キィンッ
「セイッ!」
ガシュ! ドガンッ
「はぁ
くそっ何でこんな所にこんなのがいるんだ!?」
機動戦艦ナデシコ ファンタジーストーリー
『Welsh』
第3話『魔神窟』
「ふぅ ・ ・ ・ 」
刀を鞘に収めながら息をつく、足元ではいましがた斬り捨てた『こんなの』が火花と煙をあげている。
・ ・ ・ どう見ても、対人用のバッタだな。
古代遺跡『魔神窟』に入って2時間、
村長さんの言っていた行方不明になっていた若者5人は、最初の30分程のうちに全員見つけた、死体で。
村の人達ももう生きているとは思っていないようだったから、遺体を見つけただけ良しとしてもらおう。
その時点で引き返してもよかったが、気になる事があった、
遺体に残っていた傷跡 ・ ・ ・ それは獣の牙や爪ではなかった、まして刀剣類でもなく、
レーザー痕。
どう考えてもこの世界には不釣合いなモノだ、そう思って奥まで入ってきたが。
バッタが出てくるとは思わなかったぞ、
「だけど ・ ・ ・ なんでこの世界にバッタが?」
今回ばかりはイネスさんが居るなら説明してもらいたい気分だ。
リィン
「ん 今何か光ったか?」
バイザーの暗視機能をフルにして辺りを見るが、
「 ・ ・ ・ 気のせいか」
バッタなんか見たからかな、少し混乱してるんだろう。
「ふぅ さてどうするか」
って、どうするも何も進むしかないか、
もしかすると元の世界に関係する何かが有るかもしれないし、
・ ・ ・ ・ ・ ・
我ながら度し難いものだな。
向こうにいる間はあれだけみんなの前から消えてたがっていたと言うのに ・ ・ ・
「進むか」
こうしていてもしょうがないし、何より
気配が、幾つかの気配が近づいてきている。
バッタ―多分ここのガードロボット―が破壊されたんだ、他のバッタも動き出してもおかしくない。
ガードロボットなんだから遺跡の外には出てこないだろうが、念のために制御装置を解除しておいたほうがいいだろう、
魔法関係ならどうにもならないが、バッタ関係なら俺1人でもそこそこ調べる事も出来る筈だ。
そう思って足を一歩踏み出す、と
「!」
気配を感じて身を投げ出すのと同時に今までいた場所の地面が抉り取られた。
「もう来たのかっ」
睨んだ先には50cmほどのバッタが1機、暗い洞窟の中4つのセンサーアイが赤く怪しく光る、
ガシャッ
「ちぃっ!」
バッタの背中が開きマイクロミサイルが放たれるのと同時に、足元に転がっていたバッタの残骸を蹴り上げる。
ゴガガガガァァッ
「フィールド!」
爆圧をディストーション・フィールドで防ぎそのまま直進し爆発範囲を抜け、抜き打つ
キィンッ ガシュッ ドガンッ
「ふぅ って一息ついている場合じゃないか」
早く進まないとここら一帯がバッタで溢れ返ってしまう、一体一体は手強くないけど数が揃うとさすがにな。
「取り敢えず、奥 進むか」
制御装置があるとしても1番奥だろう。
そして今度こそ、遺跡内部に向かって走り出した。
ジャリ
「 ・ ・ ・ ふぅん、なるほどね」
「はぁっ!!」
チュィィンッ!
すれ違いざまにバッタを斬り飛ばし、後方から放たれた対人レーザーを勘かわす、
うむっ、思っていたより感覚は鈍っていないな、と言うか昔より感覚が鋭くなってる気がする。
五感が無い時でも北辰と互角に戦っていたんだ、感覚だ戻ったらそれまで以上になるのは当然か?
「セイッ!」
ガスッ ブン!
真正面から来たバッタを串刺し、投げ捨てる。
「ふぅ ・ ・ ・ ん?」
今まで気がつかなかったけど ・ ・ ・ これは、
「岩壁が ・ ・ ・ 変わってる」
コンッコンッ
この感触、コンクリートか。
なんで?
・ ・ ・
・ ・ ・ ・ ・ ・
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
「バッタが居るぐらいだ、別にコンクリートがあってもおかしくないか」
コンクリートって紀元前からあったって聞いたことあるし、ファンタジー世界に在ってもおかしくないだろう、
此処まできれいに創れるかどうかは知らないけど。
こうまで、ネルガル研究所の廊下みたいに造れるかどうか知らないけど。
「ハッハッハッハッ ・ ・ ・ さぁ、サクサク進むか」
考えてるとよけいに混乱するしな。
・ ・ ・ これでいいのか? オレ
・ ・ ・ ドゴォォン!
「!!」
爆発音?それもかなり近いっ
反射的に爆発音と反対方向、遺跡内部に向かって走りだす。
「バッタの攻撃? じゃないな、ミサイルの爆発音と言うよりバッタそのものの爆発音に聞こえた ・ ・ ・
オレ以外にバッタの攻撃を受けているのがいるのか?」
遺跡の入り口は開いたままなんだ、誰かが勝手に侵入していてもおかしくないか。
「問題は ・ ・ ・ 」
キィン ザシュッ!
天井の通風孔らしい処から出てきたバッタを一刀で斬り伏せる、
「そいつがバッタを破壊でるってことか」
・ ・ ・ トレジャーハンターか?敵対しないならいいけど、敵になるようなら面倒だな、
「って、なんで敵対するんだ?」
この世界の普通のトレジャーハンターなら、此処にあるモノなんてなんに使うかも理解出来ないだろうし、心配するほどでも無いか。
・ ・ ・ ドドドッ ドカァァン!
「派手だな、そのせいでバッタが向こうに集中してるみたいだ」
まあ、向こうに集中してくれた方が楽になるけど。
「今のうちに進むかっ」
かなりの数のバッタがトレジャーハンターの方に集中した所為か、楽に中枢らしきところにたどり着けたな、
それにしても、
「 ・ ・ ・ いかにもって感じの扉だな」
遺跡の最深部らしき場所にある巨大な扉、どう見てもアヤシイ ・ ・ ・
中枢施設じゃないとしても何か在るんだろうなぁ、
「他にそれらしい部屋も無かったことだし、入ってみるか」
カチッカチッ
「 ・ ・ ・ 流石に開閉パネルは動かないか」
電力が途絶えているんだろうなぁ、当然と言えば当然か仕方ない、
「せえぃっ!」
ガスッ ギギィィ ・ ・ ・ ギッギッイィィイィィイイィ
分厚い扉が耳障りな悲鳴をあげ抉じ開けられていく。
「ふぅ ・ ・ ・ さて」
暗い、まあ照明が無いから仕方ないか、取り敢えずバイザーの暗視装置をっと、
ふぅん、中枢制御室かと思ったけど、
「かなりの広さがあるな、闘技場か?」
ってそんな訳無いか ・ ・ ・ ん?
「バ、バカな ・ ・ ・ なんでこんなものが 有るんだ!?」
ちょうど闘技場の中央、黒々とした巨人が下半身を瓦礫に埋めるように佇んでいた、その姿は、
「エステバリスッ」
い、いったいなにがどうなって ・ ・ ・
・ ・ ・ カツゥン
「!!」
「動かないで、まっくろくろすけさん」
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代理人の感想
・・・ファンタジーじゃなかったんかい(笑)。
しかもいきなりバッタ!
もしや、この遺跡って異世界に存在する「プラント」なんでしょうか?