「俺が帰るべき場所は・・・ナデシコだ!!

 皆が揃っているナデシコだ!!

 何処に跳ばされようと、俺は絶対に帰って来る!!

 例え、遥かな距離だろうと、時を超えても―――」



ラグナデシコ 第1話「見知らぬ世界」


さわさわ・・・・・

風を受け、うっそうと生い茂る木々が音を奏でる。

広大な森の中の少し開けた所に、テンカワ・アキトは横たわっていた。

「う・・・むぅ・・・」

しばらくしてアキトはうっすら目を開ける。気を失っていたようだ。

「ここは一体・・・」

体を起こし、周囲を見渡す。

(俺は遺跡とのジャンプでどこかに跳ばされたみたいだな。
 また過去にとばされてなければいいんだけど・・・)

「・・・!ブローディアはどこにいったんだ!?」

アキトはコミュニケを取り出し、ブローディアへ通信するが、全く応答しない。

(故障はしていない。予想したくないけど、ブローディアが全壊した可能性もあるな。
 いや、もしかしたら遠くに跳ばされて、通信圏内にいないのかもしれない。)

色々考えてはみたが、すぐに解決するはずがないので、思考を止める。

「まあ、色々考えていても仕方ないな。とりあえず、ここの情報が欲しい。森から出てみるか」

行動にでようとした時、周囲から何かの気配を感じた。

ざっと10くらいの数の気が、アキトを取り囲んでいる。

(なんだこの感じ。人とは違うし、森の動物でもない。もっと異質な感じだ・・・)

用心をし、アキトは身構える。ディストーションフィールド発生装置に手をかけようとしたが、

ブローディアが無い今、充電もできないので無闇に使うことは避けようと思い、やめた。

ザッ!!

茂みから飛び出した影は人より倍も大きい。

体は緑色、血に塗れた斧、申し訳程度に張り付いてるかのような腰蓑。

なにより盛り上がっている筋肉が、さらに強そうな印象を与える。

巨人は斧を振りかぶりながらアキトに向かい突進する!

「悪いが動きが単調すぎる!」

振りかぶった斧を紙一重でかわしたアキトは巨人の懐にもぐりこみ

「破ぁっ!!!」

蒼銀の色に染まった拳を分厚い胸に叩き込む!!

ズドンッ!!!

凄まじい打撃音とともに、巨人は現れた茂みへ吹っ飛ばされる!

巨人の胸には大きく陥没した跡があり、すでに事切れていた。

それを見ていた残りの気配が恐怖を感じたのか後ずさる。

「無駄な殺生はしたくない。命が惜しければすぐに去れ!」

アキトは拳に蒼銀の気『昂気』纏いながら、言い放つ。

尋常じゃないアキトの気迫に、逃げようとしているのか気配が遠ざかる。

その時

「グググ・・・ニゲルナ。ニゲルトユルサナイ、ニゲタヤツオデガコロズ!」

茂みの中から声が放たれた瞬間、一斉に残りの気配弾かれたように茂みから飛び出す!

最初の巨人の仲間か、特徴は殆ど同じ。

最後に出てきた巨人は他の奴らと違い、皮膚の色が青い。

「ニンゲンヨ・・・アタラジクデキタ、ワレラノスミカニハイリコンデ、
 イギテカエレルドオモウナ!!」

青いのが斧を構えると、周りの仲間も構え、ジリジリとアキトに迫る!

「チッ!やはりそんなに上手くはいかないか!!」

アキトは再び迎え撃とうとした、その時!

バシバシィ!!

アキトの両手には2本の矢があった。

(奥に弓矢を使う連中がいる!周りばかりに気をとられていると危険だな・・・)

アキトの様子を見て、青い奴が口元に笑みをうかべ

「グフフフ・・・ハヤグシナイトドンドンナカマガクルゾ」

「意外と集団戦が得意なんだな」

「ムカジハオレダチハスキカッテニヤッテイタ。ダガ、トアルヒカラオレダヂハ
 ナガマト狩リヲスルヨウニナッタ」

青い奴のセリフで、アキトはここは自分がいた世界じゃない、と確信した。

(まったく、遺跡は俺になにをさせるためにこの世界へ跳ばしたんだ?
 いや、それよりもまずはこいつらをなんとかしないとな。
 今は苦もなく倒せるが、仲間がドンドン増えていくとそのうちやられる。
 一気にカタをつけるか!!)

アキトが昂気を全身に纏わせ、本気で倒そうとした時

ズシャ!! 

「グアガガアアアア!!!」

緑の奴の腹から槍が突き出されていた!

「なんだ!?」

アキトは槍を繰り出した存在を確かめる。

長い栗色の髪、黒い瞳の端正な顔をした女性が槍を繰り出したらしい。

その姿はまるで、城に使える騎士らしく堅牢な鎧を纏っている。

そして、女性の乗る動物は・・・鳥(?)らしき動物であり
女性の体勢を崩さぬよう、その強固な足で大地を踏みしめていた。

「そこの黒い貴方!大丈夫!?
 まってて!すぐにこいつら倒すから!」

刺さった槍を引き抜き、すぐに別の巨人に標的を合わせる!

「ピアースッ!!」 

ズシャ!ズシャア!!

槍の二連撃を食らい、巨人は絶命する!

その様子を見ていた青い奴は周りの仲間に命令を飛ばす!

「オマエダチ!イッセイニオソイカカレ!!」

命令を受け、仲間は女性に殺到する!!

女性はフッ、と笑いをこぼす。

「この程度じゃあ、まだまだね!」

巨人達に大きく槍を振りかざし

「食らいな!ブランディッシュスピア!!!!」

突き出されたと同時に巨人達の周りに旋風が起こり、それが真空波となり襲い掛かる!!

ドシャドシャグシャアア!!!

あっという間に巨人達は全員残らず肉塊になった。

「ウウウ・・・」

その光景を見ていた青い奴は怒りの表情を露にしている。

「さあ、次はあんた?死ぬ覚悟があればかかってきな。
 それと、来る途中にいた仲間は残らず始末してきたわ。」
 
その言葉を受け、青い奴は恐怖を浮かべ

「グ・・・コンドアッタトギハカナラズコロズ!!!」

お約束的な捨て台詞を残し、森の中へ消えていった。

(なかなかの腕だ。アリサちゃん並の実力をもっているな。
 さっきの・・・ブランなんとかだったかな?
 あれは食らったら流石の俺でもやばいかなー)

女性の戦闘の一部始終を見ていたアキトは胸中に感想を述べていた。

女性は槍に付いた血をオークの腰蓑の端で拭い取り、こちらに近づいてきた。

「貴方、大丈夫だった?」

心配そうな顔をし、こちらの安否を確認する。

「ええ。おかげで助かりました。
 さすがにあれだけの数を相手にすると少し疲れますので」

アキトの言葉に女性は少し驚く。

「あれだけ?
 オークウォリアー7体、オークアーチャー2体、
 そのうえリーダーらしかったハイオークを含めて計10体。
 普通の冒険者なら速攻で逃げるわよ?」

彼女の言葉を受け、アキトはなんとなくあの数は普通じゃなかったことを知った。

(まあ、本気だせば大したことなかったけどね。
 昂気を出すと疲れるからな・・・)

アキトの考えをよそにさらに女性は話し掛ける。

「済んだことはともかくとして、早く街の方へ抜けなさい。
 最近では首都の周りでは見かけないモンスターもいて、
 この返も危ないからね。」

「首都?」

「え?首都プロンテラを知らないの?
 ・・・貴方、何処から来たの?
 ゲフェン?モロク?フェイヨン?
 それ以前に貴方冒険者?見たとこ職に就いてるようには見えないけど?」

眉をひそめながら、彼女はアキトに詰め寄る。
明らかに疑われているようだ。
 
「えっと・・・気がついたら森で倒れてまして・・・
 それ以外は覚えていません。」

(異世界から来ました、なんて言っても信じてもらえないだろうしな。
 それっぽい理由で切り抜けるか)

「覚えてないって・・・
 それじゃまるで記憶喪失じゃないの。
 名前も忘れちゃったの?」

彼女の顔が疑いの表情から、心配する不安の表情へと変わる。

「あ、名前なら覚えてます。
 テンカワ・アキトっていいます。」

「テンカワくんね。
 なにはともあれ、記憶喪失の貴方をこのままにはしておけないわ。
 私についてきて。私の家にいきましょう。」

「え?貴女の家に?」

彼女の提案に驚くアキト。
彼女はそれを無視して話しを続ける。

「記憶がないんじゃ、行くあてもないでしょ?
 私、困った人は見過ごせないの。
 一度関わったら、最後まで解決するまで気が済まないわ。
 さあ!そうと決まったら首都までいくわよ!」

かなり強引な性格らしく、アキトの返事を待たず森を抜けようとする。

(騙したみたいで後めたいけど、仕方ないな。
 この世界のことは何一つわからないし、ブローディアを探すあてもない。
 とりあえず、彼女の言葉に甘えよう)

心の中でつぶやき、アキトは彼女に追いつこうと早足で歩く。

「あ!貴女の名前を聞いてませんけど?」

アキトの質問に、女性は歩を止めこちらを向いた。

「あ〜、そうだったわ!私の名前はユウリ。
 ユウリ・カーネリア。
 いやあ、こういうのは男性から名乗るはずなのにね〜。」

恥ずかしかったのか、ユウリは顔を赤くしながら自己紹介をする。

「改めてよろしくお願いします。ユウリさん。」

「ユウリでいいわよ。他人行儀なのは性に合わないしね。
 だからこっちもアキトって呼ばせてもらうわよ。」

「わかりまし・・・わかったよ、ユウリ。
 足をとめて悪かったね。そろそろ行こう。」

ユウリは満足気に微笑み、乗鳥(とりあえずこう呼ぶ)に掛け声をかけ歩きだした。
 
アキトもそれに遅れぬよう、歩き出した。


<第1話終了>


あとがき
どうも、初投稿となりますメグミルクといいます。
投稿事態が自分の中で初めてなので、表現や文法、誤字・脱字など、多々あると思いますが気になさらないで下さい。^^;
さて、今作品はラグナロクオンラインの世界にアキトが飛び込んできたって設定で書いています。
アキト(イレギュラー)な存在が来たことにより、ミッドガルドの世界に異常が徐々に起こっていきます。
アキトと別に飛ばされたブローディアも気になるところですがそれはまた後々^^;
元の世界観を壊さないよう、精進したいと思います。
それではまた〜





ゴールドアームの感想。

 とりあえず、投稿『自体』です。
 
 というツッコミはおいといて(笑)。
 
 
 
 ラグナロクオンラインのクロスとはまた難儀なものを。
 先に忠告しておきますが、これはかなり難易度高いです。
 今回の作品分量では、内容に関するツッコミや感想を語るには量が足りないので、この辺について老婆心ながら忠告しておきましょう。
 まず、ここに来る読者の大半は、そしてROの熱心なプレイヤーでも、ROの世界観をどれだけ知っているかはかなりあやふやです。ほとんど白紙と思って間違いないでしょう。RO自体がゲームとしては完成していても、バックグラウンドの資料がかなり少ないですし。
 それ故に、作者であるあなたには、『作品内』でミッドガルドの世界を語っていく義務があります。多少は自己流解釈でいいと思いますが、これを疎かにしたらそれだけで作品全てが崩壊します。アキトがレベル99(ROの上限レベルです)でも別に問題はないですけど、それと世界との対比はしっかりと描写していくようにしてください。
 
 あと、RO側だけでなく、アキトが跳んでくる『前』の状況の描写も少し欲しいところです。見たところ時ナデアキトのようですけど、読者に『ナデシコ側』のバックグラウンドを思い浮かべさせるためには、『どの時点で、どんな状況でアキトがこちらに転移してきたのか』という情報だけは絶対的に必要になります。これはアキトがアキト足るためには絶対必要なものであると肝に銘じてください。
 
 
 
 後はとにかく慣れてください。向上心があれば文章そのものは書いていれば上手くなります。とにかく投げ出さずにエンドマークが打てる日が来るのをお待ちしています。
 ゴールドアームでした。