ここはナデシコのとある不幸な少年の部屋

その部屋に、不幸の原因の一人の少女が入り込んでいた

…無論、無断でだ






「う〜ん、ハーリーったらろくなもん持ってないな〜」


ガサゴソと、部屋を物色する桃色の少女。

名前はラピス。

ハーリーを苛めることを、日常として楽しんでいる少女だ

最近、からかうネタがないので、こうしてそのネタ探しをしてるのだが…


「う〜ん、ないなあ。

 最近、ハーリーもそれなりに知恵をつけてきたからなぁ。

 そう簡単に見つかるようなところには秘密はないか。」


そう、いくらなんでも、毎日のように苛められてはたまらないということで、彼も少しずつ進歩しているのだ。

…まあ、その程度は知れているので、、彼女も危機感を覚えず、逆に退屈しないでいられる様なものだとしてもだ。

実際、忍び込まなくても、いくらでも方法はあるのにこうしているのも、遊んでいるだけだ。

本人が言うには…


「遊びにはスリルがなくちゃ!!」


だ、そうだ。


「う〜ん、いくらハーリーが単純だからといって、ベッドの下に大切なものを隠すほどじゃないだろうし…

 でも、他に探すところもないわけだし…

 よしっ、ベッドの下を探してなかったら、今日の探索は終わりにしよう。」


そろそろ探すのにも飽きたのか、初めから対象外にしておいたベッドの下を覗き込む。


「あれ?何だろう?」


ベッドの下で光り輝くものを見つけた。

比喩ではなく、実際に光を反射しているのだ。


「よいしょっと。」


ベッドの下に、手を突っ込んで、引っ張り出す。


「…円盤だ。」


嘘だ。


「あれ?何でこんなところにディスクを隠してあるんだろう?

 やっぱ、隠しておいたんだから、他の人に見られたり聞かれたりしたら恥ずかしいんだよね…」


そこで、ラピスの目がキランと光る。

悪巧みを覚えた子どもの顔だ。

…まあ、ここ、ナデシコではそういった人間には事欠かないのだが。

とりあえず、彼女は、ブリッジへと足を運んだ。












「やっほ〜、遊びにきたよ〜」


「ラピス?どうしたのです?

 まだ、交代時間には時間があるはずですが…」


ラピスと交代で働ける人間といったら限られている。

ルリだ。

彼女が先ほどまで物色していた部屋の主の憧れの対象でもある。


「ん、いや、ちょっとハーリーの部屋で面白いものを見つけたからルリにも見せてあげようと思って。」


「おもしろいもの?

 ハーリー君の部屋にそんな物あるんですか?」


酷い言い様だ。

まあ、彼女の(同盟)立場からすれば、そういうのも仕方ないかもしれない。


「うん、よくわからないんだけど、ベッドの下にこんなディスクが隠してあったの。」


そう言って、そのディスクをルリに見せる。


「ふうん、見たところ普通のディスクみたいですが…

 まさか、また、お風呂の盗撮の映像が入ってるんじゃないでしょうね?」


「さあ、何が入っているのかこれから確認するの。

 ちょっと、確認して。」


「わかりました。

 変な映像が入っていたら一大事ですからね。

 いいですよね、艦長。」


「はい、もちろんです。

 私達か弱い女性の身を守るためには、プライバシーの一つや二つ―――」


「わかりました。それじゃ。」


そう言って、ディスクの解析に取り掛かるルリ。





しばらくして…


「ふう。」


「で、どうだったのルリちゃん。」


「結論から言うと入ってません。

 どうやら、入っているのは音楽データらしいですね。」


「なあんだ、つまんないの。

 なんか変なものが入ってたら久しぶりにお仕置きできたのに…

 あ〜もう、最近ずっとしてないからストレスが溜まるよ。」


「まあ、そう言わずに。

 私たちの身の純潔は守られたんだし。」


「まあ、そうだけど…

 でもつまんない!!」


「それだったら、この音楽CDを館内放送で流したらどうです?

 きっと、慌ててここに来ると思いますよ。

 その姿を見るのは面白いかもしれません。」


「う〜、まあ、仕方ないか。

 それぐらいで許してあげよう。

 じゃ、流そっか。」


何を許すのかわからないが、そう言ってそのCDを館内放送で再生する

だが、そこから流れてきたものは、彼女たちの想像を絶するものだった。










私はメイド あなたのメイド

掃除 洗濯 お料理 セックス

あなたが望めばなんだってしちゃうわ



フェラチオ? OK! あんまり得意じゃないけど

一生懸命しゃぶってみるから

私のお口にたくさん出してね



SM? all right 泣いちゃうかもしれないけど

縄 鞭 ロウソク バイブに浣腸

あなたのためなら我慢してみせる



LOVE LOVE LOVE LOVE I LOVE YOUだって愛してるんだもん

来て来て来て My darling 何だって出来るわ







「・・・・・」


「・・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


世界が…凍った



ドドドドドド

何処からともなく地響きが聞こえる。


「うわぁぁぁぁぁぁ」


その地響きの原因となった少年は、叫びながらブリッジに入ってきて、そのまま、ディスクを取り出し、皆の目の前で叩き割った。


「ル、ルリさん、こ、こ、こ、これは誤解なんです!!

 僕はこんなものと関係なんてありませんよ。」

 
ハーリーが入ってきたことで、何とかブリッジの時は再び動き出した。


「誤解?」


「そう、誤解なんです!!

 これは、ウリバタケさんのもので、少しの間だけでいいから預かってくれって頼まれたんですよ!!」


「へえ〜、その頼まれた預かり物をハーリーはベッドの下に放り込むんだ?」


「いや、それは、あの、その…」


「それに、どうしてこれが流れただけでそんなに慌てているの?

 だれも、これはハーリーの物だなんて言ってないのに。」


「・・・・・」


「問答無用!!」


「うぎゃああぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」



その後、久しぶりにハーリーを苛める機会を得て、機嫌の良いラピスの姿が見受けられた。

ちなみに、セクハラだと言って、他の女性クルーもお仕置きに参加したことも付け加えておこう。

…原因となったのはラピスなんだけどね。




終わり







後書き

歌の題名

「メイドさんロックンロール」


俺はもちろん、これを持ってません。

その俺が、これを何故知っているかは、海よりも深い事情があるのです。

友人に金を借りたんです。

その時に、そいつが、

「この曲を最後まで、俺の目の前で聞けたら、無利子で貸してやる。」

と言ったんです。

わざわざMDに落としてあります。

その時に、それ程のものならばと、不覚にも俺はこの挑戦を受けてしまいました。

その後、俺は自分のミスを悟りました。

…だって、俺がこの曲を聞いてる横の奴の顔!!

優越感に満ちています。

なんだよ、その目は!!

言いたいことがあるのなら何か言えよ!!

…結局、俺に残ったのは、友人に借りた千円と、友人への怒り。

そして…言いようのない敗北感だけでした。

一度、この曲を検索してみてください。

知りたくもない世界が広がります。

 

 

代理人の感想

あなたの知らなくていい世界(古いか?)と言う奴ですな(爆笑)。

それにしても素敵なご友人だ(爆)。