_まずはお名前を聞かせてください
えーと、連合軍西欧方面第6空挺師団32分隊所属
タップ・ニューマン軍曹・・・、こんな感じで良いかな?
「漆黒の戦神」アナザー
タップ・ニューマンの場合
_「彼」と出遭った時のことは覚えていますか?
忘れようが無いさ、何せ本物の伝説に触れた瞬間だったんだからな!
あれはもう半年は前になるな。
俺の配属された基地は戦略的にも何の価値も無い辺境の駐屯地でさ、
装備も錆付いた戦闘機が数機あるだけ、おまけに上官も頭の古い奴ばっかりでさ、
ようやく回ってきたエステバリスも
「アニメじゃないんだぞ、人型兵器なんぞに命を預けられるか!!」
ってな調子でさ、
まあそのおかげで俺みたいなペーペーがいっぱしのエステバリスライダーなんて名乗っていられるん
だがね。
っと話それたか?、まあそれはそれとして、
そんな土地柄か出撃といえばせいぜいチューリップからはぐれたバッタやジョロの始末が
月に1度あれば良いぐらいの平和な基地だったのさ、最近まではな・・・。
戦況が変わってきたのは「あいつ」が西欧方面にやってきた頃からだ、とんでもない勢いで西欧方面
のチューリップの数が減少したおかげで本来前線から外れていたはずだった
俺達の街にまでトカゲどもが流れてきちまったのさ。
上の奴らはとっとと逃げちまうし、戦闘機はポンコツ、
まともな戦力は空戦フレームのエステが3機と陸戦フレームが2機、
しかもパイロットは配属されたばかりの素人集団と来てやがる、
あんときゃ俺も死んだと思ったね、でも不思議と逃げようって気は起こらなかったな。
田舎町でやることといえば噂話と飲む事ぐらいしかなかったからな
よく「あいつ」の話をしてたせいもあると思うんだ、「あいつ」なら逃げないだろうとかさ。
まあそれに街の奴らにゃいろいろ世話にもなってたしな。
とにかくやれるだけはやろう、多分軍人って奴は力の無い一般市民を守るためにあるんだろうからな、
なんて気障な事言い合ってさ、たった5機のエステバリスで
チューリップ3つと空を埋め尽くそうかってな無人兵器の群れを相手にしようとしたわけさ。
我ながら無茶な事してると思ったぜ。
いよいよ戦闘開始か? なんて思った矢先に俺達のエステを追いぬいて赤い光が飛んでったのさ、
一瞬後には目の前で大爆発が起こって何が何やら呆然と立ち竦む俺達の脇を
黒と銀の機体が通り過ぎていったんだよ。
その後はまあなんてゆーか、花火大会? てな感じでさ、右往左往してる俺達を尻目に黒と銀の
エステがそりゃーもうダンスでも踊ってるんじゃないかってなぐらい息の合った調子でトカゲども
を蹴散らしていってさ、
そのうち、黒い方の機体がチューリップに特攻かけたかと思うと最初に見た赤い光を振りかざして
チューリップを一刀両断にしちまったのさ。
ここに来て俺達にもようやく状況が飲み込めてきたのさ、目の前に居る機体がいつも噂のネタにして
いた「漆黒の戦神」(あの頃はまだ「戦鬼」って呼ばれてたけどな)だってことに・・・
噂なんて本来誇張して伝わるもんだけどな、「あいつ」についてだけは違ったな、
噂なんかよりもっと、遥かにとんでもない奴だったんだからな。
信じられないことに一人の戦死者を出さずに、
・・・後で聞いたことだけど「あいつ」の出向く先じゃそれが当然なんだってな、
戦闘が終了して、エステから降りてきた男を見てさらに驚いたね、
どう見ても俺より年下のまだガキって言っても良いぐらいの優男が出てきたんだからな。
「あいつ」は俺達に向かってくると開口一番こう問いやがったのさ
「あんた達はなぜ逃げなかったんだ?」
俺は答えようとして言葉に詰まったね、「あいつ」の目がどんな嘘も許さないって
そう言ってるような気がしてさ。
息苦しさに耐えながら何とか咽喉を付いてでたのは
「酒場のジム爺さんに5ドルの借りがあったもんでね」
てな冴えないジョークだけだったね。
「あいつ」に付いてきたおっさんがそれを聞いて
「こいつに見据えられてそれだけ言えれば上等だ」
なんて感心してたけどな、えっ、提督?、大佐?、そうだったのか?(汗)
そう言えばなんか偉そうにしてたな。
ともあれ、この一言が気にいったのか、それまでの殺気が嘘のように消えて、
男の俺でも引き付けられそうな笑顔でこう言ったのさ
「西欧軍にもまだまだ面白い奴らは多いみたいだな」
ってさ、まあ「あいつ」との出会いといえばこんな感じだったな。
「あいつ」が俺達の駐屯地に居たのは三日ほどだったけど、
俺の人生観を変えてくれるには十分過ぎるほどだったよ。
「英雄」って奴はほんとに居るんだなってさ・・・
_なにか「彼」についてほかに気づいたことは?
そうそう、「漆黒の戦神」といえばもう1つ有名な噂があるだろ?
とんでもなく女グセが悪いって話、
俺が見たのは街で評判の未亡人を落としたとこだな。
セシリアっていってさ、二年前に旦那を病気で無くして以来、5歳の娘と形見の雑貨屋を
何より大切にしてた評判の美人でさ、週に一度は
「僕を娘さんの父親にしてください」
てな馬鹿が店に押しかけてくるぐらいの人気者だったんだよ、
・・・ああ、そうだよ俺もその馬鹿の一人だよ!!
ったく、それで、そのセシリアの店がトカゲの流れ弾で全壊しちまってさ、
落ち込んでる彼女に近づいたかと思うとものの5分で彼女に微笑を戻しちまったのさ、
おまけに、彼女の娘は「あいつ」の作る料理をすっかり気に入っちまっていつもそばを付いて回ってさ
、「あいつ」が次の戦場に向かうときにゃ
「行かないでパパ!」
なんて泣きながらすがりつく始末、おまけにセシリアもまんざらじゃない様子だったしな(怒)
んっ、なんだこの紙・・・、入会申し込み書? ふんふん・・・ぜひ入らせてくれ!
ペン、そんなのいらねーよ、こう言うのは血判と相場は決まってるんだ!、よっと、これでいいか?
・・・まあとにかく「あいつ」は俺なんかの想像の遥か彼方に居る存在なんだと思ったね。
なのにどこか放って置けない危うさなんかも漂っていて、身近な感じもする不思議な奴だったよ。
多分「あいつ」のことは一生忘れないと思うぜ、
「あいつ」と同じ戦場に立てたことは俺の人生の誇りになるよ。
_本日はどうもありがとうございました。
民明書房刊「漆黒の戦神、その軌跡」より抜粋
「アキトさん、これはどういうことですか?(怒)」
何やら分厚いハードカバーの書籍を手に例によって15人の美女軍団がアキトに詰め寄っている
「ななな・・・何のことかなルリちゃん(汗)、俺には全然覚えが無いよ」
「それでは、このアキトさん宛に届いたセシリアという女性からのメールにも覚えが無いんですね?」
「う・・・うん。当然じゃないか、はは、ははははは(乾いた笑い)」
「それでは、この文末の「娘もあなたと会える日を楽しみに待ってます」とか
「私もようやく夫のことを忘れられそうです」などという文章にも覚えが無いんですね!(怒)」
「ルリちゃん・・・、他人宛のメールを勝手に見るのはどうかと・・・スミマセン」
「お仕置きですね」
「そんな!、そうだサラちゃん達ならわかってくれるよね!、あの頃は一緒に行動してたんだから」
「ええ・・・、よく覚えてますよ(怒)、去り際に女の子を連れたおばさんがアキトさんに
メモのようなものを渡していたこともね・・・」
「次の日にアキト君の服を洗濯していたらポケットから女の人の名前と
アドレスが書かれたメモが出てきたこともね(怒)」
「ちなみにこれがそのアドレスです(怒)」
「ああっ、どこに無くしたかと思えば・・・
それにセシリアさんはまだ28歳でおばさんと呼ぶにはちょっと・・・ハッ!!」
「ずいぶんお詳しいんですねアキトさん・・・(怒)」
「連行してください」
「違うんだ〜!!、何かの罠だ〜!!!」
「問答無用!!」
「ふっふっふっ、どうやらうまく言ったようだね、今度のプロジェクトは」
「出版社1つ買い取ってまで敢行したんです、成功してもらわないと困ります」
「それにしてもさすがは会長、見事な作戦だぜ」
「ふふん、本の売れ行きで我らの懐は暖まり、「彼」は女性陣の手で粛清され、更に同士まで増えた
まさに一石3鳥」
「まさかここで終わらないよな会長?」
「もちろんさ、現在女性関係に絞った暴露本第2弾の編集を急がせているよ」
「ふっふっふっ、TAに呪いあれ、そして我ら抹殺組合に栄光を」
「「「わーはっはっはっー!!!」」」
おわり?
あとがき
あれ? おかしいな、確か当初の予定では
エースパイロット列伝みたいな感じになるはずだったのに・・・、まあいいか(よくねえ)
珍しく某組合の作戦が成功してるし・・・
それにしても初のナデシコSSで何書いてんだろ俺・・・。
それはとにかく、このような駄文にお付き合いいただきどうもありがとうございました。
管理人の感想
黒貴宝さんからの投稿です!!
ふふふ、そうですか・・・あの西欧方面遊撃部隊の時代に、こんな過去が(笑)
これは、過去の調査をすればもっと発覚しそうですね(ニヤリ)
しかし・・・話題の絶えない男よな、テンカワ アキトよ。
ついでに、お仕置きとが無い日とプライバシーも無いみたいだけど(爆)
でも、この話しは是非黒貴宝さんに連載化をして欲しいですね!!
次はどんな隠しキャラが出てくるんだろう?
それでは皆さん、黒貴宝さんに続編の投稿をお願いしましょう!!
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