他のライバル達を蹴散らして
夕暮れ迫る公園で想い人であるアキトさんとキスまでしたのは良いけれど
何だか怪しい雰囲気です。
これから一体どうなるんでしょう。
機動戦艦ナデシコ Re Try プロローグ2 『過去』へ・・・
とうとうアキトさんとキスする事が出来ました。
もちろんファーストキスです。
私の中では人生でベスト3に入る出来事ですね。
後で公園の監視カメラから取った映像をライバル達に送りつければあの人たちもあきらめるでしょう。
そんな事を思いながら目を開けると・・・
「・・・アキト・・・さん・・・」
私の目の前からアキトさんが消えました。それどころか私が今いる場所は私がナデシコに乗る前にいた
ネルガルの実験施設です。私は慌ててあたりを見回しました。ガラスの向こうには私を育てていた養父母がいます。
これは一体・・・
私の頭はフル回転しました。
仮説1・・・今までの事は全て夢であった。
これは却下ですね。
仮説2・・・ボソンジャンプ。
考えられます。イネスさんが言っていたようにボソンジャンプは時間移動だと言う事を考えればA級ジャンパーでもあるアキトさんと遺伝子強化を受けた私がジャンプしても不思議ではありません。
でもいきなり17歳のホシノルリが現れて養父母たちが驚いた顔をしていません。
私はふと自分の顔を鏡で見てみました。金色の目に白い肌・・・でもそれはマシンチャイルドであったときの私の顔・・・そして何より体が小さくなっています。
と言う事は私の体は11歳になってしまった・・・と言う事です。
そ、そんなぁ・・・せっかくこの前ユキナさんと二人でショッピングに行き二人で勝負用下着を買ったというのに・・・私の体が小さくなってしまっては
勝負用下着を買った意味がなくなります。でもどうして体が小さくなったのでしょう。
仮説1・・・薬物による副作用
却下です!APT○4869じゃああるまいしそんなものを飲んだ覚えがありません!
仮説2・・・記憶だけが過去に飛んでしまった
有り得るかもしれません。二つの時間に同じ人間はいられない。タイムパラドクスと言う奴ですね。説明おばさんがいれば詳しく説明してくれたんでしょうけど・・・
そうするとアキトさんはどうなったのでしょうか?私は実験室でオペレーションテストをしている時みたいですから外部の情報を得る事は簡単です。とりあえず与えられている
課題は済ませておきましょう。こんなもの私にとっては答えのわかったクイズみたいなものですから・・・
私は外の状況を調べるためにありとあらゆるところにハッキングしていきました。
ネルガル・宇宙軍・クリムゾングループ等・・・
その結果私は第一次火星会戦が行われた直後に来てしまったみたいですね。次に私はアキトさんを探しました。
アキトさんに聞いていた話だとアキトさんは火星でボソンジャンプをした後、雪谷食堂と言う大衆食堂に転がり込んだそうですからもしかしたらそこにいるかもしれません。
私は警察の監視カメラに進入してアキトさんの姿を探しました。しかしアキトさんがいたと聞いている雪谷食堂付近の監視カメラは故障中みたいで何も写っていませんでした。
私は急に能力が上がってびっくりしている養父母を尻目に自室に帰っていきました。
アキトさんは大衆食堂にいるはずですから電話をしてみればいいのですがもし私と違って過去に飛ばされていないとすれば・・・
怖い考えが浮かびます。何度も何度も電話しようとして・・・結局4時間悩んだ結果私はアキトさんのところに電話をしました。
電話の呼び出し音がなります。そのとき初めて私は気が付きました。アキトさん以外の人が出てきたらどうしよう。
そう思って電話を切ろうとした瞬間・・・
「はい、雪谷食堂です。」
アキトさんの声が聞こえてきました。
「あ・・・」
私は声が出ません。どうやって話すか散々悩んだと言うのに言葉が出てきません・・・
「もしかして・・・ルリちゃん?」
アキトさんの私を呼ぶ声がします。
「はい、ルリです。と言う事はアキトさんも・・・」
「ああ、そうみたいだな・・・ところでルリちゃん・・・その・・・体はどうなってる?」
アキトさんが私に尋ねます。
「はい、私の体はナデシコに乗る前、11歳の時の体です。もしかしてアキトさんも・・・」
「ああ、俺の体もあのころに戻っている。」
「アキトさん、じゃあ感覚が・・・」
「戻っている・・・」
「俺が気が付いたときは火星から地球へボソンジャンプした直後の草原だった。」
「私が気が付いたときにはネルガルの実験施設です。」
「しかし体が昔のままと言うのは・・・」
「イネスさんがいれば説明してくれたんですけどね。」
「説明する為に生まれてきたような人だからな。」
「ところでアキトさん、ボソンジャンプは出来ますか?」
「ああ、単体でのボソンジャンプはさっき試したのだが可能だった・・・CCも無いのに・・・」
「もしかしてジャンプ能力が上がっているんじゃあ・・・」
「そうかもしれない、だが肉体能力は昔のままだ・・・」
私はアキトさんに先程立てた仮説を説明しました。
「確かに考えられるな・・・」
「ところでアキトさんはこれからどうします?私の記憶が間違っていなければ1年後に私はナデシコに乗る事になります。」
「そうか、そういえば前回は自転車でナデシコに押しかけたんだっけ。」
少し笑いながらアキトさんが言います。
「アキトさんはどうします?」
「もちろん俺もナデシコに乗る。君を守り抜くために。」
「わかりました。私もアキトさんのお手伝いをします。」
私にはわかっていた。アキトさんの考えが・・・これ以上悲しみを増やさない為にアキトさんは行動するのだと言うことを・・・
そして私達はナデシコに乗る為に徹夜で話をしました。
その後、私たちは少しづつ準備をしていきました。全ての人々が幸せになれるように・・・
「始めまして、ルリさん。私こういうものです。」
と言って名刺を差し出すプロスさん。
「始めまして、プロスペクターさん。」
「あなたは私達ネルガルが作った戦艦のオペレーターとしてナデシコに乗ってもらいます。出発は1週間後です。」
「ナデシコ?」
「はい、現在ナデシコはサセボのネルガル地下ドックにて急ピッチで偽装中です。それでルリさんには
ナデシコのメインコンピューター『オモイカネ』のセットアップを行なってもらいます。」
「わかりました。準備しますので少し待っててください。」
と私は言って荷物をまとめる。養父母たちは相当な金額を受け取ったらしく笑顔で私の荷物をまとめる手伝いをしてくれた。
プロスさんに連れられてサセボに向かう途中、私は予定通り行動を開始した。
「プロスさん。」
「はい、何でしょう?ルリさん。」
「少しおなかが空きました。どこかでご飯を食べませんか?」
自分の外見を最大限に利用し精一杯子供らしい要求をしてみました。
「そうですね〜、もう少しで着くんですが・・・良いでしょう、どこか適当なところはないか探してみましょう。」
「あ、私いいところ知ってます。」
そう言うと私はアキトさんのいる雪谷食堂へ進路を変更してもらいました。
店に到着するとアキトさんが厨房で働いているのが見えます。
「いらっしゃい!」
店の主人のサイゾウさんが私たちに声を掛けました。
私たちが空いているテーブルに座るとアキトさんがメニューを持ってきました。
「ルリちゃん、久しぶり。」
「ええ、本当に。」
「おや、お二人はお知りあいですか?」
プロスさんが私たちに聞いてきました。
「ええ、ちょっとした知り合いです。」
私は適当に言葉を濁しました。
「まあ良いでしょう。とりあえず何でも好きなものを注文してください。」
アキトさんは水の入ったコップを持ってきてわざわざIFSの紋章が見えるようにプロスさんの前にコップを置きました。
プロスさんの目がIFSに注目しています。
「私、この特製ラーメンがいいです。」
「じゃあ特製ラーメンを二つお願いします。」
「はい、特製ラーメン二つ!」
そう言うとアキトさんは厨房へ入っていきました。
プロスさんが自然とアキトさんのほうを見ています。
しばらくするとアキトさんがラーメンを二つ持ってきました。テンカワ特製ラーメンです。久しぶりに食べたテンカワ特製ラーメンはおいしかったです。
「おいしいですね。」
「わたし、このラーメンが一番好きなんですよ。」
そう言うとプロスさんは隣りのテーブルの片づけをしているアキトさんを呼びました。
「何か?」
「このラーメンはあなたが作ったのですか?」
「はい、そうですけど…何か問題でもありましたか?」
「いえ…こんなにおいしいラーメンを食べたのは始めてですよ。ところで…あなたの名前は?」
「テンカワアキトだ。」
「テンカワ…ちょっと失礼…」
そう言ってプロスさんはアキトさんの舌にDNA検査器をあてる。プロスさんがデータを見て一瞬険しい顔になるがすぐにもとの表情に戻る。
「ほう…火星生まれですか…いつ地球に?」
「あの戦争があってコロニーにチューリップが落ちてきた後だ。」
「でもどうやって?シャトルも出ていませんのに・・・」
「気がついたら地球にいた。どうやってここまで来たのかは分からない」
「そうですか…ところでパイロットの経験は?」
プロスさんがアキトさんの手を見ながら尋ねる。
「火星で少し・・・でもどうしてそんなことを聞くんだ?」
「いえ…私は今あるプロジェクトのメンバーを集めているのですがパイロットの数が足りないので出来れば協力していただきたいのですが・・・
あくまでも予備のパイロットとしてと言うことで本職は食堂のコックを兼任してほしいのですが。お給料はこの位で・・・」
とプロスさんがアキトさんに電子ソロバンの数字を見せる。
「良いだろう。後で正式に契約と行こうか。」
「そうですか、では荷物をまとめて付いて来て下さい。」
アキトさんとプロスさんの話が終わった。アキトさんは荷物をまとめてサイゾウさんに別れを言っています。
私達はプロスさんと共にナデシコへと向かっていった。しばらく走り地下ドック内にて作業中のナデシコに到着する。
私とアキトさんにとってすべての始まりとなる船・・・そして、多くの出会いがあり悲しみを背負った船・・・
「どうです?これがネルガルが誇る機動戦艦ナデシコです。」
誇らしげに言うプロスさん。
「なんか変な形ですね。」
「本当にこれが戦艦なのか?」
厳しい突っ込みに冷や汗を流すプロスさん・・・当然私たちがナデシコに来るのは初めてと言うことになっていますからこんな発言をしたのですが・・・
こうして2度目のナデシコ生活がスタートしました。前回と違い私にはアキトさんがいます。
ただライバル達の動向には注意しておかないといけませんね。虎視眈々とアキトさんを狙う人たちからアキトさんを私が守らなければなりません。
「さ、ナデシコ内部を案内いたします。付いて来て下さい。」
プロスさんに促され私とアキトさんはナデシコに入っていきました。
作者:と言うわけで機動戦艦ナデシコReTRY プロローグ第2話 『過去』へ・・・でした。
ルリ:ねぇ
作者:なにかな?
ルリ:どうして私の体が11歳に戻ってるんですか!元の体のまま跳べば間違いなくアキトさんと新婚性活がおくれたのに!!
作者:(字が違うような気がするが・・・)それじゃあアキト君の味覚も元に戻らないと言う設定になるのだが・・・
ルリ:う・・・
作者:好きなチキンライスもテンカワ特製ラーメンも作ってくれないんだよ?
ルリ:そ・・・それは・・・でも・・・
作者:それとも一人で跳ぶと言う設定にしてもよかったんだがね。でもその場合アキト君は最初ユリカを求めてしまうけれど・・・それでもよかった?
ルリ:くっ、・・・でも、準備っていったい何をしてたんですか?
作者:それはこれからのお楽しみってね。
ルリ:まぁ良いでしょう。でも!私の体を小さくしてしまったのは許せない!
作者:あ、あの〜。何ですか今度は?
ルリ:洗濯バサミって便利よね〜
作者:・・・って君より大きな洗濯バサミで一体何を?
ルリ:よくやりませんでしたか?洗濯バサミを顔に何個付ける事ができるか。
作者:・・・まさか!
ルリ:それでは皆さん、次回機動戦艦ナデシコ Re TRY プロローグ第3話 大『歓迎』! をよろしくね
作者:か、顔にそんなものを鋏むと間違いなく頭が潰れるんじゃあ・・・
ルリ:やってみないと分かりませんよ・・・では、覚悟はよろしいですね。
作者:いやあぁぁぁぁぁぁ
ブシュッ
・・・何かが潰れる音がしたので今回はココまで・・・