連ねる。

 

なら汝もそれを為せば良い。考えは少々甘いと言わざるを得ないが・・・・・・
それを助けるために我は汝の傍らにいるのだから・・・。
誰よりも、どんな存在よりも、強き意思を示し・・・・・・。
立ち塞がるどのような困難も跳ね除ける、剣となる。

 

汝こそ我が認めた我の主。
汝は我にゼラニウムの名を与えた。
汝等の言葉で決意を意味するその言葉を。
エルィァーシェルもカスミと呼ばれる人間に力を貸した。
汝は我にどのような物語を見せてくれるのか?
願わくは、今までの主達のようにならない事を・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

ゆっくりと目を天井に向けた。すると、お世辞にも生活感があるとはいえない無機的な天井が目に入る。

 

(建造から約1年。俺がこの部屋で暮らして約2ヶ月。そんな物を望む方が酷か)

 

目を一瞬だけ細めると、先ほど見た夢をもう一度反芻する。
夢にありがちな見た後にゆっくりと思い出せなくなるという事はなかった。
耳を澄ますとまた聞こえそうな気すらしてくる。

 

「夢オチ・・・・・・笑えない冗談だ」

 

ゆっくりと掛け布団を跳ね上げる。
その足でシャワールームに向かう。
ナデシコ健康ランドに行く気力はなかったので、備え付けのシャワーを浴びた訳だ。
降り注ぐお湯が疲労感を拭ってくれるが深層意識に刷り込まれたあの対話は未だ頭の中で、
胸の内で確かな衝動となって燻っていた。

 

ザーーーーーーーーーー

 

湯の流れる音が耳に心地よかった。
醒めていく心と反対に身体は先程以上に昂ぶっていた。
まるで精神と身体が無関係になってしまったみたいに。
それを意識すると益々不甲斐無い自分に腹が立った。

 

きゅっ・・・・・ひたひたひた・・・・・

 

お湯を止め、髪についた水滴を頭を振って弾きながら部屋に戻る。

 

「さて、久しぶりの再会だ。スーツでも着ていくかな?」

 

とりあえず気分を切り替えて、数ヶ月離れていたカスミ達に会いに行く用意をする。
独りが長い人間っていうのは独り言が増えるって言うけど本当の事かもしれないな?

 

「ん?」

 

寝巻き代わりのシャツのボタンに手を掛けた時に、自らの手に違和感を感じて思わず声を上げた。

 

「なんだコリャ?」

 

右手甲のIFSのパターン(紋様)が変化していた。それも、俺の知らない間に。
ご存知の通りパターンはその用途によって異なるもんだ。
パイロット用とオペレート用の表現形状が違うのが良く分かる例だろう。
そして今の俺のそれはその二つのどれとも全く違った形状をしていたのだ。
そう、牙や爪のような、そんなものを連想させる物だ。
見ようによっては架空の存在である龍って奴にも見えたかもしれない。

 

(改造されたわけじゃないよな?)

 

一瞬だけ不吉な想像をしたが、流石に黙ってそんな事をされて気付かない俺ではない
・・・・と思いたい。
もしかしたら、イネスがこの間の事を根に持って実験台に使ったのかもしれない。
アイツはある意味不可解だ。かなり真剣に気配を探らないと気付かないのだ。迷惑この上ない事に。

 

「餅は餅屋に任せるか・・・・」

 

あっさりと匙を投げる。そうだとしてら実験結果を見に接触してくるはずだ。
一応、ナデシコを一時的に降りる旨を伝えるためにプロスさんにコミュニケを繋ぐ。

 

「あ、これから下船します。後よろしくお願いしますね?」

 

「・・・・・はっ!ちょ、ちょっとクサナギさん!?」

 

返事を待たずにっこりと笑いながら、あっさりと切る。
こうしておけば事後承諾に持っていけると踏んだからだ。
減俸食らっている人間が会計監査を敵に回すとは良い度胸してると我ながら思うが
先日副長の名誉の犠牲のおかげでまだ懐は焼き芋を焼けるぐらいには温かい。
流石に名前の知らない人間の金は盗めても使う事は出来ないと言う矛盾に満ちた
俺自身の主義に乗っ取り調べたところ、副長の名前はアオイ・ジュンと言うらしい事が判明した。
その方法とは適当なクルーに、副長ってなんて名前だっけ?と聞いたものだ。
結果はことごとく敗戦、惨敗、壊滅、殲滅とランクを上げて(下げて?)いき、とうとう・・・・

 

「この艦ってそんな人いたんですか!?」

 

という何ともまあ燦燦たる結果が出たのだった。
この俺の行動がウリバタケメカニックチーフにバレて、
ナデシコの陰の薄い人間トップ10という悲しいランキングが成立するのは余談ではあるが
余りにあんまりなものであるのだろうか?

 

 

 

ナデシコを降りた俺は風を感じていた。
正確な日付など調べてもいなかったがその風は紛れもなく秋特有のものだ。

 

「風だ・・・・・」

 

艦内生活が長かった所為かこういう生の自然とのふれあいは俺にはどうしようもなく貴重な物に思えた。
確かに展望室など擬似的にだがストレス緩和などの行える施設は揃っていても、
流石にこんなところまで再現するのは不可能だ。
仮に出来たとしても多大な資金が必要となるはずだ。
あの会長が其処までそっち方面に力を入れるとは正直これっぽっちも思っちゃいない。
福利厚生に気を使ってる側面には一般人をクルーにすると言う背景もあるのだろうが、それはそれだ。
ナデシコ艦自体、超ナデシコ級戦艦開発のための布石。実験艦にすぎない訳だしな。
例えクルーがどれほどその艦に愛着を持とうがそれは変わらない。

 

「うしっ!行くか!」

 

気合を入れるとボソンジャンプを開始した。

 

 

 

 

「きゃあーーーーーーーーーーーっっっ!!!!!!!!!!!」

 

「うわ!すまん!わざとじゃないんだ!ここは寛大な心で許せ!」

 

カスミを意識しすぎていたのか、ジャンプ先はカスミの私室だった。しかも着替え中。
高速で廊下に出ると後ろ手にドアを閉める。
何故か知らないがこんなところだけ電気は入っていない。無論鍵は付いている。
だが、俺が本気になればチェーンロックだろうが何だろうが3秒で開けられるけどな。

 

「トウヤ?何時帰ってきたの?」

 

着替え終わったらしいカスミが猛然と抱き付いてくる。
嬉しいやら苦しいやら気持ち良いやら・・・・。男として少々困った事態である事は確かだ。

 

「3日ぐらい前だ。元気だった?」

 

「ええ。ちょっとハプニングが在ったんだけどね?」

 

そう言うとにっこりと笑う。
なんか・・・・・雰囲気が丸くなったって言うか、柔らかくなったって言うか・・・・
そりゃ、前も綺麗だったけど、今はそれ以上になんか、こう・・・・。まあ良い。

 

「何か、変わった事は?」

 

「沢山あったわ。嬉しい事も、困った事も、大変な事もね?」

 

想像以上に大変だったらしい。
カスミの顔は拭いきれない疲労と、言葉を代弁するような充実感って奴が滲み出てる様だ。
その想い出達を体感できなくて少し残念な気もしたが、
カスミの晴れやかな顔を見れて嬉しい事には違いなかった。

 

「それと・・・・・・・・言っておかなければいけない事が、一つあるの」

 

見るからに強張った顔でそうカスミは俺に告げた。先程の顔が顔だけに、内心かなり焦る。

 

「大丈夫。よっぽどの事じゃなければ何とかしてみせる。」

 

何が大丈夫か自分でも判っていなかった。
まあ、なんとかなるだろう位の気持ちだった事は確かだったんだけど。
そして、静かな廊下にただひと言が響く。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・できちゃったの」

 

それだけ言うとカスミは顔を真っ赤にして、俯いてしまった。
俺は・・・・・・聞き違えたんじゃないかと思って首を傾げていた。

 

「・・・・・・はい?」

 

実に間抜けな呼びかけだった。何を隠そう俺自身がそう思った。

 

(こんなに間の抜けた声だったっけか、俺って?って何でや!?)

 

心の声に突っ込んだ。虚しいだけだったけど。

 

「だから、出来ちゃったの・・・・・・・・・・赤ちゃん」

 

其処まで言われて漸く気付いた。デリカシーのない自分に少しだけ絶望してから言葉を紡ぐ。

 

「へぇ〜〜〜〜。おめでとう。」

 

「ありがとう!・・・・って、それだけ?」

 

顔に本当に嬉しそうな笑顔を浮かべると、直ぐに不可解な表情になる。
困惑3、悲しさ2、苛立ち2その他が3って割合の、そんな奇妙な表情だ。
俺は他に掛ける言葉がなかった。なにぶんこう言う経験は初めてだった。
体感時間だけは恐ろしくあったので俺の行動パターンはどっちかって言うとそんなに多くはない。
いや、長い分だけ少なくならざるを得なかったって言うのが正確だったろうか?

 

「他に言うべき事があったか?」

 

「私が、子供出来たって言って、他に何にもないの?」

 

「まあ、悔しい事は確かだけど、でもお前が選んだ奴なんだろ?ならしょうがないじゃないか。
 お前の言葉だったよな?どんなに絶対的な力があっても、心までは変えられはしない、ってのは。
 俺もそうだと思ってる。だから、おめでとう、だよ。」

 

言葉にするまで俺自身悔しいとは感じなかった。いや、気付きたくなかったんだと思う。
喋り始めた拍子に滑り落ちた感じで出てきたその言葉は瞬く間に俺を支配した。

 

(俺は悔しいって思うほどこいつの事が好きだったんだ)

 

ひょんな事で気付いたその気持ち。だがタイミング的には最悪だ。
こいつは俺が何か言って素直に聞く奴じゃない。
自分で考えて、他人の言葉は参考にしているって奴だ。
誰かに強制されたモノを受け入れちまったら、そいつはツキシマ・カスミではなくなってしまう。
厭くまで俺のカスミ像だけど。

 

(なにも、こんな時に気付かなくたって良いのにな。)

 

そんな風に自嘲していると、カスミがずいっと俺の前に踏み出した。

 

「・・・・ねえ、何か勘違いしてない?」

 

「いや、だからさ。カスミが・・・・・その、妊娠したってことだろ?」

 

「うん。だから、それで他に言う事はないの?」

 

「他には・・・・・・ない、と思う、けど・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・・逃げるつもり?」

 

「逃げるって何がだ!?他になんて言えば良いってんだ。
 相手の男ぶん殴ってでもお前のこと攫って行くとでも言えばいいんか!?」

 

カスミはきょとんとした表情をして軽く小首を傾げた。

 

「相手の男って・・・・・・自分を殴るつもり?」

 

「はい?」

 

「だって・・・・・・・あなたと、私の、子供だよ?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・はい?」

 

この時点でやっと、現実というか、まあそんな物に辿り着く。

 

「・・・・俺の子供?」

 

「そうよ。もしかして、私があなた以外の人に心を奪われるなんて、
 この世の中で一番有得ない事を考えたわけじゃないでしょーね?」

 

カスミは思いっきり憮然としていた。そして・・・・その時、俺は思考が止まっていた。
俺の子供。俺の子供。俺の子供・・・・・。
パパ。父上。パピー。ダディー。ダデーでないのであしからず。父様。お父さん。親父。・・・・・

 

「って俺の子供?」

 

「だからそうだって言ってるでしょ!?」

 

カスミは怒鳴り声で返してくれた。なまじ高い声だけに耳が痛かった。

 

「だって俺が地球離れてもう、えーっと・・・・・、9ヶ月半だろ!?
 お前どう見ても出産間近にゃ見えんだろうが!?」

 

カスミのプロポーションは少なくとも崩れた様には見えなかった。ウエストなどは折れそうに細い。

 

「うん。だってもう産んじゃったもの」

 

更なる激震が俺を襲った。こいつは何時も俺の想像の斜め上を行った。今度もその様だった。

 

「・・・・・・・・」

 

パクパクと夏場の酸素不足で喘ぐような金魚の様に口を開閉させている俺に、
カスミは悪戯が成功した後のような小悪魔のような表情をしていた。

 

「正確には、トウヤが火星にいた頃に私はもう3ヶ月だったの。
 あの頃は精神的に不安定だったり、作業中に吐き気がしたり大変だったのよ?」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「結局、お医者さんには行かずに、集めた医療系の人に診てもらったんだけど無事出産できました」

 

「・・・・・・・・・・・」

 

「まあ、忙しかった所為で、‘S・D’しか出来てないわ。
 相転移エンジンの出力調整が微妙でホタルが呆れていたけど」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「後は‘D・R’が8割って所。・・・・・・・・聞いてるの?」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「しっかりしてよね。旦那様?」

 

「っ!カスミ!俺の子供なんだな!?」

 

「何を今更・・・・・・。そうよ。全部終わったら、幸せになりましょう?」

 

「で、俺の子は?」

 

「送っちゃったわ。」

 

「・・・・・・・送った?」

 

「ええ。ゼラニウムに座標固定させて、1年後に」

 

「何だってそんな事・・・・・」

 

「だって、ちゃんとお父さんしてくれなきゃ困るもの。
 それに今私達は忙しい事だし・・・・。
 離れるのは辛いけど、構ってもらえない子供の方が辛いと思ったから・・・・・・
 1年後には多分戦争も終わって、穏やかに暮らす事も出来るしね?」

 

「カスミ・・・・・ありがとう」

 

俺はカスミを軽く抱きしめるとゆっくりと唇を重ねた。

 

「でも、おまえ少し可愛くなりすぎじゃないか?」

 

「うるさいわね!」

 

俺の腕の中で抗議するカスミに、やっぱりこっちの方がらしいよな、なんて考えてる俺だった。

 

 

 

 

「じゃ、挨拶に行こうか?」

 

「えっ?挨拶って・・・・・トウヤのお父さん?」

 

「他に誰がいるよ?」

 

「えっ、だって、私、美容院にも行ってないし、買い物にも行ってないし、絶対ダメ!」

 

「いいよ。そのまんまで。充分綺麗だ」

 

「あ、ありがとう」

 

赤くなるカスミを見て、相変らず可愛い奴、
と思うがこれを口に出したら照れ隠しに何をされるか分かったもんじゃないので止めておく。

 

「ほれ、行くぞ」

 

「やっぱりダメ〜。心の準備が〜〜〜〜〜〜」

 

「さあ行こうか、花嫁さん?」

 

「いや〜〜〜〜〜」

 

結局ずるずると引き攣りながら研究所を出たのだった。

 

 

 

「よう、ロリコン親父。」

 

「10年以上も何処をうろついていたんだ、この放蕩息子」

 

険悪そのものの口調だがそれはコミュニケーションって奴だ。

 

「久しぶりですな、カスミさんも」

 

「ええ。お久しぶりです。ミツキおじ様。リナさんはお元気ですか?」

 

リナって言うのは俺とは10歳離れた妹の事だ。
親父の後妻の子なのだが俺と同じく親父に似た所為か同じ顔にしか見えなかった事を覚えている。
今は、19歳か。

 

「元気そのものですよ。トウヤ、すまんな」

 

「なんで謝る?謝られる理由はないんだが」

 

「リナの事でちょっとな・・・・」

 

「リナの?アイツがどうかしたのか?」

 

「直に分かる。3、2、1、・・・」

 

何故かカウントダウンを始める、10歳も年下の女性に手を出した犯罪者兼マイ親父。
切っ掛けを作ったのは俺だったんだけどさ。

 

バッターン!

 

恐ろしい勢いで白い影がドアから飛び出してくる。
その方向の直線上には案の定俺がいたわけで、ぶつかって床に転がった。
痛い。痛すぎだ。内臓が抉られるような良いタックルだった。

 

「兄様!」

 

「・・・・・・リナ、おにーちゃんはもうダメだ。おまえは強く生きろ・・・」

 

「兄様!死なないで下さい!」

 

「トウヤも演技してないで、リナちゃんも揺さぶらないの」

 

「へいへい・・・」

 

「兄様・・・・・大丈夫ですか?」

 

「大丈夫。気にするほどじゃないさ」

 

「良かった」

 

ほんわか微笑むリナ。あれから10年たって、益々俺そっくりだった。
身長さえ気にしなければ入れ替わってもばれないだろう。

 

昔からこいつは俺にくっ付いてきていた。

 

「兄様のお嫁さんになるのが私の夢です!」

 

と屈託なく笑っていたのを今でも良く覚えている。カスミの視線が痛かったのは確かだったが、

 

「リナが大きくなって、美人になったらな」

 

と言ってしまったのは記憶に新しい。

 

「私・・・・・・・寂しかったんですよ。」

 

「すまんな」

 

まだ俺の胸に顔を埋めているリナ。カスミに顔を向けるとその表情は、了承、と言っていた。

 

「でも、迎えに来てくれたんですよね?」

 

「ほえ?」

 

「お嫁さんにしてくれに迎えに来てくれたんですよね?」

 

「え、いや、その・・・・・・」

 

「お父様が戸籍の方を何とかしてくれたので法律的にも世間的にももう問題はないですし・・・・」

 

「親父!?」

 

電光石火で首を向けると、カスミが既に襟首を引っ掴んで捕獲していた。

 

「どういうことですか?」

 

夜叉の顔とはこれの事を言うのだろう。笑顔なのに、怖い。

 

「いや・・・・馬鹿息子が失踪してから、リナは随分落ち込んでな?慰めるために、その・・・・」

 

「俺を売ったわけだな?」

 

「だから謝っただろう?」

 

「足りんわ、このアホ親父!」

 

「兄様はリナのこと、嫌いですか?」

 

「嫌いって訳じゃ・・・・・・」

 

カスミの視線の圧力が増している。でも言えないだろ?

 

「残念ながら、俺は、カスミと婚約してるんです」

 

その言葉を吐いた瞬間、カスミは喜び、リナは絶望の表情を作っていた。

 

「そうか。大切にしてやれよ?」

 

誰に言ってんだよ、親父?

 

「まあ、リナにはまだチャンスはあるしな・・・・」

 

ボソッと親父が言ったそのセリフは誰の耳に入る事はなかった。

 

 

 

「これから、ナデシコに戻る」

 

「頑張って。クリムゾンの方は重役の入れ替えとかそう言うのはしておいたから。後は・・・・」

 

「ロバート・クリムゾン。おまえの実の父親、か・・・・・・。一筋縄じゃいきそうにないな」

 

「たぶん、向こうは私の存在に気付いてる。それでも、私を放っておいてるのよ」

 

「血、か・・・・・・」

 

風はまだまだ変わりそうだった。

 

 

 

 

 

 

〜あとがき〜

 

お久しぶりです。いや〜、随分間があきましたね〜?オリキャラが出てくる今回。
その内に人物設定とか考えてます。分不相応にも。

 

では、第9話本編でまたお会いしましょう。

 

それでは〜。

 

                           11/26    久遠の月

 

 

 

 

管理人の感想

 

 

 

久遠の月さんからの投稿第十話です!!

やっぱりだったよ(笑)

でも、妹がいたんですね、トウヤさん。

この親父も良い性格してるし(ニヤリ)

問題なのは10歳年下の女房だな・・・

一体どんな女性なんだろう?

それに、最後のクリムゾンの爺さんが父親って(汗)

 

それでは、久遠の月さん投稿有難うございました!!

 

さて、感想のメールを出す時には、この 久遠の月さん の名前をクリックして下さいね!!

後、もしメールが事情により出せ無い方は、掲示板にでも感想をお願いします!!

出来れば、この 掲示板 に感想を書き込んで下さいね!! 

 

 

ナデシコのページに戻る