連合海軍物語

外伝4「プリムローズ」


─ 西暦2115年11月1日 日本横須賀 明人 ─

ナギさんの告白―――“マシンチャイルド”の話を聞いてからさらに半年がたった。

あの時以来、研究に没頭しているのか彼女から連絡は少なくなった。

俺の方も任務の忙しさにかまけしばらく連絡しなかった。

今思うと―――あの時、自分の知らない顔を見せたナギさんが怖かったのかもしれない。



休暇を得てのんびりしていた俺に久しぶりにナギさんから電話がかかってきた。彼女の声は明るく、四輔が行方不明になる以前の彼女を思い出させた。


「え? じゃあ・・・もしかして?」

「ウン、出来た・・・の。あの人の赤ちゃん」

「そうなんだ、おめでとう!」


俺はその報告を聞いて素直に喜んだ。

これで彼女の精神は安定し、以前の明るさを取り戻すに違いないと。



これからどうするのか聞いてみるとしばらくは養育のため、研究所に残るが最終的には研究所を出るという結論になった。なら俺が予め家を借りておき、好きな時に出てくれば良い事にし電話を切った。




─ 西暦2116年5月1日 日本横須賀・自宅 明人 ─

さらに半年後、彼女が研究所を辞めるという電話をもらった。その間に彼女の新宅を準備しておいたので特に問題はなかったが突然には違いなかった。俺としてはもっと時間がかかるのかと思っていたが、かかってきた電話はなぜか切迫した感じだった。


「この子を連れてここを出るヨ」

「急にどうしたんですか?」

「ちょっと面倒な事に巻き込まれているの」

「え? 面倒事ですか? わかりました。すぐに迎えに行きます」


彼女が働く渡良瀬分子生物研究所は八王子にあり横須賀からでは結構時間がかかる。取りあえず研究所前で待ち合わせを約束し、操作技術としてすっかり普及したIFSで動く車を飛ばし迎えに行く。


幸いな事に途中で渋滞に巻き込まれることもなく研究所についた。白い建物が複数建つ結構大きな研究所だった。その研究所の門から少し離れた場所にナギさんと手を繋ぐ5歳くらいの幼女が立っている。

俺は外に出ると彼女に向かって手を上げ、迎えにきた事を知らせるとナギさんと幼女は車に向かって歩いてきた。


にっこりと微笑んだ彼女は昔の、四補がいた頃の優しい顔をしていた。俺は久しぶりに見たその笑顔にただ呆然としてしまう。入院していた頃は笑顔などめったに見れず、泣き顔か思案している顔しか見てなかったのでなおさらだった。


「明人君、迎えに来てくれてありがとう。ん? どうしたの?」


つい見とれてしまったらしい。慌てて否定し彼女が連れている幼女に話題を振った。


「いえ、大した事じゃないですよ。で、この子が?」

「ウン、そうだヨ」



彼女は嬉しそうに幼女を見る。

俺もナギさんの視線を追い幼女を見る、ぱっと見は淡いというか儚いという印象をもった。

特徴的な綺麗な銀髪や白すぎるくらい白い肌のせいかもしれない。

それとこの子の顔は幼いながらも非常に整っていた。逆に整いすぎていて人工的とすら言えるかもしれない。



そしてどこかで見覚えのある顔にほんの少しだけ無機質な笑みを浮かべて俺を見ていた。

でも・・・この姿・・・は?

そんな疑問がわいたがそれはひとまず置き、まずはこの子の名前を聞いてみることにした。

俺は怖がらせないように視線を同じ高さにして幼女に名前を聞いてみる。


同じ高さになった幼女の漆黒の瞳が俺の瞳を見た。


「お名前は?」



幼女は俺から目を離さずちょっと首をかしげつつ自分の名前を言った。



りぃす・・・


少し舌ったらずだが鈴を転がすような繊細な声が俺の耳を打った。

リース・・・か。非常に綺麗な響きの名前だと思った。


「リースちゃんかあ」

「はい、リース。きちんとごへんじできたね」


ナギさんはきちんと返事ができたリースの頭をやさしく撫でる。

嬉しそうに目を細めナギさんに抱きつくリースと呼ばれる幼女。


俺はその表情や動作を見てリースが無から作られた、魂のない人工生命体・・・・・・・・・にはとても見えなかった。

はたから見ていると本当の人間の子供と見分けがつかないくらい自然な動きだった。


2人を乗せると用意しておいた新居に向けて走り出す。後ろの席では窓の外を物珍しげに見ていたリースがナギさんに色々聞いていた。




─ 同日 日本横須賀・ナギ宅 明人 ─

横須賀にほど近い場所に俺が借りたナギさんの新しい住まいがある。さすがに八王子からここまでの距離は長く、車での移動や初めての外出ではしゃいだリースは疲れきってしまいウトウトしだしたので休ませた。俺はリースをベッドに寝かせると場所をリビングに変えナギさんと二人きりになった。

ナギさんは2人分のコーヒー淹れてリビングに戻ってくるとソファーに座り軽く息をついたあと俺の顔を見て言葉を続けた。


「不思議そうな顔・・・してたネ」

「ええ、貴女から子供ができたと聞いたのが半年前、でもリースは5歳くらいでしょう?」


俺はあの時感じた疑問をナギさんに投げかけてみる。半年であの歳まで成長するとしたら凄い事だと思ったからだ。


「明人君は今でも“真紅の夜明けライジングサン”のメンバーだから知っているんじゃないかな? “プリムローズ”って」


俺はそのプリムローズという単語を聴き思い出す。


―――プリムローズ計画。

プリムローズとは教育するのに多大な予算と時間を使う艦艇乗組員の代わりを期待されている人工生命体の事を指している。5年に及ぶ超兵器大戦の影響で世界各国では艦艇乗組員の数がかなり少なくなっていた。その不足する人員を補う為に人間型の人工生命体を作り出し補充するという計画だった。

一定作業の単機能個体が基本だが作業内容により様々に機能が変えられる。艦艇や武器の操作など基本知識はパソコンにソフトをインストールするのと同じで“スキル”と呼ばれるプログラムをインストールすることで簡単に習得させる事が可能となっている。

プリムローズ自体が高度な処理機能を持っているが、その中でも多数の情報を処理・統合する機能をもたせた高速演算型と言われる個体はイージス艦に搭載されている電算処理機と同じかそれ以上の処理能力・速度を持っていると言われており、生きた情報処理装置と言えるほどだった。

いずれにしても高度な艦艇乗組員の教育をインストール・・・・・・という形で覚える事のできるプリムローズは最初からベテランと同じ能力が期待できる。育成に時間のかかる艦艇乗組員補充には夢のような話だ。そのプリムローズを使用した画期的な艦隊が計画されていると“真紅の夜明けライジングサン”内では噂されていた。


「ええ、じゃあリースは」

「そう、プリムローズの素体・・ダヨ。アタシがマシンチャイルドの研究をしているってのは前に教えたけど・・・覚えてる?」

「ええ」


彼女があの海辺のレストラン“アンバー”で俺に教えてくれた自分のしている研究。彼女と四輔の遺伝子を使い一人の人造人間を作り上げるという計画だった。それは彼女の才能と努力により実を結び、名前こそ“マシンチャイルド”ではなくなったものの“プリムローズ”として完成したのだ。


「結局ね、アタシの独学だけでは無理だった。同じようにプリムローズも問題が起きて開発が停滞していたの。その事を友達のカグヤちゃんから聞いたアタシはマシンチャイルドのデータを持ってプリムローズの開発責任者・渡良瀬恭一教授に逢ったんだ」

「渡良瀬恭一? 知らない人物ですね」


それほどの技術があるなら無名のはずはないんだが。

あ、それなら彼女だって無名、ならそういう隠れた逸材の存在があってもおかしくない。


「開発しているモノがモノ・・・・・だし、おおっぴらにできる事じゃないから。知らなくてもしょうがないヨ」


彼女は首を捻っている俺にフォローを入れる。

その言葉になるほどと頷くしかなかった。世界各国でも似たような研究は行われていたが世論に反対され実験段階とされていた。だが実際には表に出ないだけでそれ以上に研究・製作されていると思った方がいいだろう、目の前にその実例があるのだから。


「確かに人型生命体、かつその使用目的が軍用だとわかれば人権問題や倫理問題が出るか」

「そういう事」

「疑問があるんですけどいいですか?」

「ナニ?」

「人工生命体やロボットは人間に対して害を与えてはいけないっていう制限があるんじゃないですか? 普通だとアジモフのロボット三原則のような物があるとは思いますが」

「もちろんあるよ。確か三原則ってこうだったよね?

・ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。
・ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。
・ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。

軍用のプリムローズとはいえ直接人間を害する事ができないようになっている。でもね、命令の解釈次第で人間を害することは十分可能なんだヨ? 例えばプリムローズを戦艦に乗せて敵艦が見えたら主砲を撃てっていう命令だったら?」

「命中した砲弾で人が殺せますね」

「そういう事。直接害する命令は駄目だけど、間接的な命令なら可能なの」

「命令の抜け穴ってやつですか」

「そうだね。で、話を続けるけどアタシのマシンチャイルドの技術がプリムローズの問題点を解決してしまったの。教授も驚いていたヨ、個人の技術で解決されてしまうとは、って」


そう言って彼女は小さく笑った。

ナギさんのその笑顔を見て心の中で独白する。


(俺の方がよっぽど驚いてますよ、いくらこの世界に《遺跡》の存在があったとしても、今の技術で本当にそんな事までできるのかって)


「協力を依頼されてプリムローズを開発する事になったの。それで大学のラボから彼の研究所に移ったんだ」

「そうだったんですか。でもわざわざ軍事用に作るんです?」


彼女は溜息をついて語りだす。


「バイオテクノロジーはね、莫大な予算が必要なのはわかるよね?」

「ええ」

「そういう莫大な研究費を出してくれるのは軍関係しかなかった。

教授はプリムローズ以外に自分の求める汎用人工生命体レプリス・・・・の為、しかたなく試作も兼ねた軍事用レプリス・プリムローズを開発していたんだヨ。

大戦が終わって間もないから一般企業は一部を除いて建て直しに手一杯みたいで、できるか出来ないか分からない研究にお金は出せない。でも試作型が完成した事で米マーストリヒ社と日本のアスカインダストリー社が投資に名乗りを上げてくれたみたいね」

「マーストリヒ社とアスカインダストリー社ですか、軍系列の会社ですね」

「うん、そうみたいだね。アスカはカグヤちゃんの会社だからあんまり悪くは言いたくないけど。

でも・・・ようやく教授の夢も叶うのかな。

彼の夢はね次世代社会活動補助装置・・・うー、ちょっと堅いね。人間社会をより豊かに幸せに暮らす為の存在としてレプリスを作る事なの。

だからね、こうも言っていた」


彼女はその言葉を思い出し、


「私はレプリスを・・・人間とお互いを支えあうパートナーとして存在させたい、って」

「そうなんですか。でも何故渡良瀬教授は人工生命体を作ろうとしたんでしょうね?」

「それは・・・彼人間を愛せない人だから・・・人工生命体が必要だった。

そしてアタシも今は人工生命体たちの存在が必要だった。だから彼に協力する事にしたんだ、お互い・・・似た者同士だからかな」


彼女は彼と言った。なら彼女も人間が愛せない人になってしまったんだろうか。

ナギさんの目は今でも影護四輔にしか向いていない。

その四輔は生きているのか死んでいるのかすら分からない。いや、あの大爆発に巻き込まれたことを考えると・・・認めたくはないし、ナギさんの前では絶対に口に出せないが、おそらく四輔は・・・死んでいる。


彼女は四輔以外の生きている男を見る気はないと言っているのだろうか?

もし、そうだとしたら・・・寂しすぎると思う。そう考えている彼女に俺はなんと言えば良いのだろうか。

俺は内心で頭を振り今思っている事を忘れる事にするため、別の話題を持ち出す。


「そういえばプリムローズって言葉の意味はあるんですか」

「ええ、もちろん。

プリムローズは英名でね、日本語だと花の形がサクラに似ていることから、桜草。学名プリムラって言って1年の最初に咲く花という意味があるの。

花言葉は、運命をひらく・可憐・美の秘密・永続する愛情 。

教授は“運命を開く”という意味を気にいってそう名づけたって。アタシは軍用型の後に続く汎用型の事を考えて“永続する愛情”が良いって言ったんだけど・・・さすがに軍用には合わないって事で却下されちゃった。でも考慮はしてくれるって」


ナギさんは可愛らしく舌を出して笑う。半年にわたってリースと一緒にいたおかげかこういった表情ができるようになった、というか昔の彼女に戻りつつあるようだった。


「へぇ〜、桜ですか意外です」

「ふふふふ、桜樹君にはそうかもね。じゃあリースは君にとって運命を開く存在になるのかな」

「どうでしょうね」


俺は苦笑しながら彼女の言葉を受け流す。

あの幼女が俺の運命を開く? まさかな。


「あ、ごめん話がそれちゃったね。で、なんだっけ」

「あ、リースの年齢があの歳なのは?」

「まずプリムローズはね、一体の生成に2週間必要なんだ。その時に成長プログラムを使えるの。一回目は初期設定で生まれ出でる年齢を自由に設定できる。もう一回は随意に今の年齢以上に。放っておいても人間と同じレベルで成長していくけどネ」


彼女はコーヒーを飲みさらに続ける。


「あ、あとね。当然ことだけど年齢は下げる事はできないの。リースはね、試作型だから無理をせず言葉の意味が通じ確実に理解できる5歳前後の設定にしたんだ」


彼女の説明を受けてようやく納得できた。リースは最初から幼女としてこの世界に生まれいでた訳か、ならあの姿の理由は分かる。


「じゃあ・・・」


じゃあプリムローズとしての機能はどうなっているんだ?

俺の表情と言葉を先読みしナギさんは答えを返す。


「あの子はカスタマイズされた高速演算型だけど人間として生きる以外の機能はほとんど凍結してる。アタシはリースを人間・・としてアタシのとして生きさせたいから」

「そうですか」


彼女がそうするだろう事は最初から分かっていることだ。

彼女の言葉はさらに続いた。


「でもね、無から造り出されたあの子には魂がない、神様から祝福されない存在」

「・・・」

「でも・・・今のアタシには神様から祝福されない子でも・・・」


今まで明るかった表情が暗くなり泣き出しそうになった。

その時背後から小さな声が聞こえた。


「ママ・・・オナカスイタ」

「ん?」


その言葉に振り向くとドアのところに小さな影が立っている。寝ていたはずのリースが起き出してこちらを見ていた。

ナギさんは今の顔をリースに見られないようにキッチンの方に顔を向けた。


「はい、じゃあこっちにいらっしゃい。ゴハン食べようネ」

「ほら、リース。おいで」


俺はリースを呼ぶと彼女はトコトコと歩いてきたのを抱き上げキッチンに移動する。

その間にナギさんは買ってきておいた食材を使って手早く料理を作り俺とリースの目の前に皿を並べていく。

俺もナギさんとリースと一緒に食べる事になった。


「いただきます!」


リースは両手を合わせてそう言うとスプーンを器用に操り美味しそうにご飯を食べている。この躾の良さはナギさん譲りだろうと思う。彼女は口調こそああだが、TPOをわきまえたきちんとした礼儀作法が出来る。そういう部分を見るにつけナギさんは良家の子女ではないかと思うのだ。

そしてリースが普通のご飯を食べる、その姿を見て少し驚いた。昔のアニメやゲームではないけど人工生命体というと食事代わりにオイルや充電をするのと勝手に想像していたからだ。


「え? 普通のゴハンで大丈夫なんですか?」

「もちろんプリムローズだからってゴハンを食べない訳にはいかないヨ、基本的に人間と変わりないもの」

「それも凄いと思うけど」

「そうだネ、分子生物学の最先端技術を惜しみなく投入しているから。それなのに・・・」


ナギさんの言葉が途中で消えてしまった。一体どうしたというのだろう?


「どうしました?」

「ううん、なんででもないヨ。さ、明人クンもドンドン食べてネ。久しぶりだよね、アタシのご飯」


おいしそうご飯をに食べているリースを見ているとこっちまで腹が減ってくるように感じるのは不思議だ。俺は久しぶりのナギさんの手料理に舌鼓をうつ事にした。


「うん、美味しいですよ」


俺が褒めるとリースもコクコクといった感じで頭を頷かせる。


「そう? アリガト。2人とも上手だね。あ、そういえば明人クンのこと、リースに何て呼ばせたら良いんだろ?」

「俺・・・ですか?」

「うーん、桜樹さんは硬すぎるし。さすがに明人クンじゃ駄目だろうし、明人さんっていうのも。じゃあ・・・明人
おじさん?」


ナギさんが年上である俺をアキト君・・・・という呼び方をしている以上、俺的にはどう呼ばれようと構わないんだが、さすがこの提案は却下した。


「いや、30超えてないし、独身なんで“おじさん”は勘弁して欲しいんですけど(汗)」

「そっかぁ、じゃあ“おにいちゃん”で良いかな。そういえば・・・むかし四輔さんが可愛い・・・妹にそう呼ばれるのは男の夢だって言っていたし」



(あの馬鹿は・・・何をトチ狂っているんだ)



俺はナギさんの独白に頭が痛くなる思いだった。確かアイツしほも一人っ子と言っていたから“夢”と言いたい気持ちは何となく分かるが全ての男の夢、と言わんばかりにナギさんに語るのは・・・どうかと思うんだが。


「じゃあ、リース、明人クンの事は“おにいちゃん”って呼んであげてね」


リースは見上げるように俺のことを見つめた。腰まである長い銀髪と整った顔立ち、潤みがちな黒い瞳、舌ったらずの可愛らしい声。




「ウン、おにい・・・ちゃん」





・・・・・・想像以上の威力だった。51センチ砲弾の砲撃を至近で浴びたような衝撃。



(くっ、何て威力だ!! 四輔、お前の言っている事、少し理解できたぞ! これが妹属性って・・・いや、こんな事を理解してどうする、俺!!)

内心の葛藤?動揺?だかを悟られないようにひたすらご飯をかきこんでいたが、ナギさんのその言葉に飲み込みかけていたご飯が喉に詰まった。


「それでね、試作型は人間と同じ構成物が全て有機物で作られているんだ。非常に低い確率だけど・・・人間との間に子供を作る事も可能なんだヨ?」



「・・・ぐはっ?」



それって凄い“まずい事”じゃないだろうか? いや、その事も俺のこの状態も。

目を白黒させ(主に喉に詰まったご飯で)困惑する俺の表情で察した彼女が苦笑しながら水を手渡してくれた。

その水を一気飲みして詰まったご飯を流し込む。リースが面白そうに俺を見ていた。


「あ・・・そんなに驚いた? 試作型プリムローズはネ、生殖機能を抑制するためアルビノ因子を組み込んであるの」

「アルビノって白いウサギとかですか?」


俺はアルビノという言葉から自分で想像ができた動物の名前を出してみる。


「そう、だから肌が透けるように白いし髪の色も淡くなるの。本当は瞳の色も真紅だけど機能を凍結させた時にカラーをいじっているんだ、普通の人間はそんな色していないから」

「でも・・・なんで生殖機能を持たせているんですか」


当然の質問をしてみた。軍用なら生殖機能はおろか感情なども任務遂行上は不要。人を殺すのに躊躇いがあっては戦闘などとても出来るものじゃない。人間とのつきあいがある以上、多少の愛想はあった方が良いのかもしれないが、それでも不必要な機能な事に違いない。


「さっきも話したけど試作型は軍用である以前にどこまで人間に近づけられるか、というコンセプトで造られているの。その上で軍用の機能を足すことにしているんだ」

「じゃあ量産型は?」

「全て有機物で作られている試作型と違って、量産型は積極的に無機物を使用して生産時間を短縮してコストを下げる計画になっているんだ。その時点で生殖機能や感情の類は全て廃されたものが作られる予定なんだけど。

でね、コンセプトの中には人間との混血まで視野に含まれているんだヨ。子供はね、本当に神様の気まぐれでも起きない限り心配はいらないよ。それに・・・できたとしても虚弱体質で生き延びる事ができるかどうか。ホラ、リースほっぺにご飯ついてる」


ナギさんは俺に向かって話つつ、リースのほっぺたについたご飯を取ってあげた。


「あと戦闘には不要な擬似的な感情機能や創られた曖昧さをもっているけど、これは教授の夢であるレプリスの為の機能なんだ。レプリスは医療や介護での使用を前提としているから。

例えば事務的な冷たい看護婦さんより優しくって世話好きな看護婦さんの方が治りが早いと思わない? 周りが本当のロボットみたいな人に囲まれていたら・・・ちょっとね。病は気からって言うし」

終戦時、俺も入院していたので良く分かる話だった。確かに愛想の悪い看護婦さんよりは愛想の良い看護婦さんの方が気が楽だろう。


「はははは、確かにそうですね。それに美人だったらなおさら元気になりそうですよ」

「ふぅん、明人クンは贅沢さんだネ」


将来凄い美人になりそうな幼いが整った顔立ちのリースを見た。ご飯を食べて満足したのかリースは眠たそうにしている。俺たちの話が退屈だったのかもしれない。


「あれ? リースが眠たそうですね。俺が寝かせてきますよ」

「アリガト。その間に片付けちゃうね」


彼女はテキパキと食器を洗い片付けはじめた。俺はリースをそっと抱き上げベットに連れていって寝かせ、再度コーヒーを淹れナギさんとともにキッチンから先ほどまでいたリビングに戻った。


「さて続きね。あの子の名前だけど、きちんとした名前はリース・プセウド-ナルシスよ」

「え? ナギさんの苗字の新城じゃないんですか? あとは四輔の影護とか」

「それも考えたんだけど・・・新城リースや影護リースってなんとなく語呂悪いじゃない?」


俺は苦笑してしまった、確かにそうかもしれない。


「ワタシの名前を継いでいないのは1人の人間として独立させたいからなんだ。まあ、理由はもうひとつあるんだけど、これはナイショ。

後ろのプセウド-ナルシスはね、ラッパ水仙の元になったNarcissus pseud-narcissusの学名から。アタシのいた研究所の庭にね、真っ白いラッパ水仙が一杯咲いていたの。調べてみたらマウントフットっていう品種で、楚々としていてとっても綺麗なんだ。

あの子はさっきも言った通りアルビノ因子を組み込まれているせいで色素が薄いでしょう? リースの肌の白さや銀髪からイメージしてこれにしたんだ、ちょうどプリムローズも花の名だし」

「ラッパ水仙ですか、俺はその手の事は疎いんでどんな花か思い浮かばないんですけど」

「そっかあ、もう少しメジャーな花の方が良かったかなあ。最初は宝石で色々考えていたんだよ、ラピス-ラズリ・・・ ・・・とかヒスイとかオパールとか。でもイマイチしっくりこないんでこっちにしたんだけど・・・」


ナギさんはちょっとガッカリしたように呟いた。まあ俺がその手の物に鈍いだけだと思うんであまり気落ちして欲しくないんだが。このまま放っておくとさらに落ち込みそうなので話題を変えた。


「花にしたって事は花言葉があるんでしょう?」

「ウン、もちろんダヨ。ラッパ水仙の花言葉は“あなたを待つ・自尊・尊敬・インスピレ−ション・心づかい・報われぬ恋”っていう意味があるヨ」

「なんか最後のは嫌ですね」

「そうなんだケドね、そこはソレ、見ない振りだよ(笑)。でね真面目な話、リースには一人の人間として自尊をもって欲しいからこの名前にしたんだ」

「ナギさん、ロマンチストだったんですね」


この台詞にナギさんが少し眉を寄せ俺を見た。


「・・・ねえ明人クン、アタシも女の子なんだケド?」


ナギさんのその言葉に失言した事に気づいた俺は慌てて話を元に戻した。


「・・・で、リースの方は?」


我ながら下手な逃げ方だと思う(苦笑)

そしてその言葉を聞いたナギさんは・・・。


(明人クン、逃げたわね)


彼女の目はそう言っていたが仕方ないかというように小さく笑って話を続けた。


「リースの方は“賃貸”から。リース物件とかあるでしょ」

「そっちの“リース”なんですか、いきなり現実的な名前になりましたね。でもそれ以外に理由、あるんでしょう?」


先ほどの事もあるので聞いてみた。


「そうなんだけどネ。名前の響きが綺麗だからってのもあるけど、アタシがあの子の人生の一時期を借りているから“リース”って名前にしたの。今のアタシにはあの子の存在が必要だけど・・・いずれリースにも好きな男性が出来てアタシの元から飛び立っていくと思うんだ。

それまでにアタシは“弱い自分”を強くしなきゃいけない。自分に対する戒めでもあるんだヨ、“リース”って名前は」


その言葉を聞き俺はナギさんの傷の深さを余計に知ってしまった。なら俺は力の及ぶ限り彼女とその娘を護る。それが四輔に対する恩と義理を返すことだから。



「そんな意味があったんですか。でもナギさんなら大丈夫ですよ、俺と約束した通りきちんと研究の結果も出せたじゃないですか。だから俺もナギさんとの約束を果たします」



この誓約がこれから俺の生きる全てになる。




「貴女とリースを・・・俺の全てをかけて、必ず護ります」




その言葉にナギさんは目の端に涙を浮かべていた。


「アリガト、こんなアタシにそこまで言ってくれて。でも・・・なんか照れるネ、明人クンの言葉、“プロポーズ”みたいダヨ?」

「え? あはははは、いやこれは・・・」


そう言われればそういう風にもとれるかもしれない。先ほどの言葉は自然に出たが、思い返して意識してしまうと恥ずかしくなってしまった。

俺とナギさんは何故だかお互いに赤くなりうつむいてしまう。皮肉屋の四輔がいたら・・・




───間抜け。




そう言われるような気がした。


「ゴメン、変な事言っちゃったネ。明人クンの気持ちは嬉しいヨ。でもその気持ちはアタシじゃなくてリースに向けてあげて。あの子の心は見かけよりずっと幼いし、これからいろいろと苦労すると思うから」

「わかりました、でも大変じゃないですか? 子育てもそうですけど働かないと」


どちらにしても生きていく為にはいろいろな物が必要になる。それをどうするかナギさんに聞いておかないと。


「ん、プリムローズの開発権利でバックマージンが入ってくるから2人で暮らす分にはその心配はないヨ。・・・確かこのくらいカナ?」



ガーン。



ナギさんから聞いた毎月支払われる金額は・・・少なくとも俺の給料の3倍はあった。俺も軍人ゆえ決して安月給ではなかったんだが・・・ちょっとショックだ。まあ、それだけの価値が彼女にあったという事なんだが。


「あ、でもねリースのメンテナンス用機材も揃えなきゃいけないし、これからの研究費やハード的な維持費もあるから多分、2人分でちょうど位だと思うヨ」


俺の顔から何を考えているのか読み取った彼女は苦笑しながらフォローをした。


「研究って・・・リースは完成していないって事ですか?」

「まだまだ・・・だと思う。感情プログラムの“揺らぎ”にも不備があるようだし、一人の人間として生きさせるには制約がありすぎるもの。そのあたりの制約をなくせるようにしばらくは研究を続けないと。あとは出来る限りリースと一緒にいてあげて情緒面で成長させなきゃ」

「俺も協力しますよ、一人じゃ大変でしょうし」

「そうしてもらえると助かるヨ。研究所にいた時はいろいろな人が手伝ってくれたから正直一人じゃ不安だったんだ。傍に異性がいた方が健全な成長が出来るだろうし。

一番手間のかかる乳幼児期がなかったから、そういう意味では苦労とは言えないのかもしれないケドね。でも、お母さんやおばあちゃん、妹たちがいてくれたら良かったんだけどなァ」


ナギさんは昔を思い出したのか少し寂しそうに呟いた。

そういえばナギさんの家族は日本動乱時に戦災で亡くなっており、天涯孤独の身だと四輔から聞いていた。


「だから・・・明人君、普通の子供と同じようにいっぱいリースに話しかけてあげて」

「わかりました、俺にできる事は何でも言ってくださいよ」

「ありがとう、じゃあ明人クンも手伝ってくれるって言うし・・・それなら一緒に住んだ方が手間が省けて良いかな」

「え? でも色々と問題が・・・」


その言葉に多少ながらも動揺してしまう。別にやましい事は考えてないが世間体とかもあるし・・・。


「ん? 何かやましい事でもあるのカナ〜、明人君は?」


ナギさんは俺を見て悪戯っぽく笑いそう言った。


「べ、別にそんな事ないですよ」

「うそうそ、ゴメン。じゃあ明人クン、これからもよろしくね」


にっこり笑ったナギさんに何も言えずただ頷く事しかできなかった。

やっぱり異形の黒とやらは彼女に勝てないらしい。


こうして俺とナギさん、そして娘のリースは3人で暮らすことになった。





─ 西暦2118年8月2日 日本横須賀・自宅近くの公園 明人 ─

ナギさんたちと暮らして2年がたった。俺たちの関係は未だに変わらずにいたが俺はその方が良いと思った。ナギさんの心は四輔とリースに向いていたし、俺は俺でリースと軍務で手一杯だったからだ。

そのリースはというと・・・すくすくと成長し続け、元気に・・・いや元気がありすぎてこっちが振り回されるくらいだった。

プリムローズの素体というのが影響していると思うが物覚えは同年齢の子供たちより遥かに早く、お気に入りの“もこもこ”した人形が出ているTVの外国語講座を見ていたら自然と覚えてしまったくらいだ。


俺とナギさんはリースを連れ、この公園へ散歩にきていた。俺たちはブランコに座り彼女にとっては娘。俺にとっては実質、妹(対外的には娘)という立場となっているリースを話題にしていた。


「この前、絵本を読みに連れていった図書館では参りましたよ」

「図書館? 分かった、リースが走り回ったんでショ」


ナギさんはニコニコしながら俺の言葉の先を読んだ。


「え、どうして知っているんですか?」

「リースが教えてくれたヨ、“おにいちゃんと“おにごっこ”したの! でもね、でもね。おそーいんだよ!”って」

「あいつは・・・」


その言葉にかけていたサングラスがずり落ちそうになり慌てて元に戻す。俺はこめかみを押さえて苦笑し、ため息をついてしまった。

1週間ほど前、リースを図書館に連れて行ったのだ。初めて見たその広さにリースは驚き、複雑に並んでいる本棚を見て“おにごっこ”の場所にはもってこいだと思ったらしい。“ひろいねー!”と言い出し“おにごっこ”をはじめたリースを静かにさせるべく、奮闘したという次第だった。


結局、俺から逃げ切った彼女は“りぃすのかちー!”と高々と宣言していた。俺も機動兵器を乗りこなす為に古流道場に通い身体を鍛えていたはずなんだが・・・幼女、いや少女に負けたとあっては・・・悔しい。それ以来、より厳しい稽古を行っていた。


それにあの時は・・・周りの視線が痛いこと痛いこと。今でも思い出すと・・・いや思い出したくない、鬱になる。

ようやく“おにごっこ”に飽きたリースに“おにいちゃんには世間の目というものがあるんだぞ”と教えておいた。


「“せけんのめ”ってなーに?」

「人間が生きていくにあたって複雑な気持ちを強いる悪魔だ」


とりあえず思いついた言葉で説明しておいた。


「ふーん、そうなんだぁ・・・にんげんってたいへんだね。じゃあこんどは“おにごっこ”やめるね」

「いや、それ以外も止めてくれ」


その時、図書館の人間から無言のプレッシャーを受け続けて精神的に疲れきっていた俺は心底リースに懇願したものだ(遠い目)。


「でも明人クン、そういう場合はきちんと叱らないと駄目だヨ?」

「大丈夫です、きちんと叱りましたから」


あれで叱ったというのかは疑問もあるが、それ以来図書館ではあまり・・・走り回らなくなったし、叱ったという事で良いと思う。たぶん。


「あ、でも持久力でリースに勝とうなんて思っちゃ駄目ダヨ。プリムローズと人間じゃ“身体運用能力”に差が有りすぎるんだから。あの子は言ってみればナノマシンで身体が強化されているんだし。

幾ら古流上段者の明人クンでも・・・瞬間的ならともかく、持久戦になったら分が悪いと思うヨ。でもちょっと元気するぎるかなぁ、贅沢な悩みなんだろうけど」

「みたいですね、あれだけ走り回って息を切らしていなかったんですから。鍛え方が足りないのかと思ってちょっとショックでしたよ、俺」

「そうなんだ、大丈夫。明人クンは十分鍛えているから」


ナギさんはクスクスと笑って嬉しそうに蝶を追って走り回っているリースを見ていた。


「リースにはね、姉妹がいるんだ」

「姉妹?」

「ウン、2人いてね。リースは最初Xmfh-000001ぜろぜろぜろとんでいち“アルファ”って名前だったの。妹は“ベータ”と“ガンマ”っていうコードが付いた女の子たち」

「じゃあその子たちもナギさんの遺伝子を?」

「ううん、違うよ。アタシと四輔さんの遺伝子を使ったのはリースだけ。“ベータ”と“ガンマ”は別々に他の人間から遺伝子を提供してもらって使われているの」


「でもどうしたんですか?」

「ん、どうしているかなあと思って」


彼女の視線の先にはリースと仲良く話している姉妹と思われる子供たちがいた。リースも混じって楽しそうに遊びはじめた。


「あの子たちも幸せになれれば良いんだけど」

「そうですね」


俺は口には出さないがたぶん無理だと思っている。そしてナギさんもそうならないことを分かっている。

試作品とはいえ、軍事用として作られたプリムローズの場合、実戦で実験を試みようとするだろう。だとすればどこかの軍用艦艇に搭載・・される可能性が高い。

できれば俺の〈ナハト・シュトラール〉じゃない事を祈りたい。



「おにぃちゃーん!!」



俺の事を呼び、元気に駆けてくる小さな影。勢い良く俺の胸に飛び込んできた。

その勢いでリースの銀髪が風をはらんでしなやかに舞い日光を浴びてキラキラと輝いた。



「りぃすね、おにいちゃんといっしょにぶらんこがしたいの!!」



俺は自分の胸の中にいるこの子の頭をなでながらそんな事を考えていた。

この“プリムローズリース”を見てしまった以上、機械と同じように見れないだろうから。

 

 


− あとがきという名の戯言 −

最後まで読んでいただきありがとうございます、作者っす。

改訂前に3話「プリムローズ」として投稿していた物ですが大幅に改訂しました。リースの名の由来やら、プリムローズの解説、リースがさらわれる前の明人とナギの関係などを書き足しています。

たぶん外伝の中で一番ほのぼのした話じゃないかと思います。記憶を失っても戦い続けてきた明人の安息の時間。明人がナギに対してプロポーズじみた発言をしてますが、やっぱりって感じですか天然なのは(笑)


明人と四輔が可愛い妹が〜と言っていましたが、外伝のネタにしているマイメリを初めてプレイした時、レゥの“・・・おにいちゃん”という台詞の声色に殺られたのはホントの話です(自爆)。

元のテキストエディタには書いてありましたが“「ウン、おにい・・・ちゃん」”と“・・・・・・想像以上の〜”の台詞の間にはジョジョばりの
ドッギャァァァン!!という効果音が入っていたりします。ついでに明人がジョジョばりのポーズをとっていればより完璧です(笑)。ま、そういったものを想像してもらうと楽しめるでしょう(おい

そんな経験があったんでああいう明人の台詞になりました。結局、ゲーム中ではリースとたえさんに向いてしまったので作者に妹属性はついてないはずです・・・たぶん(冷汗)。でもプリンセスメーカー4の記事を読んで久しぶりに遊びたいと思うのはヤバイのだろうか(苦笑)。


もうひとつ、ナギが娘の名前の候補でラピス〜と言ってますが、作者がリースかラピスかでかなり悩んだ部分です。結局、姉妹が登場するのと元設定との兼ね合いもあってリースになりました。ラピスだった場合、妹ルリ、弟ハーリーになったかもしれませんが2人は連合海軍〜本編で出てくるので。


さて次回ですが新規の話で外伝1話のきっかけとなったリース誘拐の話です。その中で“真紅の夜明け”が計画しているワンマンオペレート構想の解説と“新城ナギ”という女性の秘密が明かされることになります。

 

 

感想代理人プロフィール

戻る

 

 

 

 

代理人の感想

・・・・・・・・・・・・・だめにんげん(ぼそっ)。

いえ、別に瑞羽さんのことを言ったわけではありませんよ?

 

>あの時以来、研究に没頭しているのか彼女から連絡は少なくなった。

「彼女からの連絡は少なくなった」か、「彼女から連絡がくることは少なくなった」ですね。

 

>その研究所の門から少し離れた場所にナギさんと手を繋ぐ5歳くらいの幼女が立っている。

ここは普通「手を繋いだ」とすべき箇所かと。

「繋ぐ」と普通に終止形で使う場合は例えば「ナギさんの服を握り締める幼女」などのように

継続した動作を行っている(服を握り締めるという動作を持続している)場合に使います。

「手を繋ぐ」というのは、繋いでいない状態から繋いだ状態に移行することなので継続はしていません。

 

>彼女がそうするだろう事は最初から分かっていることだ。

「ことこと」と続くのはあまりよくありません。

また、以前から分かっていた訳ですから「最初から分かっていた」とでもするのがベターですね。

 

>ナギさんから聞いた毎月支払われる金額は

「ナギさんから聞いた」「毎月支払われる」など、文章を不用意に複数重ねちゃいけません。

意図したものならともかく、そうでなければ読みにくくなるだけですから。

「ナギさんから聞いた毎月あたりの金額は」とでもするのがいいかと。