序章
重い空気の占めた部屋
「ドクター、彼の調子はどうだい?」
軽い調子、でも何かに耐えるように男が質問する。
「確認出来ただけでも数十種類のナノマシーン(Nm)が致死量を超えて検出されたわ。それらが互いに干渉して、進化、適応化し種類を区別することも困難な状態ね。それらの群体が脳、神経、内臓に圧迫を掛けていて、生命活動及び五感に支障を来しているようね。」
「つまりどうなっている?」
照明等意味が無い位の深く暗い空気が占める部屋
「……生きているのが不思議なくらい…だから助けることが出来たのかな」
そこに居るのは、一組の男女
「彼女の方は?」
「深い昏睡状態。命に別状は無いから大丈夫よ。それより、お兄ちゃんを如何しようとするの?彼等と同じように実験台として使う気?」
女は、幽かな嫌悪と憎悪を瞳に宿らせて男に詰問する
「さあね・・全ては、彼等が目覚めてからさ」
男は軽く受け流し、女は、何かに耐えるようにうなずく、しかし何時もとは様子が違う事に不穏な物を嗅ぎ取る
「!?ドクター、何か他に言いたい事が有るように見えるが」
男は、何時もと様子の異なる女の態度に不安を抱いて問いを投げかける。唯の思い過ごしであって欲しいと願いながら
「ドクター!」
僅かな願いが無になってしまうことを恐れながら男は、軽い調子を崩して女に再度促す。女は、外に広がる闇と同じ暗き沈黙から呟く。
「………検出されたNmの中に“テロメア”が有ったわ。」
「っ!!!」
男にとっては、あの時と同じ、それ以上の衝撃を伴うものであったらしい。
「そうか、つくづくあいつに対する罪が増えていくな………アキト君、僕は君に何を以って償えばいいのだろうな」
あの時、悪夢を防ぐ力を持ちながら、戦友を……その立場を気にせず付き合える友等を救う事が出来ず、更なる災厄を齎してしまった男の顔には、押し殺しきれない後悔の念が浮かんでいた。
『テロメア』それは…………細胞の分裂回数を定めるもの。そして…人類の業と不遜さを示す名
<クライ………………………
イタイ…………イツモオナジ、イタイ、クルシイ
………メカラミズガデテモ、カワラナイ…
ワタシハ『先天型電子戦特化類6種Nm混在体:F067ILAIsLoAk』
シロイノガ、イッテイタ。……
…『モルモット』コレモ、ワタシノコト………………………
カワリガ、イルカラ、ワタシハ『モルモット』ノヒトツ
ワタシハ…イナイ……………
「・・・・・・」
少女は、様様な機械類の置いてある、病的までに白い部屋のベッドの上で、
人では有り得ない色の目をあけた。
「ドクター、少女の意識が戻りました。」
<コエガスル。アソコトチガウケドオナジ、コエ
ドクター?シロイノガイル。ココモクライトコ?
虚ろな意識の中で少女は、幽かな違和感の中で考えた。
<キンイロデイロイノガタクサン、テストシタ
ワカラナイコトダラケ、マタイタイコトニナル!
デモ、ゴウカクシナイノニ、イナクナッタ
イツモ、アルノニ……………
少女は抱いた、幽かな違和感を。そしてまた、暗き意識の海へと落ちていった。
<キコエル………………………
「ドクター、彼女が目覚めたんだって」
「ええ、アカツキ君。」
アカツキと呼ばれし男は、幾分疲れたような声で、モニターに向かい答えた。
「で、その様子だと、収穫無しみたいだね」
「そちらも、にたようなものみたいね」
「ああ、依然としてお姫様の居場所が掴めないよ。彼等も頑張ってはいるんだけどね。・・・報酬に有給と一週間のリゾートを付けてみようかな」
流れる沈黙。アカツキは軽い冗談を言ってみたが、画面の女の表情は、“テロメア”の時と同じだった。
「ふう。アキト君の命は、後どれ位もつんだい?」
明日の天気のように軽く尋ねる。こうでもしていないと彼の精神も保てないのかもしれない。
「安静状態で後17、8年ってとこかしら。普通の生活を送るなら13、4年ってところね。」
「彼が、もし、復讐を考えていたら?」
確信があるような口ぶり
「良くて7年悪ければ4年ね」
「そんなもんか。」
女も予想していた質問なのか即答である
ピィー、ピィー、ピィー
女のいる部屋に電子音が鳴り響く
「ちょっとごめんね。」
……ピッ…
「何か起きたの?」
中年の女性が慌てた様子で報告してきた。
「ドクター。S-01がA-00の部屋に居ます。」
「?!」
ウィンドウを開いて彼の部屋を確認する
「…確認したわ。A-00の生命に危険が無い限り、手出しは無用よ。モニターのチェックも忘れないで。」
「了解です。」
「と言うわけで、アカツキ君またね。」
「ああ……あんな小さい子まで惹きつけるなんて、大関スケコマシの名は、彼にこそ相応しいよ。……`もし`の時は試作艦を用意してい
るからと伝えといてくれ。後はエリナ君に任してある。」
「ええ」
「……………」
通信は切れ、彼は次の事を思惑し始めた。自らの責任とプライドのために
「王子様もお目覚めが近いか。……彼等と彼にもう一働きしてもらうか。ア〜ア、これでしばらくは休み無しだな。…フム、僕だけじゃ、不公平だから、彼女にも付き合ってもらいますか」
<それにしてもドクターが彼をコードで呼ぶとはね、相当に堪えているんだな
それじゃ、僕も働かないとね
顔に、笑みを浮かべながら、自らの戦場へと赴く男
「状況は?」
女は、部屋に入ると同時に回りの研究員等に報告を求めた。
「S-01がA-00に接触。両者とも身体値に変化ありません。」
「ドクターイネス。この後は?」
「………………………」
イネスと呼ばれた女はしばらく考え込んで
「現状の維持。S-01が如何してこの部屋に入れたか、報告を」
「S-01は電子ロックを特殊マシンチャイルド(Mc)としての能力により解除、その後迷わずにA-00の部屋に向かい、同方法により進入、現在に至っています」
<S-01とアキト君との部屋は300m近く離れているわ。
その間は幾つかの路地と部屋もある。
明確な意思及び、ナビ無しには有り得ない事よ。
だとすると、どんな考えがあるというよ
「?!A-00脳波に変化。覚醒レベルに到達」
「S-01とのNmによる直接意思伝達が行われたものだと推測されます」
研究員の報告に思考の海から引き上げられるイネス
「!?もしも時に備えて医療班と警備班の待機と治療室の準備。私は直接向かいます。彼の意識が混濁している可能性が有るので、他の人間は病室に入れないで、以上。」
言い終わるのが早いか、イネスは飛び出していた。
あの時から一年、そして眠り続けて、ひと月半どんな理性よりもオニーチャンの傍に行きたいと思うのは、当然であろう。
これ狂気の始まりになると、永延と休憩無しに八時間強は説明できる確信があったとしても。
ゆっくりと目を開ける青年。
だが、その瞳には光などはなくその耳は閉ざされたままなのに、少女は、知っていた。
その瞳と耳は自分を感じていると。
だから、尋ねた。
「アナタ、ダレ」と
少女自身でも何故ココに来たのか判らないのだろう。
ドアを開け、部屋に入り、眠りに囚われている男の額に手を当てる事をしているのか。
後にイネスにより理由を問いただされたときに、ヨバレタカラ、と答えた。
ラピスヲ、ヨンダカラと
ココから始まる。少女には、青年の養女であり戦友でもあった少女のあった英名『ラピスラズリ』と名が付き、青年はプリンス オブ ダークネスとよばれる。
黒き王子様は、幼き妖精と魔女の助けにより大地を踏みしめ、道化と侍に教えを乞いて牙を持ち、古き戦友と友より剣と鎧を貰いて戦場へ立つ。
取り戻したい者と奪いたい者がある戦場へと。
「皆…老けたね。」
妖精により助けられた姫君の声と共に、目的は成し遂げられた。
序章 終
補足:『先天型電子戦特化類6種Nm混在体:F067ILAIsLoAk』
: Mcは大まかに先天型と後天型に分けられる。
前者は、ホシノルリ、マキビハリであり、後者は本編及び劇中には登場しない
電子戦特化類の他に筋力や骨格を改良(執刀者弁)した格闘戦特化類や、高度IFSと高加速に対応した骨格をもつ機動戦類や、偶然による特異質的な能力を持つ特異類等がある。もっぱら、ホシノルリの活躍により電子戦特化類や、より精度の高い道具として、人間ではなく機械とした電子戦兼電子戦略戦類等の研究が、人気が高い。
6種Nm混在体とは6種類のNmを混在(独立させずに、各々を干渉させあって)させていることを示す。
反対に、Nmを干渉させず別々に動かしているのを独立体を呼称する。
ちなみに、全体として混在型のほうが、独立型よりも性能は下がるが、未知のNmを試すのに適している。
成功率(非死亡率)1対12.57である。
F067ILAIsLoAkはFが女性体、06は投与されたNmの種類、7が試験体の数(男女10体使用してデータを取る)、後のイニシャルはNmの名で投与順に加えられる。
つまり、ラピスラズリは受精卵の段階で電子戦用に特化された6種類のNmに受け入れるように遺伝子を改善(某学者弁)された7体目の女性体であり、I,L,A,Is,Lo,Akの順にNmを投与されていたと言うことである。
ホシノルリは先天型独立体であることは確認されているが、法の施行による作成した研究所の閉鎖と共に全データを廃棄させられている為にその保有者たる、ネルガル以外に詳細なデータは残っていない。
マキビハリは先天型電子戦特化類6種Nm混在体であるが、保護者たるマキビ所長により4種のNmでその実験を廃止している
Nmと明記すると言うのは、HIV等の伝染性病原体を使用しても遺伝子を弄くれるからである。
これは西暦2000年時には治療行為として行われているのを確認できる。
後書きの様なもの
???>これはなんだ。(−−〆)
作者>どうも始めまして、作者のくらげでせぅ。
???>無視するとはいい度胸だな。貴様が好きな作者の後書きと同じ様な目にあいたい様だな。(-_-メ)
くらげ>行き成りグウはないだろグウは。
???>そうか…(-.-)
くらげ>スイマセン。もう生意気なことは言いませんから、そのモニターを下ろしてください。
???>でこれは何だ。(-.-)
くらげ>ええと。ラピスXアキトを書きたいな〜とおもってかいているんですけど。。。
???>だけど作文の才能ゼロのくせにカッコいいのを書こうとしている所為で、構成滅茶苦茶の、設定無茶苦茶な物になったと。(-.-)
くらげ>はい。…鋼の城さんの貴重な時間を割いてしまうことになると思ったのですが、物は、試しと思って……
???>で投稿したという訳か。(-_-;)
くらげ>たぶんに、電波いや、Ben波を受け易い者なので、かなり壊れたものになると思ですけど。。
???>でこれから如何するつもりだ(・・?
くらげ>えーと。所謂、逆行、主人公最強主義を貫くつもりで、新キャラを出して、その他大勢を無差別に殺したりするつもりです。勿論、ダーク系(その方がカッコいいから)で、ハッピイエンドに持っていきたいです。
???>私はいつごろ出る予定なんだ(・・?
くらげ>さあ??
ゴッス……ズル…ズル…………………………ズ…………………ル…………………………………ズ……………………………グシャッ…………………………………………………
???>作者は事故により退場しました。こんな文を最後まで読んでくださり本当に有り難う御座います。
もし、感想、誤字脱字などがありましたら、メールを送ってやってください。
大変喜びます。それは保障します。
名前のとおり、骨のないやつなんですけれど、見捨てないでやってください。
それでは次回(有るのか?それよりこんなのが載るのか??)………………………(ーー;)(汗)
機会があれば又御会い致しましょう。<(_ _)>
???その2>…………………デバンガナイ(;_:)
代理人の感想
うわ、展開早っ(爆)。
ま、それはこっちにおいといて。
アキト×ラピス……劇場版終了後数年後あたりから始まるんでしょうか?
だって。
そうでないと。
アキト君ってば。
言い訳の余地もなく性犯罪者ですからねぇ。(爆)
は!
まさか「道を誤ったものたち」ってそ〜ゆ〜意味っ!?(核爆)