「アキトー、アキト!」
アキトの部屋をノックするユリカ。
「ホント、アキトったら私が艦長なんで、遠慮して会いにきてくれないんです」
いきなり、後ろを向いて説明を始めるが、いったい誰に向かって話してるんだろう?
ちなみに、先程のルリちゃんのことは、ユリカの記憶からは完全に抹消されている。
あまりにも認めたくない現実に、脳が拒否反応を示したのだろう。
「はーい、ちょっと待ってくださーい」
アキトがシャワールームから出てくると、パンツを履こうとする。
「そっかー、私、艦長だから合い鍵、持ってるんだっけ♪」
いきなりドアが開くと、ユリカとアキトの目が合う。
ここまでは前回の歴史と同じだが、今回は続きがあった。
「アキトさん、私の下着は、どこに置いてありましたっけ?」
そう言いながら、バスタオルを身体に巻きつけただけのルリが、シャワールームから出てきた。
ピキッ
硬直するユリカ。
「か、艦長・・・・・」
「ユリカ、お前な、勝手に開けるなよ」
さすがに動揺するルリとは対照的に、アキトはけっこう冷静だった。
「ま、まあ、アキトだって男の子だもん。今回の浮気は許してあげます」
あの後、何とか現実を認識したユリカが、部屋に上がりこんでお茶をすすっている。
「浮気って・・・・・なんで、そうなるユリカ・・・・」
「アキトさんと艦長は恋人ではない。したがって、アキトさんが私と恋人同士になっても、浮気には当たりません」
「うれしい!今でも、私のことユリカって呼んでくれて(はぁと)」
ルリの発言をさりげなく無視して、ユリカが微笑む。
「あのな・・・・・」
「・・・・・・・・」(怒)
「火星じゃ、いつも私のこと、ユリカユリカって追いかけて・・・・・」
「逆だ、逆!」
「仮に本当だとしても、所詮昔の話です。私は、天河さんの過去の女性関係は気にしません」
「そうだっけ?」
過去を強調するルリの発言を、またも無視するユリカ。
「まあいいわ、良かったアキトに会えて。私、何度も連絡とろうとしたの。
そしたらお父様が、天河の家は、火星で全員亡くなったって。
でもアキト、無事だった。・・・・・・・地球には、いつ来たの?」
「ああ、ちょうど一年前ぐらい前になるかな・・・・」
「その時に連絡をとらなかったということは、アキトさんにとって艦長は、それほど大事な人ではなかった
んですね」
「ルリちゃん・・・・さっきから、私に喧嘩売ってる・・・・・・・・?」(怒)
「別に・・・・・・・」(ぷいっ)
「二人共、喧嘩なんかしないで。ルリちゃん・・・・・僕は、みんなと仲良くしてるルリちゃんが好きだな」
「アキトさんがそう言うなら・・・・・・ごめんなさい、艦長
(ばーさんは用済みです。アキトさんの事は私に任せて、アオイさんと幸せになってださい)」
「ううん、ルリちゃん。私も大人げなかったよ
(アキトが、そんな貧乳にいつまでも満足できる筈ない。すぐに私のところに帰って来るわ)」
堅い握手を交わす二人。
だか、目からは火花が散っているのが、アキトには見えた。
「うんうん、仲直りできて良かった。ははは・・・・・・(汗)」
アキトのセリフが、部屋の中に虚しく響いた・・・・・・
「艦長、ブリッジにまで来てください」
突然、ユリカのコミュニケに、メグミから通信が入る。
「え?」
「重大発表があるそうです。その間、アキトさんのことは、私に任せてください。ちゃーんと介抱しますから」
「ちょっと、メグちゃん。そういうことなら、私も参加させてもらうわ」
メグミに続いて、ミナトからのコミュニケも空中に開くと、アキト争奪戦に参加してきた。
どうやら女性陣は、先程のルリとアキトの事は、気にしていないようだ。
この辺は、さすがはナデシコのクルーに選ばれるだけのことはある。
「勝手なこと言わないでくださーい!アキトの介抱は私がするんです。プンプン!」
「こら、ユリカ、勝手に決めるなよ!
(さすがに今日は、ルリちゃんで満腹だからな。ユリカを食べるのは、明日以降にしないと)」
本日のアキトは、打ち止めだった。
「もう〜、私、艦長さんなんだよ!一番偉いんだよ!だから、私が介抱するんだもん!だって、私、艦長だもん!」
「ユリカ・・・・・・・おまえ、実は、だよもん星人だろ」
「違うもん!永遠の世界なんて、知らないもん!」
何故それを知ってる、ユリカ?
「ユ、ユリカ・・・・・・・(涙)」
「ねえミナトさん、アオイさんどうして泣いてるんですか?」
「メグちゃん、そっとしておいてあげなよ」
「困りましたな〜、この発表は、全員に聞いて頂かないと」
「ちょっとあんた達!少しは真面目に仕事しなさいよ!これだから民間人は・・・・・!」
「ムネ茸提督の言う通りだ。艦長、至急ブリッジに戻ってくれ」
「ちょっとあんた!今、変な変換したでしょ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんのことです、提督?」
「その間は何よ!その間は!」
ゴートの発言に鋭いツッコミを入れる、あんがい勘のいいキノコ頭。
「まあまあ、落ち着いてください提督。
そういう訳で、艦長とルリさん、それに王子様はすぐにブリッジに来てくれますかな」
「あんたもあんたよ!いったい何よ、その王子様って!?」
「うう・・・ユリカぁ・・・・・・・(涙)」
「そこで、泣いてるあんたも!さっきから、それ以外にセリフ無いの!?」
キノコ頭が、周囲に理不尽な八つ当たりをする。
結局、全員が集合したのは、それから30分以上後のことだった。
「今まで、ナデシコの目的地を明らかにしなかったのは、妨害者の目を、欺く必要があったためです。
ネルガルが、わざわざ独自に、機動戦艦を建造した理由は別に有ります。
以後、ナデシコはスキャパレリ・プロジェクトの一環を担い、軍とは別行動をとります」
「我々の目的地は火星だ!」
プロスに続いて、フクベが目的地を発表すると、ユリカがアキトに視線を移すが、その表情に変化は無かった。
『アキト・・・驚いてないみたい。知ってたのかな・・・・・・まさかね』
「では、現在地球が抱えている侵略は、見過ごすというのですか!?(うう、やっとまともなセリフだ)」
ようやくユリカの名前以外のセリフが言えて、ジュンは感無量だ。
「多くの地球人が、火星と月に殖民していたというのに、連合軍はそれらを見捨て、地球にのみ防衛線を引きました。
火星に残された、人々と資源はどうなったんでしょう?」
「・・・・・・・・・生きてますよ」
プロスの疑問に答えたアキトに、注目が集まる。
「ほう、王子様は何故そう思うのですかな?」
「プロスさん・・・・・・・・どうでもいいけど、その王子様は止めて、お願い・・・・・・・・(泣)」
真面目なシーンのはずなのに『王子様』のセリフに、一気に脱力するアキト。
「茶番はそれまでよ」
突然のキノコ頭のセリフと共に、武装した兵士が飛び込んでくる。
「血迷ったか、ムネタケ!」
フクベが一喝するが、無論そんなことで武器を収める軍人はいない。
「提督、この艦をいただくわ」
キノコ頭が、勝ち誇った様に言った。
・・・・・・・・3秒後。
描写する間もなく、アキトに叩きのめされた兵士のしかばねが、床に積み上げられている。
(すっげ〜手抜き(笑))
「な、な、な、な、何?何がおこったのよ!?」
残されたキノコ頭が、事態を把握できずパニクっている。
「・・・・・提督」
「な、何よ!?」
キノコ頭の肩に手を置いたアキトが、凍るような冷たい瞳のまま微笑む。
「生きながら全身の皮を剥がされて、海にたたきこまれるのって好きですか?」
「・・・・・へ?」
突然の意味不明な質問に、キノコ頭の目が点になる。
「両手両足の血管の流れを止めて、自分の手足が少しずつ腐って、ウジが湧くのを見るのは好きですか?」
「あ、あ、あんた、な、なに言ってるのよ・・・・」
質問の内容に、恐怖を覚えるムネタケ。
「全身に熱湯を浴びて、皮膚が焼け爛れる匂いを嗅ぐのは好きですか?」
「ちょ、ちょっと、あんた、まさか・・・・・・・・」
アキトの目は完全に据わっている。
「腹を切り開いて、中にゴキブリを放り込んで、生きながら内臓を食われるのは好きですか?」
「あ、あ、あ・・・・・・・・(ほ、本気よ。こ、この目は、本気の目だわ!)」
逃れようともがくムネタケの肩を、アキトの手が万力の様に締め付ける。
「紙ヤスリで、少しずつ全身の肉を削り取られるのは、好きですか?」
「ひ、ひぃ・・・・・・(じょ、冗談じゃないわ。いくら仕事でも、こんなのの相手はゴメンよ!)」
「人間の身体が何本まで耐えられるのか、全身に針を刺し続ける、ギネスに挑戦するのは・・・・・」
「わ、解ったわ!な、何でも言うことを聞くから命だけは・・・・・・・・お、お願いよ」(泣)
恐怖の余り、泣き崩れるキノコ頭。
「そうですか?これからが面白いところなんですけどね・・・・・・」(ニヤリ)
「ひいい!!」
アキトのニヤリ笑いに、キノコ頭はとうとう失禁する。
ズボンから染みだしてきた液体が、床を濡らしていった。
結局ムネタケの命令によって、その後艦内の兵士達は、武器を捨てて投降した。
「こちらは、連合宇宙軍第3艦隊提督、ミスマルである!」
サリーちゃんのパパ・・・・・もとい、ユリカのパパが、ブリッジの画面一杯に映し出される。
「お父様・・・」
「「「「「え?」」」」」
ユリカの呟きに、ブリッジのクルーが反応する。
「お父様、これはどういうことですの?」
「おお、ユリカ元気かい(はぁと)」
「はい♪」
「これも任務だ、許しておくれ。パパも辛いんだよ」
「困りましたな〜、連合軍とのお話は済んでいる筈ですよ。ナデシコは、ネルガルが私的に使用すると」
「我々が欲しいのは、今、確実に木星蜥蜴どもと戦える兵器!それを、みすみす民間に・・・・・!」
「ちょっと待て。それは、おかしな話だな」
アキトがミスマル提督に話しかける。
「誰だ、君は?」
「彼は、このナデシコの王子様です!」
「はあ?」
「い、いや、この髭メガネの言うことは、気にしないでくれ!」
アキトがプロスの口を押えながら、訂正する。
「それで、いったい君は誰なんだ?」
「天河アキト。先程の戦闘の、エステバリス・パイロットだ」
「君が・・・・・!まてよ、テンカワ・・・・・・どこかで・・・・・・・?」
「俺のことは、どうでもいい。それよりも何故ナデシコが、蜥蜴どもに有効な兵器だと思う?」
アキトの疑問も、もっともだ。
今回の戦いでは、敵は全てアキトが撃破しており、ナデシコの戦闘力など、知りようもなかった筈だ。
「ふむ、そのことか。こう言ってはなんだが、君のせいだよ」
「俺の?」
「そうだ。艦載されている、たった一機の機動兵器ですら、あれほどの戦闘力を発揮したのだ。
それを考えれば、母艦の戦闘力も予測できようというものだろう」
「・・・・・なるほど」
ようするに、どっちに転んでも逃がすつもりは無かった、ということか。
つまりは、敵の攻撃で沈まない限りは、これは避けられない事態だったんだな。
アキトは冷静に分析する。
「了解した。では、そちらに交渉しに伺いましょう」
「よかろう。ただし、作動キーと艦長は当艦で預かる!」
「やだ」(キッパリ!)
一言で、拒否するアキト。
「な、何だと?」
「提督、言い忘れてましたが、艦内に潜入していた兵士達は、全員捕らえました」
「む、むう・・・・」
「ついでに言えば、このまま戦闘になれば、ナデシコが勝ちます。
なにしろこの艦は、『確実に木星蜥蜴どもと戦える兵器』なんですから。
それでもよろしければ、戦(や)りますか?」
「わ、わかった。・・・・・・で、交渉には誰が?」
「そうですね・・・交渉には艦長と副長、それにプロスさんに行ってもらいます」
何しろここで、ジュンを置き去りにする、というイベントを発生させないといけないからな。
「ちょ、ちょっと天河君、パイロットの君が、なにを勝手なことを・・・・・!」
「ああ〜ん!?」(怒)
「な、なんでもないです。こ、交渉に行けて、うれしいな〜、はは、はは、は・・・・・」
勇気を振り絞って反抗したジュンだが、アキトのひと睨みでおとなしくなった。
その後ユリカが、アキトと一緒に居たいと駄駄をこねたが、戻ってきたらデートしてやる、ということで話がついた。
食堂。
とりあえずフラグはたったはずなので、アキトはここで暇つぶしをしてイベントの発生を待っている。
もっとも今回、艦内反乱イベントはすでに完了してしまったので、後はチューリップが動き出すのを待つだけだ。
「ねえねえアキトさんって、なにか格闘技もやってたんですか?」
「そうそう、さっきのあれは凄かったわよね。一瞬で兵隊さん達、倒しちゃったものね」
「当然です。アキトさんは、私の運命の人ですから(ポッ)」
メグミ、ミナトがユリカの居ない隙を狙ってモーションをかけてくるが、ルリがアキトの横に陣取って妨害している。
「ル、ルリちゃんって案外、積極的なんですね(こ、これは強敵です)」
「そ、そうね、そういえばルリルリ、さっきもいきなりキスしてたし・・・・(私も、負けてらんないわね)」
「ルリルリ?」
聞きなれない呼び方に、ルリが首を傾げる。
「ニックネームよ。けっこう、かわいいと思うんだけどな」
「ああ、いいですねそれ、ミナトさん。じゃあ私はメグメグですね」
「じゃあ俺は?」
「「「アキアキ」」」
3人のセリフがハモる。
「・・・・・・・・・・ちょ、ちょっとこれはイマイチね」
「・・・・・・・・・・そ、そうですね、なんだかすぐ飽きて、捨てられそうな感じです」
「私が、アキトさんを飽きることなんて、有り得ないですから関係ないです(ポッ)」
「なんだなんだ、モテモテだな天河」
「セイヤさん、ずっと見てたんですか?」
「俺だけじゃないぞ、なにしろこの周囲だけ、ピンク色の空間になってやがるからな。
それにしても天河、お前さんパイロットだけでなく、白兵戦も凄腕なんだな」
「そうそう、今その話をしてたところなんですよ、ウリバタケさん」
「ホント、凄かったわよね。ねえ、アキト君ってここに来る以前は、何をしてたの?」
「それは私も知りたいです。やっぱり自分の旦那様になる人のことは、何でも知っておきたいですから(ポポッ)」
既にルリの中では、アキトとの結婚は確定らしい。
「ああ、会社経営をしてたんですよ」
「え〜!それじゃ、青年実業家だったんですか?」
「あら〜、若いのに凄いわね〜」
「さすがは、私の旦那様です」
「それで、なんの会社だったんだ?」
「《ガイア》っていうんですけどね。情報通信関係の仕事をやってます」
「ほ〜、あのラピ子ビルのガイアと同じ名前か」
「いえ、同じ名前っていうか、あのラピ子ビルは俺の会社のモノですけど」
「「「え?」」」
メグミ、ミナト、ウリバタケが目を丸くする。
ルリだけは、幸せそうにゴロゴロと喉をならしそうな表情で、アキトの腕にしがみついている。
「えっと、天河?ひょっとしてお前の会社って・・・・・・・あの《ガイア》なのか?」
「ええ、たぶんその《ガイア》です」
「「ああーーっ!!」」
ミナト、メグミが突然、揃って大声をあげる。
「思い出しました!天河アキトって、女性週間誌で『経済界の若きプリンス』って・・・・・・・!」
「そうよ!確かワイドショーでも、『今世紀最大の奇跡の経営者』とかいう特集で・・・・!」
「い、いや、それほどのものでも、ないけどね」
アキトは、二人の迫力に押され気味だ。
「て、天河、何でそんな大物が、ナデシコに乗ったんだ!?」
「まあ、いろいろと事情がありまして・・・・・・」
もちろんたいした事情など無いのだが、ウリバタケは深い事情があるんだろう、と勝手に納得していた。
考えてみれば、アカツキの正体をしっても、それほど驚いてなかったメンバーである。
アキトのことも、すぐに納得してもおかしくはない。
「ルリちゃんは、あまり驚いてないみたいね?」
「私、少女ですから。・・・・・・処女じゃ、ないですけど(ポッ)」
ミナトの疑問にルリが答えるが、それを聞いてアキトとルリの間に、ナニかがあった事を確信する一同。
「ア、アキト君、あなたまさか本当に・・・・・・・」
「そんなはずありません!《ガイア》の会長が、女性に不自由してるはずないのに、子供に手を出すなんて」
「でも、《ガイア》の会長っていえば、女好きで有名だぞ。確か愛人が、30人以上居るって話だしな」
「マスコミの情報なんて、デタラメですよ。実際は、そんなに居ません」
「・・・・・・・・・・・・・・・つまり、少しは居るんだな?」
思いっきり墓穴を掘ってるアキトを、ウリバタケが追求する。
「うっ、それは・・・・・・・・・(汗)」
「どうなんです、アキトさん?」
「アキト君、どうなの?」
「アキトさん・・・・・浮気は許しません」
メグミ、ミナト、ルリに追い詰められるアキト。
アキト絶体絶命!
だがその時、救世主があらわれた!
ゴオオォォオンッ
突然の轟音とともに、ナデシコが激しく揺れる。
お待ちかねの、イベント開始だ!
「チューリップだと?」
娘との会食を邪魔されて、不機嫌なユリカパパが、ブリッジに入って来る。
ちなみに、もちろん交渉は決裂。
既にユリカはヘリに向かっており、ジュンは予定通りに置き去り決定だ。
「護衛艦クロッカス、パンジー、共に捕まりました」
「生きていたのか」
スクリーンの中で、護衛艦2隻がチューリップに飲み込まれていく。
「攻撃準備!ユリカ、お前はここに残って・・・・・・・・・・あれ?」
周囲を見まわすが、娘の姿は何処にもない。
「ここですわ、お父様」
スクリーンに、ユリカが映し出される。
「ユリカ、お前いったい何処へ?」
「ナデシコへ帰るんです」
「ユ、ユリカ、提督に艦を明け渡すんじゃ・・・・・・」
ジュンが喚きたてる。
交渉は決裂したのを知ってる筈なのに、こういう事を言ってるあたり、軍人根性が骨身に染みついているようだ。
「え?私はただ、アキトが交渉して来いって言ったから、来ただけだもん」
「ユリカーッ!?」
「艦長たる者、例えどのような時も、艦を見捨てるようなことはいたしません。
そう教えてくださったのは、お父様です」
パパの叫びに、ユリカが冷たく対応する。
「それに、あの戦艦(ふね)には、私の好きな人が居るんです(ポッ)」
「なーーっ!?」(驚愕)
「えへへ、お父様もご存知の、火星でお隣だったアキト君です」
「ア、アキト君だと?では、さっきのパイロットが・・・・・・!」
「はい、私の王子様です♪」
「そうです!彼は王子様なんです!」
プロスが会話に割り込んでくると、コウイチロウの目が点になる。
「ユリカ、彼はナニを言っているんだ・・・・・・・?」
「はい、私達のことを、祝福してくれてるんです♪」
絶対に違う。
ブリッジの全員がそう思ったが、あえて口にする勇者は居なかった。
「さて、どうするかな・・・・」
今回はちゃんと空戦用フレームで出撃したのは良いが、さすがにエステバリスでは、チューリップは破壊できない。
某SSの様な、DFSでもあれば別だが、勿論この世界にそんなものは無い。(たぶん、いずれ出てくるけど(笑))
仕方なくアキトは、チューリップの触手を相手に遊んでいた。
もっともわざわざアキトが出なくても、今回はナデシコが稼動しているのだから、最初からグラビティ・ブラストで
攻撃すれば良い。
しかし、それだとアキトの出番が減ってしまうので、あえて出撃した。
女の子達の前で、かっこつける機会は、多ければ多いほどいいのだ。
もっとも、バカ正直にそんな理由を言うわけにはいかない。
表向きは、艦長の命令なしで勝手に艦を動かす訳にはいかない、という建前のうえでの出撃だ。
「アキト、また囮になってくれるのね!」
ヘリで移動中のユリカから、通信が入る。
「この隙に、ユリカはナデシコに乗り込みます」
「ああ、エステじゃどうにもならない。急いでくれ」
そろそろ、触手で遊ぶのにも飽きたしな。
アキトは心の中で呟いた。
あんまりつまらないので、ワザと攻撃がかするような機動で飛び回るアキト。
しかも驚くべきことに、コックピットに水を満たしたコップを置いて、その水をこぼさないように操縦していた。
今のアキトなら某豆腐屋の息子のハチロクと、峠でバトルができるだろう。
そのうち高橋兄弟(兄)からの、スカウトが来るかもしれない。
その姿に、ユリカが感激して涙ぐむ。
「アキト、また私のために命をかけて・・・・・・・」
「当たり前だろ。俺は、お前の王子様なんだから(キラッ)」
「アキトォ・・・・・・・・・」(感涙)
釣った魚にも餌をやることを忘れない、けっこうマメな主人公、天河アキト。
はて、そういえば何かが足りないような・・・・・・・・?
ナデシコに乗りこんで以来、なにか違和感があるのだが、アキトはその理由が思いつかなかった。
このことは後に、大いなる後悔と共に、アキトに襲い掛かることになる。
「おまたせー、ぶい♪」
ナデシコに乗りこんだユリカが、ブリッジに入ってきた。
「それではさっそく、全速前進!」
ユリカの命令で、チューリップに突っ込んでいくナデシコ。
スクリーンの中では、アキトのエステが、体当たりで触手を切断している。
もちろん、コップの水はこぼさずに、だ。
「ディストーション・フィールドによる、高速度攻撃ですな」
「さすが、アキトさん。カッコイイです」
「そうよね〜、強くて、お金持ちで、その上テクニシャンなんて、かなりの掘り出し物よ」
「テクニシャン・・・・・確かに、そうでした(ポッ)」
何を想像したのか、ルリは頬を染めてイヤンイヤンと首を振る。
「こちらも負けずに全速前進!」(怒)
ルリのセリフに、額に青筋を立てるユリカ。
「ホントにやるの?」
「行きます!」
「イキますだなんて・・・・・・・さっき、アキトさんに、いっぱいイカされたのに(ポポッ)」
ルリの頭の中は、すっかりピンク色に染まっていた。
「グ、グラビティ・ブラスト、スタンバイ!」(怒怒)
「了解、グラビティ・ブラスト、チャージ!
(今夜もアキトさんのグラビティ・ブラストで、いっぱい愛してもらいます♪)」
チューリップの中に、飲み込まれていくナデシコ。
「撃(て)ぇーーっ!!」
「発射!(アキトさん、いっぱい私の中に、発射してくださいね(はぁと))」
刹那!
内側から発射されたグラビティ・ブラストの圧力で、チューリップが風船のように膨らみ、内側から破裂した。
「内側からの攻撃・・・・前回(まえ)と同じだけど、わざわざ内側から撃つ意味あるのか?」
どう考えても、外から攻撃した方が、早いし安全だ。
だが、アキトの疑問に答えられる者は誰も居ない。
そう、作者ですらも・・・・・・・(ホントに何でだろうねえ?)
やがてアキトのエステが帰艦すると、ナデシコは発進する。
新たなる戦場へと向かって。
地球の平和と火星の未来のために。
人類の希望の光を守るために。
ナデシコは明日も戦い続けるのだ!
地球滅亡・・・・・もとい火星到達まで、残り365日・・・・・・・・・・・くらいだっけ?
やがてアキトがエステから降りると、アキトは発情する。
新たなる女体へと向かって。
地球の女と火星の女のために。
人類の半分の女をコマすために。
天河アキトは明日も戦い続けるのだ!
全員攻略まで、残り365人・・・・・・・・・・・・どころじゃないな(汗)
・・・・・・・・今回の戦いは終わった。
だが、これで安心してはならない!
アキトには、次なる試練が待ちうけているのだ!
そう・・・今回一度も出番が無かった、『あの男』との戦いが。
ナデシコで、ルリちゃん以外の、唯一のIFS体質者である『あの男』。
アキトにその存在を、ATフィールドの影響範囲内にいるのを忘れ去られた『あの男』。
アキトのATフィールドによって、今まで夢の世界に居た『あの男』との戦いが・・・・・・・・
「アキトー!!俺と合体だーっ!!」
未来の鬼畜王、天河アキトに、今、生涯最大の危機が迫る!!!
続く・・・・・・・・・・・・アキトの貞操が無事なら(笑)
次回予告
生(ナマ)だ、ああ生(ナマ)だ!
心ならずもコンドームに引き裂かれた、若き恋人達の涙を、君は見たか!
青年痴漢の股間の叫び!
乙女を待ちうける、淫じられた行為の予感!
精巣圏に轟く性器のロマンスの結末はいかに!?
クライマックスには、ティッシュを3枚ご用意ください!
次回 機動戦艦ナデシコ アキトの野望
早漏すぎて「さよなら」!
をみんなで見よう!
クリさんからの四回目の投稿で〜す!!
ははは、相変わらず元気だなこのアキト(笑)
しかし・・・何処でも扱いは同じか、ジュンよ(爆)
プロスさんはまだ壊れてるし。
・・・提督が珍しく目立ってるし(苦笑)
でも、本当にハーレム状態だな、アキトよ。
実は、裏もあるんですよね〜
Benはアドレスを言えませんが・・・クリさんはご存知です。
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では、クリさん投稿、本当に有難うございました!!
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