いきなりだが、雲とは何で出来ているのだろうか?

聞くまでもないだろう。

皆さんが知っている通り、雲とは水で出来ている。

蒸発した水が、上昇気流によって空へと昇り、上空で冷やされてまた水に戻る。

そういった細かい水滴が集まってきたのが雲なのだ。

そして、その細かい水滴が集まって、重くなってのが落ちてくるのが雨。

そして、当然のことだが、雲にもいくつか種類がある。

その中には、積乱雲と言うものがある。

俗に言う入道雲だ。

夏に良くでき、とてつもなく大きい。

巨大なものは、高さが10㎞を超える場合もある。

この雲は、夕立のような強い雨を短時間降らせる。

そして、ここが重要なのだが、雷を起こさせるのもこの雲なのだ。

え、どこが重要なのかって?

それをこれから話すんですよ。







ピカッ

ガラガラガラーーーン!!


閃光の後、大気を震わせてすさまじい音がする。

そのあまりの大音量に、千沙は思わず体をすくめる。


「ううっ、せっかくの休みなのになんでこんなことになるのぉ……」


部屋の隅で布団を頭からかぶりながら、体を震わせて千沙は呟いた。

その瞳は赤く染まり、声もどこかかすれている。

わかりやすく言うと、泣く一歩手前。

もう既に泣いていると言う人もいるかもしれない様子だ。

だが、たかが雷でと嘲笑うなかれ。

彼女の出身は木連。

つまりは、コロニー出身者なのだ。

コロニーに住んでいた以上、地球や、テラフォーミングされた火星などと違い、自然現象など起こりえるはずもない。

当然、知識としては知っているのだが、実際に体験する事はできなかったのだ。

彼女のように、地球と木連の和平後、そのあたりのことで問題が起こることが多いとは言えないが、決して少なくはなかった。

まあ、彼女の雷を恐れる気持ちは、同じ木連出身者のそれよりも強いものがあるのも事実と言えば事実なのだが―――


ゴロゴロゴロ


また低い音を立てて雲が鳴った。

千沙がまたびくっと体を震わす。


「もうやだよぉ……アキトさんはやくかえってきてよおぉ……」


舌がうまく回らない状況で、べそをかき始め、同居人の帰りを待ちわびる千沙。


ガチャ


「ただいま~、あれ?電気がついてない。

 千沙さんまだ帰ってきてないのかな?」


もう限界、というタイミングで、ちょうど彼女の同居人である先の戦争での最大の功労者、テンカワ・アキトが帰ってきた。

それを見た瞬間、千沙は、迷子になっていた子供が母親を見つけたときのようにアキトに走りより抱きついた。

というより、タックルした。


「う、うわっ!!」


千沙がいるとは露にも思っていなかった状態で、いきなり体当たりを受けることとなったアキトは、そのまま後方へと倒れこんだ。

当然のことながら、両手は千沙が怪我をしないよう彼女へまわされていた。


ドシン!!


「痛つつつつ……」


アキトの両手はふさがれていた為、受身がうまくとれずに頭を少々打ったようだ。


「いきなりどうしたんですか、千沙さん。

 なにかあったんですか?」


アキトの胸に顔を埋め震えている千沙にアキトは優しく声をかける。

頭をぶつけた痛みで多少目に涙が滲んでいるが、誰も見ていないので、それはとても様になっていた。


「くすん……言っても笑わないって約束してくれますか?」


多少ぐずりながらも、アキトの胸から上目遣いで答える千沙。

それにどうやって耐えることができようか?

当然アキトも顔を赤らめながら頷く。


「……怖かったんです。」


「え?」


(アキトとは別の意味で)千沙も赤面しながら言う。

だが、声が小さすぎてアキトには聞き取れなかったようだ。


「だから、雷が怖かったっていてるんです!!」


そこまで言って、千沙はぷいと顔をそむける。

だが、アキトの体に手は回されたままだし、体もまだ震えているのだ。

あまり迫力はない。

その様子に、ポカンとしていたアキトだが、やおら千沙を抱えて立ち始めた。



「きゃっ!!ちょっ!!なんですか!?」


バランスを崩しそうになった千沙は、慌ててアキトの首に手を回す。

俗に言うお姫様抱っこだ。


「雷が怖いんでしょう?

 だったら俺がその間ずっと傍にいてあげますよ。」


必殺のテンカワスマイルとともに爽やかに言い放つアキト。

それに千沙は顔を真っ赤にしながら陥落した。


「でもいきなり立ってどうするんです?」


千沙が多少落ち着きを戻して聞き返す。

笑顔に騙されそうになったが、実際先程のはあまり問いの答えになっていない。


「きまってるじゃないですか。俺の部屋に行くんですよ。」


「え?」


目が点になる千沙。


「安心してくださいよ。弱みに付け込んで変なことしたりしませんって。

 ただ、傍にいる代わりに、千沙さんと二人っきりで俺の部屋でゆっくり過ごしたいなって思っただけですから。

 ……ダメですか?」


最後のところは、心配そうに聞いてくる。

そんな風に言われて断れるほど、千沙はアキトに対して強くない。

結果、顔を更に真っ赤にしながらOKしたのだった。

















次の日の朝


「う、う~ん」


呻き声とともに千沙は目を覚ました。

あたりがいつもと違う風景なのに少し驚いたが、すぐに昨夜のことを思い出して落ち着きを取り戻す。

ちなみに、どこが違うのかと言うと、彼女の体の大部分がとある人によってロックされているのが大半だ。


「アキトさん、起きてください。アキトさん!!」


「う、う~ん」


先ほどの千沙と全く同じようにアキトが呻き声をあげながら目を覚ます。


「え~っと、あれ、千沙さんなんでここに…

 あっ、そうか。そう言えば昨日…」


寝ぼけた頭で今の状況を理解しようとしている。

だが、


「あの~考え込むのはいいんですけど、とりあえず手を離してくれませんか?」


「うわっ!!す、すいません!!」


アキトは慌てて千沙の体から手を離す。

ようやく自由になった千沙は、立ち上がって窓際へ向かって歩いていき、カーテンを開ける。


「うわぁ、昨日の嵐が嘘みたいにいい天気。」


「今の千沙さんの元気さのほうが、よっぽど嘘みたいだよ……」


「何か言いましたか?」


「いえ、何も!!」


ぼやきが聞こえたのか、千沙がアキトを睨む。

まあ、睨むと言っても、拗ねているようなものなのだが……

実際そう大して怒っていないのか、すぐにアキトから視線を外し、窓の外へと目を向ける。


「ふう、それにしてもたまになら嵐もいいかなぁ……」


「え、なんで?

 昨日あんなに怖がってたじゃないですか。」


昨夜の様子を思い出し、いぶしがるアキト。

その問いに恥ずかしそうに千沙はこう答えた。


「だって、そうすればアキトさんと――――――」




終われ










後書き

先輩はレンに負けてない!!

そのことに俺が気付いたのはつい最近のことでした。

確かに順位だけを見れば、先輩は六位でレンは五位でした。

しかし、知得留先生の存在を忘れてはいけません。

この二人は同一人物と言ってもいいでしょう。

そして、知得留先生の票がシエル先輩へ全て流れ込めば、逆転は可能なのです!!

まあ、これでは納得できない人もいるでしょう。

そういう人には第二の新たな事実を!!

第三回の人気投票では、投票するキャラを一番好きなやつと二番目に好きなやつという風に、二人選ぶことができました。

ここで先輩への票の入り方と、レンへの票の入り方を見てみましょう。

するとどういうことでしょう。

先輩を一番に選んだ人は、レンを1番に選んだ人よりも多いのです!!

つまり何が言いたいかと言うと……

先輩はレンに負けたんじゃない!!投票形式に負けただけなんだ!!

それにしても、こんなこ�