新機動戦記 ナデシコ W
宇宙要塞ユーチャリスと激突し、動かなくなったピースオモイカネのモビルスーツデッキ
最後の戦いに向かうためにルリはナデシコウィングZEROを起動させていた。
「待つんだルリ!どうして君が戦わなければならない?」
ナデシコウィングZEROのコクピットに掴まり、アキトはルリを止めようと叫んだ。
「ユーチャリスは沈む、ルリが戦う理由なんて無い・・・ラピスは負けたんだ」
「ラピスはそうは思っていません、ラピスもハーリーくんもまだこの戦争を終わらせるつもりは無いみたいです」
ナデシコウィングZEROのコクピットでルリはアキトに微笑みかけた。
「だから、私は行かなければなりません」
「ルリが出れば、この戦いが終わるというのか?・・・え」
ルリは腕を伸ばすとアキトの体を引き寄せた。
「ラピスを倒します、次にハーリーくん・・・それで戦争は終わります、アキトさんが生き延びれば平和が訪れる」
「ルリ・・・」
「私は約束しました、アキトさんを護るって・・・
アキトさんと地球を護るには私が行くしかないんです」
「そんな・・・」
「・・・だから行きます」
「だめだ!ルリ 君は死ぬつもりだ!」
まだ何か言おうとするアキトの口を自分の唇でふさぐ。
初めての・・・そして、最後のキス・・・
数秒の沈黙の後、
「心配いりません、私は生きて帰ってきます・・・
アキトさんのチキンライス、まだ食べさせてもらっていませんらか」
ルリがアキトの体を押すと、そのままナデシコウィングZEROから離れていく。
ハッチがゆっくりと閉じていく間、ルリは幸せそうにアキトの顔を見ていた。
「ルリ!」
ナデシコウィングZEROがカタパルトへと移動し、発進体制に入る。
「ルリ、君を信じる。
テンカワ特製チキンライス、作って待ってるよ」
スラスターから噴射炎をなびかせ、飛びだそうとしているナデシコウィングZEROを見つめアキトは呟いた。
「・・・さよなら、アキトさん」
「え!」
スラスターの起こす衝撃の中アキトは、ルリの声が聞こえた気がした。
ナデシコウィングZEROは地獄へとその身を躍らせた。
「リョウコちゃん、俺達の誰かが振り落とされても気にするな!
ピースオモイカネの動力部に行くことだけを考えるんだ!」
「ヘッ もとよりそのつもり!しっかり掴まってろよウリバタケ!」
ユーチャリス内部に閉じこめられていたウリバタケ以下整備班を助け出したリョウコは、ピースオモイカネの動力部を暴走させるため、ナデシコデスサイズヘルをユーチャリスから飛び立たせた。
「全く、こんな中を突っ切るバカはそうはいないぜ!」
「まったくだ」
雲霞のごとく襲いかかってくるモビルドールを手にしたビームシザーズで次々と切り裂きながら、突き進む。
「どけどけどけ〜、死神と疫病神のお通りだ〜!!」
「誰が疫病神だ?!」
一直線にピースオモイカネに向かっていくリョウコ達。
「邪魔すんじゃねえ!オレの相手はテメー等なんかじゃ無いんだ!!」
地球落着まで後、僅か・・・
カシュッ・・・ カシュッ・・・
「やめてください!こんな事をして何になるの!!」
モビルドールコントロールシステムを破壊すべく、ナデシコヘビーアームズ改から降りたエリナは、システムを発見したものの破壊できないでいた。
「優しいね、君は! だが君には解らないさ!」
「クッ!」
繰り出されるアカツキのサーベルを捌きながら、エリナは相手を見つめ返した。
「元大関スケコマシと言われた、
自称愛の伝道師と称したボクが・・・彼に完膚無き迄に叩き潰されたこの気持ちは!!」
更に勢いを増して襲いかかってくるアカツキ。
「だからといって彼を、アキト君を恨むのは筋違いじゃ無くて!!」
「解っている!そのくらいの事はボクにだって解っている!!」
カシュッ・・・ キンッ
「ならどうして!」
「解っていても、ボクにはどうしても納得できないんだ!」
カシュッ! パキィィィィン
アカツキの手にしたサーベルが折れた。
「・・・会長」
「クゥ、何故だ・・・どうしてなんだ!!」
両手を床につき、アカツキは絶叫した・・・
「悲しいわね、泣けない男は・・・」
「エェ〜〜〜イ!コノコノコノコノ!!」
ユーチャリスの内部に侵入したユリカは、多少なりとも地球落下時の被害を抑えるため、ナデシコサンドロック改で破壊しまくっていた。
「アキトの為にもこんなモノ地球なんかに、落とさせません!!」
青い瞳に強い意志を宿し、手当たり次第に破壊していく。
だが、それがどれだけ無謀な事かは解りきっていた。
ユーチャリスの巨体に比べればナデシコサンドロック改の破壊した部分など・・・
「それでも諦めません!」
ともすれば、諦めてしまいそうになる自分を励まし、ユリカはナデシコサンドロック改を進める。
諦めたら全てはそこで終わる・・・諦めない意志こそ、彼女たちの原動力だ。
ズゥゥゥ〜〜!!
「な、何!?」
突然爆発が起こり、数十機のモビルスーツが現れた。
『ユリカ!手伝いに来たよ!!』
「ジュンくんにマグアナック隊のみんな・・・ヨ〜シ!徹底的にやっちゃいましょう!!」
『オオォォォォォォォ!!!』
東舞歌が操るナデシコアルトロンはハーリーくんの操るトォオルギスと刃を交えていた。
「無様ですね、男の嫉妬は・・・」
「う、うるさい!貴方なんかに何が解るんですか!?
想っても伝わらない、願っても届かない、僕のこの気持ちが!!」
ハーリーくんの怒りにまかせた攻撃を全てかわす。
「解りたくもありません」
「何だと!」
「ですが、貴方は考えましたか?この様なことをして貴方の思い人がどう思うか?」
「ウ・・・」
一瞬動きの止まったトォオルギスの左腕をナデシコアルトロンのビームナギナタが切り裂く。
「その程度の事も気づかないで、振り向いてもらおうなんて虫の良い話です」
「ク・・・ウ、ウワァァァァァァァァ!」
めちゃくちゃにビームサーベルを振り回しながら突っ込んでくるハーリーくんに舞歌が哀れみを込めて呟く。
「貴方は、大切なことを学べなかったのですね・・・」
『ルリ!ルリ!聞こえているんだろ!!ルリィィ・・・』
「アキトさん、貴方が思っているほど人の命は重くありません。
特に私のは・・・」
戦闘宙域を駆け抜けながら、ルリはコミュニケのスイッチを切る。
それまでアキトの声が響いていたナデシコウィングZEROのコクピットが、静けさに包まれる・・・
「・・・見つけました、ラピス」
キッと見上げたルリの視線の先に、暗褐色の機体・・・ナデシコエピオンが映った。
「ルリ・・・やっと来たね」
ユーチャリスの外壁に立ち、戦場を見下ろしていたナデシコエピオンのモニターに向かってくるナデシコウィングZEROの姿が映る。
ナデシコエピオンはゆっくりとハイパービームサーベルの柄を握り、ナデシコウィングZEROに向ける。
「決着をつけるよ、ルリ!!」
凄まじいビームが勢い良く吐き出され、刃を形成する。
「ラピス!!」
ナデシコウィングZEROもサーベルを抜き放つ。
A・N(アフター・ネルガル)0195年、最後の戦いが幕を上げた・・・
続かない(笑)
管理人です(だから?)
めるう゛ぃるさん!! 投稿有難う!!
いや〜、GWですね。
・・・続きが気になるんですけど(苦笑)
しかし、さり気無く舞歌が出てるぞ。
あれ、オリキャラだったよな(笑)
影竜さ〜ん、こんな所に出張してるよ〜(笑)
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