デルフィニュウム部隊を撃退したものの

アキトさんの心には守りきれなかった

あの時の感情が戻りつつあるように思われます。

そのせいか最近益々アキトさんは料理に打ち込むようになったわけで・・・

 

 

 

 

 

機動戦艦ナデシコ Re Try 第4話 水色宇宙に『ときめき』

 

 

 

 

みんなデルフィニュウム部隊の悲劇を心の隅に捉えながら頑張っています。

ヤマダさんの怪我も直った為に最近ではアキトさんを

ゲキガンガーの世界に引きずり込もうとしていますがアキトさんは

既に卒業していますから今更染まることは無いと思います。

アキトさんとヤマダさんはそれでも仲が良い為、

揃ってエステバリスのシュミレーションを行なっています。

まぁアキトさんはかなりハンデをつけて戦っていますが

それでもヤマダさんが勝つことは未だに出来ていません。

今世紀中に勝てるようになるのでしょうか?

そんな訳で私たちは最初の補給コロニーサツキミドリ2号に急いでいます。

「ルリ、ちょっといいか?」

アキトさんがブリッジに出前を持ってきたときに私はアキトさんから声を掛けられました。

あ、ユリカさんとメグミさんがすごい目でこっちを睨んでいます。

ミナトさんは頑張れ、ルリルリと目が語っています。

「なんでしょう?」

「サツキミドリ2号までの距離は後どのくらいだ?」

あ、そういう事ですか。

アキトさんはサツキミドリの人たちを救出する為に・・・

「あと3時間ほどで到着します。」

「そうか・・・艦長。」

そういうとアキトさんは艦長の方を向きました。

ユリカさんはアキトさんから声を掛けられて嬉しさ一杯という表情をみせました。

「なぁに?アキト。」

「これから1時間後にエステバリスの演習を行なう。

エステバリスによる強行偵察訓練だ。

重力フィールド外におけるエステバリスの稼動効率テスト並びに

ソーラーセイルのテストを行なう。」

なるほど、考えましたね、アキトさん。

「それならそのままサツキミドリ2号にいかれてはどうですかな?」

プロスさんがアキトさんに声を掛けます。

「サツキミドリ2号では現在補充パイロットの方々が

新型エステバリスのテストを行なっています。

サツキミドリ2号まで行って挨拶でもされてきたら・・・」

「そうだな、サツキミドリ2号の重力波圏内にたどり着けば

エステも動けるようになるし・・・

ついでに新型エステのテストでもしてくるとしようか。」

そういうとアキトさんは艦長の許可を貰いサツキミドリ2号に向かい発進しました。

「うぉぉぉぉぉ!なんで俺は留守番なんだ〜!!」

うるさいです、ヤマダさん。

 

「まもなくサツキミドリ2号との通信可能宙域に到達します。」

私がメグミさんに言うとメグミさんはサツキミドリ2号との通信を開始しました。

「こちらは機動戦艦ナデシコです。サツキミドリ2号管制、応答してください。」

『こちらサツキミドリ2号管制、可愛い声だね〜。今度デートしない?』

「ありがとうございます。でも私には心に決めた人がいるんです。」

メグミさん・・・さりげなく宣戦布告してますね。

『そいつは残念だな〜・・・なんだ!

「え、何?どうしたんですか?」

『ナデシコ!緊急事態だ!現在こちらは木星蜥蜴の襲撃を受けている。

至急応援を請う!繰り返す、現在こちらは・・・どうした?』

サツキミドリとの交信の様子はブリッジにも流れています。

ブリッジは今騒然としています。

アキトさん、間に合わなかったんですか?

「ミナトさん、最大戦速でサツキミドリ2号に向かってください!

ルリちゃん、艦内に第一級戦闘体制発令!

メグミさんはサツキミドリ2号との通信を!」

前回と違って艦長にボケボケ感がないのは気のせいでしょうか?

私は言われたとおりに第一級戦闘体制を発令しました。

「サツキミドリ2号管制!どうしました?応答してください!」

『こちらサツキミドリ2号管制、すまない。

テンカワアキトというのはそちらの所属か?』

アキトさんのことだ。間に合ったんですね。アキトさん。

「はい、でも一体どうなっているんです?」

『現在こちらは木星蜥蜴の襲撃を受けているが何とか持ちこたえている状態だ。

だがあまり持ちそうも無い。今脱出準備を進めているところだ。』

ナデシコがサツキミドリ2号に到着するまであと30分といったところでしょうか。

「ルリちゃん、ヤマダさんにサツキミドリ2号の援護に向かってもらってください。

あと、周囲に脱出ボットがあるかもしれないからレーダーの監視を宜しく!」

「了解。」

何とか全滅は避けられそうですね。

わたしはヤマダさんに出撃してもらうように連絡しました。

ま、いつもの通り発進のときは五月蝿かったですけどね。

 

私たちがサツキミドリ2号に到着すると既に戦闘は終わっていました。

サツキミドリ2号に到着するまでにかなりの脱出艇を回収する事に成功しました。

それでも死者25人の犠牲者を出してしまいました。

「ナデシコ、こちらテンカワ機。避難民の収容はどの程度終わった?」

「こちらナデシコ、アキトさん!無事だったんですね!」

メグミさん・・・ちゃんと仕事をしてください。

「あぁ、サツキミドリ2号につくと同時にバッタを発見、その後戦闘になった。」

アキトさん・・・

「その後サツキミドリ2号のパイロット達と協力して敵の撃滅に成功。」

ブリッジの気温が氷点下に下がろうとしています。

「サツキミドリ2号はかなりのダメージを受けていたので

コロニーの放棄をコロニー責任者が決定、

生き残った人たちとともにナデシコに向かって・・・ってどうしたの?」

ブリッジにいる全員の目が冷ややかなものになっています。

「アキトさん・・・」

「なんだ?ルリ。」

「アキト、その手に抱えているのは何かな?」

ユリカさんがアキトさんに尋ねます。

「アキトさん、『説明』してくださいね。」

ようやくアキトさんも気が付いたのかコメカミに冷汗を流しています。

「だぁぁ!ち、違うんだ!コロニーの中で気絶していたこの人を連れて

・・・そ、そのままエステに乗り込んで・・・」

「テンカワ機、速やかに帰還してください。」

私は冷ややかな声でアキトさんに告げます。

「ルリ、違うんだ!チョッと聞いてくれ。」

「戦闘中の私語は禁止されています。」

そういうとアキトさんのウィンドウ通信を切ってしまいました。

「何よ!あの女!」

「そうですよね、不謹慎です!」

「アキトさん、今日はお仕置きです。」

私達が怒りに燃えているのを見てミナトさんが

「ほ〜んと、アキト君ってば人間磁石よね〜。」

「女性限定ですけどね。」

プロスさんがそれに答えます。

さすがにナデシコの七不思議に数えられているだけあります。

 

アキトさんたちがナデシコに到着すると私達は格納庫に急ぎました。

「パイロットのアマノヒカルで〜す。」

あ、またパイロットの自己紹介をしていますね。

整備範の人たちもかなり盛り上がっていますし・・・

「スバルリョーコだ。ホントはもう一人いたんだがやられちまったみたいだな。」

『勝手に殺さないで』

リョーコさんのコミュニケに通信が入ります。

「イズミちゃん、無事だったの?」

ヒカルさんがコミュニケに向かって喋っています。

『ツ・・・ツールボックスの中・・・』

皆がリョーコさんの手によって持ち込まれていたエステバリス0G戦フレームと

一緒に持ってきたツールボックスを注目します。

今回は全ての補給物資を回収することが出来ていたのでプロスさんも

『資材のほとんどを回収できたのは経済的に見ても有益ですね。』

だそうです。

 

恐る恐るリョーコさんがツールボックスを開くスイッチを押すと中からドライアイスの

煙りと共にニョキっと細い手が天に向かって伸びやがて

一人のロングヘアーの女性がその姿を現しました。

「死ぬかと思った〜。」

「死んでいろ〜!」

リョーコさんが強引にツールボックスを手で閉めようとしています。

「し、閉めないで〜。」

リョーコさんとイズミさんの攻防が続きます。

「この〜。」

「しめないで・・・お願いだから絞めないで・・・サバじゃないんだからさあ。

格納庫が一瞬にして凍りつきました。

普段暑苦しいまで煩いヤマダさんまで凍り付いています。

 

しばらくして私達は再起動する事に成功していました。

イズミさんはずっとウクレレをかき鳴らしていたみたいですね。

「と、ところでここには先任のパイロットがいるんだろう?」

そうでした、私達はアキトさんを問い詰めにやって来たんでした。

アキトさんは丁度エステバリスから降りるところみたいでした。

抱きかかえているのは黒い髪でロングヘアー。

年は二十歳くらいってところでしょうか。

「ふっ・・・」

メグミさん・・・その気持ち・・・ワカリマス・・・

廻りにスタイルの良い人たちばかりでしたが

その女の人はメグミさんと良い勝負でしょうか。

「すまない、至急この人を医務室に連れて行ってくれ。」

アキトさんは側にいた整備員に担架を持ってこさせて医務室につれて行かせました。

「アキトさん、今の人は誰ですか?」

私はできる限り冷静に話し掛けました。

周りの人たちが少し引いているような気がしましたが構いません。

「そうよ、アキト!あの人は一体。」

「あぁ、俺がバッタを撃退している時コロニーが爆発しているところを見たんだ。」

「それなら俺も覚えているぜ。俺が出撃してすぐにB−4区画あたりから爆発があった。」

リョーコさんが答えます。

「少し気になったんでリ・・・スバルさんにバッタを任せてコロニーに向かったんだ。」

「俺の事は・・・リョ、リョーコで良いぜ。」

何ですか、リョーコさん。

少し顔を赤らめて・・・他の人たちもリョーコさんの仕草に気がついたみたいですね。

ヒカルさんがニヤニヤしています。

「そこで爆発した付近を調べていると彼女を見つけたんだ。

まだ生命反応があったからコックピットに入れたと言うわけだ。」

「そうだったんですか。ところで彼女の名前とかは分からないんですか?」

私はアキトさんに尋ねましたがアキトさんも首を振っています。

「彼女の認識票はすでに無くなってしまっていたから分からないんだ。」

「そうですか。

彼女のことならネルガルのデータバンクに乗っているはずですから調べてみましょう。」

そういうと私はそれらしい人物を調べ始めました。

やがて一人の人物に行き着きました。

「ナグモミサキ21歳・・・

ネルガル保安部在籍・・・

サツキミドリ2号の保安責任者です。

本日付でナデシコの副保安責任者になっていますね。」

「えぇ!!」

私の言葉に皆が驚きます。

「ネルガルって言う事はプロスさんに聞けば早いんじゃあないかなぁ」

ユリカさんがさらっと言います。

そうですね、プロスさんなら何か知っているかもしれません。

「そうですね、私が説明したほうが早いでしょうな。」

「「「プロスさん!」」」

何時の間にかプロスさんが私達の後ろに立っていました。

しかもスポットライト付きで・・・

「流石ですね。ルリはこれでも少しは武術を習っているから人の接近には敏感なはずなんですが・・・」

「テンカワさん、それ以上は・・・」

「ああ、分かっている。それより彼女の事を教えてくれ。」

「はい、彼女は本日付でナデシコの副保安責任者に選任されました。

彼女はネルガルのシークレットサービスの中で

武術師範をしている程の人です。

武術の腕はゴート君以上なのですが・・・

その彼女ほどの人がやられるなんて余程手強い相手だったんでしょうね。」

私とアキトさんはお互いに顔を見合わせました。

そして二人で医務室に向かっていきました。

 

 

医務室は戦場でした。

私は艦長にこの事を報告するとすぐにメグミさんとミナトさんが駆けつけてくれました。

すでにリョーコさん達はけが人の包帯を取り替えたりしています。

メグミさんは一応准看護婦の資格を持っているそうですからすぐに私達の指示をしてくれました。

人の命が掛かっている現場では常に真剣勝負です。

特に戦艦の医務室では・・・

でも・・・なんで皆看護婦のコスプレをしているんですか!

私もしてますけれど・・・

ちなみにヒカルさん・・・それはナースエンジェルリリカのコスプレです!

 

 

 

怪我人の処置が一段楽すると私とアキトさんはミサキさんの所に行きました。

ミサキさんの怪我はそれほど酷くは無いのですが精神的ショックが強かったのか

時々うなされています。

「アキトさん、もしミサキさんがゴートさん以上の実力があったとして

その人をこんなにまで追い込む相手って・・・」

「ああ、俺も今同じことを考えていた・・・」

少なくともゴートさんほどの実力を持った人は簡単にはいません。

もっとも私達が知らないだけなのかもしれませんが木連になら・・・

「う、うぅぅん」

「アキトさん、気が付いたみたいですよ。」

「ああ、そうみたいだな。ルリ、先生を呼んできてくれ。」

「わかりました。」

私はすぐに先生を呼んできました。

診察の結果全治2週間の打撲ですんだそうです。

 

 

 

「さて、君が見た事を説明してくれないか。」

「あなたは・・・」

「俺はテンカワアキト、ナデシコのコック兼パイロットだ。」

「ホシノルリです。ナデシコのオペレーターをしています。」

私達は簡単に自己紹介をするとミサキさんが見てきた事を聞き出しました。

 

「あの時・・・サツキミドリ2号の中で緊急警報がいきなり鳴り出しました。

私は内部にいる人たちを脱出させるために各部の脱出状況を確認するため

皆で手分けして誘導にあたっていました。

ほとんどの人が脱出していく中で

B―4区画に送った人員だけが帰還しなかったので何かトラブルでも有ったと思い

数人の部下とともにB−4区画に向かいました。そこで私が見たのは・・・」

少し手が震えています。

唇をかみ締めて必死に涙を止めようとしていましたが瞳からは涙があふれてきていました。

私はミサキさんにハンカチを差し出しました。

「あ、ありがとうございます。

・・・私がそこで見たものは惨殺された部下達でした。

ある研究室の中で人の気配が一瞬したので私は部下達とともに強襲しました。

研究室の中で見たのはすでに殺されていた研究員達と

・・・編み笠をかぶった奴らでした!」

私とアキトさんの体に衝撃が走ります。

「北辰・・・」

アキトさんから一気に殺気が噴出します。

「アキトさん!」

私は必死になってアキトさんの手を握りました。

「はぁ、はぁ、はぁ・・・すまない、続きを聞こうか。」

ミサキさんは少し驚いた表情をしていましたが話を続けました。

「そいつらは私達が奇襲したにもかかわらず

一瞬で態勢を立て直すと部下達を一人、また一人と倒していき

私も善戦したのですが多数対一ではどうにも勝ち目が無く・・・」

「いや、相手が悪かったんだろう。」

アキトさんの目があのころの目に戻っています・・・私の心は締め付けられるようでした。

「少し休んでいてください。プロスさん達には私達から報告しておきますから。」

そういうとミサキさんは安心したのか目を閉じるとぐっすりと眠ってしまいました。

 

 

 

私達は医務室を後にしてプロスさんの部屋に行きました。

そこにはユリカさん、ゴートさんもいました。

「アキト、どうだった?」

「ああ、怪我自体はたいした事は無い。ただ疲れが出ただけだろう、今はぐっすりと眠っている。」

アキトさんがミサキさんの現状を報告します。

と、同時に私は先程の会話をプロスさん達に説明しました。

「・・・まさか、あの研究所が狙われるとは・・・」

「ミスター、拙いな。」

プロスさんとゴートさんが呟きます。

「プロスさん、あそこでは何を研究していたのですか?」

アキトさんが尋ねます。

「それは・・・」

プロスさんはいかにも言いにくそうにしています。

時々私のほうをチラチラと見ていますね・・・

「もしかして・・・」

私はある結論に達しました。

北辰たちが狙っていそうで私に関係有りそうな事と言えば・・・

「遺伝子研究ですか?」

もちろん推測でしか有りません。ですがこれが一番可能性が高い。そう判断しました。

「・・・ふぅ・・・お話しましょう・・・」

「しかし、ミスター!」

「ゴート君、何れはバレるんだから今のうちに真相を話しておいたほうが良いでしょう。」

私はオモイカネにこの部屋のプロテクトを行い会話・映像の消去を命じました。

「これで私達以外に真相を知る人はいません。」

「ありがとう、ルリさん。ではお話しましょう。これはネルガルの陰にあたるお話です。」

私達にソファーに座るように勧めるとプロスさんは話し始めました。

「話は火星での空港テロ事件にさかのぼります。あのテンカワ夫妻暗殺事件に・・・」

「暗殺?おじ様とおば様が!アキト!」

「黙ってろ、ユリカ。

そう、あの日お前を見送った後俺の親父と母さんは殺されていた。

だがあの事件の真相は別のところにあると思っていたのだが?」

アキトさんがプロスさんを睨み付けます。

私も過去の出来事でその事を知っていました。でも・・・

「テンカワさんには敵いませんな。

その通り、御夫妻は別のものを研究していました。

しかし、そこでは色々な事を研究していたのですよ。

人は現在の体では外宇宙に行く為には過酷な条件をクリアしなくてはならない。

そこで宇宙に適した遺伝子をもった人間を『造る』事・・・

これがテンカワ夫妻とは違う形で研究されていた事なのです。

幸いにもその技術はルリさんを始めとするマシンチャイルドと言う形で成果を表しました。

ところが問題もあったのです。」

「現在の地球の法律では遺伝子技術による人の人為的な『改造』は禁止されていますからね。」

私が皮肉を言う。

「その通りです。まぁクリムゾングループなどは秘密裏に研究をしているようですが・・・

ともかくネルガルとしてはルリさんのように優れた人材を『造りだす』為に

サツキミドリで研究を行っていました。

表向きは宇宙における人体活動の影響と言った事になっているのですがね。」

少し肩をすくめて言うプロスさん。

「幸いにもこの研究は現会長が就任してから縮小・目的を変更したものになっていきましたから・・・

しかしネルガルにも色々有りまして・・・

現社長がサツキミドリの研究所を縮小する事に反対をしていました。」

「チョッと待ってくれ。

ネルガルの内情がよく分からん俺やユリカには現社長と言われても分からないぞ。」

アキトさんがプロスさんに質問します。

私は端末を操作してネルガルの内情をアキトさんに説明する事になりました。

「現在ネルガルの株式保有率からですが現会長の持ち株率が48%です。

続いて現社長が持っている株は全体の28%と現会長に次ぐ勢力を誇っています。

現会長に後継ぎとなる人物がいないため

現会長が失脚した場合ネルガルの株は現社長に譲渡されてしまいます。」

「あ、ありがとうございます。ルリさん。」

いつの間に調べ上げたんだと言った表情を浮かべるプロスさん。

「つまり、水面下では内部抗争が巻き起こっている・・・と言う事です。」

「それで?盗まれたものは何だ?とっくに調べているんだろう?」

アキトさんはプロスさんに尋ねます。

ゴートさんはちらりとプロスさんを見るとプロスさんはゴートさんにうなずきました。

「盗まれたのは遺伝子情報だ。」

「ルリさん、あなたのね。」

私達に衝撃が走りました。

「テンカワさん、こちらもそれなりに情報を与えたのですから

あなたがご存知の事も教えていただきたいのですが。」

プロスさんがアキトさんを見据えます。

私もアキトさんを見つめました。アキトさんはゆっくりと口を開きました。

「今は・・・

あいつらの事を何も話せない・・・

だがこれだけはハッキリいえる。

あいつらは・・・本物の『外道』だ。」

アキトさんの表情が黒い影で覆われていきます。

ユリカさんも心配そうにアキトさんを見つめています。

「ネルガルの社長派の動きには私が調査しておきましょう。

私にも頼れる仲間がいますから。」

私は出来る限り明るい声でプロスさんに言いました。

「そうですか・・・どうやってというのは聞かないほうがいいですね。

ところで・・・テンカワさんならその『外道』を倒せますか?」

「今の俺なら不可能ではない。」

そういうとアキトさんはゴートさんと一緒に出て行きました。

「アキト・・・」

ユリカさんの表情が蒼白になっています。

「ユリカさん、アキトさんのことを信じていないんですか?」

「そんな事無い。そんな事無いけれど・・・

アキトに一体何があったの?あんなのアキトじゃあない!

カチン

・・・私の頭が何かに叩かれたような感じがしました。

「アキトさんのことがそれほど信じられないんですか?

アキトさんは・・・

それは色々有って・・・

それでも乗り越えてきたんです。絶望も、痛みも知っています。

ですが未来を・・・信じているんです!

ユリカさんもアキトさんに何ができるのか・・・

考えて行動してください!」

「ルリちゃん・・・」

ユリカさんがそっと近づいてきます。

「ゴメン・・・ゴメンね・・・ルリちゃん・・・

そうだよね。私がアキトの事を信じないと・・・艦長だもんね。

クルーの事は信用しないと・・・」

ユリカさん・・・暖かいです・・・でも・・・負けません・・・

 

 

その日、ゴートさんとアキトさんによる戦闘訓練はアキトさんの一方的な勝利に終わりました。

 

 


 

ルリ:ちょっと!

作者:なんでございましょう?

ルリ:ラブシーンは?

作者:今回は無し。大体人が死ぬかもしれないときにラブシーンなんて・・・

ルリ:あなたの美学はわかりましたが私はアキトさんと一緒がいいんです。

作者:だから一緒にいただろう?看護婦のコスプレまでして・・・

ルリ:はっ!アキトさん・・・そういう趣味だったんですね・・・そうなら早く言っていただかないと・・・

作者:いい加減逃げ出そうかな・・・

ルリ:看護婦のほかにセーラー服OLルック、果てはウェイトレスの制服まで用意しています・・・

    これでアキトさんとの夜の活はばっちりですね。

作者:それでは次回 って何かな?そのスイッチは・・・

ルリ:あなたが立っている場所にC4(プラスチック爆弾)を仕掛けています。このスイッチを押せば・・・

作者:どうなるの?

ルリ:吹っ飛びます。ポチッとな。

どかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん

作者:う、ぅぅぅぅぅぅぅぅぅ

ルリ:私とアキトさんのラブシーンを加えなかったからです!

    次回 機動戦艦ナデシコ Re Try 第5話 ルリちゃん『航海日誌』 です。

 

 

ナデシコの制服を着ててもコスプレだと思うのだが・・・

 

 

 

 

代理人の感想

・・・・いや、さすがにナデシコの制服はコスプレ言わないんじゃないかと思いますが。

ナデシコクルーでない人が着たらもちろんコスプレなんですが、

看護婦が職場で看護婦の格好をしてもコスプレとはいわないでしょう?

 

 

>アキトじゃない

ルリスキーの人の作品だと必ずと言っていいほどユリカが言う類のセリフですな(爆)。