あの・・・、本当に私なんかで良いんですか？
＿ええ、もちろんです、タップ・ニューマン軍曹からの推薦なんです
もう、あの人も困った人ですね(微笑)
＿お名前を聞かせてもらえますか
セシリア・アノーです
｢漆黒の戦神」アナザー
セシリア・エドワーズ(アノーです、アノー(怒))の場合
＿おや、確かタップ軍曹の話ではセシリア・エドワーズさんだと伺っていますが？
先日亡き夫の実家に赴いて正式に籍を抜いてまいりました、
ですから旧姓のセシリア・アノーに戻っているんです
＿それは、｢彼｣のためですか
プライベートの事ですのでそこまではお話できません。
＿それは失礼、では「彼」との出会いについてお聞かせ願いますか？
(手元の本を読みながら)大体ここに書かれている通りですわ、
戦災で夫との思い出の詰まった雑貨屋を失って落ち込んでいた私の元に、
｢あの人｣がやってきたんです。
｢あの人｣は炊き出しを担当されていたときに、
私と同じ様に途方にくれていた娘のベルナディットを見つけてお世話してくださっていたんです。
｢あの人｣は娘を連れてくると
｢いい気なものですね、大切なお子さんを放っておいて、自分は悲劇のヒロイン気取りですか｣
とおっしゃったんです、あまりな言い様にカッとなった私は思わず｢あの人｣の頬を張っていました。
｢あの人｣は私の1発などまったく意にも介さず冷たい瞳で睨むと
｢所詮、物は物にすぎない、いつまでも過去の思い出にすがり付いてあなたはそれで満足なんですか、
あなたの娘さんは、あなたを元気づけようと瓦礫の中から必死にこれを取り出そうとしていたのに｣
そう言って｢あの人｣が手渡してくれたのは、私達家族が写っている写真でした。
娘を見るとその両手には包帯が巻かれていました、｢あの人｣は更に言いました。
｢この娘が幼い体で何とか瓦礫を除けようと体中を傷だらけにしている時に、
あなたは何をしていたんですか。
この娘にはあなた意外に縋る相手は居ないんですよ｣
そういう「あの人」の瞳に自嘲の蔭がよぎったのが見えました、そして分かったんです、
この人は私よりも遥かに重い過去を背負っているんだと、私に向けた言葉はすべて
自分を嘲笑う言葉なのだと、私は、そして娘も、何とか｢あの人｣を励ましたくて・・、
おかしいでしょう？
いつのまにか私の心には夫のこともつぶれた雑貨屋のことも無く、
ただ目の前の少年を元気付けたいという思いでいっぱいだったんですから。
最初に動いたのは娘のほうでした。
｢ママ、このお兄ちゃんお料理がとっても上手なの、ホントだよ｣
私は娘の言葉に乗ってこう答えました。
｢そう言えばお腹がすいたわね、ベルナディットは何が食べたい？｣
｢わたしね、シチューが食べたい｣
｢あの人｣は少し戸惑ったあと、うれしそうに笑うと
｢まかせといて、洋食はいまいち苦手だけど、とびきりのシチューをご馳走するから｣
と走っていきました。
・・・わたしはといえば、八つも年下のはずの｢あの人｣の笑顔に魅了され、
何も言えなくなっていました。
＿そう言えば娘さんは｢彼｣のことを｢パパ｣と呼んでいるそうですが
ええ(微笑)、あれは｢あの人｣と出会ってから2日目のことです、娘と｢あの人｣の元に向かうと
3人の娘さんが引っ付いていたんです。金と銀の美しい髪の・・・多分双子でしょうね、娘さんと、
ツナギ・・・というんでしょうか、作業着のようなものを着た娘さんでした。
｢あの人｣はその3人に囲まれてとても嬉しそうな反面困ってもいたようです、
｢あの人｣にかまってもらえず拗ねた娘が彼に近づくと
｢パパをいじめないでオバチャン｣
と、・・・あのときの｢あの人｣と娘さんたちの表情は今思い出しても笑いがこみ上げてきそうです。
それから娘もあの呼び方を気に入ったのかずぅーと｢パパ｣「パパ」と・・・。
「あの人」は何とか止めさせようとしていましたけど、
私のほうは別段止める理由もありませんし放って置きました。
＿そっ、それはもしかして確信犯ですか？(汗)
(無視して)｢あの人｣は町を去るとき娘に小切手を渡していったんです、
店を再建するのに十分過ぎる金額がかかれた小切手を、
私には施しを受ける理由はありませんでした、ので、
店と土地の権利書の名義を｢あの人｣のものに変更しました。
ですから、今、店に住んで商売をしている私と娘はあの人の所有物なんです（はぁと）
忙しい方のようですし、ゆっくり休めるように｢あの人｣のために作用意した部屋には
ダブルサイズのベッドを用意しています、住まわせてもらっている身ですから｢あの人｣が望めば・・・
あらやだ、私ったらそんな恥ずかしいことを大きな声で・・・、
(以降、編集部検閲削除)
＿本日はどうもありがとうございましたッ！！
民明書房刊｢漆黒の戦神 その軌跡｣ ３巻より抜粋
ナデシコには本来の設計書には乗っていないはずの部屋がある、
それも最初から密かに作られていたような部屋ではなく、いつのまにか出来あがっていた部屋だ
男性クルー、特に一部のとある組織に入会しているクルーから恐怖と羨望をこめて
｢お仕置きルーム｣と呼ばれている部屋だ、
さてその｢お仕置きルーム｣には扉が2つある、
一方にはどぎついショッキングピンクで『アキトさん専用（はぁと）』と書かれ
もう一方にはルミノール反応でも調べたら、
そりゃもう鮮やかな青白い光を放つんじゃないかっていうようなこげ茶色で、
『その他』と書かれている。
その扉の内、どぎついショッキングピンクで『アキトさん専用（はぁと）』
と書かれたほうの扉が開き、一人の女性が飛び出してくる、まだあどけなさの残る
そばかすの浮かんだ顔に特徴的なおさげの、当人も知らない支援団体が存在するという(笑)、
ナデシコの通信士その１ことメグミレイナードである。
彼女は顔中に満面の、・・・強いて言えば何か大きな仕事をやり遂げた漢（おとこ）の笑顔を浮かべ、
自分が出てきた部屋に向かってこう言った。
｢ありがとうございました、久々に充実した時間がすごせました、
また声の練習に付き合ってくださいね、アキトさん」
彼女は返事を待つことなく鼻歌にスキップまでつけて去っていった。
しばらくして、空いたままの扉からぞろぞろと１２人の女性が出てきた、
皆一様に物理的圧力を感じるほどの殺気を放っている。
彼女達は別れのあいさつも交わさず三々五々に散っていった。
更に時間が過ぎた頃一人の男が訪れた、なまじ有能な為いらぬ苦労をしょってしまう、
ナデシコ唯一のラブラブ男、ヤガミ・ナオである、ナオは部屋を覗き込み
｢毎度ー、遺体の引き取りに来ましたー｣
と要件を告げる、
｢ああ、ヤガミ君ちょうど良いところに、アキト君なら部屋の隅に転がっているから回収して頂戴、
私はこの子達の相手で手が離せないから｣
部屋の住人、ミナトさんの要請を受けたナオが部屋に入ると、ぶ−たれた二人の妖精と何か黒っぽい塊
が転がっていた。
｢ルリちゃん達どうしたんすか？｣
｢この間のアリサちゃんのお友達の１件覚えているでしょ、
あの時、お仕置き内容のＲ指定のプロテクトを解いたんだけど、
この子達自分が１５歳未満だったことを忘れていたのよ、
お仕置き相手の選考にも加われなかったもので拗ねちゃってるの｣
｢確か、あの時はエリナさんとレイナちゃんの二人と一緒の風呂に入って背中を流しっこ
したんでしたよね｣
部屋の隅に転がっていた黒い塊が一瞬ビクッと跳ねたがナオは無視。
｢そうなの、で、今日もプロテクトを掛け忘れていて参加出来なかったってわけ｣
｢ルリが悪いんだよ！、自分がまだ１3歳だって事忘れて・・・｣
｢迂闊でした、もう１７歳のつもりだったのですが・・・｣
｢と、言うわけだからアキト君のほうは任せるわ、さっ、二人ともそんなに落ち込まないで、
ホウメイさんに何か美味しい物でも作ってもらいましょ｣
３人が去っていったのを確かめるとナオは黒い塊に話し掛けた
｢おーいアキト、生きてるか？｣
かすかに聞こえてくる返事を聞き取ろうと傍に寄ったナオの耳に入ってきたのは
｢やあ・・・メティちゃん、久しぶりだね、あっ、だめだよ、その河は深そうだ、
うん、俺のほうからそっちに行くから｣
というものであった。
｢まて！、渡るな！！、気持ちは分かるが帰ってこい！！！、アキトー！！！！」
ナオの献身的な看病が効いたのか何とか意識を取り戻すアキト
｢で、結局今日はどんなお仕置きだったんだ？」
｢・・・メグちゃんって、本職は声優なんですよね、戦争終わったら仕事に復帰したいし、
感覚忘れたくないから台詞合わせを手伝って欲しいって・・・｣
｢なんだ、普通じゃないか｣
｢・・・そうですね、渡されたのが官能小説じゃなければね・・・」
ふとアキトの手を見ると｢美人女教師−人気の無い教室で−｣と書かれた本が握られている。
｢・・・急なことで、台本が用意できなかったから購買部で買ってきましたって言って・・・(泣)｣
｢そっ、そうか・・・(汗)｣
｢しかも、それを皆が見てるんです！、ユリカなんか｢タマぁ取ったる｣見たいな、
怖い目つきで睨んでるし｣
アキトはがたがた震え出した、
｢とにかく、今日はもう部屋かえって休め、なっ！｣
｢部屋には、ラピスとルリちゃんが居座ってるんです、
お仕置きに参加出来なかったって一晩中しくしく泣くんです・・・｣
｢分かった・・・、今日は俺の部屋を貸してやるから・・・｣
｢ありがとう、ナオさんあんたええ人やー、ホンマにええ人やー」
ナオに縋りついてむせび泣くアキトであった。
余談ではあるが、この話は偶然通りかかっためがねのエステバリスパイロットによって
かなり派手に脚色されて某同盟に伝わったため、
ヤガミ・ナオが「殺すリスト」の筆頭に上がったことは言うまでもない。
｢アキトさんを男色に走らせるわけには行きません！！｣
｢なんでこうなるんだー！！」
｢えへへー、今度のコスミケは｢アキト君×ヤガミ君」で決まりだね｣
おわり
あとがき
フィー、憑かれた(間違いにあらず)、いくら調子に乗っていたからって２本も書くもんじゃないな、
とにかく、もちネタの大半は使い切ったぞと、出来たら次は誰か別の人に書いてもらいたいなー(願望)
それはとにかく、このような駄文にお付き合いいただきどうもありがとうございました。
管理人の感想
黒貴宝さんからの投稿第三弾です！！
なんて言うか・・・ちょっと同情しつつ、激しい怒りが湧きますね（爆）
でも胃潰瘍は目の前だなアキト。
いや、既に穴があいてるかもな（ニヤリ）
まあ、こんな鬼畜な状況を生んだ本人として責任はちゃんと果たさないとな（苦笑）
え、俺が張本人？
何を言うかな〜、途中からは君が勝手に動いてたじゃないか（笑）
しかし、１８歳にして愛人を囲うか？
しかもコブ付き（爆笑）
もう、君は俺の手を離れたよ、テンカワ アキト君・・・
それでは、黒貴宝さん投稿有り難う御座いました！！
さて、黒貴宝さんに続く猛者は現れるのでしょうか？
管理人は期待してますよ〜〜（笑）
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