こんにちわ、テンカワ=ルリです。
ようやく火星から帰ってきて
私たちにアキトさんが合流しました。
アキトさんは、8ヶ月の間で新たな愛人候補まで作っているし
ついでにキノコと会長秘書まで合流するし・・・
いつの間にやら宇宙軍との共同戦線を形成しなくてはいけないし
アキトさんの周りには相変わらず女性がいます。
私とアキトさんの甘い性活はいつになったら訪れるのでしょうか?
機動戦艦ナデシコ Re Try 第9話 奇跡の作戦「キスか?」
「確かにネルガルと軍は共同戦線を張っています!!
ですが理不尽な命令に、我々には拒否権が認められている筈です!!」
「一応はね。」
「本艦クルーの総意に反する命令に対しては、このミスマル ユリカ・・・
艦長として拒否しますのでご了解下さい。」
「戦うだけの手駒にはなら無い・・・って訳ね。」
暫し睨み会うユリカさんとキノコ。
「・・・お生憎様、貴方達への命令は戦う事じゃないわ。
敵の目をかいくぐって、救出作戦を成功させる事よ。」
「救出作戦?」 × ブリッジ全員
キノコの台詞に驚ろいているブリッジの人たち。
・・・ま、その救出する人物を見たら更に驚くんでしょうね。
「木星蜥蜴の攻撃は無くても。
地球の平和を守るというナデシコの目的は・・・果たさないと駄目よね〜」
私の目的は地球の平和ではなく
アキトさんとの甘い性活なんですけれど・・・
ブリッジの床に作戦地図が浮かび上がります。
「で、この北極海域ウチャツラワトツスク島にとり残された、親善大使を救出するのが目的よ。」
そう言って地図上の一つのポイントを指差すキノコですが
「質問〜!!」
「何、艦長?」
「どうしてこんな所に、大使はとり残されたのですか?」
白熊ですから・・・
「大使は好奇心旺盛な方でね〜
現地はブリザードが吹き荒れる、大変な所なのにね〜」
みんな何て物好きな、とでも思っているのでしょうか?
「どうするんだ?ユリカ?」
アキトさんが試すような視線でユリカさんを見ます。
アキトさんは私の為に出前を持ってきています。
キノコは以前、アキトさんに体中の関節を外された事もあり
アキトさんの事を敵視しています。
「う〜ん、こんな所に本当に人がいるなんて確率はゼロに等しいし・・・
何故救出作戦をナデシコがやらなければならないのか・・・
本当に重要人物であれば私たちみたいな
独立愚連隊同然の部隊に任せるわけ無いし・・・
いかにチューリップが周囲を囲んでいるからといっても
チューリップを避けて通れば普通の部隊でも救出が可能・・・
わかった!私たちを試しているんだ!
もし私達が軍の言う事を聞かないとなればクルーの全員を入れ替えるし
役に立つのであればそのまま利用しようってことね。」
さすがです、ユリカさん。でも自分で独立愚連隊と言うのは・・・
まぁ、あたっているから誰も反論しませんがね。
「ぐ・・・」
キノコが言葉に詰まっています。
「で?俺達が試されていると知っていて尚、救出に向かうのか?」
アキトさんの言葉で回りの人たちも会話に参加しています。
「軍との関係を今悪くするのはよくないよ、僕は救出作戦をするべきだと思う。」
「そうですね〜、今軍と関係を悪くさせるのは我々にとっても損失が大きいですなぁ。」
プロスさんは相変わらず何か計算をしています。
「救出作戦ねぇ、一体どんな人が取り残されているんだろうね?」
「え?どうしてそんなこと考えるんですか?」
「いい?メグちゃん、普通の人が北極圏で何時間も生存できると思う?
取り残されているんだったら食料の残量は?
寒さはどうやって凌いでいるの?」
ミナトさん、鋭いですね。
キノコがその言葉に過敏に反応しています。
「大丈夫ですよ。」
私の言葉に皆が注目します。
「白熊ですから。」
「あんた!何でその事知ってんのよ!」
墓穴を掘りましたね?
「何でって・・・私はラピスと北極圏に住んでいる動物は
寒くないのかなって話していたに過ぎません。」
「・・・騙したわね・・・」
キノコが私の方を睨みつけています。
「提督は知っていたんだな?」
「やれやれ、白熊を入れる檻を用意しませんと・・・」
「じゃあ、白熊君を助けにレッツゴー!」
ほんと、キノコの頭が単純でよかった。
白熊君を助けに行く間、私たちは暇を持て余しています。
ナデシコはルートを設定し、後はルビィに任せてナデシコを進めています。
ラピスが居る御陰で私達の負担はかなり減らす事が出来ました。
前回もラピス達がいたからアキトさんと・・・
あ、また思い出しちゃいました。
・・・考えてみれば前回は私一人だったんですね・・・
労働基準法違反にならないのでしょうか?
私はアキトさんの料理を堪能しようと食堂にやってきています。
まぁ、ラピスも一緒です。
丁度、アキトさんも休憩中だったので一緒に食事をしました。
でも・・・何でリョーコさんたちも一緒なんですか?
「やあ、テンカワ君。
今、暇ならちょっと付き合って欲しいんだ、け、ど・・・そんな意味じゃないよ君達。」
アカツキさんも・・・何でそんな言葉でアキトさんを誘おうとしているんでしょうか?
それじゃあ疑われて当然です。皆冷たい目でアカツキさんを見ています。
ヒカルさんは新しいネタが出来たとばかりにメモッていますし・・・
「戦闘シミュレーションに付き合ってもらうだけだって。」
アカツキさんが慌ててフォローします。
リョーコさんは目をきらりと光らせて
「それなら俺達も付き合うぜ。丁度暇だったんだ。」
「い、いや。僕はテンカワ君と・・・」
「私も付き合います。」
私はアキトさんと少しでも長く居たい為にアキトさんに言います。
「ああ、わかったよ。」
「だぁぁぁ!卑怯やぞ!アヤ!」
「何言ってるのよ!ほら、さっさと回避運動しないとやられるわよ!」
シミュレーションルームではアヤさんとカズマさんが訓練をしていました。
「ほう、中々上達してきたじゃないか。」
「まぁ、教官の教え方が良いからな。」
アキトさんの言葉にリョーコさんが答えます。
そう言えばこの二人の教官はリョーコさんでしたね。
やがて、二人の闘いはアヤさんのフィールドランサーがカズマさんの機体をつらぬき
カズマさんの拳がアヤさんのコックピットを直撃しました。
「流石に仲がいいだけあって相打ちですか。」
「ルリ、それは違うと思うぞ・・・」
やがて、シミュレーターからアヤさんとカズマさんが出てきました。
「お、何やアキト。来とったんかい。」
「ああ、カズマ達は訓練メニューを順調にこなしているみたいだな。」
「ええ、最初は戸惑ったけれどね。」
以前この二人は、コックピットの中で、本当に自分自身の技を繰り出した経緯があります。
よく、アクションゲームをしていると、体が一緒に動いてしまう事があるといいますが・・・
当然、プロスさんから延々3時間説教を受け整備班からは小言を言われ
ミサキさんからは大笑いされて、ラピスにその様子を艦内にリアルタイムで放映されました。
「もう、コックピットの中に『綺』を持ち込まないで下さいね。」
『綺』と言うのはアヤさんの持ち歩いている朱鞘の日本刀のことです。
「でも、あれが無いとどうも不安で・・・」
刃物マニアですか・・・
まぁ、自分の名前と一緒の刀ですから愛着があるのも当然です。
「アヤは刃物マニアやさかいな。」
「なによ、それ。私がまるで危ない人みたいじゃないの。」
「みたいやのうて、ホンマに危ないんや。」
また二人のケンカが始まろうとしています。
後ろではヒカルさんたちが、どちらが勝つのかトトカルチョをしています。
結果はアヤさんの勝利、若しくは部外者の乱入による引き分けでしょうがね。
「みんなこんな所にいたんだ。」
そう言いながら入ってきたのはミサキさん。
でも、こんな所に何の用が?
「今度、正式にパイロットとして契約したから。」
「なんやて!」
これでナデシコのパイロットは9人ですか。
パイロットの数は多いほうが有利ですね。
それなりにフォーメーションを組んで戦う事が出来ますし
それによって生還確率も大幅にアップします。
「まぁ、パイロットの数が多いほうが有利になるからねぇ。」
アカツキさんはそう言うとアキトさんに
パイロット全員による模擬戦闘を行わないかと提案してきました。
「お、面白そうだな。」
リョーコさんが真っ先に飛びついてきました。
「チームを組んでの練習にもなるな。やるか。」
アキトさんの一言で団体戦が行われる事になりました。
アキトさんたちがシミュレーターに入ると私は各種設定をしていきます。
アカツキさん、ヤマダさんがAチーム
リョーコさん、ヒカルさん、イズミさんがBチーム
アヤさん、ミサキさん、カズマさんがCチームと分かれ
アキトさんは単独行動をします。
ちなみにアキトさんは空戦フレームでライフルとナイフだけという
武装を選択し、他の皆さんはアカツキさんの乗ってきた
スーパーエステバリスを選択しています。
もちろん、武装は選び放題です。
「テンカワ君、それだと君が一番不利なんじゃないかい?」
「そうでもない、今の実力差だとこのぐらいのハンデで丁度いい。」
その言葉がリョーコさんたちのプライドを刺激したのか
先ずはリョーコさんたちとアキトさんが戦うことになりました。
さすがにリョーコさんたちはチームを組んでいただけあって連携などは見事です。
・・・しかし、本気を出したアキトさんの敵ではなく、次々と撃破されていきました。
「次はアヤさん達かな?」
挑発的にアキトさんが言います。
「望むところよ。」
そう言ってシミュレーターに入っていったのですが
経験の差がそのまま結果に現れました。
まぁ、生身の戦闘で空中戦なんてやりませんから
戸惑うのも当たり前ですね。
「最後はアカツキ達か?」
「ちょっとまってくれ、ルールを変更しよう。」
そう言ってアカツキさんはある提案をしました。
「テンカワ君の実力は十分わかったから。
今の僕達ではテンカワ君を倒す事なんて出来ないだろう。
実力差がありすぎる。」
アカツキさんは少し肩を落とします。
「そこで、我々対テンカワ君の勝負で行こうじゃないか。」
なるほど・・・実力差があるから束になって掛かろうって訳ですね。
いかにアキトさんに実力があってもこの差はちょっと厳しいですね。
「さらに、我々にはコスモスを援護につけてもらいたい。」
・・・悪人ですね、アカツキさん。
確かにコスモスの多連装グラビティブラストはアキトさんにとっても
かなり脅威でしょうから・・・
「解った。だがこちらもナデシコを使わせてもらおう。」
そう言うとアキトさんはナデシコに私を、コスモスにはラピスを乗せる事にしました。
丁度ラピスの戦闘訓練になると思い私も了承しました。
「ルリ、負けないから。」
「良いですよ、掛かってきなさい。」
久々にラピスとハッキング勝負が出来ます。
ハッキング勝負をするのは、アキトさんを追いかけていた頃ですから
私にとっては、ずいぶん久しぶりです。
まぁ、ラピスには私との実力差を思い知らせてあげましょう。
「おう!アキト、手加減無しだ。」
ヤマダさんが熱く言います。
「これだけの戦力差で負けたりしたら洒落にならないわね。」
シリアスモードのイズミさんが言います。
皆さん急に真剣な顔になりました。
シミュレーションの舞台は火星の大地です。
荒地が多くエステバリス隊にとっては有利に戦場を設定できる場所です。
当然、戦艦はエステバリスにより狙い撃ちされやすいのですが・・・
それを何とかするのが、パイロットの腕だと強引にアカツキさんが決めてしまいました。
これで、私の第一目標はアカツキさんに決定です。
やはりラピスには経験が足りませんでしたね、
始まってすぐにアキトさんの手によって落とされてしまいました。
私からのハッキングに対応していた所をアキトさんに落とされたのですが・・・
シミュレーションが始まってからいきなりグラビティブラストで私を落とそうとするあたり
ラピスのライバル宣言と受け取っておきましょう。
私は迫りくるリョーコさん達をミサイルで巧みに牽制し、ハッキングにより
攻撃目標をロストさせたり変更させたりしていました。
さすがにナデシコCのように火星全土を掌握するような事は出来ませんが
ナデシコAでも近くの敵を混乱させることは不可能ではありません。
その代わり私の負担はかなりの物ですけどね。
しかし、アカツキさん達はいきなりコスモスを落とされたので
残りのバッテリーで戦わなくてはならないので、かなりあせっています。
先ず最初にアキトさんが狙ったのはミサキさんたち。
コツを掴んだのか、その辺に居るパイロットより腕が上がっていますが・・・
それでもまだ一流どまりでしょうか。
超一流のリョーコさんや修羅となって戦った事のある
アキトさんとは実力差が有りすぎます。
3人をあっさり落した次に、イズミさんとヒカルさんを落とし
残るはヤマダさん、リョーコさん、アカツキさんだけになってしまいました。
「流石だな、これだけの戦力差でここまで追い詰められるとは。」
私のミサイル攻撃を避けながらアカツキさんが呟きます。
「ロン毛!感心してねぇでこっちを援護しろ!」
「すまないね、リョーコ君。援護に行きたいのは山々なんだけどね、
さっきからルリ君の攻撃を避けるのに手一杯の状態なんだ。」
アカツキさんが言う通り私の効果的なミサイル攻撃によって
アカツキさんはリョーコさんの援護に向かう事が出来ません。
私の第一目標ですから。
「だぁぁぁぁぁ!!」
ヤマダさんがアキトさんの死角を突いて攻撃に転じました。
しかしアキトさんはあっさりと避けるとそのままリョーコさんに
ヤマダさんのエステバリスを投げつけました。
相手の力を受け止めずにそのまま利用しています。
その辺の判断は流石アキトさんです。
でもリョーコさんはヤマダさんを、とっさに避けてしまいました。
避けるのと同時にアキトさんに向かってレールカノンを向けるのは流石ですが
そこにアキトさんの投げたナイフがリョーコさんの機体に突き刺さりリョーコさんは戦線離脱、
ヤマダさんも何とか体勢を整えましたが
アキトさんの一撃を受けてあっさり戦闘不能になりました。
残るのはアカツキさんだけですが
私が先程から仕掛けていた罠にまんまとはまり
グラビティブラストの一撃を受けて撃墜されてしまいました。
「いやぁ、強いね〜。君達は。」
「アキトの奴、また上手くなったな。」
「そうだねってリョーコちゃん!いつの間にアキト君のことを呼び捨てに!」
「リョーコもついに男に目覚める。」
「アキトは上手いんじゃあない・・・全てにおいて強いんだ。」
パイロットの皆さんが好き勝手言っています。
アキトさんはただ悲劇を繰り返さないためだけに、復讐者の技術を使っているだけです。
「ところで、テンカワ君。もう一勝負といこうじゃあないか。」
「なんだ、まだ無駄な努力をしようってのか?」
「まぁ、この勝負は8ヶ月間ずっと続けてきた物だからね。」
「アカツキ君も意外と負けず嫌いね。」
「まぁ男の意地って奴だ。
アキト!手加減してやれよ。」
「私たちは先に休憩してくるから、
アキト君もあまりアカツキ君をいじめたらダメだよ。」
そう言うと私を残して皆さんはシミュレーションルームから消えていきました。
何でも結果のわかりきった勝負なんて見ても意味が無いそうです。
もちろんこの言葉はリョーコさんにとって照れ隠し以外の何物でもありません。
きっとリョーコさん達はトレーニングルームに向かったのでしょう。
IFSによる戦闘は個人の戦闘能力や反射能力が
いかに優れているかにより優劣が決定されます。
これは、イメージによってエステバリスを動かすシステムですから
個人の能力、若しくは想像力によってエステバリスの動きが大きく変わってしまいます。
幸いにも個人戦闘能力においてミサキさん、カズマさん、アヤさんの3人は
アキトさんを除くとナデシコ内ではトップクラスの実力を持っています。
この三人はIFSに慣れればリョーコさん達に追いつくのも時間の問題でしょう。
逆にリョーコさん達にとって見れば格闘センスの塊ともいえる3人は
自分達の技量を伸ばす絶好のチャンスです。
ヤマダさんとカズマさんは声の質が似ている為か、今では親友といっても過言では有りません。
アヤさんとリョーコさんは、お互いに剣を学んでいたとあって通じるものが有るのでしょう。
この二人は毎日手合わせをしているようです。
ミサキさんは私の時もそうだったのですが人に物を教えるのが上手いです。
ヒカルさんやイズミさんはミサキさんに護身術などを教えてもらっています。
ちなみにラピスは眠たそうにしていましたので
先に部屋に帰ってもらいました。
「俺に話があるんだろう?」
アキトさんがアカツキさんに尋ねます。
「まぁ、先に勝負と行こうじゃあないか。」
「そうだな、舞台は月面で・・・俺は月面フレームを使う。
アカツキも月面フレームを使うか?」
「いや、スーパーエステバリスでいい。
月面フレームを使うとテンカワ君を捕捉する事なんて一生掛かっても無理だろうからね。」
「じゃあ始めるぞ。」
アキトさんとアカツキさんの戦いは最初こそアカツキさんが有利でしたが
アキトさんのフェイントに引っかかったアカツキさんはレールカノンの一撃を受け
行動不能になってしまいました。
「これで対戦成績は453戦0勝452敗1分けか・・・」
その1分けってなんですか?
「それで?話とは?」
「私は失礼したほうが良いですね。」
私がその場を退こうとするとアカツキさんが呼び止めました。
「いや、すまないねぇ。これは、ルリ君にも関係のある話だから・・・」
アカツキさんが私達を見ながら言います。
アキトさんはふう、とため息をついて辺りを見回します。
私も先程からの視線には、気が付いていましたからある一点をジッと見つめます。
「ふ、二人ともどうしたんだい?」
アカツキさんが慌てて私達に話し掛けます。
「アカツキさん、そのロッカーの中に居るのはエリナさんですね?」
「そして、こっちのモニターの裏に隠れているのがゴートさん。」
「プロスさんは・・・」
そう言いかけた所で
「いやぁ、お強くなりましたねぇ。」
いつもの笑顔でいきなり姿を現したプロスさん。
でも、隠れていた場所が机の下って・・・
地震が起きたんじゃないんですから。
「で?何の話だったかな?」
「もう、何言ってるのよ!ホシノ=ルリの事でしょう?」
エリナさんがアカツキさんを睨みながら言います。
「そうだったね、単刀直入に言おう。
・・・と、その前に・・・ここでの会話は全てにおいてトップシークレットだ。」
そうアカツキさんが言うと私に視線を向けます。
私はその視線の意味するところを見抜くと
「オモイカネ、今からこの部屋での会話を全て抹消。
私がいいというまで続けてください。
それから、ドアを全てロック。私たちが持っているコミュニケの
送受信を全てカット。これは特A級事項です。
アカツキさん、承認していただけますね?」
そう言うとアカツキさんに尋ねます。
特A級事項を承認するにはネルガル会長の許可が要ります。
「なんだ、知っていたのかい?」
「以前、ネルガルのホストコンピューターを
暇つぶしにハッキングしていたときに・・・」
エリナさん達が青い顔をしています。
「そうかい、ところで・・・僕のプライベートファイルなんかは・・・」
「当然見ました。」
「そ、そう・・・特A級事項、承認。」
少し肩を落としてアカツキさんが先程の項目を承認します。
これでたとえ艦長がマスターキーを持ち出しても
この部屋に入ることは出来ません。
「さて、聞かせてもらおうか。」
アキトさんがアカツキさんに言います。
「わかったよ。ルリ君の事というのはサツキミドリでの一件の事だ。」
そして、アカツキさんが語った内容は私たちの想像を遥かに越えていました。
「・・・その話が本当だとすると・・・」
「すでにクリムゾンによって計画が進められていると見て間違いないだろうね。」
アキトさんの言葉にアカツキさんが答えます。
私はまだ青い顔のままです。
「大丈夫か、ルリ。」
アキトさんが優しく言葉を掛けてきます。
「ええ、大丈夫です。」
「ゴート君、ナデシコ内の乗員は身元を全て洗いなおしてくれ。」
「はい、この作戦が終了次第、調査に入ります。」
「プロス君は艦内の調査を行ってくれ。
何処に盗聴器が仕掛けられているかリストを作っておいてくれ。」
「はい、ちなみにこの部屋にある盗聴器はすでに破壊しておきました。」
話を聞くと先程、机の下に隠れていたのは盗聴器を発見したからだったそうです。
「エリナ君はナデシコシリーズの完成を急いでくれ。」
「ええ、シャクヤクとカキツバタの完成を急がせるわ。
あと、ナデシコへのスーパーエステバリスの導入はこの作戦終了後に
各自の特性に合わせてウリバタケ氏がチューンするそうです。」
「そうか、じゃぁ何の問題も無い。じゃあ、ルリ君。特A級事項解除。」
「はい、全て通常どおりに復旧します。」
私はオモイカネに特A級事項を解除させます。
「ああ、ありがとう。ところでテンカワ君。」
「何だ?」
「ルリ君と婚約したというのは本当かい?」
途端にエリナさんの表情が険しいものになります。
「ええ、本当ですよ。アキトさんは私に婚約指輪を渡してくれましたから。」
「プロス君、ナデシコに乗る時の契約は・・・」
プロスさんは私達の契約書をアカツキさんに差し出し
「見事に削除されてしまいました。
今時、これほど契約書を読む人は珍しいのですが・・・」
汗を拭きながらプロスさんが言います。
「そうか・・・ナデシコに戻る理由はルリ君のためだったのか。」
アキトさんは私を見ながら
「まぁ、そう言う事だ。」
嬉しい一言です。
「そうかい、じゃぁイネス君は君の愛人なのかい?」
何て事言うんですか!
まぁ、イネスさんは自らアキトさんの愛人と言い張っていますね。
「そ、その件に関しては回答を避けさせてもらう。」
アキトさん・・・冷汗流していますね。
「じゃあ、艦長やメグミ君、リョーコ君にミサキ君、ラピス君、プルセル君、ホウメイガールズのみんな・・・
ああ、ついでにエリナ君の事はどう思っているのかな?」
「何てこと言うのよ!」
エリナさんは顔を真っ赤にして抗議しています。
説得力ありませんね。
「アキトさんに近づく人はみんな敵です。」
私が冷たい目でアカツキさんを睨みます。
そう言えば最近ナデシコの中でさまざまな組織が乱立しているそうです。
最大勢力はアカツキさんとセイヤさんを中心とする
『テンカワ=アキトの毒牙からナデシコの女性を守る為にテンカワ=アキトを抹殺する』
事を目的とした<T・A抹殺共闘委員会>
主なメンバーとしてはジュンさんやカズマさん、整備班の皆さんです。
ナデシコの女性クルーによる
『ホシノ=ルリからテンカワ=アキトを奪回し健全な道に戻す』
事を目的とした<T・A共同所有同盟>
こちらのメンバーはユリカさん、メグミさん、リョーコさん、ミサキさん、ラピス、
プルセルさん、エリナさん、ホウメイガールズです。
一部の人たちによる
『テンカワ=アキトとホシノ=ルリを応援する』
事を目的とした<ルリルリ応援団>
こちらはミナトさんやホウメイさん、ルビィです。
ちなみにプロスさん、ヤマダさん、ヒカルさん、イズミさんは中立を宣言しています。
でも、プロスさんはちゃっかりトトカルチョの胴元になっているそうですけれど・・・
『艦内の流通及び資産管理は私の責務ですからして・・・』
だって。
私達が話をしているといきなりナデシコのグラビティブラストが発射されてしまいました。
この辺もやっぱり歴史通りと言った所でしょうか?
後でユリカさんにどうしてグラビティブラストを発射したのか尋ねると
「こけそうになったから机に手をついたらグラビティブラストが発射されちゃった」そうです。
「困りましたな〜、わざわざ敵を呼びつけるなんて・・・」
「そうよ!しかもこけそうになったですって!?
もう信じられません!
普段からシャンとしていないからそうなるのよ!」
エリナさんがユリカさんに文句を言っています。
「システム管理は私の責任です。
ルビィも責任を感じています。
ですから、ユリカさんの責任だけではありません。ゴメンなさい。」
私がエリナさんに謝ります。
「うわぁ、ルリルリが謝ってるよ。」
「珍しいわね。」
ヒカルさんとイズミさんがヒソヒソ話していますが筒抜けですよ。
久しぶりに私はあの言葉を発しました。
「バカ・・・」
「それよりこれからどうするのだ?
ユリカには何か考えがあるのか?」
アキトさんが冷たい声でユリカさんに質問します。
「こうなったら方法は2つです。
エステバリス隊による全面攻撃でチューリップがなくなるまで戦う方法と
エステバリス隊のうち1機のみ救出作戦を行うと言うものです。」
「その利点は?」
ジュンさんが尋ねてきます。
最近ではエステバリス隊の戦略的運用方法を研究しているそうです。
「エステバリス隊でチューリップを殲滅した場合は周辺地域の安定が、
1機で救出作戦を実行した場合は作戦遂行時間の短縮がはかれます。」
「それで?利点があるって事は欠点もあるって事よね〜。」
ミナトさんが尋ねています。
「全面攻撃を行った場合ナデシコにダメージを負うのは当然ですし
エステバリス隊を危険な目にあわす事になります。
救出作戦を行った場合はナデシコや他のエステバリスに危害は加わりませんが
バッテリーがギリギリなので生還確率が大幅にダウンします。」
「ここは効率重視で行こう。俺がブラックサレナで救出作戦を行う。
ブラックサレナだったら多少の攻撃にも耐えることが出来るし
救出成功後は流氷に乗ってでもナデシコに帰ってくるさ。」
アキトさんは前回と同じ作戦でいくようです。
「ルリ、このあたりの海流図を出してくれ。」
「はい。」
そう言うと私は付近の海流図から現在の天候、
付近の流氷群の状態などあらゆる情報を提示し作戦を立案しました。
「作戦開始時間です。」
メグミさんが艦内に告げるとアキトさんのブラックサレナが飛び出していきました。
続いてリョーコさんたちエステバリス隊がナデシコを護衛する為に発進しました。
アキトさんのブラックサレナはあっという間にブリザードの中に消えていきました。
「アキトの帰ってくる場所を皆で守っちゃいましょう!」
「「「「おー!」」」」
そこから私達はアキトさん抜きでナデシコを守りました。
ユリカさんの指揮もジュンさんの戦略眼もリョーコさんたちの実力も上がり始めています。
私達は大した被害も無くアキトさんが予定通り流氷に乗って
帰ってくるまでナデシコを守りきりました。
ラピスも初めての実戦と言う事もあり最初はぎこちなかったのですが
オモイカネとルビィがサポートしたおかげで何とかオペレーター業務をこなしています。
「ブラックサレナを確認。」
私の報告にユリカさんがすぐに反応します。
「リョーコさん、アキトの機体を回収。
ミナトさんはエステバリス隊を収容後、予定のコースを取り
この空域を離脱。メグちゃん、艦内に警戒態勢
パターンBでお願い。」
ユリカさんの指示で皆が動きます。
ラピスに教育をしながら私は次のイベントの事を考えていました。
・・・次はテニシアン島・・・例の物・・・プロスさんにお願いしましょうか・・・
ルリ:例の物?・・・新婚旅行?
作者:だぁー!違う!
ルリ:アレ・・・ですか?(ポッ)
作者:アレが何か想像はつくけれど多分違うよ。
ルリ:それにしても、組織・・・ですか。
作者:時ナデのような過激な組織にはならない・・・と思う。
ルリ:本当ですか?
作者:ああ、アレをやるとルリ様の一人称が出来なくなるから。
ルリ:そうですか。それでは次回 機動戦艦ナデシコ Re Try 第10話 「女らしく」が危ない 私のことですか?
作者:さぁ?危なくない女性がナデシコにはいないから・・・
ルリ:ほほう?
作者:し、しまったー!
ルリ:まぁ良いでしょう。今回はこのMDを最後まで聞く事が出来たら許してあげます。
作者:何が入っているのかな?
ルリ:ただのギャグ特選ですよ。『マキ=イズミ スーパーギャグ特選10000篇』て言うタイトルなんですけれどね。
作者:あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・
ルリ:ふふふ、私でも30秒持ちませんでしたからね。
作者:寒いよ〜、誰か暖めてよ〜
・・・今回の被害者、イネスさん、プルセルさん・・・
代理人の感想
オリジナルのブラックサレナは装甲そのものがバッテリーみたいな物なので、
この時代のエステと比べるとべらぼうな長時間の間単独行動が出来ます。
ですのでブラックサレナでさっと行ってさっと帰ってくるのがやはり最良でしょうね。
それとツッコミが一つ。
「戦略」というのは最低でも部隊単位で戦力を考えますので、
ナデシコでの戦闘に役立たせる為にジュンに研究させるなら「戦術」の方がよろしいかと。