地球から巣立った人類は、宇宙コロニーでの生活に新たな希望を求めていた。

しかし、地球連合政府は、正義と平和の名の下に圧倒的な軍事力を持って各コロニーを制圧した・・・

 

隔壁を破壊し、コロニー内に侵入するMSリィオー

 

搭載可能なだけの爆弾を抱え飛ぶMSエアリーズ

 

倒れるビル・・・

                  爆発する民家・・・

                                            逃げまどう人々・・・

 

  全てを踏み潰していくMS・・・

 

 

アフターネルガル(A・N) 195年

作戦名 『オペレーション・メテオ』

 

連合に反目する一部のコロニー居住者達は流星に偽装した新兵器を送り込む行動にでた。

 

  各コロニーから地球へと打ち出される流星

 

だが、これは既に連合本部に察知されていた。

 

 

 

新機動戦記 

ナデシコ W

第04話  「悪夢のビクトリア」

 

 

 

ラピス専用MS輸送機

「ラピス特尉」

静かに流れる雲海を窓から見下ろしていたラピスに、シュンが今入った情報を報告しに来た。

「コルシカ基地との通信が回復しました、と言っても援軍で駆けつけた部隊との通信ですが」

「それで、なんて言ってきたの?」

ゆっくりとシュンの方を振り返りながらラピスが口を開く、どことなく疲れたように感じられる、

「ハッ 援軍到着時に我々が目撃した2機のナデシコ以下敵のモビルスーツは既に撤退しており、基地の破壊率

 は55パーセントだそうです」

「55? 」

意外に少ない数字に、ラピスが訝しげな声を上げる、あの戦力なら援軍到着までに基地の破壊率は

80パーセントを越えるだろうと考えていたのだが、

「はい ですがリィオーの生産ラインは完全に破壊されていたそうです」

「・・・標的と妨害する以外のモノは、極力破壊しないつもりのようね」

そう言って、再び窓の外をみる、

【サイトウ特士 新しいナデシコ2機のデータ、確かに受け取ったから・・・】

「ラピス上級特尉、ビクトリア基地との通信がつながりました」

「わかった、今行く」

コ・パイロットシートに座っている部下からの声に答えると、ラピスは通信用モニターの前に立つ。

『お久しぶりです、ラピス上級特尉・・・』

しばらくしてから、モニターに敬礼する若い男の姿が映し出される。

「プッ・・・」

それを見てラピスは思わず吹き出した、

「なに他人行儀な事してるのダッシュ? 普段通りでいいよ」

『ラピスの方が階級上だからね、一応形だけでもって思ったんだけど・・・変だった?』

「変!」

ラピスにはっきりと言われ、モニターの向こうでダッシュが苦笑する、

『それより、ラピス ずいぶん活躍してるね、

 戦場の白き精霊、ヴァルキリー(戦乙女)のうわさ、このビクトリア基地でもよく聞くよ』

「うわさ、か あまり好きじゃないな、うわさはよく一人歩きするから」

ラピスは複雑そうな表情をするが。

『そうでもないよ、ラピスのうわさ 良い事しか聞かないから』

「そうなんだ? 後でどんなうわさか教えて」

『いいよ』

「そう言えば、私もダッシュのうわさ聞いたよ」

『え? どんなの』

「宇宙用のパイロット育成で大きな成果を上げている、戦闘員としての完成度も高い・・・って、

 でもダッシュ、戦闘があまり好きじゃなかったのに、どうしてパイロットの育成を」

『・・・今でも戦争は好きじゃないよ、

 僕はただ、宇宙が好きなんだ』

そう言ってダッシュは、モニターの向こうで宇宙を仰いだ、

 

 

ビクトリア基地 無重力訓練施設

『ダッシュ特尉、0G到達しました』

スピーカーから疑似無重力発生室内にいるダッシュに室内が無重力になった事を知らせる、

「よし、宇宙用モビルスーツ操作最終訓練始めっ」

「「「「ハッ!」」」」

ダッシュの声に宇宙用MSのコクピットを模したシュミレーターの乗った訓練生達が、一斉に操作を始める、

 ヴィイイ・・・   クシュゥゥゥ      キュィィィ

無重力空間の中を圧縮空気を使ってシュミレーターが移動する、狭い訓練室内をお互いぶつからないように

周りを注意しながら、

 シュゥゥゥゥ・・・  ドンッ!!

「「うわぁっ!」」

目に見える範囲を気にしすぎて、背後から近づいて来たシュミレーター同士がぶつかり壁ぎわまで弾け飛ぶ、

「何をしている! この程度で混乱していたらとても宇宙には上がれないぞ!!」

「ス、スミマセン!」

「目だけに頼ってはいけない、宇宙では感覚をもっとシャープにするんだ、味方機の動きは体で感じ取れ」

「はいっ!」

「もうすぐ、ラピス特尉がこの基地に来られる、無様なところは見せるな!」

「ラピス上級特尉が? はいっがんばります!!」

ラピスが来るの一言で、訓練生の顔つきが一層引き締まる、戦場の白き精霊ヴァルキリー(戦乙女)は

MSパイロットを目指す者にとって憧れの存在だ、

【うん、ラピスの名前出すだけですごい効果、流石

 ラピス・・・1年と22日ぶりだね】

 

 

「・・・・・・あれね」

ビクトリア基地から少し離れた丘の上に1人の女性が立っていた。

しばらく基地を眺めていたが、やがてバイクに乗ると一気に丘を駆け下りて行く、丘の側面には木々の枝で

カモフラージュされたシェンロンナデシコが静かに眠っていた。

 

 

「やっぱり消えたのね」

「はい 唯一存在位置が確認できていた機体なのですが・・・

 インダス補給基地を破壊しその後アフリカに入り、赤道を越えた辺りで消息を絶ちました」

データを整理しながらシュンが報告する、

「う〜ん、今までのコースから考えると、狙いはダッシュの居るビクトリア基地の新型宇宙用モビルスーツ

 ”トーラス”の破壊ね」

「そうでしょうね、しかし連合は迂闊です、ビクトリア基地でトーラスが製造されている事は民間の子供ですら

 知ってます」

情報管理の余りにもずさんな連合にシュンが怒り顔で答える、がラピスは特に気にすることもなく言葉を続ける、

平和馴れしている連合にそれを求めるのは無理だと割り切っているのだ。

「そして、そのナデシコが来るかもしれない所に、私が転がり込む

 ダッシュじゃないと追い返されてるかな?」

「そう言えば、ラピス特尉とダッシュ特尉は同じビクトリア養成所の同期でしたね」

「? よく知ってるね」

「それはそうですよ、ビクトリア卒業生の中でも最高成績の1位と2位のお二人を知らない筈はありません、

 ラピス特尉がずっと一位だったこともです」

「クス、改めて言われると恥ずかしいかな、

 でもそれはダッシュがいつも2位を狙っていたから・・・ダッシュは私を立て続けてくれていたから

 また、ダッシュに世話をかける事になるのか」

少し自嘲気味にラピスはつぶやいた。

 

 

翌朝 ビクトリア基地

整列した訓練生の前にダッシュが進み出る、今日が彼らの訓練期間終了日、教官として最後の訓示、

「みんな、今までよく厳しい訓練に耐えてくれた、今日をもって訓練は終了とし、諸君らは栄えあるスペシャルズ

 の一員となる」

訓練生達の背後にある格納庫の扉が開き、高さ20メートルほどのシートに包まれた物が訓練生の人数分

外に出された、

「そこで、スペシャルズとなった最初の任務だ」

シートが外され、中から宇宙用迷彩を施したMS”トーラス”が姿を現す。

「諸君等が搭乗する、これらトーラスが敵の攻撃目標になっている! 直ちにこの基地から運び出せ!!」

「それは、輸送班に任せれば・・・」

訓練生の1人がダッシュに反論しようとしたが、言い終わるより早くダッシュの鉄拳が飛ぶ!

「自分の機体を守れない者を、宇宙に上げるつもりはない!」

「す、すみませんでした!!」

「急を要する! 直ちに準備せよ!!」

「「「「「「ハッ!!」」」」」」

ダッシュの言葉に、一斉に訓練生・・・いや、スペシャルズの新兵がトーラス輸送の為の行動を開始した。

【フゥ、 こう言うのは僕のキャラに合わないな・・・】

その後ろ姿を見ながらダッシュは幾度か目の愚痴をつぶやいた。

 ゴゴゴゴゴゴゴォォォ・・・

「?」

響いてきた重低音に空を見上げると、

「ラピス・・・ようやく到着だね」

着陸態勢に入っているラピス専用MS輸送機、地中海コルシカ基地からの長旅を終えようとしている姿が目に

入った。

 

 

「それで、いつトーラスを運べそう?」

「う〜ん 明朝7:00時には行ける筈だよ」

「それじゃぁ ギリギリ・・・」

消えたナデシコの位置と進行速度から考えると、明日の朝にはこの基地に到着してもおかしくない、

「ナデシコはレーダに反応しないそうだから、目視の見張りを増強しておいたけど?」

「それが一番の最善策か、流石ダッシュだね」

「お褒めいただき光栄に存じます、ラピス上級特尉」

「だっしゅ〜」

わざと深々と頭を下げるダッシュにラピスがイヤそうな声を上げる、

「クスクスクス・・・」

「フフフ・・・ハハハハ・・・」

お互い顔を見合わせておかしそうに笑う、

「ハ〜、それにしてもこの部屋派手じゃない?」

ひとしきり笑った後、ラピスが娯楽室の中を見回してダッシュに聞く、

「そうでもないよ、この基地に居る大半は遊び盛りの若い訓練兵だからこのくらいで丁度いいんだ」

「ふ〜ん・・・あまり入れ込み過ぎない方がいいよダッシュ」

ダッシュの答えの中に微妙な感情を感じ取って、それを注意するが、

「・・・心配しなくても大丈夫だよ、僕の教えた兵士達は決して死なないから

 無茶する事は戦術には入れていない、命の尊さと、戦争は結びつかないって考えてるから」

「・・・部下の死を見てきた、 ダッシュの意見には賛成できない」

「死を賭けた戦いはミスの清算でしかないよ ラピス、

 追い込まれて死ぬ兵士は悲劇だよ・・・」

沈黙が2人の中を流れる、

 ピピピピピピピピ・・・

部屋の隅に設置してある内線が呼び出し音を鳴らし、ダッシュがそれを取る、

「ダッシュだ・・・あ・・・わかった、

 ラピス、シュンさんからだよ」

「ん? ありがとう

 ・・・どうかしたの」

ダッシュから受話器を受け取って耳を当てる、

『ラピス特尉!』

工場からなのか、シュンの声よりも大きな金属音などが響いてくる、

『あのモビルスーツ・・・”トールギス”でしたっけ? 20年も昔の機体なのに完成度がかなり高いようです、ここの

 技術者たちも驚いてます!』

背後の雑音に負けないようにシュンも大声を張り上げている、

「(ムッ)・・・そう、それで完成するのにどのくらい掛かりそう」

あまりのうるささに思わず受話器を切ろうかと考えたが取り敢えず我慢する、

『そうですね・・・だいたい1・2ヶ月ぐらいはかかります!!』

「わかった、楽しみにしてる」

『あ、それから・・・ ブツッ

まだ何か言いかけていたシュンを無視して受話器を切る。

「・・・ラピス?」

「煩いからいいの」

「・・・」

キッパリ言い切るラピスにダッシュは黙るしかなかった、

 

 

深夜、静かに眠りにつくビクトリア基地、いや ナデシコ警戒とトーラス輸送準備の為、普段より基地は活発に

動いていた。

しかし、そんな中でもいつも以上に静かな場所もある、昼間の訓練で疲れ果て泥のように眠るパイロット訓練生

の宿舎・・・

 ドォォォォ・・・!!

         ドゴォォォォ・・・!

                  ドガァァァァァ・・・!

立て続けに爆発音が響き、パイロット訓練生の宿舎が次々と炎に包まれる!

 ヴィィィィ・・・ ヴィィィィ・・・ ヴィィィィ・・・

既に手遅れの警報が鳴り響き、消化の為にあちこちから兵士達が集まってくる、

「どうした!? 」

仮眠室で眠りについていたダッシュが慌てて管制室に駆け込んでくる、

「敵襲です! パイロット訓練生の宿舎が集中的にやられました!!」

オペレータが悲愴な顔でパネルを操作しながら答える、モニター表示される情報を見る限りパイロット訓練生の

宿舎は全滅している。

「なに!?」

それを聞くと顔を強ばらせ管制室から走り出る、

 

 

「そっち! まだ燃えてるぞ!」

「水だ! もっと水を持ってこい!!」

「衛生兵! 早く! まだ息があるんだ!」

「う゛ぁ・・・が・・・み、水を・・・・・・」

あちこちからうめき声や、兵士達の怒鳴り声が響いてくる・・・

「な、なんて事・・・! おい」

未だに炎を上げている宿舎を前に、ダッシュは呆然となるが、近くに倒れている教え子を見つけ抱き上げる、

「う゛・・・あ 教官?」

爆発で受けたであろう傷口から大量の血を流しながら、その教え子はうつろな目でダッシュを見上げる、

「喋ってはいけない、直ぐに手当を・・・」

しかし、もうその教え子の顔には死の影が見えていた、

「教官・・・自分は・・・・・・ソラに、宇宙に行きたかった・・・」

「お、おい!  クッ」

そう言うと教え子は力無く崩れる、

「敵を探し出せ! 発見次第攻撃を許可する!! 殲滅せよ!」

無線を取り出し、管制室のオペレータを呼び出すと矢継ぎ早に命令を出す、

「モビルスーツ戦が予想される! リィオーを全面に出せ!

 敵はまだ近くにいるはずだ!!」

そう言うと、自分もMSで出るためMS格納庫に向かって走り出した。

「ラピス特尉は?」

『ハッ ラピス特尉の専用機が有る南格納庫は無事との事です』

「よかった・・・敵の目的はトーラスの破壊と思われる! 総員配備!」

『トーラスの輸送機積み込み終了にはどんなに急いでも後30分かかります』

「わかった! 30分間敵に一撃も入れさせない!! モビルスーツ隊の指揮は僕がとる!!」

無線を切ると格納庫に走り込む、

「整備兵! 僕のエアリーズを出す!!」

「ハッ!!」

近くにいた整備兵に怒鳴ると自分の機体へ乗り込み、整備兵達も発進準備のために動き出す。

 

ダッシュの命令を受け、警備のリィオー部隊に加え待機中だった部隊も索敵の為に基地周辺に展開する、

『012エリア、センサー反応なし』

『056エリア、こちらも反応ありません』

『水力発電施設、異常有りません』

『第006エリア、モビルスーツの影ありません!』

照明弾が打ち上げられ、辺りを照らすが、

『こちら022エリア、反応なし! くっそどこだ!!』

『第036エリア・・・』

『・・・・・・』

しかし、入ってくるのは敵発見できずの報告のみ、

『ダッシュ特尉 敵影発見できません!』

「おかしい・・・」

発進準備の整ったエアリーズのコクピットでダッシュは考え込む、

【レーダに反応しないのはいいとして、モビルスーツサイズの物が人目に付かない筈がない・・・

 もしかして、パイロットのみが進入してきた!?】

そう判断すると、エアリーズのモニターに基地内の対物熱感知センサーを表示させ、そこから基地で登録されて

いるモノ意外の熱反応を割り出す、

 ピピッ

「見つけた」

北サブゲートに向かって高速で移動する熱反応、大きさから見ておそらくバイクか小型車だろう、

「出撃可能な者だけでいい、エアリーズ出撃! 逃走中の敵を追う」

そう言うとダッシュはエアリーズを歩行形態から飛行形態に変形させると飛び出していった。

 

 

 ブルゥゥゥゥゥゥゥ・・・

バイクをフルスピードで走らせ基地から脱出しようとする舞歌、

「? 見つかった」

背後の森から急速に近づいてくるMSの音に気がついて軽く顔をしかめる、が元から無事に脱出できるとは

思っていない、どちらかと言えば予想していたより遅かった、

 ゴゥッ

ゲートに向けて更に加速する舞歌の背後に轟音を響かせたダッシュのエアリーズが森の木々を吹き散らせ

ながら追ってくる、

『止まれ! 止まらないと 撃つ!!』

ダッシュの声がエアリーズの外部スピーカーから響くが、舞歌はそれを無視し、閉じていたゲートを破壊し

基地外に逃亡する。

「逃げ切る気? ・・・近くに援護が居る   ナデシコ!?」

警告に止まることなく、基地の北側に広がる森に向かってひた走る敵にそう判断すると、基地に通信回線を

開く、

「敵、逃走方向にナデシコの存在の可能性有り! トーラス用大型ビーム砲用意!」

『大型ビーム砲? しかし特尉、あれは宇宙用に開発された物、大気圏内での使用だと放熱が完全には

 できません! 一発撃つのが精一杯です』

ダッシュの命令にオペレータが答えるが、

「それで十分」

『了解しました』

 

 

 クォォォォォ・・・

ダッシュの命令を受け大型ビーム砲を持った2機のエアリーズが格納庫から飛び立つ、元々宇宙での使用を

想定していたため地上では大型ビーム砲を1機で運ぶことはできない。

「・・・ダッシュが敵を追っている?」

エアリーズの起こす突風に煽られながら、ラピスはダッシュが熱くなっていると感じていた。

 

 

「前方の茂みに向かっている? だけどここまで!」

茂みに入られると逃げられる可能性が出てくる、ダッシュは舞歌に照準をロックする。

「・・・・・・ッ」

トリガーを引く瞬間、ロックを外して舞歌の右後方に着弾するようにずらした、生身の人は撃てない・・・

それが敵であっても。

 ドッドッドッドッドッ!!

エアリーズの持つライフルが1連射され、着弾の衝撃で舞歌の体が中に舞い、数回バウンドして大地に倒れる、

 キュォォォォォ・・・   ズンッ

倒れる舞歌の側に、ダッシュのエアリーズが着地する。

『汚い戦い方をするな、モビルスーツを狙わずパイロットを狙うか!!』

エアリーズのライフルを舞歌に向けたまま、ダッシュが叫ぶが、

「・・・聞いたような事を言うわね」

砂まみれになった服をはたきながら舞歌がゆっくりと立ち上がる、吹き飛ばされた衝撃でかぶっていた

ヘルメットが外れ長い黒髪が風に流れなびく。

『! 女性? この人が1人で基地を襲ったの?』

舞歌の姿を見て一瞬躊躇する、

「?  実戦経験がないようね・・・だから甘い!」

舞歌が足下に転がっていたバックをエアリーズのカメラに向かって蹴り上げる。

『なに?』

反射的にダッシュの目がバックに向く、その目の良さが命取りとなった。

 バシュッ!!

『くぅっ!』

バックの中に詰まっていた照明弾が炸裂しダッシュの視界を覆う。

エアリーズが視界を奪われた隙に舞歌は再びバイクに乗り茂みの中に消えていった。

 

 

 ゴゴォォォォォ・・・

舞歌が消えた茂みの上を飛行しながら、捜索するがこの中から見つけだすのはかなり困難だ。

このまま、隠れられたならだが・・・

「単独の特攻兵・・・ラピスみたいな子も居るんだから、別におかしくないけど・・・・・・!!」

何かが来る!!そう感じた瞬間、

 ドオオオ・・・!!

近くの小高い丘の側面の木々が一斉に吹き飛ぶ、

「ナデシコ!?」

そこから白と青のカラーリングを施されたシェンロンナデシコが姿を現す、

「クッ」

ダッシュは直ちにエアリーズを反転させナデシコに向かう、

「!」

そのとき、シェンロンナデシコの背後で大型ビーム砲の発射態勢に入る、2機のエアリーズがダッシュの視界

に入った。

『目標補足!!銃身固定』

『ターゲット、ロックオン   墜ちろテロリスト!!』

シェンロンナデシコに向かってビームが放たれる瞬間。

「まてっ! 撃つんじゃない!!」

ダッシュの脳裏に舞歌の姿が浮かび、とっさに発射を止める。

『? なぜです! ダッシュ特尉!!』

 

 

 ヴゥンッ!!

「甘いからよ!!」

シェンロンナデシコが一気に跳躍し、2機のエアリーズに迫りすれ違いざまに手にしたビームナギナタが閃く、

 ドゥオオオォォォォン・・・

一振りで2機のエアリーズが切り裂かれ爆発する。

『なっ! このぉぉ!!』

ライフルを乱射しながらダッシュのエアリーズがシェンロンナデシコに向かって突っ込む、そこにはいつもの

冷静なダッシュは消えていた、

 キュィィ・・・  ズシャッ!!

右腕のドラゴンハングが伸びエアリーズの右推進機を破壊、大地にたたき落とした。

『ぐあっ!!』

衝撃でダッシュは気を失った。

 

 

 ヴィィィィィン・・・     グィィィィィン・・・

ビクトリア基地南格納庫、輸送班が大型作業機械をフル回転させトーラスの輸送機への積み込み作業を行

っていた。

『急げ! トーラス全機積み込み次第直ちに離陸! この基地から運び出す! ダッシュ特尉からの命令だ!!

 急げ!!』

全体を見渡せる位置から輸送班を指揮する下士官が声を張り上げる、その顔は焦りに染まっていた。

「ナデシコはこっちに向かってない、少し落ち着いたら?」

余りにも切羽詰まっている下士官を見かねて、ラピスが声をかけるが、

「この基地の事は我々にお任せください!」

「(ムカッ!)そう」

小さな親切大きな迷惑とばかりに言い返されラピスの額に血管が浮き上がる、

「それより、ラピス特尉! 輸送機1号機前の専用機の移動の指示を!」

輸送機1号機前にラピスの専用機が止まってあり完全に進路を塞いでいた、輸送機と違って専用機は

ビクトリア基地の管轄ではなくラピスの指示がないと移動できない、

「やだっ!」

即答、後ろから見ていたシュンが苦笑いをしながらそれを眺めている、

「私はここの基地の命令に従う必要ない」

「(このガキ!!)」

下士官の顔が一気に紅潮するが 階級はラピスの方が上、それに命令系統から言ってもラピスがここの基地

の命令に従わなくても問題はないのだ。

「トーラスは出さない方がいい、ナデシコはこっちに向かっていない」

 プチッ

『構わない!! 2号機だけでも発進しろ!!』

必要以上に大声で怒鳴りながら、積み込みの終わった2号機に発進の指示を出す。

それを受けて、ゆっくりと2号機が動き出す。

「ラピス特尉、軍法会議物ですよ」

滑走を始める2号機見て多少落ち着いたのか、肩で荒い息をしながら下士官がラピスを睨む。

「・・・今、私の方が貴方より冷静に物事を考えられる、

 冷静に判断すれば、後にどんな結果が来ても後悔しなくてすむ・・・そう言う物」

下士官の神経を逆なでた本人がよく言う、重い機体を持ち上げ2号機がゆっくりと飛び立った。

 

 

「ツゥ・・・う・・・」

ぼやけた視界で何かが光っている、

「う?・・・・・・はっ」

ぼやけていた視界がだんだんはっきりして自分がエアリーズのコクピットに居ることを思い出す、見えていた光

はシステムエラーを示す警告ランプだ、

「そうだ・・・僕、ナデシコに・・・あの後いったい?」

通信システムを作動させるが、墜落の衝撃でどこか壊れたのか、基地からの応答はなく雑音のみが響いてくる。

「・・・・・・」

ならばせめて外の状況をと、死んでしまっているモニターをどうにか作動させる、

「!!」

そこに映ったモノを見て息をのむ、まず目に入ったのは辺り一面の森とエアリーズの瓦礫、そしてその中央で

大型ビーム砲を構えるシェンロンナデシコ、

エアリーズ2機でようやく運んでいた大型ビーム砲を軽々と操る、その砲口は基地の方向に向けられている、

いや 正確には基地から飛び立ったばかりのトーラス輸送機2号機に。

「クッ どうしたっ 動け! エアリーズ」

動かないとわかっていても微かな願いを込めて操縦桿を動かすが、エアリーズは何の反応も示さない、

ただ黙って外の様子をモニターに映すだけであった。

 ヴヴヴヴヴヴ・・・ ドウゥゥゥ・・・ンンン

赤い矢が放たれ、輸送機を寸分違わず貫く。

 ズカァァァ・・・ン

しばらくは原型を留めていたが、次の瞬間夜明け前の夜空に爆炎を上げて輸送機は砕け散った、搭載していた

トーラスと共に、

 

 

「あ゛あ゛あ゛・・・トーラスが・・・」

砕け散り、炎の塊となって降ってくる輸送機とトーラスの破片を下士官が呆然と見ていた、

あの時 ラピスの言うとおり輸送機を出さなければ、だが今更後悔してももう遅い・・・

「だから出すなって言ったのに」

今にも倒れそうになっている下士官に、何とか聞こえるぐらいの声でラピスがつぶやいてその場を離れた。

おそらくナデシコにやられたであろうダッシュの回収や、ここの基地の事後処理などやらなければならない事は

ある、零落する一下士官にこれ以上構っている暇はなかった。

 

 

 ブンッ    ズザザァァァ・・・

1回の射撃でオーバーヒートして使用不可になった大型ビーム砲を投げ捨てると、舞歌はシェンロンナデシコを

ダッシュのエアリーズに向ける、

『そこのパイロットっ 聞こえている!』

少し前からエアリーズのカメラアイに光が戻っている事に気がついていた、

『女だと思って私を甘く見た貴方が、つまらない兵士って事よ・・・

 私は、弱い者と子供は相手にしない!!』

そう言い放つと舞歌はゆっくりとその場から離脱していった。

 

 

後には、自分の甘さと情け無さを呪い絶叫するダッシュが残った・・・

 

 

 カンッ カンッ カンッ     ジジジジジジィィ・・・      ガガガガガッ

「絶縁部2600・・・修理可能」

けたたましい騒音の中破損したウイングナデシコのコクピットでルリが修理の為のデータを引き出していた、

ここはまだ、リョウコが呼んだ自走浮きドックの修理工場だ。

「次・・・2750」

「オイッ・・・オイッ聞こえてんなら返事ぐらいしろっ!!」

「・・・」

ナデシコの外でリョウコ叫んでいる、無視してもいいが五月蠅いので取り敢えずコクピットから顔を出す、

「やっと出てきた・・・何でオレ達に好意を無視するんだ!」

ようやく顔を出したルリに憮然とした態度でリョウコは言う、

「だってそうだろうが、せっかくオレのモビルスーツと一緒にここでお前のも修理してやるって言ってんのに

 断りやがって」

「私のモビルスーツを他人に触って欲しくないだけです」

ルリの答えを聞いてリョウコは大きくため息をつく、

「よく言うぜ、多分そう来るとは思ってたけどな・・・

 だけどな、予備のパーツも無いもにどうやって直す気だ? パーツが無いとどんなエンジニアだって修理

 できないんだ、人間と違ってモビルスーツは自然には直らないんだぜ」

「・・・・・・」

リョウコの話を聞いているのか?いないのか?ルリは無言のまま作業を続ける、

「おいっ 判ってんのか?」

再びコクピット内に戻ったルリを追って、リョウコはウイングナデシコの装甲によじ登る、

「・・・・・・あ゛あ゛あ゛っ」

何の反応を示さないルリを見てリョウコが頭を掻きむしる、

「何でこんなヤツ助けちまったんだろ? 無口で、無愛想で、無鉄砲で・・・

 あああっ! オレがお前だったらその性格呪ってとっくに人間やめてるぜ!!」

【こんなヤツ 無口 無愛想 無鉄砲・・・フフフ】

リョウコの言葉に表情には出さないがいちいち反応するルリ、フッと顔を上げリョウコを見る、

「少しいいですか?」

「何だよ? 今更手伝ってくれって言っても遅いんだよ」

少しぶっきらぼうに答えるリョウコだが

「煩いです、黙っててください」

「!!・・・

 はいはい、私が悪うございました」

予想していなかったルリのセリフに言葉を一瞬なくすと、肩をすくめて答えた、

 ピピピピピッ・・・

「!?」

「何だぁ?」

ウイングナデシコのコクピットから呼び出し音が響き、ルリがモニターを開く

「新しい任務ですね

 クリムゾンの輸送機が明朝、宇宙からナデシニュウム合金を運んでくる?

 任務了解、明日7:30に任務を遂行します」

その言葉を聞いてリョウコが目を剥く、

「なに考えてんだ? こんな機体の状況でできる訳無いだろうが」

「貴方にはできない、私には出来る、それだけのことです」

「ムッ

 はいはい、それは失礼しました」

そう言ってウイングナデシコからリョウコは飛び降りた、

【そして、ミスしたら自爆・・・失敗は許されない任務、こいつはどこまでオレと似ているんだ?】

少し離れてからウイングナデシコを振り仰ぎ、無口な少女を見上げた。

 

 

「ルリさ〜ん、早く僕を殺しに来てくださ〜い」

調べれば調べるほど謎に包まれたヒト、ホシノ・ルリ

その少女に一目惚れしたハーリーがどこをどう狂ったのか、そんなことを海に向かって叫んでいた。

「な、な、な、何をおっしゃるのですか、ハーリー様!!

 ハーリー様はクリムゾンにとって、いえ 人類にとって大切なお体なんですよ!!」

「エ? ユ、ユキさん!? 聞いていたんですか?」

「さぁ、今日から私が24時間つきっきり(はぁ〜と)で警備に当たります! さぁハーリー様こちらへ

ラピス&ダッシュ:【お似合いだね、ハーリー】

「ウワァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!」

 

 

連合本部ビル 第7会議室

連合加盟国の幹部が集まり、正体不明のMSの対策会議を開いている。

その中にはなぜかアキトの義父、雪谷才蔵外務次官の姿もあった、

「マキビ上級特佐からの報告で、あのモビルスーツ達はナデシニュウム合金製と確認されました」

「なるほどねぇ〜」

部下からの報告にこの会議の中心人物であるムネタケ・サダアキ将軍が、我が意を得たりと言った表情で

頷いた、

【マキビだと!? スペシャルズのマキビ・ハリが】

内心驚きながらも、才蔵はそれを表には出さない、

「ナデシニュウム合金は宇宙空間でしか精製出来ないと聞いていますが」

「やはり、これはコロニーが送り込んできたモビルスーツだと判断するべきですな」

会議の出席者がその意見に一斉に頷く、

「これは困ったわね〜 コロニーがこんな事をするなら宇宙にいる私の軍を引き上げるなんて、とても出来そうに

 ないわねぇ〜」

全く困った様子を見せずにムネタケ将軍がつぶやく、

「いえ、引き上げるのではなく逆の事をするべきでしょう」

「そうです、我が国はムネタケ将軍の宇宙軍に対しての増援を考えております」

「我が国も、その準備は出来ています」

「!  だが、ろくに確かめもしないであのモビルスーツをコロニーのモノだと判断し、それをコロニー全体の

 意志だと考えるのは、おかしいんじゃないのか!」

才蔵が異見を上げるが、

「何を言っている! 仕掛けてきたのは奴等だぞ!」

「どこにその証拠が有る!?

 それにコロニーの奴等は地球圏の誰よりも平和を望んでいる!」

「あ〜ら、それは違うわ 私たちこそ地球圏の平和を望んでいるわよ・・・

 それとも、これはコロニー側が私たちを妬んでの事かしら?」

いやらしく口元をゆがめてムネタケ将軍が才蔵を見る、

「!!  何を言ってやがる! 元はと言えば連合のコロニーに対する一方的な武力制圧がきっかけだろう

 が!」

あまりのいいように才蔵が怒鳴るが、ここにいるのは連合加盟国の軍に属する者達、それもムネタケ派と

呼ばれる派閥の人間だ、軍の行動を否定した才蔵の発言に怒りを爆発させた、

「それが貴様の本性だ!!」

「貴様はコロニー側と内通したスパイではないのか!!」

「アホ抜かせ!! 誰がスパイだ! 貴様らこそ軍需企業から賄賂をもらっていたずらに戦火を広げてる

 だけだろうが!!」

売り言葉に買い言葉、元々気性の荒い才蔵もくってかかる。

「なんだと!!」

「やめなさい!あんた達 

 報告は承ったわ、才蔵外務次官の退席をお願いしていいかしら」

殴りかかろうとしていた者達を押しとどめ、ムネタケが言う。

「そろそろ気づいてもいいだろ、本当に危険なのはお前達だと・・・

 それでは失礼する」

敵意の視線に見送られ才蔵は会議室を後にした・・・

 

 

『流石ラピスですね、このタイミングでの情報のリークは効果的だった』

副官ユキ・キクノから会議の様子の報告を聞きながらハーリーがつぶやく、

「はい、これでラグランジュポイントに再び緊張が戻りました」

『ボクもそれで正しいと思う、

 ところでユキさん、 雪谷外務次官ですが・・・』

「はい、承知しております」

ハーリーの言葉にユキ・キクノが頷く、その顔には危険な色が浮かんでいた、

「ところでハーリー様、お湯加減どうですか?」

『はい、とてもいいですよ』

ハーリーただいま入浴中・・・って、そんな時に報告受けるなよ(汗)

「それはよかったですわ♪ (いそいそ)」

脱衣所で何かモゾモゾ動くユキ、

『・・・ユキさん? 何を・・・』

もちろん ハーリー様のお背中流して差し上げるんです(ハ〜ト)

『け、けけけけけけけこうです!!(おびえ)』

そんな、照れなくてもいいんですよ(はぁ〜と) ハーリー様

「イッヤァァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

またこのパターンかい(汗)

 

 

 カンッ カンッ カンッ     ジジジジジジィィ・・・      ガガガガガッ

深夜の自走型浮きドックに作業音が響く、が作業員達は既に眠っている。

「・・・たっく、よくやるぜ」

音に目を覚ましたリョウコが様子を見に来ると、ルリが1人でウイングナデシコの修理を初めていた、

「ふぁ〜あ、オレはもう寝る・・・オヤスミ」

あくびを噛み殺すと、リョウコは自分の部屋に戻っていった。

 トタトタトタトタ・・・ バタンッ

足音が遠ざかり続いて扉が閉まる音がした、

「フフフ・・・」

リョウコがいなくなったのを確認すると、ルリはイタズラな笑みを浮かべた。

 

 

 グオオオオオオオオオオオオオ・・・

「なんだなんだなんだ!?」

翌朝、リョウコが爆音でたたき起こされ甲板に飛び出してみると、

「な!? マジかよ・・・」

そこには、バード形態となって発進準備をするウイングナデシコの姿があった、修理は完全に終わっている

ようだ。

呆然としているリョウコや作業員を尻目にウイングナデシコは朝焼けの中、飛び出していった。

「スッゲ〜 あいつホントに直しやがった・・・大したヤツだぜ」

心底感心したようにリョウコはつぶやくと、自分がまだアイツの名前を聞いていないことに気づいた。

「まぁ またどこかで会うだろうな・・・近いうちに」

小さくなっていくウイングナデシコを見送りながらリョウコがつぶやいたとき、

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!やられた!!」

いきなり、背後から作業員の叫び声が、

「今度はなん・・・・・・あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」

振り返ったリョウコの目に入ってきたのは、解体されパーツを抜き取られたナデシコデスサイズの無惨な姿と

『パーツもらいました』と書かれた張り紙1枚・・・

「アイツここからパーツ盗みやがったな!! ちょっと誉めたらこれだ!! チクショォォォ」

リョウコの絶叫が朝のドックに響いた。

 

 

 ゴゴォォォォォォ・・・

既に高高度まで上昇して来たウイングナデシコは標的であるクリムゾンのナデシニュウム合金輸送機を

捕らえていた。

「ターゲット確認、バスターライフル射程内」

バード形態からMSへと変形させバスターライフルを構える、

「オートロック、そこですっ!」

ビームの奔流が輸送機を包み込み、積み荷であるナデシニュウム合金ごと蒸発させた。

「任務完了・・・戻りましょう、あの人の所に・・・」

何気なく口から出た言葉にルリは気づいていなかった。

 

 

中東マグアナック隊前線基地

コルシカ基地の襲撃を終えたマグアナック隊とユリカ、エリナのナデシコはここに帰ってきていた。

その一室、ピアノが静かに流れる・・・

ユリカがピアノを引いて、エリナが耳を澄まして聞いている・・・が

〜〜〜〜、♪♪〜〜〜∧

「あっ」

「・・・」

〜〜〜〜、♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜、ビンッ

「きゃんっ」

「(ピクッ)」

〜〜〜〜、♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜〜〜、♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜*`+?{

「ふぇ〜ん(泣)」

「あ゛あ゛っ もうそうじゃないでしょ! 指の流れはコウ!」

失敗の多さに聞きかねたエリナが指導を始めた、

「え、ええっと・・・こうかなぁ」

「そうじゃなくて、こうよ!」

「なるほど! こうですね!!」

「だから違うっていってるでしょ!」

「ふぇぇ〜ん」

「そこそこ筋がいいんだから、もう少しがんばりなさい!」

「はぁ〜い・・・」

なんだかんだでうまくいっているようだ?、この2人

その2人の足の下、MS格納庫では傷ついた2機のナデシコが修理を受けていた、

「フ〜、だいたい終わったな」

エリナのナデシコヘビーアームズを修理していた工兵が一息つく、

「ああ、それに案外ユリカ様の機体に似ていたから楽だったよな」

「しっかし、こりゃ似すぎだぜ そう思いませんか!隊長」

隣のデッキでナデシコサンドロックの修理状況を確認していたジュンに話しかける、

「ああ、だからユリカも気にしているんだ、

 だけどよかった、ユリカと互角に戦えるパイロットが今回は敵にならなくて・・・」

ナデシコヘビーアームズを見上げジュンは1人つぶやいた。

 

 

ビクトリア基地

ようやく回収されたダッシュのエアリーズが基地内に運び込まれた、フレームが歪んでいるのか開かないハッチ

を強引に工具で開ける。

「ダッシュ! よかった無事だったんだ」

開かれたハッチから降りてくるダッシュの姿にラピスが声を上げる、疲労はしているようだが外傷は無いようだ。

「ラピス・・・ だけど精神はボロボロだよ」

力無くダッシュはラピスを見て言った、

「ダッシュが生きていただけで十分だよ」

今までラピス意外でナデシコを見て生きていた者はいなかったのだ、

「僕が死んだら二階級特進でラピスより先に出世するからね・・・」

「クスッ・・・強がりが言えるなら、大丈夫だね」

ラピスに安堵の表情が浮かぶ、

「ラピス! 僕も一緒に戦わせて! 僕は自分の甘さを叩き直したい!」

「私もナデシコに酷い目にあってる、だけど今度は好き勝手にされなくてすみそうだね」

「ラピス・・・」

「ダッシュが手伝ってくれるなら、もう大丈夫だね」

そう言ってラピスはニコッと笑った。

 

 

「取り敢えず、気晴らしにハーリーのデータベースにでもハッキングする?」

「そうだね、じゃあハーリーの行動パターンデータをユキ・キクノのPCに送るとか・・・」

もう立ち直ってる・・・

 

 

 グルルルル・・・   ガウッ

サバンナを1人歩く舞歌は、ライオンの群に囲まれていた。

が、舞歌におびえるそぶりは全くない、それどころか逆にライオン達を威圧している、

「力を持たないモノが、出て来るんじゃない!!」

声と共に一気に”気”を放つ、

 キャウンッ   くぅんくぅぅん・・・

その”気”に押され、ライオン達は一目散に舞歌から逃げていく。

「弱い敵と戦うと・・・虚しくなるのよ・・・」

どこか辛そうにつぶやき、夜が明けようとする空を見上げた・・・

 

 

to be continued

 

 

 

 

 

次回予告

 

ナデシコの登場で戦いは始まった、それは本当にコロニー側の意志なのか?

才蔵外務次官はアキトを連れ、再びコロニーへと飛ぶ、しかしクリムゾンのユキ・キクノは卑劣にも才蔵の暗殺を

企てた。

倒された才蔵の口からアキトは自分の出生の秘密を聞かされる。

 

次回 新機動戦記 ナデシコ W

 第05話 「アキトの秘密」

 

 

 

 

 

あ(と)がき

めるう゛ぃる(以下:め):お待たせしました、ナデシコ W 第4話 いかがでしたか?

アキト(以下:ア):ホントに待たせたな、1から2話が4日、2から3話までが1週間で3から4話までが9日か。

め:ぐはぁ!! それを言わないでぇぇぇ

ア:一週間連載でも一年かかるんだ、もっと早くしろ

め:あい、なるべく善処します・・・

ア:それにしても、ノイン役がダッシュとは思わなかったな

め:そうか? 意外と適任だと思ったんだけど

ア:キャラ違いすぎ、ほとんどオリジナルだ

め:・・・・・・(なにも言えない)

ア:ユキさん(3104さんのテンカワアキトの女難体験記E参照)がレディ・アンだし

  ・・・似合ってるけど(笑)

め:一番の適役(笑)、ハーリーくんには気の毒だけど(爆笑)

ハーリー:ウワァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン!!

 ダダダダダダダダッ

ア&め:ハーリー(くん)!? 居たのか!?

 

 

 

 

で、続きです。

 

 

 

管理人ですよ。

 

めるう゛ぃるさん!! 第四話投稿有難ぉお!!

・・・意表を突かれました、はい(笑)

何時の間に生身になったんだ、ダッシュ!!

は!! もしかして、サイボーグ!!

う〜ん、何となくありそうで怖いな(苦笑)

しかし、ハーリー君が例の台詞を言うと、洒落にならないよな(爆)

いや、本気で命が危ないって・・・

でも、やっぱりユキさんって・・・男なのかな?

 

では、次回を期待して待ってます!!

 

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