黒き貴公子と赤き戦士

第4話:本当の意味での再開




テンカワ・アキトの部屋


「さてと、とりあえずガイの馬鹿は無事に助けた。
 2人には礼を言うよ、協力してくれて。」

テンカワが俺とルリに向けて頭を下げてきた。
航行のほうはオモイカネとハルカ・ミナトに任せたとか言っていた・・・・

「やめろよ、テンカワ、俺は何にもしてない・・・・」
「そうですよ、私なんて特に何もしてませんよ?」

「いや、2人のおかげだよ、俺だけじゃガイは助けられなかった。
 俺には戦うことしかない、ルリちゃんやリョーコちゃんが居なかったら
 俺はまた同じ歴史を辿ることしかできなかったと思う。」

テンカワ・・・・・でもな、あたしにもそれは言えるんだぞ。

あたしも・・・・・・戦うことでしかお前を手伝えない。
あたしには戦うことしかない・・・・・お前以上に。
こんなあたしをお前は必要としてくれるか?

あたしは内心の不安を出さずにただただテンカワの感謝の言葉を聞いていた。



「そういえばアキトさん、もうすぐサツキミドリですが
 どうするんです?やっぱり・・・」

ルリが思い出したかのように言う。
サツキミドリ・・・・・・・・あたしがナデシコに初めて乗る為に
居た場所、そして・・・・・・木連に襲われた場所。
あの時はあたしとヒカルとイズミしか生き残れなかった。
他の奴のことなどまったく構ってられる状況じゃなかった。
自分の身を守ることしかできなかった・・・・・・
でも・・・・・・・今は何かできる。
守ることも、救うこともできると思う。
そうじゃきゃあたしが戻ってきた意味が無いからな。

「もちろん,彼らも助ける。
 方法は・・・・・・そうだな・・・・・
 相手より先にサツキミドリに着き、異常を知らせて逃げてもらうか、
 または先にバッタやジョロ並びにチューリップを潰すかといったとこかな?」

「他にはウィルスを使ってサツキミドリの非常警報を誤作動させることも
 可能ですね、どれも一応なんとかなるって感じですが・・・・どうします?」

「一番手っ取り早いのは叩き潰すってとこか。」

あたしも話に入る。

「リョーコちゃんらしいね、よしっ!おそらく近場にチューリップが
 居るはずだ、まずはそこを抑えよう、そうすれば敵はこちらにしか来なくなる。
 ナデシコが近寄る前に敵をこっちに誘き出さないといけないからエステ単独かな?
 ルリちゃんはサツキミドリ付近を探索して見てチューリップを発見したとでも言ってくれるかな?
 接近していけばたぶん位置は捕らえられると思うし。」

「位置がわからないといけないですね・・・・でもオモイカネとナデシコと私の力で
 なんとかしてみせます。」

と、いうことは・・・・・・

「俺達はナデシコよりも先にサツキミドリに着いて陽動ってことか?」
あたしの問いにアキトが頷く。

「うん、サツキミドリの人を救うにはまずは自分たちが囮にならないといけない、
 そこでまずはチューリップへ行き、
 ナデシコが来るまで時間稼ぎ、または撃滅できれば撃滅したいけど
 エステじゃ無理だろうから時間稼ぎと囮だけだね。」

「了解だ。」

「じゃあ作戦開始、ウリバタケさんには予備バッテリーを積んでもらわないとね。」

アキトが立つと同時にあたしとルリも立つ。

「わかりました。」
「うっし、いっちょやるかぁ!」

あたしは気合を入れてテンカワと共に格納庫へ向かった。


「艦長、もうすぐサツキミドリ付近に到着するんですが・・・・・・」

私はチューリップの探索を終えると艦長に話し掛ける。

「え?あぁ・・・・・そうだね、でもなんかあったの?」

艦長が呑気に応えてきました、さすがは昔と変わりませんね。
この時からずっと「アキトはユリカの王子様〜」とか言って馬鹿をしてましたね。

「近くにチューリップを発見、このまま行くとチューリップからバッタ、ジョロなどの
 機動兵器がサツキミドリを襲撃する可能性があります。」

あの時と変わらない今。
それでも少しずつ変わっていく今。
今後の未来もあの時の今と変わらないのでしょうか?
それならば・・・・・・私達はその歴史を変え続けていくことでしょう。
アキトさんの望みでもあり、私の望みでもあります。
もう、あんな思いは嫌です。

「う〜・・・・・どうしよう?」

「とりあえずエステバリスによる囮を推薦しますが?」

「え〜!!!駄目だよ、アキトが危険だもん。」

他のリョーコさんやヤマダさんはいいんですか?

「ふむ・・・・確かに、こちらの動きでチューリップを触発してしまう危険性は大きいですな。
 ルリさんの言う通りまずはこちらに敵を誘き出した方がサツキミドリの方の生存率は高いでしょうが
 実際は通信距離まで行き、すぐに脱出する方がいいとはおもえますねぇ。」

「だが、ミスター、そこまで距離を縮めるとなると手遅れになる危険性がある。」

プロスさんとゴートさんが勝手に話を進めてますね・・・・
艦長取り残されてます。

「あの〜・・・・・・私が艦長なんですけど・・・・?」

「やっぱりぃ、囮のほうがいいんじゃない?
 あそこに寄るんだし、何事もなく入りたいじゃない。」

ミナトさんも参加。

「確かに・・・・・ユリカはどうする?」

あ、さすがアオイさんですね、艦長一筋。
ですがその思いも全て無駄なのは仕方ないんでしょうね。

「え?あぁ・・・・・んじゃその作戦でいきましょう!
 アキト、頑張ってね!!!」

・・・・・・頑張ってくださいアキトさん(ポッ)



ブリッジからの通信により予備バッテリーをウリバタケさんに積んでもらう。

「予備があるとはいえ、そんなにはもたんからな、大事に扱えよぉ!!!」

「わかってますよ、ウリバタケさん。」

「よぉし、頑張って囮をやってこぉい!!!」

そして俺はOG戦フレームで宇宙へと出た。


「急いで行ったほうがいいかも知れないな。」

「よぉし、行くぞぉ!!!木星トカゲめ、罪も無い人々を殺そうなど
 このダイゴウジ・ガイが許さんからなぁ!!!」

ガイが一人、チューリップの方へと行く。

「お、おい待てガイ!一人で行くな!!!」
「なぁ、テンカワ、あいつを助けた意味無いんじゃねぇか?」

それは言わないでくれリョーコちゃん・・・・・俺が悲しくなるから。
そんなガイを俺とリョーコちゃんは急いで追った。



「あれだな。」

前方に見える大きな蕾。
まさしくチューリップがそこにあった。
俺達の接近に気付き、チューリップの中からバッタ、ジョロが襲ってくる。
よしっ、今まで動いてはいなかった。
これならサツキミドリの人たちは無事だな・・・・・

「おっしゃあ!!!かかって来やがれ、木星トカゲ!!!」

ガイがまた急加速で行く。
・・・・・・・本当に無鉄砲な奴だ(汗)
俺が助けた意味がなくなるぞ、おい。

「ナデシコが来るまでは予備しかないからあまり大きく動くことはできないね・・・・」
「・・・・それはヤマダの野郎に言ったほうがよくねぇか?」

目の前のバッタをライフルで落とす。

「・・・・・ナデシコが来るまで持ち堪えてくれれば大丈夫だよ。」
「そうとは思えねぇんだが。」

ジョロに向けてパンチをくらわし、撃破っと。

「お前ら喋ってないで助けろぉ!!!」

ガイが何時の間にかバッタに囲まれていた。
本当にもう・・・・・
リョーコちゃんと共にガイに襲いかかるバッタを次々とライフルで落としていく。
お願いだから無茶はしないでくれよガイ・・・・・・(汗)
その時、レーダーに反応、ナデシコが追いついてきた。
そしてグラビティブラストがチューリップを直撃した。
残りのバッタ、ジョロも全て片付き、これでサツキミドリは・・・・救われた。



「あ、リョーコォ、もうどこ行ってたのよぉ!!!」

サツキミドリに到着後、ヒカル、イズミと合流した。

「あぁ、わりぃ、ちょっとな。」

「いきなりどっか消えちゃうからびっくりしたよ!
 ・・・・・・まさか、誰か男とでも・・・・・」

「んな訳あるかぁ!!!」

まったくなんでそんな理由であたしが居なくなるんだよ!

「リョーコの顔が赤〜い〜=梅干し〜」
「それを言うなら図星でしょ、でも・・・・・」

「な、なんだよ・・・・」

あたしは後ずさりした。

「洗いざらい白状してもらおうかぁ!!!」

「だからなんでもねぇっての!!!」

その後の自己紹介後もヒカルとイズミはしつこく聞いてきやがった。
とりあえずテンカワとルリの助力でなんとか誤魔化せたが
今度はアキトが彼氏疑惑まで持ち上がって来やがった・・・・・

「やっぱりあのアキト君がリョーコの彼氏ぃ?
 優しそうだもんねぇ〜?」

「ニヤニヤニヤニヤ・・・・」

「だぁ〜!いいかげんにしろぉ!!!」





そしてナデシコは火星へと航行していった。
ついでに余談だがこの時ガイが無茶しすぎの為にリョーコとルリにお仕置きされたのは
完全なる余談である。

「・・・・・あぁ、お花畑が見えるぞぉ・・・・あ、死んだ
 ばぁちゃんが手を振っていやがる・・・・・・・」



第5話へと続く





後書きみたいなもの


リョーコ応援組合本部黒子の部屋

組合員1「あれ?黒子参謀、お仕置きはどうしたんですか?」
黒「・・・・・・お前、減給&「あれ」を三日間食の刑ね。」(怒)
組合員1「そ、そんなぁ!!!私が何をしたと!!!」
黒「ついでになぜお仕置きは受けてないかと聞いたな
  ふっふっふっふっ・・・・・・これを見よ!!!」
組合員1「聞けよ!!!・・・・って、こ、これはぁ!!!!」

黒「こんなこともあろうかとぉ!
  開発部主任にこれを作ってもらったのだ、その名も「リョーコ閣下エプロン」!!!
  前の閣下の顔がプリティーだろう?」
組合員1「ま、まさかそれを・・・・・・」

黒「おうよ、リョーコ閣下にこれをアキトにプレゼントすればOK!と
  お伝えし、なんとかご機嫌を取ってきたのだ!!!」
組合員1「・・・・・よく何ヶ月も投稿しないでお仕置きもなく無事かと思えば・・・」
黒「ふっふっふっ・・・・だてに何度もお仕置き受けてないわ!
  もちろんアキトに渡す為の障害である同盟の連中に対しては
  あの某組織を利用してある・・・・・完璧だ!!!」

その後、アキトの手にそのエプロンは渡ったが
他の面々がそれを黙ってみているはずもなく、アキトのエプロンは急激に増え、しかも
どれを着ても同盟にお仕置きされることをわかっているアキトはどれも着れなかったが
その結果もやはりお仕置きであった(笑)

・・・・後書きじゃないし、これ(汗)
ついでに「あれ」とは・・・・御想像におまかせします。

 

代理人の感想

う〜む、戦術で活躍できないと本当ににぎやかしになるな、ユリカは(笑)。

まぁ、ゴートもそういう点では似たようなもんだし、そもそも得意分野を封じられたら大抵のキャラはにぎやかしになるんですが(笑)。

ギャグを言わないイズミとか(爆)。