私達は今火星に向かっています。

サツキミドリ2号は結局放棄が決まり

怪我人を月に護送。

で、今は退屈な移動中。

この間に虎視眈々とアキトさんを狙っている人がいる訳で・・・

 

 

 

 

機動戦艦ナデシコ Re Try 第5話 ルリちゃん『航海日誌

 

 

 

 

 

<<1月18日 800時 ナデシコブリッジにて勤務中、艦長及び通信士と親睦を深める。

  艦長にオモイカネの自意識でもあるルビィを紹介。以後の事をルビィに任せ休憩に入る。

                            オペレーター ホシノ=ルリの日誌より抜粋>>

 

現在火星に向かって航行中。

その間私達の仕事はそれはもう退屈そのもので・・・

ブリッジにいるのは現在艦長のユリカさん、通信士のメグミさん、そして私・・・

ミナトさんにいたっては自主休暇・・・

『だって眠いんだもん・・・オヤスミ〜・・・』

と言うわけでブリッジには私達3人しかいないとなると・・・

当然話題はアキトさんのことになります。

「ねぇねぇ、ルリちゃん。」

メグミさんが私に話し掛けてきます。

「アキトさんって本当にルリちゃんの恋人なの?」

「そうですよ」

即答してしまいましたね。

でもこれでユリカさんたちにはアキトさんのことを諦めてもらえるでしょう。

「・・・アキトさんにはルリちゃんは来れないとか言って無理やり誘い出し・・・」

前言撤回・・・

それにメグミさん・・・言ってる事筒抜けなんですけれど・・・

「それでは私これから休憩に入りますので・・・」

私が席を立つとユリカさんが口を出してきました。

「ルリちゃん、ナデシコはどうなるの?」

「あぁ、ユリカさんにはまだ紹介していませんでしたね。」

思いっきりハテナマークを浮かべるユリカさん・・・

「ルビィ、これから10時間ほど私は休憩に入ります。後はよろしくお願いします。」

そういうと私の隣に赤い目と髪をした女性が現れました。

『了解、おやすみなさい。』

ルビィ、少しは気の聞いた挨拶もするようになってきましたね。

緑を基調としたメイド服は相変わらずですけれど・・・

「ルリちゃん、これは一体・・・」

ユリカさんが尋ねます。

「これはオモイカネの自意識を具現化したものです。

名前はルビィ、一応自分で考えて行動するようになっていますから

人格が具体化したもの・・・とでも言いましょうか。

ちなみにルビィの姿は私の成長した姿を

シュミレーションして造りました。」

「ほぇ〜、ルリちゃんって意外とグラマーになるんだね。」

グサッ!!

ユリカさんの一言に私の心は大きく傷つきました。

私はふらふらとブリッジを後にしました。途中

「艦長って意地悪ですね。」

「そうかなぁ?」

「そうですよ。」

「そうかなぁ?」

「ええ。」

「そうかなぁ?」

「はい。」

「やっぱり?」

「そうです。」

『ルリも大変だね。』

ルビィ、あなたの体を少しいじりましょうか・・・

 

 

 

<<1430時 仮眠から起床、訓練室にてアキトさんと保安部から戦闘技術を学ぶ。

   特に副保安要員の持つ戦闘技術に大変興味を覚える。>>

 

私は睡眠を取り軽い食事を済ませた後

アキトさんとゴートさんがいる訓練室にやってきました。

部屋にはアキトさんたちのほかにミサキさんまでいました。

もうすっかり怪我は良いようです。

アキトさん相手に組み手をしています。

アキトさんの方が実力が上ですけれど。

しばらく組み手をしていると急にミサキさんは距離を取りました。

「アキトくん、これから見せる技はナグモ家に伝わる呼吸方法よ。

これによりこんな事もできるようになるわ。」

そういうとミサキさんはひゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅと独特の呼吸をし始めました。

変ですね・・・ミサキさんの体の周りから白色のもやが出ています。

「ゴートさん、ミサキさんの体・・・変じゃあないですか?」

「むぅ、確かにすさまじい気を彼女の体から感じる。」

「いえ、そうじゃあなくて・・・彼女の体から白色のもやみたいなものが出てきているんですけれど・・・」

「何だ?それは・・・」

ゴートさんが首をひねります。

「へぇ、『神気』が見えるんだ、凄いね?こんなに小さい子なのに。」

「ルリは人には想像もつかないような人生を送ってきている。

それより俺にもその気の色みたいなのが見えるんだが・・・

何だ?それは。」

ミサキさんが感嘆の声をあげる。

それに答えてくれたアキトさん。

確かに私はアキトさんから戦闘訓練を受けています。

いざと言う時アキトさんの足手まといにならないように・・・

「私は結局初歩の『神気』しか扱う事が出来ないけれど

それでもこのくらいの芸当は出きるわ。」

ミサキさんが腰だめにこぶしを構える。

アキトさんも身構えています。

ミサキさんの拳に白色のもやが集まる。

凄いプレッシャーだ・・・

「こ、このプレッシャー・・・」

「・・・むう・・・」

私とゴートさんは潰されそうになる気に耐えていた。

「行きます!・・・氷雪の狼!!

そういうとミサキさんは腰に構えた拳をアッパーカットのように繰り出しました。

この距離では拳は届かないはず・・・しかし

「ぐわぁ!」

アキトさんが吹き飛ぶ。

そんな!アキトさんはミサキさんが拳を繰り出したとき確かにガードしていた・・・

「どうです?私の先祖はこの力を使いこなしたと伝え聞いております。」

「た、確かに・・・俺はガードをしていたのに・・・」

フラフラと立ち上がりながらアキトさんが言います。

「凄いわね。今の一撃を受けて立ち上がる事ができるなんて。」

「確か・・・こうだったかな?」

そう言うとアキトさんは先程ミサキさんが見せた呼吸法を真似てみています。

ひゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!

!!!先程のミサキさんとは比べ物にならないほどのプレッシャーがアキトさんから感じます。

同時に金色の気がアキトさんの身に纏われて行きます。

「すごい!金色の『神気』なんて!!」

ミサキさんも白色の神気を身にまとっていきます。

やがてお互いに拳を構えお互いの拳に神気を集中させていきました。

「「はぁ!」」

くっ!二人が対峙しているだけで物凄いプレッシャーだったのに

まるで爆発の衝撃波の中にいるみたいです。

ちなみに隣にいたゴートさんは二人が神気を溜めていた時点で気絶しています。

やがてプレッシャーが消えるとお互いに倒れている姿が見えました。

「アキトさん!」

私はアキトさんの側に行き抱き起こしました。

「ありがとう、ルリ。大丈夫だ・・・」

何時の間にかミサキさんも立ち上がりつつあります。

「ふう、一度見ただけで神気を扱う事ができるなんて・・・

才能だけで片付けられ無いわね。」

ミサキさんが感心しています。

「それにしても黄金の神気・・・か、

200年この神気の色を見せた人はいないのに・・・」

ミサキさんは神気について簡単に説明してくれた。

それによると天・月・雷・山・地・水・火・風の属性を持っているみたいだ。

「ミサキさんは・・・その色からして雪の属性を持っているのですね?」

私が尋ねると肯定するように頷いた。

「でも・・・アキトさんの色は・・・金色だった・・・アキトさんの属性は・・・」

「そうなのよね、私の先祖ではただ一人だけ金色の神気を持った人がいたんだけれど・・・よくわかっていないのよね・・・」

そう言うとミサキさんは私の方を向き

「ね、あなたも神気が見えるって事は扱える可能性もあるって事よ!今から教えてあげる。」

そう言うと私はミサキさんに呼吸法を教わりました。

私の神気の色は水色でした・・・と言う事は属性としては水と言う事でしょうか。

ゴートさんは・・・しばらく目を覚ましませんでした。

と言うより誰も気が付きませんでした。

 

 

 

<<1700時 食堂にてアキトさんの料理を堪能。途中ナデシコクルーとの親睦を深める。

  アキトさんより夜の誘いを受け、これを了承する。>>

 

「アキト君って不思議な人よね〜。

あれだけの戦闘技術を持っておきながらこんなに料理が得意なんて。」

私とミサキさんは食堂に来ています。

「ええ、アキトさんの本質はコックさんですよ。

私は楽しそうに料理をしているアキトさんを見るのが一番の幸せです。」

「ラブラブね〜。」

ミサキさんが面白そうに言う。

そこにリョーコさん達が入ってきた。

「よっ、すっかり怪我は良いみたいだな。」

「ええ、リョーコこそ無事でよかったわ。」

そうでした、この人たちは一緒のコロニーにいたから面識が有ってもおかしくありません。

アキトさんが私が注文したチキンライスとミサキさんが注文した火星丼を持ってきました。

「チキンライスと火星丼お待ち。」

そう言うと私達の前にチキンライスと火星丼をおきました。

「おぅ、テンカワ!俺はオムライスな。」

「あたし、特製ピザ。」

「鯖の煮付け。」

リョーコさん達がアキトさんに注文します。

アキトさんは生き生きとしています。

少なくとも表面上は・・・

「ところでさっきから何話してんだ?」

リョーコさんが尋ねてきます。

「ルリちゃんとアキト君がラブラブって話よ。」

「「おぉぉぉぉぉ」」

ヒカルさんとイズミさんが私の方を向きます。

「それにしてもアキト君って凄い実力の持ち主よね〜。

私なんか足元にも及ばないって感じだし。」

「お、そう思うか?俺もテンカワの奴には足元にもおよばねぇって感じだしな。」

ミサキさんの言葉にリョーコさんが賛同します。

「シュミレーションで何度やってもテンカワの奴に一度も勝てねぇ。

あいつ、何処であの技術を手に入れたんだ?」

「そうよね〜、普通にすごしただけはあんな技術は手に入らないわよね〜」

少し顔を赤らめながらミサキさんが言います。

リョーコさんだけでなくミサキさんまで・・・

「はい、注文の品。

リョーコちゃんはオムライス、

ヒカルちゃんは特製ピザ、

イズミさんは鯖の煮つけね。」

アキトさん、その笑顔はある意味反則です・・・

ほら、リョーコさん達がウットリしてるじゃぁ無いですか。

「テ、テンカワ!後でシュミレーション、頼むな。」

リョーコさん、顔を真っ赤にさせて言わないでください。

「あ、アキト君。明日も訓練に付き合ってね。」

ミサキさんも・・・ヒカルさんとイズミさんがニヤニヤしてますし・・・

「あぁ、わかったよ。二人とも。」

アキトさん、やっぱり女性限定の人間磁石ですね。

「ルリ、後で話があるんだが・・・」

アキトさんが私に言います。

「おぉ!ついにプロポーズか?」

「ルリ、俺と一緒に味噌汁を作ってくれ。」

「「がしぃ!」」

私達はジト目で二人を見ます。

リョーコさん達は・・・こっちを睨んでいます。

「では、後でアキトさんの部屋に伺います。」

「あ、ああ。」

だから私達をそんな殺気のこもった目で見ないでください・・・

 

 

 

<<2130時 アキトさんの部屋で今後の方針を話し合う。

 若干の修正事項を確認する。>>

 

その日の夜・・・厨房での仕事を終えたアキトさんの部屋を訪れました。

「アキトさん、良いですか?」

「ああ、入ってくれ。」

そう返事があったので私はアキトさんの部屋に入りました。

「話と言うのは?」

「北辰の目的だ・・・あいつの行動は前回ではなかったと思うが・・・」

「私達がサツキミドリ2号の人たちを助けた事により

前回の歴史では表に出なかった事が表に出てきただけでしょう。」

「そうだな。しかし・・・ネルガルの闇の部分がここまでとは・・・」

「ネルガルだけでは有りません。

クリムゾングループも同様の事をしていると思いますし

木連にしても遺伝子技術はのどから手が出るほど欲しいと思います。」

「これは・・・例の計画を一刻も早く進めるべきかな?」

彼女にはすでに連絡しています。

ご褒美はアキトさんの料理だそうです。」

私は少し意地悪い笑顔をしていたかもしれません。

「ありがとう、しかしただの料理では済みそうに無いかな?」

「あたりまえです。

なんたって私の妹なんですから。」

「あぁ、わかっているよ。」

アキトさんは少し笑顔を見せました。

北辰の事となるとかげりのある顔をしていたのですが・・・

「それと、火星までの間に・・・」

「例のものはすでに出来ています。」

「そうか、苦労をかけるな。」

アキトさんが私を抱き寄せます。

「いいえ、アキトさんの為です。」

私ははっきりと宣言します。

「サツキミドリ2号の人たちを助けたのはやはり正解だったな。

ミサキさんにも会えたし。」

「そうですね、この神気を使えば少なくとも私の身は私自身で守る事が出来ます。

アキトさんの足手まといにならなくてすみます。」

「ルリ・・・」

「アキトさんは私の事は心配せずに戦って欲しい。

そのためにアキトさんの訓練に耐えてきたんですから。」

私の力はすでにゴートさんを上回っています。

でも私はアキトさんの足枷になりたくない・・・

アキトさんが私の事を必要としなくなるまで・・・

「あと30分ほど・・・アキトさんの傍にいさせてください・・・

30分後には私はブリッジに行かなくてはなりません・・・」

私はアキトさんの手を握ります。

「ああ、わかった。

ずっとそばにいるよ。」

アキトさん、信じて良いんですね。

アキトさんの傍にいつづける事ができるのは私だけだって事を・・・

 

 

 

<<2200時ブリッジにて艦長と『艦長としての責務』について対談。

 有意義なものに終わる>>

 

ブリッジに戻った私を待っていたのは疲れきったユリカさんの姿でした。

前回ほど葬式の数が少ないとはいえ

結果的に犠牲者が出たことには変わりありませんから

ネルガルの方針でもあるお葬式を艦長の権限で行なわなければなりません。

それでも数が多いのでユリカさんとジュンさんの二人で手分けをしています。

「ふぇぇぇぇぇ。」

ユリカさんは前回と同じように変な帽子を頭にかぶっています。

「艦長、頭。」

「どうしてこんなにお葬式が多いの〜。」

ユリカさんが口をこぼします。

「ネルガルの社員は基本的に個人が望むとおりの葬式を挙げてもらうことが出来ます。

ナデシコの場合最高責任者である艦長と副長が冠婚葬祭を挙げる事になります。」

「後どれくらいいるの〜?」

「本日はユリカさんが5人、ジュンさんが7人の葬式を執り行いましたから・・・

あと26人の葬式を行わないとなりませんね。」

「後3日はこんな状態〜。」

さすがのユリカさんもげんなりしています。

「あ、でも冠婚葬祭って言うぐらいだから結婚式もやるのかなぁ。」

メグミさんが爆弾発言をします。

「そうですね、私とアキトさんの結婚式は艦長にお願いしましょうか。」

「ふぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん」

ユリカさんが走り去っていきます。

「ルリちゃんって結構意地悪よね。」

「メグミさんこそ。」

「そうかなぁ?」

「そうですよ。」

「そうかなぁ?」

「そうですよ。」

「そうかなぁ?」

「そうですよ。」

「そうだよね。」

「私もですけれど。」

 

 

 

<<1月19日 1300時、シュミレーションルームにてパイロット達の訓練を見学。

  戦術訓練を全員で行う。>>

 

今日はアキトさんたちパイロットの訓練にお邪魔しています。

私のほかにユリカさん、メグミさん、プロスさんがいます。

ブリッジにはジュンさんとフクベ提督、それからルビィが私の代わりを勤めています。

「相変わらずテンカワさんの腕はすごいですね〜。」

「アキトは私の王子様だもん。」

プロスさんの言葉にユリカさんがいつもの台詞を言います。

私はシュミレターの中にいるパイロットの動きをみています。

エステバリスのカスタム化はウリバタケさんの指揮の元、現在着々と進行しています。

リョーコさんたちはエステバリスのカスタム機に乗っていてアキトさんはノーマル機に乗っています。

アキトさんの武器はラビットライフルにイミィテッドナイフの標準装備のみ。

リョーコさんたちは試作段階のフィールドランサーやレールカノンといった装備に加え

ナデシコの援護を受けているという設定です。

「今度こそ貰うぜ、テンカワ!」

「いつでもどうぞ。」

ナデシコからのグラビティブラストを軽く避けたアキトさんの機体は

どんどんナデシコにせまってきます。

リョーコさんとヤマダさんが立ちはだかりますが

あっという間にヤマダさんのエステバリスが撃破され、

リョーコさんのエステバリスも行動不能に追いやられました。

残る二人もヒカルさんを囮にしてイズミさんがしとめるという連携プレーを見せましたが

ヒカルさんのエステバリスを盾にしてイズミさんを撃破し、

ヒカルさんにとどめを刺し防衛手段を失ったナデシコを完全破壊してしまいました。

「くやしぃ〜!アキト君のエステちゃんよりこっちの方が機動力が上なのにぃ!」

「そうだよなぁ、アキトのエステに攻撃しようとしたら既にそこにいないんだからなぁ」

ヒカルさんとヤマダさんが先程の訓練を映し出したモニターを見ながら話をしています。

「なぁ、テンカワ。」

「なんだい?リョーコちゃん。」

「俺達の方が機動力は上だよな?」

「そうだね。でもそれぞれの弱点を的確につけば

ノーマルのエステでもカスタム機に勝てる事だって出来る。」

「俺達に弱点があるって?俺の弱点って何だ?」

アキトさんの言葉にパイロットの皆が聞いてきます。

「まず、ヒカルちゃんは左からの攻撃に弱い。」

「あ、そういえば・・・」

「イズミさんはさすがに遠距離からの射撃は大した物だけれどそれだけって言う感じだし・・・」

「そうね。」

「リョーコちゃんはさすがに近接戦闘は素晴らしい物を持ってるね。射撃の腕も一流だと思うよ。」

「じゃあ弱点ってなんだよ。」

「素直すぎるんだよ。

確かにライフルが当たらないからといってすぐに

近接戦闘に切り替えたのはさすがだと思うけれど

それだけ攻撃の幅が狭まってるんだ。」

「そうか。」

「ガイは防御を覚えた方が良い。

いくらなんでも突進してくれば良いと言うもんじゃあないし、

一々攻撃するときに叫ぶのは隙が多くなるだけだ。」

ヤマダさんはぐうの音も出ないようですね。

「以上の事が克服できればベストなんだろうけれど人間そううまく行くもんじゃあない。

今はむしろ長所を活かすべきだろうな。」

「そうか!やはり魂のこもった一撃はげしぃ!

「ガイ・・・良いか?

もし俺やリョーコちゃんたちがいない場合お前がナデシコを守る。

これは解るな?」

ヤマダさんの頭に手刀を叩き込んで黙らせたアキトさんはヤマダさんに言い始めました。

ヤマダさん・・・首を縦に振っています。今のアキトさんの殺気は凄まじいものがあります。

「そんな中でお前がさっきみたいに無謀な突撃や

一々必殺技の名前を叫んで攻撃していたんじゃあとてもじゃないが

ナデシコを任せる事は出来ない。」

皆は黙ってうなずいています。

「ユリカ。」

「なあに?」

ユリカさんが少し嬉しそうに答えます。

「お前は艦長として俺達に死ねと命令できるか?」

「え・・・そ、それは・・・」

「お前の艦長としての任務はこの艦に乗っている乗員の命を守る事だ。

そのためには俺達を時には捨て駒として使わないといけないかもしれない。」

「・・・」

「そんなときに命令が出来るか?

自分達のために死んでこいと・・・」

「でも、皆が生き残れるように頑張れば・・・」

「戦力の差が埋まるとでも?

考えても見ろ、ナデシコは艦隊ではない。

たかが一隻の戦艦が出来る事なんて限界がある。

いくら俺でも不可能な事があるんだ。

ガイにはその事を常に考えて欲しい、生き残る事は最低条件だ。

だがナデシコが生き残らないと俺達は死んでしまうんだ。

ナデシコは俺達の家だ。

俺達の家を守る覚悟の出来ない奴は戦いに出るべきではない。

そして闘いに生き残れ無いような奴はナデシコを降りたほうがいい。」

アキトさんの言葉をユリカさんは黙って聞いています。

「アキトさん、意地悪しすぎですよ。」

私が明るく声を掛けます。

「そうか?」

「そうですよ。アキトさんの守りたい家は私も守りたいです。

そのためにアキトさんは皆を鍛えているんですよね?」

「ま、まぁな。」

「それに戦い方によっては先程の闘いでもアキトさんに十分勝つ事が出来ますよ。」

リョーコさん達が私のほうを向きます。

「気づいたか・・・」

「はい。」

私は先程のアキトさんの弱点を見抜いています。でもここは・・・

「ユリカさんがナデシコの指揮をとってください。

私はユリカさんの言うとおりにナデシコを動かしますから。」

「え、でも私・・・」

「大丈夫ですよ。ユリカさんなら。

皆さんも配置についてください。」

私の言葉にリョーコさん達も従います。さぁ、いきますよ。アキトさん。

 

「それでは始めましょうか。」

ユリカさんは未だにオロオロしています。

リョーコさんがたまらずに

「ルリ!グラビティブラストだ!」

と要求してきました。

「ダメです。グラビティブラストは起動兵器に対しては不利なんです。

戦艦相手だとある程度有効ですが相手が動き回る場合

当てる事は非常に困難です。」

私が説明しているとユリカさんは

「そうか!ルリちゃん、前方の空間にミサイルを放出。

直後にディストンションフィールド全開で守りを固めて!」

「その通りです。

グラビティブラストを使用してしまうとフィールドの出力が下がり

ナデシコの防御力が下がってしまいます。」

「でもよ〜、いくらナデシコが落とされなくなったからって言っても俺達はどうすりゃいいんだ?」

リョーコさんが聞いてきます。

私はユリカさんのほうを向きます、

ユリカさん・・・気づいていますね。

「リョーコさんは少し引いてください。

ヒカルさんとヤマダさんが前衛、

イズミさんは二人の援護をお願いします。」

「え、でもそれだと・・・」

ヒカルさんが何か言いたそうですがユリカさんはさらに続けます。

「ヒカルさんとヤマダさんはアキトを先程射出したミサイル群の中におびき寄せてください。

リョーコさんは指示があるまで待機。

イズミさんは打ちまくってください。」

ヒカルさんとヤマダさんがアキトさんの攻撃を受けながらも

何とかミサイル群の中におびき寄せる事が出来ました。

「ヒカルさんとヤマダさんは緊急回避!

ルリちゃん、グラビティブラストをミサイル群に向けて発射!」

私達は言われたようにします。

グラビティブラストが突き抜けるとミサイル群は大爆発を起こしアキトさんの機体は何とか爆発から逃れてきました。

「リョーコさん、イズミさん前方の空間に向かってクロスファイア攻撃!」

アキトさんのエステバリスが逃れてきた空間に

リョーコさんとイズミさんの正確な射撃によってクロスファイアポイントが出来てしまいました。

当然そのまま突き進むわけにはいかないアキトさんは

その場で停止し攻撃をしようとしましたが

時すでに遅くヒカルさんとヤマダさんの攻撃によりあっさりと撃墜されてしまいました。

「・・・そう、これが今までの俺の弱点。

一人で出来る事には限界がある・・・」

「だからアキトさんは皆さんを鍛えているんです。

少しでも生き残る確率を上げるために・・・」

「ヒカルちゃんとガイは相性が良いんだろうね。

リョーコちゃんも今回みたいに戦場全体を見る視野を育てていけば立派な前線指揮官になると思うよ。

イズミさんはやはり射撃だけでなく近接戦闘もきちんとこなしていかないとね。」

アキトさんがリョーコさん達に指導しています。

「ねぇ、ルリちゃん。」

「何です?メグミさん。」

「どうしてアキトさんは軍に入らなかったの?

エースパイロットとして十分やっていけるんじゃあないの?」

「アキトさんは軍隊が嫌いなんですよ。」

そう、アキトさんにとって軍隊とは自分達の故郷を潰した張本人・・・

ネルガルの言いなりになっていなければアキトさんの両親も殺されずにすんだ・・・

「そうなの。」

メグミさんがアキトさんをみています。

今のアキトさんは仲間に囲まれて好きな料理をして一緒にバカをやって楽しんでいます。

以前では考えられなかった光景です。

やっぱりナデシコはナデシコなんですね。

 

 

 

 

<<1月31日 1400時 ナデシコ内で反乱発生。首謀者は整備班班長ウリバタケ氏。

 しかし木星蜥蜴の攻撃により問題は先送りとなる。>>

 

ナデシコが火星に到着するまで後1日に迫った頃、ウリバタケさんを筆頭とする抗議活動が始まりました。

「我々は〜、断固ネルガルの〜、横暴に〜、抗議する〜。」

ブリッジに押しかけてきたのはウリバタケさんをはじめとする整備班・パイロットの皆さんです。

「何のことですか?」

ユリカさんが質問します。

「これだよこれ!」

「え〜っと、うわぁすごい小さい字!なになに

『艦内における恋愛は基本的に自由としますがスキンシップは手を握るまでとします。』」

「いいか?今時幼稚園児じゃあ有るまいしおてて繋いでランランランて訳には行かないんだよ!」

ウリバタケさんがヒカルさんとリョーコさんの手を握り振り回していますが

『調子に乗るな!』という一言でリョーコさんに肘鉄を食らいました。

ともかく!若い男女がであったら!」

「目と目が重なり!」

「そのうち唇と!」

ウリバタケさんとヒカルさんの芝居が永遠に続くかと思われたその時

「それが困るんです!」

やはりプロスさんのスポットライトは謎だらけです。

「もし結婚したら?子供が生まれたら?

当然、お祝い金を渡さないといけませんよね。

その出費を押さえる為にそのような項目があるのです。」

ふざけるな!一々契約書の内容を確認してサインする奴なんか今の時代居るか!」

「私とアキトさんはちゃんと読んでその項目は削除していますよ。」

「「「「へ!?」」」」

みんなの目が点になっています。

「ま、まあ・・・テンカワさんがルリさんに手を出した場合

犯罪者になってしまいますから・・・」

私、精神年齢は17歳なんですけれどね・・・

「と、とにかく!こんな事が認められて良い訳あるか!」

ウリバタケさんの絶叫がブリッジに響いたとき・・・ナデシコ全体に衝撃が走りました。

「木星蜥蜴の艦隊を確認、規模は戦艦5、護衛艦10、機動兵器多数。」

「皆さんの言いたい事はわかりました。

ですが今は生き延びることを考えましょう!

どうせならお葬式じゃあなく結婚式がやりた〜い!

ユリカさんの叫びが皆を動かします。

そうです、全てはみんな生きて幸せになることです。

その為に私たちがいるのですから・・・

でもアキトさんと結婚するのは私ですから。

 

 

 


 

ルリ:私とアキトさんのバーチャルルームのお話は?

作者:無い。

ルリ:どうして?(ニコッ)

作者:(目が笑っていない・・・)最初バーチャルルームに入るところを書いていたんだが・・・

ルリ:どうしてなくなったんですか?

作者:どうも18禁小説になりそうな感じだったので止めた。

ルリ:私はいいのに・・・

作者:俺が困るわい!大体出入り禁止になったらどうするつもりなんだ!

ルリ:私はいいのに・・・

作者:壊れちゃったかな?

ルリ:それにしても

作者:どぅわぁ!いきなりもとに戻らんでくれ!

ルリ:とうとう『神威の拳』出しちゃいましたね。

作者:フルメタとリアバウが好きだからな、ちなみにナグモミサキを日本読みにすると南雲 美咲となる。

ルリ:ナグモという姓を出した時点で木連の人間と思った人がかなりいたみたいですね。

作者:そうだろうね。

ルリ:でもまぁ、今回は私とアキトさんのツーショットが描かれていたので良しとしましょう。

作者:珍しく機嫌がいいな・・・って、何で俺の体を縛っているのかな?

ルリ:いえ、お構いなく・・・

作者:お構いなくって何だ?その水槽は!

ルリ:電気ウナギが中に入っています。電力供給で執筆活動が再起動するんですよね。

作者:俺はE○Aじゃあない!それにこんなに縛られておもりまでつけられてたら溺れ死ぬって!

ルリ:さらに私の不安材料を増やした罪です!思い知りなさい!

作者:ぎやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!

ルリ:それでは次回 機動戦艦ナデシコ Re Try 第6話 『運命の選択』みたいな お楽しみに!

作者:しびれる〜〜〜〜〜〜〜〜ぶくぶくぶくぶくぶくぶく・・・・

 

・・・電力供給ではなく感想メールでスピードアップします・・・

 

 

 

代理人の感想

・・・・ああ、そっちの「ナグモ」でそっちの「ミサキ」だったのね(爆)。

でも、ナデシコでナグモと言えば普通草壁の配下のあれだよなぁ。