時ナデ・if <逆行の艦隊> 第12話 妖精たちの『策動』・その4 ナデシコが消息を絶ってから7ヶ月経過。 木連中央政府官邸内・首相執務室 暗い部屋に浮かぶモニター。 その数、12。 ご丁寧に番号が振られ『音声のみ』と表示されていた。 まるで裁判だと彼は思った。 それも、魔女裁判。 <君は月の重要性を理解しているのか?> くぐもった声が響く。 若いとも老けているともとれる、ある意味非人間的な声だった。 「我らの発祥の地。 そう理解しております」 <ならば、なぜ防衛を強化しない> ……できれば苦労するものか、馬鹿が。 内心で毒づくが、表情はあくまで穏やかに、態度は慇懃に。 もう取り繕うことは慣れてしまった。 「目下、それは四方天でも検討中であります。 しかし、戦線は広い。 月の防衛を強化すれば、その分どこかから戦力を引き抜かねばなりません」 <北アメリカとオセアニアから引き抜けば良い> 少しでも兵站に理解のある人間が聞いたら大笑いしそうな意見だ。 もしくは侮蔑するか。 いったん配置した兵力はおいそれと移動できるものではない。 まったくもって軍事に関しては素人としか言いようがない稚拙な意見だ。 「クリムゾン、ですか?」 しかし、それはおくびにも出さずに別のことを聞いた。 <そうだ。 その2ヶ所の軍はクリムゾンが抑える> なんとも笑える話だ。 敵の企業が、軍の足を引っぱる。 木連なら売国奴と罵られて当たり前の行為だ。 これだから地球人と言うやつは……。 <月を再び地球人どもの手に落す事はまかりならん> <悪の地球を打倒し、月に再び光を!> <月に栄光を> <月に平和を> 「……月に名誉を」 嫌々ながらに続ける。 これも仕事の内と割り切れば苦痛も少ない。 <期待しているぞ、草壁春樹> <そのために貴様を首相に据えたのだから> 「お任せ下さい」 深々と一礼。 それを見届けたようにモニターから光が消えうせ、明かりが灯る。 「………ふん、穴倉に隠れたままの老人どもが、よく吠える」 侮蔑の色を隠しもせずに呟く。 それが現木連首相の草壁春樹の日課だった。 ○ ● ○ ● ○ ● 元老院のメンバーを知るものも少なかった。 首相である彼ですら数回しか直接会っていない。 いつもこの部屋で陰鬱な気分になりながらモニター越しに話すだけだった。 元老院が本当はどこにあるかは誰も知らない。 恐らくはガニメデ・カリスト・エウロパの衛星群のどこかにあると推測される。 なぜなら、木連の人間にとって大地は憧れそのものだからだ。 コロニーしか知らず、地平線の概念すら無いまま死んでいく人間は多い。 草壁春樹もまたコロニーの大地しか知らぬ男だった。 しかし、同時にその不安定極まりない大地を愛していた。 そこに住む人々を愛していた。 それは首相になった現在も変わらない。 いや、いっそう強くなった。 それは人によっては愛国心と呼ぶ類のものかもしれない。 だから首相として国家に従属し、尽くす事を誓った。 それが自分の愛した人々と大地を豊かにすると信じたからだ。 だが、現実は違った。 この戦争は元老院の意思が大きく関わっている。 彼らは月を取り戻したいだけなのだ。 かつての栄光にすがる惨めな老人ども。 独立派指導者の直接の子孫を自称する彼らだったが、今はただ惨めなだけだ。 100年前の亡霊が今を生きる人間を操っている。 「理想は、我らの理想はこんなものではなかったはずだ」 月が独立を目指したのも、豊かさを求めてだ。 そうすれば皆が幸せになれると信じていたからだ。 それがいつしか月の独立こそが目的となってしまった。 月の独立は手段であったはずだ。 それが目的となった時、悲劇の幕は上がった。 過激派の相次ぐテロは、ついに地球の介入を招き月は内戦状態に。 そして敗れた独立派は、さらに分裂しながら火星へ逃れた。 開発が始まったばかりの火星は決して豊かではなかっただろうが、 そこには大地があり、そこに根付いた人々の生活があった。 束の間の平穏。 が、地球は容赦なく彼らにも牙をむいた。 ――― 成層圏外からの核攻撃。 どれほどの人間が犠牲になったのか正確な記録は残っていない。 彼らの祖先は被害の凄まじさに混乱し、地球は都合の悪い記録は抹消した。 そこで消えた人々は、歴史からも抹消されたのだ。 生き残った人々は大地すら奪われ、ついに木星にまで辿りついた。 そこで古代文明の『遺跡』を発見し何とか生き延びた。 苦難などと言う言葉では表しきれないほど辛酸と凄惨さに彩られた歴史だ。 木連が中央集権型の国家体制を敷いているのもそのため。 初期の頃の貧困の極みにあった時代は強力な指導者が必要だった。 誰もが明日への微かな希望を求めていた。 それは半ば独裁的ではあったが、それでも祖先が国家を築けたのはそのおかげだ。 無能な指導者ではとっくの昔に全滅している。 彼らは常に何百、何千、何億もの同胞の命をその双肩に背負ってきた。 草壁の曽祖父も10年に渡って首相を務めた男だった。 彼はそれを誇りとしていた。 そして、その曽祖父と同じ地位に立てることに喜びを感じていた。 だから同時に苦悩もしている。 わずかな指導者のために行われているこの戦争の実態に。 「……草壁」 「北辰か」 呼び捨てにされたことを咎めはしない。 彼とは長い付き合いだった。 草壁が首相の座につくとほぼ同時に北辰も四方天へ就任していた。 その時はまだ先代の東も健在だった。 「元老院はなんと言ってきた?」 「相変わらずだ。 月を守れと。 馬鹿の一つ覚えのように繰り返す」 地球側に月攻略戦の動きがあるのは北辰らの諜報活動で知れていた。 それどころか地球では盛大に艦隊を集めているところを放送したりしている。 しかも、今までに無いくらいの規模で。 死人でも気付きそうな勢いだ。 「それで、なんの用だ? 貴様がただ顔を見せに来たと言うわけでもあるまい」 首相の態度に戻って問う。 「良くない話だ」 「聞き飽きているが……聞かぬわけにもいかぬな」 苦笑を浮かべつつ先を促す。 首相になってからと言うもの、良い報告などろくに無い。 都合の悪い情報を隠されるよりはマシだが。 「あと数分で南雲も来ると思うが、東の小娘の事よ」 「東 舞歌だな。 それがどうした?」 本当なら少将に昇格してもおかしくない功績を挙げていたが、 首相の草壁が中将で、四方天の八雲や南雲ですら少将である。 さすがに四方天と同格にはできず、准将のままで代わりに優華部隊を独立させた。 その件で南雲や、八雲とも一悶着あったのだが、その件は納得したはずだ。 それに北辰の領分ではない。 「もう一人の東が騒いでおる」 「……まさか、東 槙久か」 失念していた。 彼は先代の東 ――― つまりは八雲たちの父の弟にあたる男だった。 平たく言うと八雲と舞歌の叔父である。 が、問題はそんなことではない。 一応はこの男も先代東が病で倒れた時に四方天の候補として上がったのだ。 しかし、結局はそうはならなかった。 理由は簡単。 八雲の方が有能だったから。 終わり。 しかし、本人は納得しなかった。 ことあるごとに八雲に対して対抗意識を燃やしている。 それがますます判断を狂わせ、視野を狭めている事に本人は気付いていない。 草壁としてはそんな人物に軍を任せるつもりはなく、適当な閑職に回していた。 官僚の天下りとにたような物だ。 地位は高いが実行力は伴わない。 先代東の弟で、現東の叔父だから邪険にも扱えない。 いかにも困った御大、それが今の東 槙久という男に対する草壁の見解だった。 「首相、お話があります」 そこへ南雲が入ってきた。 困惑を怒りを隠しきれていない様子だ。 「東 槙久のことか?」 「ご存知だったのですか?」 「北辰より訊いた。 しかし、何でまた今になって騒ぐ? どうせなら優華部隊が独立したときにでも抗議すればいい」 そのくらいの権利は認めている。 まあ、反対したところで押し通しただろうが。 「それが、ある噂のせいなのです」 「噂? 女子供でもあるまいし、木連男児が噂ごときで平常心を失うとは情けない」 「はあ、しかし、木連男児だからこそ問題なのです。 それは ――― 」 南雲の話によるとその噂が流れ出したのは優華部隊が独立し、 地球側で月攻略戦部隊の編成が大々的に発表されてからしばらくしてからのことらしい。 出所はいまいち不明ながら(噂話によくあることだ)内容は要約するとこんな感じだ。 『木連軍人の男どもはどうにもなさけない。 優華部隊ですら前線で戦ってきたのに、無人艦隊の後ろに隠れて震えている』 『いや、優人部隊はともかく、無人艦隊の指揮官は情けない。 撫子にいいようにやられているのに、何の対策もありはしないのか?』 『優人部隊は新型機動兵器が完成したら地球人を駆逐してくれるに違いない。 これで臆病な無人艦隊の司令官は必要ないだろう』 と言うような話だったのが最終的に、 『無人艦隊の司令は臆病な卑怯者だ。 仕方ないから優華部隊が火星まで出向いて敵を討ってきたんだ』 と言う形で落ち着いたらしい。 問題なのはその“無人艦隊の司令官”が東 槙久なのだ。 無人艦隊は適当に戦地へ送りこめばあとは勝手に作戦行動をとってくれる。 司令官の存在など本当はいらない。 作戦立案は八雲と参謀本部の仕事であって、司令官はその作戦要綱にしたがって艦隊を動かせばよい。 しかし、指揮下にあるのは自立型の電子頭脳を持った無人艦隊。 司令官の仕事は“見送り”と“出迎え”しかない。 移動する間に落伍艦が出ないか気を配る必要も無い。 陣頭指揮で勇猛に敵へ吶喊をかける必要も無い。 ただ後方でチューリップに入っていく艦隊を見送り、帰ってきた艦隊を出迎えるだけ。 電子頭脳のチェックや弾薬の補給、損害計上から戦果評価まで、諸々は部下がやる。 だからそう言われても仕方ない面はある。 しかし、職務を全うするのが軍人の務め。 そんな誹謗中傷など聞き流していればいい。 自分にやましいことがなければ、胸を張っていればいい……のだが、彼の場合それができなかった。 なぜなら、密かに闇市場へ物資の横流しをしたり資金を横領したり、“思い当たる節”があったのだ。 しかも対抗心を燃やしている八雲の妹にまで出し抜かれたとあっては、彼のいびつに肥大したプライドが許さなかった。 そこに追い討ちをかける“何か”があったのだろう。 東 槙久は一昨日から南雲のところを訪れては名誉挽回の機会をくれと要求しているらしい。 南雲は確かに軍人だが、軍事作戦に関しては八雲の領分だからそちらへ行けと言ったのだが、 槙久は聞き入れなかった。 『あいつは俺をひがんでいるから、きっとろくな作戦をよこさない』とのことだ。 よほど『ひがんでいるのは貴様のほうだろうが』と言ってやろうかとも思ったが、 そうもいかず堪りかねて草壁のところへ来たと言うことだ。 「……まことに情けない話ですが」 そう言って南雲は締めくくった。 「とにかく、事情はわかった」 頭痛がしてきそうな話だった。 地球との戦争だけでも厄介だというのに、身内のごたごたまで抱えては戦いにならない。 「どうする? 何なら我が消すぞ」 物騒極まりない北辰の提案だったが、それも魅力的なプランだった。 『邪魔者は消えてもらおう、ふははは』などと言うとまるっきり悪人のノリだが、それも時と場合によりけりだ。 槙久の我侭を聞いたせいで戦争を失うなどと言うことになったら洒落にならない。 「暗殺は最後の手段にする。 いくらなんでもこの時期に司令官が“事故死”するのはいかにもまずい。 兵の士気に関わる」 「……承知。 いざとなれば、躊躇はせぬ」 情けない話だった。 敵ではなく味方のために頭を痛めるとは。 「しかし、軍事作戦ともなれば東……八雲を通さぬわけにはいきませぬぞ」 南雲と八雲はよく対立するが、別に感情的なものではない。 軍事と政治の折衷を行うための必要措置だ。 南雲も八雲の有能さは認めているし、八雲も南雲の手腕は評価している。 事実、戦争と言う社会不安の中にあっても木連の社会に大きな混乱は無かった。 「……難題だな」 「むう」 北辰も草壁も唸って沈黙してしまう。 ………妙案は何かないものか? 『求めよ、さらば与えられん』とは聖書の一説だが、この時、天啓のように草壁は閃いた。 「月だ」 「はあ、月?」 「元老どもの話か?」 「そうだ、月だ!」 急に精気を取り戻した草壁を残りの2人は妙な目で見ていた。 しかし、まさにこの瞬間、悲劇と喜劇の役者が決まった。 ○ ● ○ ● ○ ● 月防衛艦隊旗艦・戦艦<睦月> 東 槙久は上機嫌だった。 新調された制服の階級章には星が一つ。 つまりは少将だ。 ざまあみろ、八雲! これで貴様の時代は終わりだ。 これからは、この俺の時代だ!! 周囲に誰も居なければ彼はそう叫んでいた事だろう。 しかし、木連の戦艦の艦橋は狭い。 大声で叫ぼうものなら全員に聞こえてしまう。 それはいかにもまずい。 「司令、本艦はいったん火星を経由して月へ向かう航路をとります。 次元跳躍門を使いますので、5日ほどの航程になります」 「航海長、月防衛艦隊司令官閣下だ」 「はっ、月防衛艦隊司令官閣下」 「うむ」 尊大に頷いて懐の広いところを見せ付けてやる。 じっさいは言い直させている時点で狭さを露呈しているのだが、本人は気付いた様子もない。 彼の麾下にあるのは戦艦だけでも30隻を越える大艦隊だった。 それらはさらに月駐留の艦隊と合流して、合同で月の防衛にあたる予定だ。 有人艦艇は旗艦で彼の座乗するこの戦艦<睦月>と……優華部隊の旗艦となった戦艦<上弦>だけだ。 優人部隊? くそ喰らえだ! 優華部隊? 大人しく後ろで見ていろ! 俺が! この俺と、俺の艦隊が地球人を討ち倒す! 駆逐する! 殲滅する! 断罪する! 誰にも渡さん!! ぎらついた眼で上弦を睨みつける。 彼にとっては自分以外の全てが敵に思えていた。 そもそもの発端は3ヶ月前。 火星での無人艦隊の喪失について嫌味の一つでも言ってやろうと 優華部隊の司令部(当時はまだ独立していなかった)を訪れた時の事だった。 彼を出迎えたのはよく知る人物だった。 えんじ色の和服に身を包んだ若い女。 確か、八雲の妻で琥珀とか言う小娘だ。 「槙久さま? 今日はどのような御用向きですか?」 「舞歌に話があってきた」 琥珀は先代東の葬式でも会っていた。 当時はまだ本当に小娘だったが、こんな風に育つなら手元に置いておけば楽しみも増えただろうにと思う。 「舞歌さまは不在ですが……もしかして例の噂ですか?」 と、琥珀はそう言ったのだ。 いかにも後ろめたいような感じで。 その時は何のことかわからなかったので、 「別件だ。 居ないのなら出直してくる」 そう言ってその場を後にした。 が、『例の噂』と言うのが気になって部下に訪ねてみたが、部下もまた何のことかわからなかったようだ。 その時はただそれだけだった。 次にその話題が出たのは東の本家に立ち寄った時の話だ。 今度は琥珀の妹の翡翠が出迎えたのだが、やはり彼女もこう言った。 「槙久様、例の噂の件でしたら、あれは根も葉もない事です。 槙久様が立派な方であることは舞歌様も八雲様も存じておりますから」 やはりその時も何のことかわからなかったので適当に話をあわせておいた。 そこで『例の噂』とやらが自分に関係あるらしいと言うことがわかった。 そこでその後、舞歌や八雲にそれとなく自分の近況について何か聞いていないか訪ねたが、 2人は何も知らないようだった。 3度目の接触は具体的だった。 某アングラ掲示板に匿名の投書で、 『無人艦隊ばかり戦わせて優人部隊は何をしているのか。 木連男子の意地はどこへいったのだ』 と言うものがあったのだ。 本来ならこんなものを投函しただけで逮捕ものだが、どうにも犯人がわからなかった。 結局、それでうやむやになってしまう。 4度目。 これはネット上に流れた噂。 『優人部隊は秘密兵器の開発に忙しいらしい。 代わりに優華部隊が火星で撫子と戦ってきたらしい』 5度目。 これは単純に優華部隊を称える投書。 『優華部隊は駆逐艦1隻で敵戦艦に大打撃を与えたらしい。 無人艦隊が苦戦しているのにやってくれるじゃないか』 が、やはり差出人不明。 6度目。 核心へ近付く。 『無人艦隊が役立たずなのは司令官が悪いからだ』 ここから内容はエスカレートする。 7度目。 『無人艦隊の司令官が無能だから撫子1隻仕留められないのだ。 仕方なく優華部隊が代行したらしい』 8回目 『無人艦隊の司令は臆病な卑怯者だ。 仕方ないから優華部隊が火星まで出向いて敵を討ってきたんだ』 ここにきてついに彼はキレた。 ネットワーク上で流れた噂の主をつきとめようとした。 それは失敗に終わり、某匿名掲示板に『無能、必死だな(w』とまで書かれた。 さすがにその頃には舞歌や八雲も噂は知っていたようだが、 彼はむしろ噂を流したのは八雲や舞歌ではないかと疑いだしていた。 さすがに面と向かって『お前ら俺の悪口を言っていないか?』とは聞けなかったが、 ちょくちょく東家を訪ねて確信を得ようとした。 そして1週間ほど前の話だが、槙久は琥珀と翡翠に会った。 2人は買い物帰りのようだったが、その時にこんなことを話した。 「地球人が月へ攻め込もうとしているみたいなんですよ。 もしかしたら、また大きな戦闘になるかも」 「そうなったらまた私たちも出撃するのでしょうか、姉さん?」 「他に行く人がいなかったらそうなるでしょうね」 これにはカチンときた。 普段なら聞き流していたかもしれないが、例の噂のこともあった。 「それは俺が臆病だと言っているのか?」 「いえ、そんな滅相もない。 ただ、八雲さまたち優人部隊はまだ動けないですし、他に行く人が居なければという意味です」 「槙久様が前線に自ら赴く必要もありませんし。 そうなれば今動けるのは優華部隊だけですから」 「そら見ろ、俺に前線にでる胆力がないと言っている」 「……いえ、決してそのようなことは」 「翡翠ちゃんの言葉が足りなかったのは謝罪します。 ですが、本当に司令官が前線に赴く必要はないのですから…… 舞歌さまは別ですけど」 「舞歌にできて俺にできないとはどういう意味だ!」 「いえ、そのような意味では……」 琥珀が弁解しようとするのも聞き入れず、彼はその場を去った。 それでもおさまらず、ついに南雲に直談判を行った。 そしてそれが実ってここに居る。 この戦艦<睦月>の艦橋に! しかも異例の少将抜擢。 いや、ついに俺の才が認められたと言うことだ。 「いいか、自分以外は全て敵だと言う気概でいけ! 必要とあれば友軍の屍も越えて行くんだ!!」 それは必要でなくても乗り越えたい屍だったが、 さすがに面と向かって上弦の連中は気に食わないから撃てとも言えない。 そんな司令官を見て部下たちは、戦闘前からあの意気込み。 普段は目立たないのに勇猛な人だと感心していた。 知らないと言うことは幸せである。 東 槙久は自分が勝者だと信じて疑わなかった。 自分がここに居るのも、自分の意志だと。 そう信じて疑わなかった。 <続く>
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代理人の感想
木連には某巨大掲示板があるのかっ(爆笑)!
で、木連と地球の和平が成り立ったときに百年間別れ別れだった
木連の2ちゃんねらーと地球の2ちゃんねらーが再会する・・・・・実に嫌な光景だ(爆)