これは、あるSS作家によって
完全に忘れ去られた存在
となってしまった・・・
不幸な少年の話である・・・
機動戦艦ナデシコ Re Try 大晦日スペシャル もしもハーリー君が『○○』だったら・・・
沢山のフラッシュが光る中、一人の青年が振り向く。
「俺は高校生探偵、テンカワ=アキト。」
都内に新しくオープンしたトロピカルランド。
そこで、一つの殺人事件を解決した少年と、女性が二人で立っている。
女性は、泣いているようだ。
「幼馴染で同級生のミスマル=ユリカと遊園地に遊びに行って
黒ずくめの男の怪げな取引現場を目撃した。」
太っている男に、いかにも怪しい格好をしている黒ずくめの男が
金を渡している。その取引を、柱の影から目撃し、写真に撮っているアキト。
「取引を見るのに夢中になっていた俺は、背後から近づいてくる
もう一人の男に気付かなかった。」
鉄パイプで背後から殴られ、気絶するテンカワ=アキト・・・
黒尽くめの男はアキトの口にカプセルを入れ、水を強引に飲ませる。
「俺はその男に毒薬を飲まされ・・・目が覚めたら・・・」
カプセルを飲まされたアキトが目覚めると・・・
「体が縮んでしまっていた!
テンカワ=アキトが生きていると奴らにバレたら
また命を狙われ、周りの人間にも被害が及ぶ・・・
俺は近所に住む改造屋・・・じゃなくて、発明家のウリバタケ博士の助言を受け
正体を隠す事にした俺は、ユリカに名前を聞かれ、とっさに
『マキビ=ハリ』と名乗り、奴らの情報を掴むため
父親が探偵事務所を開いていて、ユリカの家に居候する事となった。」
ま、ユリカさんには『変な名前』ってはっきり言われちゃったけどね・・・
「私が、名探偵のミスマル=コウイチロウである!」
・・・ユリカさん・・・父親に似なくて良かったね・・・
まぁ、その超音波ボイスは父親譲りだけどね・・・
事件を解決したものの、その事をまったく覚えていないコウイチロウが
新聞記者やカメラに囲まれて困った顔をしている。
「それも、そのはず。ウリバタケ博士が作ってくれた腕時計型麻酔銃で
おっちゃんを眠らせ、蝶ネクタイ型変声機で代わりに推理してるんだから。」
・・・爆発するけどね・・・
「自爆は男のロマンだ!」
いや・・・だから・・・麻酔銃使うたびに自爆してたら推理できないんですけど・・・
「奴らの正体は今だ掴めていないが、何時か必ず捕まえてやる。」
ハーリーのメガネがキラリと光る。そして、何処ともなく指を指し
「小さくなっても頭脳は大人!迷宮無しの名探偵!
真実は何時も一つ!」
「ふっふっふっ・・・この展開を待っていたんです!」
あ、ナデシコSS界で一番不幸な少年じゃないか。
「誰のせいですか!僕の出番ってプロローグでチョッと名前が出ただけで、全然無かったじゃないですか!
他の作家さんは、喜んで僕を出しているって言うのに!」
そうなのか?
「まぁ、良いでしょう。
こうして僕が主役のSSを書いてくれるんですから。」
帝丹小学校・・・
ハーリーは小さくなった後、ウリバタケ博士に進められ小学校に通う事となってしまった。
まぁ、戸籍とか住民票はどうしたんだ?と言う
原作でも明かされていない色々面倒な設定は放って置いて・・・
とにかくハーリーはクラスに入るなり、その特異なキャラクターで一躍人気者となっていた。
「ねぇ、聞いた?聞いた?今日このクラスに、転校生が入って来るんだって。」
将来はアイドルを目指していると言う、そばかすがチャーミングなメグミ=レイナードが話している。
「へー、ホントかよ!」
暑苦しい顔で、何時もゲキガンごっこをしているヤマダ=ジロウがメグミに言う。
「転校生なんて、ハーリー君以来ですなぁ。」
小学生なのに、何故かちょび髭を付け、赤いベスト、妙にこざっぱりした格好でプロスが言う。
「プロスさん・・・そのちょび髭は小学生に見られないんじゃ・・・」
「いえ、これが無いと私と認識されませんから・・・」
意味不明の会話をするハーリーとプロス。
メグミとヤマダは転校生の話題で盛り上がっている。
ハーリーはその話を聞きながら、ランドセルを机の上に置く。
「どんな子かなぁ?」
「一緒にゲキガンガーを見れればいいぜ!」
「いえ、いえ。性格はともかく能力が第一ですよ。」
―はは・・・皆好き勝手言ってるよ。
ハーリーが一人思っていると、そこにメグミ達がやってくる。
「ねぇねぇ、ハーリー君はどんな子だと思う?」
「え?・・・さぁ、案外ガリ勉タイプのムッツリ君じゃないですか?」
ハーリー達が話していると、予鈴が鳴り担任のミナト先生が一人の少女を連れて入ってきた。
「良い!良いですよ!」
うわっ、いきなり何だよ・・・
「ふっふっふっ・・・あなたがすでにあの作品で
哀×コのカップリングが好きだと言う事は調査済みです!
その手のサイトをあなたはお気に入りの欄の中で
わざわざフォルダまで作って管理してるんですから!」
・・・なんか、どんどんこのSSでプライベート暴露されてるな・・・それで?
「この先の転校生って、あの人でしょう?
と言う事は・・・人生最大の春がやっと来ました!」
ま、良いけどね・・・
「それじゃぁ、皆に紹介するわね。
転校生の灰原 アイちゃんよ。皆仲良くね。」
「「「「は〜い!」」」」
ミナト先生の紹介で入ってきたのは、何故かみかんを持った
目のくりっとした少女だった。
「じゃぁ、席は・・・」
「俺の横が空いてるぜ!」
ヤマダが手を挙げて言うが、アイはスタスタとその横を通りすぎ
ハーリーの隣に座る。
「よろしくね。」
「あ・・・はい・・・」
ハーリーはアイの瞳に物凄く怪しい光が灯っている事に気が付いた。
「ふふふふふふ・・・・
非常に興味深いわ・・・
あなたの、その不死身の体が・・・」
「ど・・・どう言うことです?」
「説明しましょう!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」
アイのその言葉で全てを察したハーリーは、必殺のハーリーダッシュで教室を抜け出した・・・
そう・・・彼女はイネス=フレサンジュが小さくなった姿だったのだ・・・
「って!チョッと待ってください!どう言うことですか!」
だから、ちゃんと主人公だし、恋人も居るし。元科学者なんて設定そのまんまじゃないか。
「実験動物としてしか見てくれないんですよ!
それに、ほら・・・判っているでしょ?僕が誰を待ち望んでいるか・・・」
しょうがないなぁ・・・じゃぁ紹介シーンから書き直すから。
「やった!今度こそ幸せに・・・」
「それじゃぁ、皆に紹介するわね。
転校生のアクア=クリムゾンちゃんよ。皆仲良くね。」
「「「「は〜い!」」」」
ミナト先生の紹介で入ってきたのは、ボーっとした感じだが目が獲物を求めているように
鋭く光っている少女だった。
「じゃぁ、席は・・・」
「俺の横が空いてるぜ!」
ヤマダが手を挙げて言うが、アクアはスタスタとその横を通りすぎ
ハーリーの隣に座る。
「よろしくね。」
ニコリと笑いながらアクアは挨拶をする。
「あ・・・はい・・・」
ハーリーはアクアの瞳に、物凄く怪しい光が灯っている事に気が付いた。
「ふふふふふふ・・・・・さぁ、一緒に破滅の道を歩みましょう・・・」
「ど・・・どう言うことです?」
「あなたと私は、劇的に死ぬの。ああっ、何て美しいんでしょう!」
アクアの手には、薬の瓶が握られていた。
「さぁ、どんな死に方が良い?睡眠薬?投身自殺?首吊り?
入水自殺何ていうのもいいし、割腹自殺も格好良いわ。」
「自殺マニアだよぉ・・・」
「あ、今なら闇ルートで青○カリを手にいれることも出来るわ。
あの、アーモンド臭がまた良いのよね。」
「う・・・うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」
ハーリーは、慌ててその場を逃げ出すしか手は無かった。
「いい加減にしてください!」
だって、似てるだろ?
「アイとアクア、最初のアしか合ってません!」
はいはい、じゃぁ・・・次は・・・
「ひょっとして楽しんでません?」
「それじゃぁ、皆に紹介するわね。
転校生の影護 北斗ちゃんよ。皆仲良くね。」
「「「「は〜い!」」」」
ミナト先生の紹介で入ってきたのは、紅い燃え上がるような髪で
意志の強い真紅の瞳を持っていた。
「じゃぁ、席は・・・」
「俺の横が空いてるぜ!」
ヤマダが手を挙げて言うが、アイはスタスタとその横を通りすぎ
ハーリーの隣に座る。
「よろしく頼む。」
「あ・・・はい・・・」
ハーリーはちらりと北斗を見る。
「何だ?戦いたいのか?」
そう北斗が言うのと同時に、北斗の体から朱金の昂気が噴き出す。
「い・・・いや・・・その・・・」
「はっきりしない奴だな・・・俺は強い奴と戦いたいんだ。」
ハーリーは他の皆に助けを求めたが、すでに皆教室・・・と言うより学校から退避していた。
「あ・・・皆裏切り者だ!」
「さぁ、見せてみろ!おまえの力を!」
「う・・・うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」
「逃げるな!待てぃ!!!」
北斗とハーリーは街中を破壊しながら、追いかけっこを続けるのであった・・・
いやぁ、彼女の事は忘れていた訳じゃなく、あえて出さなかったんだよね。
「・・・・」
それに、ルリ様の一人称であったために、どうしても木連側の人間って出しにくいしね。
実際、白鳥とか月臣なんかはあまり活躍しなかったし・・・
「・・・」
まぁ、本編で出ないと言うより出さないと決定したキャラだからね。
せめてこういう時くらいは出してあげないと。じゃぁ、次は舞歌バージョン行ってみようか。
「・・・」
って、どうしたんだい?ハーリー君・・・
「あなたには失望しました。もう良いです。
僕はあなたの所ではやっていく自信がありません。サヨウナラ・・・」
待った。判ってるって、あの人だろう?ちゃんと用意してるよ。
まぁ、他の人のバージョンも用意してたんだけど、
君が血の涙まで流しているんだから、予定を早めてあげるよ。
「ホントですね?信じて良いんですね?」
「それじゃぁ、皆に紹介するわね。
転校生の星野 ルリちゃんよ。皆、仲良くね。」
「「「「は〜い!」」」」
ミナト先生の紹介で入ってきたのは、色白の肌、銀色の髪をツインテールにし
その瞳は金色に輝いていた。そして、なにより美少女だった。
教室内にどよめきが起こる。
「じゃぁ、席は・・・」
「俺の横が空いてるぜ!」
ヤマダが手を挙げて言うが、ルリはスタスタとその横を通りすぎ
ハーリーの隣に座る。
「よろしく。」
「あ・・・はい・・・」
(やった!これこそ僕が望んでいた展開です!
天国のお父さん!お母さん!僕はやりましたよ!
あとは、いかにして僕の存在をルリさんに植え付けるかですが・・・
麻酔銃を使って眠らせたスキに・・・ってこれじゃ犯罪だし・・・
何より、また爆発したんじゃ今回こそミナト先生に怒られますし・・・
そうだ!映画館に行って隣同士になって・・・
そこで起きた殺人事件を鮮やかに解決!そうです、これです。
そうなればルリさんの僕に対する評価もうなぎ上り!
と、なれば後でアカツキさんに連絡して・・・これは計画を練り直す必要があります。
組織の力を総動員してバックアップしてもらわないと・・・)
ハーリーの想像は、既にルリと結婚式を挙げるところまで行っている。
その悩みはすでに式場の選別に入っているのだからマシンチャイルドの頭脳侮り難しだ!
しかし、ハーリーは自分の妄想が暴走していた為、
ルリの瞳に映っているものが、自分ではない事に気がつかなかった。
(甘いですよ、ハーリー君。私が望むのはアキトさんとのラブラブ生活です。
それに、調査不足です。この外道作者は、どちらかと言うと新×哀が好きなんですから。
すでに解毒剤は完成済み・・・給食にでも混ぜてこっそりと・・・
でもそんな事をしてしまっては、小学校でアキトさんに戻ってしまいますね。
じゃぁ、ハーリー君を上手く誘い出して、解毒剤を栄養剤と偽って飲ませましょう。
ウリバタケさんを利用してハーリー君を家まで連れてきて・・・ウリバタケさんは
オリエさんの所にでも行ってもらって・・・)
「ルリさん、教科書が無いでしょう?僕のを見せますよ。」
「ありがとう、ハーリー君。」
一見、穏やかな雰囲気を見せてはいるものの、お互いの心の中は
陰謀を張り巡らせるのでいっぱいだった。
「こ・・・恐い・・・」
「な・・・何なんです?この瘴気は・・・」
「ふ、二人とも目が笑ってない・・・」
二人の間に漂う雰囲気に担任のミナトまで気圧されている・・・
周りの生徒達は失神するものすらいる。
はたして、ハーリーの運命やいかに!
ルリの策謀がハーリーを襲う!
頑張れハーリー!
負けるなハーリー!
君の幸せは・・・
たぶん来ないだろうけどね・・・
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
お〜い、ハーリー君!・・・行っちゃった・・・
「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」
って、どうして背後から現れるんだ?
「思わず地球を一周してきましたよ!
あ、これブラジル土産です。
って何ですか!これは!」
・・・光の速さでも習得したのかい?それに何故ブラジル・・・
だいたい、太平洋はどうやって横断したんだ?
「片足が沈む前に、もう片方の足を出すんです。素早くやるのがコツですよ。」
そんな忍者もどきな事ができるのは君か史上最強の男くらいのものだよ・・・
「それより、どうなっているんです!」
だから・・・君(本体)とルリ様の物語・・・
「だから、本体とじゃダメじゃないですか!
ちゃんと僕と・・・その・・・ラ・・・ラブラブ・・・・になる話を・・・」
ったく・・・注文が多いね・・・
じゃぁ、元となる話を変えよう。
「どんな話です?」
ひなた温泉にある日向荘・・・ここには、一人の男と6人の女性が住んでいた。
「ちょっと、ハーリー君。風呂場の掃除はどうしたの?」
長身で、可愛いと言うより美人、美人と言うよりハンサムな女性、草g アヤが
ハーリーに木刀を突きつけて尋ねる。
「あ、今やろうと思っていたところですよ。」
ハーリーは、窓を拭く手を休め答える。
「早くして頂戴、風呂場の掃除が終わったら、次は料理、洗濯、屋根の補修がまってるからね。」
アヤの言葉に容赦はない。
「おい、ハーリー!俺の服知らねぇか?」
ショートカットの女性、昴 リョーコがハーリーの胸倉を掴み言う。
いや、むしろ脅すといった感じだ。
「え・・・だってあの服は洗濯してくれって、昨日リョーコさんが・・・」
「ばっきゃろう!中に有馬記念で当てた万馬券が入ってたんだよ!
気が付かなかったのか!」
「い・・・いえ・・・」
リョーコはハーリーを突き飛ばし
「とにかく何とか見つけ出し復元しろ!良いな!」
「そんな無茶な・・・」
「ハーリー君、何時になったら手伝いに来てくれるの?」
和風茶房『日向』を経営しているハルカ=ミナトがハーリーを呼びに来る。
「あ、ミナトさん・・・こっちがまだ片付いていないんです・・・すみません。」
「もう、人手が足りないんだから、早く片付けて来てね。」
「はい。」
「ハーリー!遊ぼう!」
「ハーリー君、チョッと実験に付き合ってよ。」
薄桃色の髪をした少女、ラピス=ラズリと
怪しげな注射器を持った金髪の女性、イネス=フレサンジュが
ハーリーをボコボコにする。
どうだい?
「これじゃぁ、僕がいじめられてるだけじゃないですか!」
まだまだだな、ハーリー君。あの人がまだ出てないじゃないか。
「・・・期待して良いんですね?」
「あの、料理が出来ましたけど・・・」
皆からいじめられていたハーリーの背後から急に声が聞こえる。
(やった、ここはこの作者の事。きっとルリさんに違いない!
この作品は、全ての組み合わせオッケーって節操の無い事を以前、平気で言っていた気がします!
だったら・・・テンカワハーレムならぬハーリーハーレムの完成です!
まぁ、チョッと語呂が悪いですが、まぁ良いでしょう。)
「もちろん、食べさせていただきます!」
ハーリーは思いっきり期待して後ろを振り向いた先には
そばかすの残る顔に、三つ編みの少女・・・メグミ=レイナードがいた。
手にはグツグツと煮え立つ緑色の液体が入った鍋を持っていた。
「ホント?嬉しい!今日のはチョッと自信作なんだ。」
「やっぱり遠慮しておきます!」
メグミの顔を見た途端、ハーリーはスタスタと立ち去ろうとする。
「どういう意味よ!」
「ちゃんと食べれるものを作ってください!」
「・・・・せっかく・・・頑張って作ったのにな・・・」
メグミの目に涙が光る。下に目薬が落ちているのを発見したハーリーであったが・・・
「チョッと、ハーリー君。女の子泣かせたらダメだぞ。」
ミナトがハーリーを叱る。
「い、いや・・・ミナトさん、あの・・・」
「そうだぜ、ハーリー。」
「他の事は後で良いから、食べてあげなさい。」
「ハーリー、サイテー。」
「胃薬は、作ってあげるから。」
「だから・・・その・・・目薬・・・」
「クスン・・・」
皆、メグミの料理をハーリーに食べさせようと必死になっている。
目薬の事は皆気が付いているはずなのだが、そんなものは眼中に無いかのように振舞っている。
「じゃぁ、皆で食べましょうよ。」
ハーリーは起死回生とも言うべきか逆襲に出る。しかし
「あ、私今から稽古だから。」
「お、俺はバイトだから。」
「あたしは店があるから・・・」
「私、実権の途中だったわ。」
「私も宿題があるから。」
「「「「「ハーリー(君)、しっかり食べてね。」」」」」
アヤ、リョーコ、ミナト、イネス、ラピスは瞬時にその場から居なくなってしまった。
「そんな!ずるい!」
「しっかり食べてね。」
ハーリーの目には、メグミの笑顔が悪魔の微笑みに見えたという。
「うう・・・やっぱりダメじゃないですか!」
ほ、ほら・・・まだ一人残ってるからさ・・・
「ホントですね。信じて良いんですね?」
この作品は全ての組み合わせOKって言ってるだろう?
まだ、正統派カップリングも残っているじゃないか。
「そ、そうですね。」
メグミの料理により、全治4時間と判断されたハーリーは自室で寝込んでいた。
「ああ・・・一体何時までこんな生活が続くんだろう・・・
この分じゃ、今年も大学に受からないだろうな・・・」
ハーリーはふと、天井の穴を見つめる。すると、そこから一人の少女が覗き込んでいた。
「大丈夫ですか?ハーリー君。」
銀髪をツインテールにし、黄色のセーターとジーンズ姿のホシノ=ルリが言う。
「あ、ありがとうございますぅ・・・」
(やった!外道、悪魔、鬼と思っていましたけど、やっぱりご褒美を用意していてくれたんですね、
この作品の最後は確か、結婚式までしてましたから・・・ルリさんと・・・)
ハーリーの顔が思わずにやける。
「な、何ですか?そんなニヤニヤして・・・メグミさんの料理でおかしくなったんじゃありませんか?」
「え、い・・・いえ、何でもありませんよ。」
(くぅ〜!心配してくれるルリさん・・・僕はもう死んでも構いません!)
「ところで、ハーリー君・・・その・・・今日・・・私・・・晩御飯いりませんから。」
「え?」
ルリは、顔を赤らめて言う。
(ひょっとして、僕とデート?でも、そんな約束なんてしてないし・・・)
ハーリーはその不幸のニュータイプとでも言うべき直感と、予測能力でこれからの展開を予測する。
その予測能力はゼロシステムを上回るほどである。
ただし、その能力は自分の身に起こる不幸に関してのみなのだが・・・
「ハーリー君、具合はどうだい?」
部屋のふすまが開き、中に入ってきたのは、ツンツン頭で白衣を着た男性だ。
ハーリーは自分の予想が当たらない事を祈っている。
「アキトさん、来てたんですか?」
敵意をむき出しにしてハーリーは言う。
アキトは東京大学で考古学の教授をしている。
ハーリーがひょんな事から、アキトの発掘をバイトで手伝った事が原因で知り合ったのだが
その人が、ルリの初恋の人であったという事実をつい最近、リョーコから聞いたのであった。
「おや?ルリちゃん。その穴は一体・・・」
アキトは、不思議な顔で尋ねる。
「そ、それより約束はまだ一時間も後ですよね。」
ルリは慌てて言う。以前ハーリーを吹き飛ばした時に出来た穴だとは言いがたいのだろう。
「ああ、ラピスの様子も見たかったからね。」
「そうだったんですか。それより、すぐに行きますから表で待っていてください。」
ルリは、天井の穴からアキトに言うと、穴を塞いでしまった。
「ひょ・・・ひょっとして・・・ルリさんと食事に行くのって・・・」
「僕だよ。いやぁ、この前模擬試験の予想問題を作ってあげたお礼がしたいっていうからねぇ。」
(な、なんだ・・・ルリさん、てっきりデートと思いましたよ。ただのお礼、そう!ただのお礼なんですね?)
ハーリーは自分自身を納得させようとしているが、
ハーリーの予測能力はその考えを完全に否定している。
「アキトさん、まだこんな所に居たんですか?行きましょう。」
ルリの格好にハーリーは愕然とした。
その服装は、以前ミナトから勝負服として渡されていた自慢の服で
デートに行く時はこの服を着ていきたいと皆に話していたものだからだ。
ちなみに、その服を買うためハーリーは、一週間バイトを強制的にさせられたのだった。
「じゃ、ハーリー君。そう言う事だから。」
ルリは、そう言うとスタスタとハーリーの側によりそっと耳打ちする。
「・・・今夜は、遅くなるかもしれませんから・・・」
そう言うと、ルリはアキトと一緒に日向荘を後にした・・・
「うわぁぁぁぁぁぁぁん!!!」
不幸が服を着て歩いているって、このことかな?
「誰のせいですか!信じてたのに・・・信じてたのに・・・
裏切ったな!僕の気持ちを裏切ったんだな!」
そんな、某エヴァのパイロットみたいな事を言っても・・・あ、今度はその話でいこうか?
「どうせ僕が一番不幸になる役なんでしょう?」
まぁ、それが君の運命なんだよ。
「いいえ!納得できません!それに、その話は時ナデでやってました!」
しょうがないなぁ・・・次の話が最後の話だよ?
「・・・どんな役ですか?」
まず、同居している。
「・・・前の作品でも同居してますよ。」
そんなジト目で見ないで・・・
ルリ様は確実に出るんだから。
「・・・それも、前の作品で出てました。」
君にとってかなり美味しい役だと思うんだけどね。
「ほほう?」
最後に・・・キス・・・が出来るよ。
「やった!全国のファンの皆!今度こそやりました!ついに!あの!ルリさんと!添い遂げる日がやってきました!」
凄い喜び様だね・・・ま、浮かれる気持ちは解らないでもないけどね。
『法』もなく・・・
『秩序』もなく ただ・・・
血と鋼鉄と肉と骨・・・
そして、魔力の時代・・・
そこには、かつて伝説とまでなった一人の魔術師が存在したのだった・・・
中央大陸に存在する『メタ=リカーナ王国』。
ここには、かつての大戦で4英雄とまで言われた大神官、『リュウ=ホウメイ』が国王を助け
決して豊かとは言えないまでも、人々は平和に暮らしていた。
しかし・・・
国王と大神官の遠征を狙ったかのように、ムネタケが闇の軍勢と共に押し寄せてきたのだ。
「おーっほっほっほっ!混沌が生み出した魔物たちよ!
城を瓦礫にし、この王国を私の物にするのよ!」
・・・闇の軍勢はマタンゴを中心としたキノコ部隊だが、王国を護る騎士団や
大神官であるホウメイが居なくては、残された部隊に勝ち目は無かった。
「ハーリー君!ハーリー君!一体何処行ったの?」
城の中で起きる混乱の中で、銀髪をツインテールにし
見習い神官の服を着た、ホシノ=ルリが一人の少年を探している。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」
そこに、一人の少年が凄まじい勢いで城に侵入したマタンゴを
必殺のハーリーダッシュで蹴散らしながら、ルリの元に走ってくる。
「ひっく・・・ルリさん・・・恐いよぉ・・・」
「私には、あなたの再生能力のほうが恐いですよ・・・」
ルリのコメカミに縦線が入る。
ドシャーン
硬く閉ざされた大扉が大きく歪み始める。
「ルリさん・・・」
「大丈夫ですよ、私が守ってあげますから。」
ルリはそっとハーリーの頭をなでる。
ハーリーは安心感を覚えていた。
しかし、ルリの頭の中には育ての親であるホウメイの言葉があった。
―いいかい、ルリ坊。秘密の呪文を教えたげるよ。
この呪文はね、神聖な力によって封じ込められた『ある特定のもの』を解き放つ・・・
でもね、くれぐれも言って置くけどこれは非常に危険な呪文なんだ。
だから、あたしが留守の間に王国が最大の危機に直面した時意外には使っちゃダメだよ。
この呪文によって『ある人物』に封じ込められたもう一つの人格、いにしえの大魔法使いが
目を覚ます事になる。そうしたら、その強力な魔力で敵を打ち破るはずだよ。
そして、ルリ坊・・・この呪文に効力を与えるためには、清らかな処女の接吻が必要なんだよ。
冗談じゃない・・・ルリはハーリーの顔を見ながら思う。
ハーリーは不思議な顔でルリを見ていた。
しかし、大扉の限界が近づくにつれて人々の不安はパニックに、そして絶望へと変っていった。
「ルリちゃん」
「ユリカ王女・・・」
あまりの恐怖で再び必殺のハーリーダッシュをしようとしていた
ハーリーをしっかり捕まえていたルリのもとに、メタ=リカーナの王女である
ミスマル=ユリカが近寄ってきた。そして、ルリの前に座る。
「この間、ホウメイさんから聞いた事があるよ。いかなるモノをも滅ぼしちゃう
伝説の魔法使いがこの国のどこかに封じ込められてるって。」
ドキン!!
ルリの鼓動が一際大きくなる。
「本当ですか?」
「今こそ、その力を解き放つ時では?」
「この国の危機ですぞ!ルリ殿!」
大臣達はここぞとばかりにルリにすがる。
誰でも命は惜しいものだと納得しながらもルリはハーリーをジッと見て
「い、イヤです!そんな事出来ません!」
「「「「は?」」」」
大臣達がルリの言った言葉を理解できないでいた時、
ついに大扉が轟音と共に破れた。
「おーっほっほっほっほっほっ!!
見つけたわよ!あんた達で最後。おとなしく殺されなさい!」
ムネタケは、配下のマタンゴ達を連れて言う。
さらに、巨大なキノコが壁を突き破って突進してくる。
その瓦礫がルリ達を襲う。
「ルリさん!危ない!」
ハーリーはルリを突き飛ばす。
と、同時にハーリーから大量の血が流れ出る。
おそらく、瓦礫の破片が体を貫通しているのだろう。
その再生能力ですら追いつかないほどの怪我をしている事は明白だ。
「ハーリー君!」
ルリは慌ててハーリーに駆け寄る。
「おーっほっほっほっほっ!皆死ぬのよ!」
兵士達がマタンゴに戦いを挑むが、キノコたちは見事な連携で兵士達を倒していっている。
「ハーリー君、私の事を守ってくれたんですね。全治2時間の怪我まで負って・・・」
前言撤回・・・その脅威の回復能力は、人知を超えたものになっているらしい・・・
ルリは、少しうつむき覚悟を決めた。
『主命を受諾せよ!!(アクセプト!!)』
ルリの周囲が光り始める。
『最愛なる美の女神、イーノ・マータの名において』
トクン・・・トクン・・・
ルリの鼓動が大きくなる。
『封印よ・・・退・・・け・・・』
そして、ルリはハーリーとキスをする・・・
サランラップ越しに・・・
まぁ、この時代にサランラップが残っていたのかどうかは置いといて・・・
とにかく、ラップ越しのキスと同時にハーリーから異様な妖気が噴出す。
「何よ、これ!何なの?この妖気は!!」
ムネタケは、妖気の感じられる方を慌てて向く。
「封印ってキスする必要無かったんじゃ・・・」
ルリが呟くと同時に、ハーリーの体は大きくなり、ツンツン頭の青年が現れた。
「ふっ・・・ホウメイめ・・・よくもこんな体に閉じ込めやがったな・・・」
青年は呟く。
そこに、巨大なマタンゴが突進してくる。
「邪魔だ!どけ!」
そう言うと、青年は呼び動作無しで魔法を発動させる。
『爆裂!!(ダムド!!)』
ドゴォォォォォン!!!
爆炎が巨大マタンゴを包み込み、一瞬で灰にする。
「な、何なのよアイツは!爆裂の呪文は高位の魔法使いにしかつかえないって言うのに!」
ムネタケは驚いている。200年生きてきたが、こんなに実力のある魔法使いには2人しか出会っていない。
「あ・・・あの・・・ホントにハーリー君・・・ですか?」
ルリは恐る恐る聞いてみる。
「ああ、本当だ。君が俺を目覚めさせてくれたんだ。ありがとう。」
青年の笑みにルリは心を奪われた。
「じ、じゃあ昔の悪い魔法使いなのですか?それとも、ハーリー君・・・どっちなんですか?」
「俺は、マキビ=ハリでもあるし、テンカワ=アキトでもあるんだ。
だから、マキビ=ハリが好きな人はテンカワ=アキトも好きって事だ。」
そんな台詞をさらりと言うと何処からともなく
黒いマントとバイザーを出して着ていくアキト。
ルリの視線はアキトの股間にくぎ付けであったのは内緒の話である。
「テ・・・テンカワ=アキト!15年前の大戦を引き起こした張本人!!!
たしか、殺される直前に太古の秘術を使って転生したって・・・あんたがアノ!!!」
ムネタケは、露骨に震えている。伝え聞くアキトの残虐な行為は聞き及んでいたからだ。
「大丈夫?立てる?」
「あ・・・はい・・・」
アキトは優しくルリを抱き上げる。
ルリは頬を赤らめていた。
「チョッと!あんた達!何二人の世界作っているのよ!
って、無視してないで!こっち見なさいよ!」
アキトとルリは二人で見詰め合っていて、ムネタケの言う事を聞いているそぶりすらない。
「こ、こうなったら!!」
ムネタケは、両手を目の前にかざし、呪文を唱える。
『スレイヤード、スレイヤード、バルモル暗き闇の雷よ〜!!!』
「ルリちゃん、後ろに下がって。」
アキトはルリの頬に軽くキスをする。そして、ルリが安全なところまで下がったのを確認すると
ムネタケに向き、指を差す。
「雷撃の呪文など効かんぞ!それより、誰の差し金で動いてる!」
「死んでいくアンタには関係ないかもしれないけどね、特別に教えてあげるわ。
忍者マスター、リョーコ様よ!」
ムネタケはそう言うと、目の前にかざしていた手をアキトに突き出す。
『雷撃!!!(バルヴォルト!!!)』
激しい雷がアキトに降り注ぐ。
「アキトさん!」
そして、雷が収まった時・・・そこには、無傷のアキトが立っていた。
「あ〜ぁあ・・・せっかく、決めたって言うのに・・・」
アキトの服は焦げ付いてボロボロだ。
「へ?」
「・・・一張羅が台無しだな。」
アキトは、ゆっくりとムネタケに歩み寄る。
「お前を・・・殺す・・・」
そして、アキトはゆっくりと呪文を唱えだす。
『ザーザード、ザーザード、スクローノーローノスークー』
「ま・・・まさか・・・この呪文は・・・」
ムネタケはしりもちをついていた。
『地獄の闇のそこに燃える地獄の業火よ・・・』
アキトの妖気が、あたりにプレッシャーを与える。
『我が刃となりて、敵を滅ぼせ!』
「い・・・嫌よ!・・・ま・・・まだ死にたくないわ!
ゆ、ゆゆゆゆゆゆゆゆ許してぇぇぇぇ!!!」
ムネタケは手足をジタバタさせて逃げようとしている。
『爆霊地獄(べノン)!!!』
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ムネタケの体がバラバラになる。
「す・・・凄い・・・」
ユリカは、圧倒的なその力に思わず呟いていた。
アキトは何事も無かったかのように、服を取り出し着始める。
「・・・さ、ルリちゃん。行こうか?」
服を着終えたアキトはルリに向かって言う。
「え?ど・・・どこに?」
アキトはルリを抱き寄せる。
「決っているだろう?良い所だよ。
今なら割引券持ってるから・・・」
どこからともなく、平日2000円割引と書かれた割引券を取り出すアキト。
何の割引券かとか、その割引券が使える所が残っているのかと言うのは放っておいて・・・
「あ・・・」
ルリは、アキトに抵抗する事無くアキトに抱かれる。
「魅了(チャーム)・・・使ったんですか?」
ルリは、紅潮した顔でアキトに尋ねる。
「何のことだい?」
アキトは、惚けて言う。
「アキト・・・さん・・・」
ルリはアキトに、なされるがままになっている。
「あ・・・そ・・・そこは・・・」
「可愛いよ・・・ルリちゃん・・・」
「あん・・・こ・・・こんな・・・ところ・・・で・・・い・・・いや・・・」
ちなみに、まだ王城の中である。ユリカ王女も何やら紅潮した顔であったし
城の侍女達も熱い目線をアキトに注いでいる。男性は何時の間にか眠らされていた。
恐らくアキトが睡眠(スリープ)の魔法を使ったのであろう。
「止めようか?」
アキトは手を止め、ルリの耳元で甘くささやく・・・
「い・・・意地悪しないで・・・下・・・さい・・・あぁ・・・」
ルリは荒い息を吐きながら言う。
そして・・・
「ってぇ!これじゃぁ最初にキスした後は、アキトさんの話になるじゃないですか!」
不満かい?
「だって・・・ルリさんとキスできるって言うから期待したんじゃないですか!」
しただろ?
「サランラップ越しだし!」
ぬくもりは伝わっただろう?
「ま、まぁそうですけど・・・
ですが、その後のルリさんはアキトさん一筋じゃないですか!」
・・・そだっけ?
「この書きかけの原稿は何ですか?」
え?この後は18禁って事で・・・さすがにまだ裏ページ行は・・・
「うぁぁぁぁぁん!!!僕は何処までいっても不幸なんだぁぁぁぁぁぁ!!!」
ふっ・・・何を今更・・・君が不幸になるのは、この世の決まりなんだから。
「ぐすっ・・・第2部では出番があるんでしょうね?」
ハーリー君・・・最初に書いてあっただろう?
完全に忘れ去られた存在って。今更、君を出そうにもタイミングって物もあるし・・・
何より、ルリ様が本編ではあんな状態になっているんだから君を出しても大して変らないから。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」
おーい・・・行っちゃった・・・
と言う訳で、全国のハーリーファンの方、ゴメンナサイ。
ハーリー君の出番はこれでおしまいです。
それと、北斗ファンの方にもゴメンナサイ。
こんな表現しか出来ませんでした。
代理人の個人的な感想
・・・・・・・・・・つくづく酷い扱いだなぁ(苦笑)。
嫌われてるのか愛されてるのか。
少なくとも劇場版で「ハーリーダッシュ」を見せなければ(そしてルリと添い寝してなければ)
もちっと穏やかにフェードアウトしていけたような気はしますが(爆)。