「次はパイロットの補充か。

ま、今度はアシュセイバーが使えるし

たいした問題は無いだろう。

・・・・・おそらくな。」





















ナデシコ大戦A 「時の流れに」

第四話































 俺の目の前では・・・。

 ジュンと艦長が、何とも言えない会話をしている。


 
「そうだよね!! ジュン君はユリカの一番大事な友達だもの!!」

 

 艦長の宣言に固まるジュン。

 ジュン・・・お前は、ずっとこんな会話をして育ってきたのか。

 さすがに同情をしてしまうな。

 

「ユ、ユリカ・・・そうじゃ無くて。」

 

「心中お察ししますよ。」

 

「・・・まあ人生先は長いんだし。」

 

「今後の活躍を期待する。」

 

「負けずに頑張って下さいね。」

 

 上からジュン、プロスさん、ミナトさん、ゴートさん、メグミちゃんだ。

 以上が、ジュンのナデシコ入隊歓迎式だったそうだ。


















「相変わらずだな、この部隊は。」


 それが俺の感想であった。

 いくら次元が違っても本質は変わらないようだ。

 ・・・・・・嫌なことも、な。






















 そんなことを考えていると

 プロスさんがどうやらテンカワと俺を呼んだみたいだ。

 まあ、間違いなくこないだの戦闘についてだろうが

 テンカワの強さの秘密が聞けるかもしれないので

 少し楽しみにしてテンカワを待った。



































「さてさて・・・テンカワさんとアクセルさんの

 戦闘記録を今先程、ブリッジ全員で拝見させてもらいましたが。」

 

 プロスさんがそう切り出し。

 

「正直言って、信じられん程の腕前だ。」

 

 ゴートさんが代表で褒めてくるが別に大したことではない。

 

「やっぱりアキトは私の王子様だから!!」

 

 ユリカ艦長・・・他に台詞を知らないのかアンタは?

 もう一つの世界でも、同じ台詞しか聞いた覚えが無いぞ。

 

 しかし、そんな騒がしいユリカ艦長をプロスさんが一言で黙らせる。

 

「艦長は黙っていて下さい。」

 

「・・・はい。」

 

 ・・・艦長って役職は一体なんなんだ?

 しかし、かなり気合が入ってるなプロスさんにゴートさん。

 

「しかし・・・何故です?

 これ程の腕前を持ちながら、今までテンカワさんが軍に所属していた記録は無い。

 はっきり言えば、テンカワさんの実力を持ってすれば・・・」

 

 眼鏡を怪しく光らせながら、テンカワを睨むプロスさん。

 

「装備が揃えば・・・コロニーでさえ単独で落せる。

 ましてやナデシコを落す事も可能だ、と言う事だ。」

 

 ほう、ゴートさんとプロスさんの裏の顔が垣間見えたな・・・

 それに、俺の聞きたいこともちゃんと聞いてくれてるし。
 


「俺は・・・両親にその手の教育を受けたんですよ。

 両親は何かに怯えていました。

 そして、自分の身は自分で守れる様に、と。

 火星のある場所に、俺専用のトレーニング機を作ってました。

 でも、俺は両親の言う事なんて信じてなかった。」

 

 ・・・かなり信用出来ない話だよな。

 ユリカ艦長は・・・涙目で頷いてるし。

 でもこれはテンカワが話してるからだよな・・・

 ルリちゃんは・・・肩が笑ってる。

 珍しいね、これまた。

 

 ってまだ続きがあるのか。

 








「だけど、両親がテロで殺されて、その話を信じる事にしました。

 俺は火星にいる間は、そのトレーニング機で練習をしてたんです。」

 

 ・・・・・・こんなの信じる人って艦長くらいだよな。

 ・・・ルリちゃんは呆れた顔をしてるし。

 こんなくだらない話をどこで考えたのやら、まったく。

 

「・・・確かに、テンカワ夫妻なら可能な事かもしれませんな。」

 

「プロスさん!! アキトの御両親をご存知なんですか?」

 

 艦長、テンカワより先に反応しないほうが今のは良かったんじゃ。

 テンカワの奴セリフが無くなって詰まってるよ。

 

「ええ、テンカワ夫妻は高名な科学者でしたからね。

 ・・・それが、テロなどでお亡くなりになるとは。」

 

 プロスさんも上手く話に乗ったなぁ。

 かなり感心するよ。

 

「俺も最初は信じられませんでした・・・

 でも、あのトレーニング機だけが両親の形見だったから。

 俺、一生懸命練習したんです。」

 

 嘘泣きまで付けてもちょっと無理があるってこれは。

 このまま同情を誘って一気に話しを誤魔化そうとしてるんだろうけど

 もうちょっと話の仕方を考えてやらないとなぁ。

 

 ・・・ルリちゃん、その視線はかなり痛いと思うぞ。

 

「では、テンカワさんはエースパイロットとしても働ける、という事ですな。」

 

「え、ええ、まあそう言う事になりますね。」

 

「丁度良かった。

 ヤマダさんがあの状態ですからね・・・パイロットが不足していたんですよ。

 ではこの契約書にサインを・・・」

 

 何故か嬉しそうに、懐から契約書を出すプロスさん。

 その笑顔が怖いよ。

 

 これは・・・テンカワの奴、完璧に墓穴を掘ったのでは?

 

 テンカワは結局、正式にエステバリスのパイロットとなり・・・

 俺の知っているのと同様に、コックとパイロットを兼任する事となった。





























 ・・・さて、次は俺の番かな。



「テンカワさんのことは良しとして、

 今度はアクセルさんですな。」


 そういってこちらを向くプロスさん。

 それにつられて他の皆もこちらを向く。

 ・・・特にテンカワとルリちゃんの目が怖いね、これが。



「アクセルさんは何故これほどの腕を持ちながら

 今までその存在が一度として世間に出てこなかったのかが

 不思議なのですが、第一これだけの実力があるのが分かっていたら

 ネルガルが真っ先にスカウトしてますよ。

 そこのところを詳しく教えてもらえますか?」



 ふむ、流石はプロスさん。

 これだけ言われると流石に半端な答えじゃ許してもらえないな。

 どうするか。


「・・・軍の機密。

 と言っても納得してもらえませんか?」



「いくら機密とはいえ

 流石に疑いますよ、今回のことに関しては。」



 まいったね、どうも。

 本当のことを言う訳にもいかないしなぁ。

 何より、テンカワとルリちゃんの眼が怖いよ。



「・・・仕方ないですね。

 これを渡しておきますよ、後は調べてくれたらいいですよ。」



 そう言ってプロスさんに一枚のメモを渡す。



「・・・これは?」



「もう俺の経歴を調べたんだろう。

 それが鍵だ、プロテクトを解く・・・な。」




   「「「!!」」」




 ほう、驚いたのはプロスさんにテンカワに

 後、顔の表情は変わらなかったがルリちゃんか。

 やはり、テンカワとルリちゃんは俺の考えが当たってるかもな。



「・・・ではこれで見てもいいと?」



「そうでもしないと納得しないでしょう。」



「まあ、そうですが・・・。」



「その代わり、見たらすぐにパスワードを捨てること。

 他の人間に教えないこと。

 後は、軍機に触れるので気をつけてください。」



「・・・分かりました。」



「じゃあ、これでいいかな?」



「ええ、構いませんよ。

 では、これで解散と言うことで皆さん持ち場に戻ってください。」



 俺はテンカワとルリちゃんの眼から逃げるようにして

 ブリッヂを去った。



(やっぱり俺の考えは当たってるのか?)






























 サツキミドリコロニーに向かう途中

 避難してくる人々とすれ違った。

 何でもエマージェンシーによるものらしい。

 後日、これは木星蜥蜴の奇襲によるものらしいと判断された。



「・・・確信犯。」



「それは言わない約束だよ、ルリちゃん。」



 っというやりとりがあったのは誰も知らない。










































「はじめまして!! 新人パイロットのアマノ ヒカルで〜す!!」

 

 

「おおおおおおお!!!」 (メカニック達の魂の叫び)

 

 

「18才、独身、女、好きな物は、ピザのはしの硬くなった所と、両口屋の千なり。

 後、山本屋の味噌煮込みで〜す!!」

 

 

「おおおおおおお!!!」 (メカニック達の血の叫び)

 

 

 ・・・まあ何とかヒカルちゃんとリョーコちゃん、それにイズミさんは無事に合流出来た。

 と、言ってもサツキミドリからの避難組から、彼女達を引き取っただけだが。

 自分の機体は、それぞれ避難時に持ち出したらしいのだが・・・

 それでもエステバリスの0Gフレームが、一台残ってるらしい。

 はぁ・・・結局取りに行くんだろうな。

 

「よお、俺の名前はスバル リョーコ 18才、パイロットだ。

 これからよろしく。」

 

 

「うおおおおおおお!!!」 (メカニック達の熱き叫び)

 

 

「特技は居合抜きと射撃。

 好きな物はオニギリ、嫌いな物は鶏の皮、以上。」

 

 

「うおおおおらららららら!!!」 (メカニック達・・・狂う)

 

 

「愛想が悪いよリョーコちゃん。」

 

「けっ!! 自己紹介に愛想なんかいるか!!」

 

「じゃあ私が代りに、色々とリョーコちゃんの秘密を喋っちゃおっと!!」

 

「何だとヒカル!! てめー勝手な事するなよな!!」

 

 ・・・相変らず仲がいいんだなリョーコちゃん、ヒカルちゃん。

 あれ? イズミさんは何処だ?

 

 

 ベベベンン・・・

 

 

「おわ!!」

 

 お、俺の後ろを取るとは誰だ!!

 

「こんにちは〜〜」

 

「こ、こんにちは。」

 

 イ、イズミさんだったのか・・・今まで気配が無かったのに。

 

「どうも、新人パイロットのマキ イズミです。」

 

 

「うおおお・・・・???」 (メカニック達正気に戻る)

 

 

「ふふふふふふ・・・ヒカルとリョーコ・・・二人揃って・・・」

 

 

「・・・・・・・」 (全員凍結)

 

 

 はっ!! な、何が起こったんだ一体!!

 何かイズミさんが喋った様な記憶が・・・駄目だ、思い出す事を本能が拒否している。

 周りを見渡すと、イズミさんが楽しげにウクレレを鳴らしているが・・・

 

 あ、艦長とジュンも凍ってる。

 ・・・テンカワもか。

 

「イズミさんの話を聞いていた乗組員全員が、意識不明です。

 ・・・どうしますかアクセルさん?」

 

 一人平気な顔で俺に話しかけるルリちゃん。

 

「ルリリンは聞かなかったの・・・もしくは効かなかったの?」

 

「耳栓してましたから。」

 

「・・・賢明な判断だね。」

 

「それから、その呼び方やめてください。」

 

「いいじゃないの、別に減るわけじゃないんだし。」

 

 結局、ナデシコが通常勤務に戻るまで一時間もかかった・・・

 よく、木星の無人兵器に攻撃されなかったものだ。




































 その後・・・俺達主要なメンバーはブリッジに集まっていた。

 今後の作戦を話し合う為であるのだ、が・・・

 

「ねえねえ!! この船に乗ってる三人のパイロットって誰なんですか?」

 

 元気よくヒカルちゃんが、ユリカに質問をしている。

 

「え〜と、一人は名誉の負傷の為に入院中です。

 後二人は・・・」

 

「俺がその一人だ。名前はアクセル・アルマー、この艦の副提督もやってるが

 かたっくるしいからアクセルと呼んでくれ。」



 艦長の性格からしてテンカワを先に紹介しそうだからな

 先に言っておかないと。



「へぇ〜〜〜。副提督もやってるんだ〜。」



「ってことは、軍人かよ!」



「まあ、そうなるな。」



 ヒカルちゃんは感心しているが

 リョーコちゃんはあんまりいい顔はしないな、やっぱり。



 そんなことをやってると流石に艦長が膨れた顔でこっちを睨んでくる。

 そこで、俺は艦長に発言の権利を渡した。


 するとテンカワの方を向いて、笑顔でヒカルちゃん達に紹介をする艦長。

 しかし、名誉の負傷・・・

 ヤマダ、お前の名誉は守られた様だ。

 

「ナデシコの誇るエースパイロットのテンカワ アキトです!!

 そして私の王(モガッ!!)」

 

「・・・艦長、今はそんな事を言ってる場合ではないでしょう?

 アルセルさんもです。 全く、今はすこしでも早く

 サツキミドリに残された、0Gフレームの回収の話しを先決させて下さい。」

 

 ミナトさんに口を押さえられ、目を白黒させながら頷く艦長。

 ・・・成長しないな、全然。




 

・・・俺も悪いんだけどな。






「御免ね〜艦長、プロスさんって怒ると恐いんだもん。」

 

「・・・で、結局は回収に向かうんだろ?」

 

「ええ、それは是非ともお願いしますよ。」

 

 結局はテスト飛行を兼ねて、パイロット全員で回収に行く事になった。

 だが、結局リョーコちゃんとプロスさんとで、話しを決めてしまったな。

 ・・・艦長、アンタって一体?








 



「クスン・・・ルリちゃん、皆が私を苛めるの・・・」

 

「私、少女ですから。」

 

 ・・・意味不明な会話をしてるな、二人して。



































 そしてサツキミドリに向かう俺達・・・ヤマダは勿論ベットの上。

 途中でリョーコちゃんから通信が入った。

 

 

 ピッ!!

 

 

『確か、テンカワとアクセル・・・だったよな?』

 

「ああ、そうだよリョーコちゃん。」



「合ってるよ、スバルさん。」

 

『けっ!! なれなれしい奴だな、会ってから二時間でもう呼び捨てかよ!!』

 

 う〜ん、相変らず威勢がいいと言うか、何と言うか。

 

「気に障るんだったらアクセルみたいにスバルさん、って呼ぶよ。」

 

『・・・リョーコでいい。

 一応パイロット同士で仲間だからな、他人行儀は苦手だしな。』

 

「了解。」



「じゃ、俺もそれでいいかな?」

 

「ああ、いいぜ。」



 

 ピッ!!

 

 

『じゃあ私もヒカル、でいいからねアキト君にアクセル君!!』

 

 突然ヒカルちゃんも通信に割り込んで来た。

 

「はいはい、了解しました。」



「了解。」

 

『・・・リョーコ、テンカワ君とアクセル君に何が言いたかったの?』

 

 ・・・心臓に悪い登場をする人だな、イズミさんは。

 しかし、通信ウィンドウの開く音がしなかったぞ?

 もしかして、自分でキャンセルをしているのか?

 

『そうそう!! テンカワにアクセル、お前ら本当に凄腕のパイロットだな!!

 地球圏脱出の戦闘記録見せてもらったぜ!!』

 

『そうよね〜、とても人間業とは思えない腕前よね。』

 

『・・・同感。』

 

「褒めても・・・何も出てこないよ。」



「同じく。

 お、サツキミドリが見えてきたな。」

 

 テンカワがその話題を避けようとしていたので、

 ちょっとばかり手伝ってやる。

 

『よっし!! 俺が先頭で案内するからな!!

 後続はしっかりと警戒しながらついて来いよな!!』































『デビルエステバリスだー!!!』

 

 なんだか・・・見たまんまなネーミングだな、それって。

 

 

 ヒュン!! ヒュン!!

 

 

 中々の素早さで、デビルエステバリス(ヒカルちゃん命名)がコロニー内を飛び回る。

 

『くそっ!! 何て速さで動くんだよ!!』

 

『見かけは重そうなくせに!!』



 ふむ、実際に戦うのは初めてだがなかなかの物だな。

 ・・・しかし、大して強いわけでも無いし

 とりあえず使える程度には、しておかないとな。




 こいつのパターンを読んで。




「そこだな。」





 ドドン!!






 エステバリスを操っている無人兵器を、エステバリスの頭部ごと打ち抜く・・・

 ちょっとした隠し芸を披露した気分だな。

 しかし、テンカワも狙っていたのか二発の銃声が重なった。

 そして見事に頭部を打ち抜いていた。




『・・・うそ?』




『一発で・・・終わりかよ。』




『信じられない腕前ね。』




 三者三様の褒め言葉を貰うが、少し違う。



「今のは俺とテンカワの打つのが重なったから、

 正確には二発で終わりってことなんだ。」




「そうですね。」




 この言葉でさらに呆れられたりした。

























 そんなこんなで戦闘も終了し

 そしてナデシコはパイロットの補充も済ませて

 また一歩、火星へと近付いたのであった。





























   後書き

 自分でも何かヘタクソだと思ってる今日この頃。

 座談会を読んで更に思うようになってたりします(^^;

 これからの展開をもう一度考えて書いてみようと思い、

 余計に混乱してます。こんな作者なので、

 是非感想や意見のメールなどを送っていただければ光栄です。

 これからもヘタなりにがんばって書くつもりですので

 今度ともよろしくお願いします。

 

 

代理人の感想

ん〜むぅ・・・・・・・

時ナデの丸写しが少々多過ぎやしないかなと呟く今日この頃。

「アクセルがいたから変化した部分」ってのが見えてこないんですよね。

そこらへんもうちょっと書いてくれると面白くなると思います。