機動戦艦ナデシコ
古代の涙
第1話 時の始まり
西暦2201年。
この時代にある一つの事件が起こった。
『コロニー連続爆破事件』
世間一般ではテロの犯行とか騒がれたが、その後に起こった『火星の後継者の反乱』騒動で世間からは忘れ去られていった。
その事件に関わった人達を除いて……。
漆黒の海の中に二つの白き戦艦が対峙していた。
一つは連合宇宙軍所属のナデシコC。
片方はコロニー連続爆破事件の犯人が潜伏していると言われているユーチャリス。
「……どうしても戻ってきてはくれないのですか?アキトさん……。」
「今更どう戻れと言うんだ?俺は自分の欲望のために罪を犯したんだ……。そんな俺が戻れる所なんて無いさ。」
瑠璃色の髪の少女……ホシノ・ルリの言葉に否定を伝えるテンカワ・アキト。
「それでも!それでも戻ってきてほしいんです!!」
悲鳴に近い想いを伝える……。
「無理だよ、ルリちゃんたちが願っても世論がそれを許さない。俺はそれだけのことをしたんだ。」
しかしそれも届かない。
「もう俺のことはほかっておいてくれ。」
「そんなわけにはいきません!私は絶対に諦めません!」
そのままお互いが牽制しあって数分……。
先に動いたのはユーチャリスだった。
「……ラピス、ジャンプの準備を。」
「ワカッタ。」
ボソンジャンブで逃げようとするがそれを黙って見ているルリではなかった。
「!アンカー射出!」
ナデシコCからアンカーが射出されるがユーチャリスのディストーションフィールドに防がれる。
「……ルリちゃん、もう俺のことは諦めてくれ。俺はもう戻るつもりはない。」
「そんなことできるわけ無いじゃないですか!私はもうあなたを失いたくない!!」
ルリは涙を流しながら自分の思いを伝えた。
それはルリの人生の中で一番の感情の爆発であった。
「オモイカネ、ユーチャリスに体当たりして!」
いつもの冷静なルリとの違いに戸惑うオモイカネだがルリの言葉を実行した。
「な!ラピス、回避!」
「ダメ、マニアワナイ。」
二つの艦が闇の中で交差した。
「くっ!ラピス、状況は?」
「イマシラベテル。」
赤いランプが付いたブリッジで倒れた身体を起こしながら現状を把握しようとするアキト。
「しかしルリちゃんも無茶をするな……。」
「アキト、ジャンプソウチガボウソウシテル。」
「なんだって!」
アキトはすぐにナデシコCとの回線をつないだ。
「ルリちゃん!すぐに離れるんだ!ジャンプ装置が暴走を始めた。どこにジャンプするかわからない!」
しかしルリは……。
「イヤです。」
「なっ!どうして!?」
「もう離れるのはイヤです。そんなぐらいならこのまま一緒にいます。」
その時のルリの表情は笑顔だった。
「きみは良いとしてほかの乗組員はどうするつもりだ!」
「いませんよ。」
「なんだって?」
「アキトさんを捕まえに行くのに軍が承諾するはず無いじゃないですか。」
「それじゃあ……。」
「はい、私の独断です。」
ルリは何でもないような風に笑顔で答えた。
「そんなことをすればどうなるかわかってるだろう!」
「わかってますよ。私は全てを捨ててでもあなたに返ってきてほしいんです。」
「……すまない。」
アキトは笑顔のルリに謝るしかなかった。
「アキト、モウモタナイ。」
ラピスが感情のない声でアキトに伝える。
「わかった……ルリちゃんすまない、巻き込んでしまって。」
「いいんですよ、アキトさんと一緒なら……。」
二つの艦の周りにジャンプフィールドが展開し始めた。
「ふぅ、どこにジャンプするかな……。」
アキトがそんなことを考えていると頭に微かな声が響いた。
(…………い…………い…………。)
「なんだ?これは……?」
(…………たい…………わ……よ…………。)
「いったい誰なんだ?」
(…………痛い…………怖いよ…………。)
「痛い?怖い?誰なんだ?」
(……………………助けて………………………。)
「助けて?いったい君は誰なんだ?」
(……………………助…けて………………………。)
「……わかった、助けよう。」
(…………あ……り………が………と…う……………。)
そうして二つの艦が世界から姿を消した。
続く
あとがき
ども〜、瑞白です。
昔は双樹と名乗っていました。
いや〜、いろいろありまして大分ネットに繋いでなかったので、続きを書けなくなってしまったのでこんなのを書いてしまいました。
……過去のことは忘れましょう、はい(汗)
さて今回ですが……短いですね(爆)
次回はもうちょっと長くなると思いますが……まぁ長い目で見てやってください。
あと不思議に思う人がいると思うのでここで言っておきます。
ルリがナデシコCを一人で動かしている事についてですが、これは瑞白の独断です(激爆)
実際ルリ一人で動かせるかどうかは微妙です。
動かすだけならルリ一人で動かせると思いますが……。
まぁ、大目に見てやってください。
誤字脱字などが御座いましたらご指摘下さい。
それでは。