「……暑い……水…………」


何なんだ、この暑さは。

もしかして俺が行く所全てこんなに暑いのか?

……嫌だ!!こんな名前も分からない所で野垂れ死になんて!!

……あっ、目眩が。

あぁ、俺の人生ここまでか……

 

 

 

道は何処まででも続くよ

 

 

 

俺の名はテンカワ・アキト。

言わずと知れた漆黒の……ゲフッ、ゲフッ、じゃなくて只のしかない高校生さ。

えっ?なんで只の高校生が野垂れ死にするかって?

それには複雑な事情があるんだよ。

それはな……



「おい、アキト、旅に出ろ

「はい?」

「荷物はここにある、じゃぁな、がんばれよ」



……と、言うわけだ

なに?複雑じゃ無いし分からないだと?

しょうがない、もうちょっと詳しく話そうか。

あれは……そう、学校も終わり明日から楽しい夏休みと浮かれていた日だったな。

 

 

 

その日俺が家に帰ると珍しく親父がいた。

親父は外国を飛び回っていて滅多に家にいない。

お袋も親父に付いて行っているから家には俺一人だけと言う高校生にとっては夢の一人暮らしを満喫していたんだ。



「おう、帰ったか」

「……誰だ、あんた?」



……いや〜、久しぶりでね〜、つい親の顔を忘れていたよ、はははっ(汗)



「まぁ、そんな事はどうでもいい」

「いい訳あるか!!!」

「おい、アキト、旅に出ろ」

「はい?」

「荷物はここにある、じゃぁな、がんばれよ」 



この時親父だって分かったね。

こんなマイペースな奴は世界中探したって親父しかいない。

……って言うか親父しかいないことを願う。



「それじゃぁ分かりませんよ」

「そうか?」

「もっとちゃんと話さないといけませんよ」



お袋がいなかったらマジでそのまま行かせるつもりだったなあのクソ親父。

帰ったらあいつの秘密コレクションを片っ端から捨ててやる!



「アキト、旅するのはこの国だけで良いからね。

 じゃあ、がんばってね〜」



その時、俺は初めて親を殺そうか真剣に悩んだよ。

突っ込む所も多かったけど、突っ込む考えも無くすほど真剣に悩んだよ。

ここに親父に勝るとも劣らないのがいたなんて……俺の願いは僅か十秒で消えたよ。

 

 

 

その後、何とか色々聞き出した結果、家に代々続くしきたりだそうだ。



『齢十と八になりし者、世を旅して回れ』



と言う分けで俺はこうして人形を持って……じゃ無くて!それは違う奴だろ!!

その変なしきたりの奴のせいでこうして旅をしているんだ。

で、今に至る、っと。

ん?野垂れ死ぬ理由が分からないだと?

そんなの決まってるだろ。

金が無いからだ!!!

ああそうさ、金がないんだよ!!

あのクソ親父!荷物だけ渡して金は渡さなかったんだ!!

それに気が付くのが遅いなんて突っ込まないでくれ。

気が付いたらどこぞとも知らない所を歩いていたんだ(涙)

……あいつ、俺になにしたんだ?

……考えるのはやめよう、怖いから。

…………?ちょっと待て……俺は道ばたで倒れたんだよな?

じゃあ何で今俺は布団の中にいるんだ?

周りを見渡してみると十畳位の部屋にいることが分かった。 



「あっ、気が付きましたか」



俺が声のした方へ向くと丁度襖を開けて入ってきた十二、三歳の女の子がいた。

髪は瑠璃色かな、サラッとしたきれいな髪で、頭の上で二つに分けている。

特に目立つのが瞳の色、外国人を思わせるような金色。

こんな瞳の色があるんだな、って思わせるような綺麗な瞳だった。
 
肌の色は透き通るような白。

ホント、こんな子を人形みたいだ、って言うんだろうな。
  
将来絶対美人になるだろうな、この子。



「あの、大丈夫ですか?」



はっ!いかんいかん!何見とれてるんだ俺は。

俺はロ〇〇ンじゃ無いはずだ!!

目を覚ませ!!



「あ、ああ大丈夫だよ。

 それより俺は確か道端で倒れたはずだけど……

 ひょっとして君が助けてくれたの?」

「はい、そうですよ。

 ビックリしましたよ、家の前でいきなり人が倒れているんですから」



それもそうだろう。

家の前で人が倒れていて驚かない奴はいないだろう。

……親父達は例外だけど。

あいつらなら熊だって助けるだろうな。

……いや、助けるよりも熊鍋になりそうだ(汗)


 
「そうだったんだ。

 ……ねぇ、どうやって俺を運んだんだ?」



いくら何でもこの子が運ぶなんて事は無理だろう。

出来たらそれはそれで凄いだろうけど……



「お隣さんに頼んだんですよ。

 あっ、大丈夫ですよ、話は適当にしておきましたから」



……いや、それはそれで嬉しいのだが……いいのかそれで?

もしかしてこの辺ではそれが常識なのか?



「なぁ、助けてもらって言うのも何だがいいのか?

 見ず知らずの他人なんかを家に連れ込んで」

「大丈夫ですよ。

呻き声で「水……それと出来るならラーメン……」なんて言ってる人が悪人なはずありませんから」



……俺、そんな事言ってたのか……(汗)

って言うかそんな事言ってるからって、悪人じゃないって決めつけるのはどうだと思うが……



「そ、そうか。

 とにかくありがとう」

「いえいえ、困ったときはお互い様ですから」



性格も申し分なし、っと。

ほんと将来良い子になるだろうな。

って、その想像はヤメヤメ!



グ〜〜〜〜〜〜



「…………………………」

「……あ、あはは(汗)」



確かに三日ばかり何も食べてないけど、何も今鳴らなくても良いだろ!

なんか自分が惨めに思えるぞ(涙)



「ふふふっ、お腹が空いているんですね?

 ご飯の準備が出来ていますからどうぞ召し上がってください」



今この瞬間、この少女が女神に見えたよ、いやマジで。

ああっ、神よ、感謝します。

……別に俺はキ〇ス〇教徒じゃないけどね。



で、誘われるままに行ったらそこにはラーメンがあった。

ご丁寧にもライス付きだった。



「なにが良いのか分からなかったのでラーメンにしました。

 呻いている時に言っていたので……おきに召しませんでしたか?」

「いえいえ!

 滅相もありません!」



こうして俺は三日ぶりの飯にありつけた。

しかもそのラーメンがメチャクチャうまかった。

これを作ったのが目の前に座っている子か聞いてみたら。



「内緒です♪」



なんて言われた。

まぁ美味いからいいか。

 

その後、ラーメン三回、ライス二回おかわりしてしまった。

よくこれだけ食べられたな、自分が凄い。



「たくさん食べましたね、凄いです」

「まぁね、それだけお腹が空いていたって事かな」

「ふふふっ、……あっ、自己紹介がまだでしたね。

 改めて、私はホシノ・ルリと言います」

「ああ、俺はテンカワ・アキトだ」



そう言えば自己紹介もまだだったな。

自己紹介より飯を食わせてもらう方が先と言うのも変だが、まぁ気にしないでおこう。

にしても、何でルリちゃんは顔を赤くしているんだ?

ただ笑顔で挨拶しただけなのに?

熱でもあるのかな?



「そ、それにしてもテンカワさん、

 何で行き倒れなんかになっていたんですか?」

「そ、それは……」



い、言えない。

そんな事を話したら色んな意味で俺が惨めになる(涙)



「ちょ、ちょっとね……はははっ、ま、まぁ色々とあってね……」



頼む!これ以上追求しないでくれ!



「?そうなんですか、大変ですね」



ありがとう、本当に良い子だ。

俺の周りにいる子達とは偉い違いだ。

こんな子が俺の周りに一人はいてくれたらな〜(しみじみ)

そんなこんなで話していると何か外の方が騒がしくなってきた。



「なんだ、いったい?」



そうこうしている内に玄関の戸が開くような音が聞こえた。

ああ、ここは和風造りなんだなぁ、っと考えていると俺達がいる部屋に女性がいきなり入ってきた。

年は……どうだろうな、二十代後半かな。

顔は綺麗と言うより美しいと言った方がピッタリな女性だった。

ルリちゃんのお姉さんかな?って考えているとその女性は俺の方をチラッと見ると……。



「ルリ、これはどういう事ですか?」



と、明らかに怒っている口調でルリちゃんに問いただした。



「お、お母様どうして……」



お、お母様!!こ、この人が!!

ど、どう見たって年の離れた姉妹にしか見えないぞ!



「貴女のコックが教えてくれたのよ。

 そんな事よりルリ、一体どういうつもりなの?

 私に無断でこんな何処の誰だか分からない人を家に連れ込んで、

 あまつさえ食事をさせるなんて……説明、してもらいますよ」

「そ、それは……」


なにか話がやばい方向にむかってるな。

やっぱり俺のせいだろうな。

ここは潔く謝って出ていく方が良いな。


「そんなにルリちゃんを責めないでやってください。

 ルリちゃんは俺が生き倒れている所を助けてくれただけです。

 確かにご飯までご馳走になったのは行き過ぎた事だと思います。

 これ以上ご迷惑をお掛けするわけにはいきませんのでこれで失礼します」


確かに俺はお世話になりすぎだと思っていたので丁度良かったと思った。


「そんな!別にテンカワさんが悪い訳じゃありません!」

「良いんだよ、ルリちゃん。

 ご飯美味しかったよ、ありがとう」


ルリちゃんを落ち着かせて俺は鞄を取りに行こうと奥へ行こうとしたら、

ルリちゃんのお母さんに止められた。


「待ちなさい。

 ……貴女、ルリが目的で近づいた訳じゃないの?」

「?俺とルリちゃんとはついさっきあったばかりですけど……」


いきなり意味不明なことを聞かれた。

なんでルリちゃんを目的にして近づかないといけないんだ?


「そう……ごめんなさい、

最近色んな事があったので少し神経質になっていたみたいね」


そう言っていきなり謝られた。


「そ、そんな謝るのはこちらですよ。

 たから謝らないでください」


いきなり怒られたと思ったら、今度は急に謝られたり訳がわからない。


「いいえ、それでは私の気が済みません。

 ……もし宜しければ今夜は家で止まっていってください」


た、たしかにそれは嬉しいけどそんなわけにはいかないよなぁ。


「い、いえいくら何でもそこまでして頂くわけには……」

「私からもお願いします、ぜひ泊まっていってください」


う、ルリちゃんまで……。

や、やめてくれ、そんな目で見られると……。


「…………………………(じぃ〜〜〜〜〜)」


見られると……。


「…………………………(じぃ〜〜〜〜〜)」


見られ……。


「…………………………(じぃ〜〜〜〜〜)」

「……お世話になります」


こうして俺はこの家に泊まることになった。

しかし、この時俺はどんなことをしてでもこの家から出なければいけなかった。

そうしなければいけなかったのだ……。

 

 

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」


俺は今深夜の闇の中で息も絶え絶えになっている。

何の準備運動もしないで急激に運動したため身体が酸素を求めているのだ。


「はぁ、はぁ、はぁ、……もっとだ、もっと遠くへ……」


そう、今俺は逃げているのだ。

何故かって?

それはとんでもないことを聞いてしまったからだ。

それは……。

 

 

 

 

俺は夜、喉の渇きを覚えて台所へ行こうとしたら話し声が聞こえてきたのだ。


「?ルリちゃんかな」


そう思ってそのまま通り過ぎようとしたら、

中からとんでもない事が聞こえてきたのだった。


「いい、ルリ?

 男っていうのはみんなオオカミなのよ。

 だからあなたがで目の前にたてば絶対に手をだすわ」


その声が聞こえたとき俺の足は自然に止まった。

……何だか嫌な予感が……。


「お、お母様!い、いくら何でもそれは……(真っ赤)」

「大丈夫よ、男って者はねちょっとした色仕掛けで簡単に落ちるものなのよ。

 それに既成事実を作っちゃえばアッという間にはい、終わりよ」

「だ、だけどそんなにうまくいくか……」

「大丈夫よ、既に実証済みよ、ふふふふっ」


その時俺は言い知れぬ悪寒が走った。


ココハキケンダ。


そんな声が俺の中を駆け回った。


「今夜は面白くなりそう。

 ……そうね、ルリと私の二人で相手をするって言うのもいいわね」

「お、お母様!!(真っ赤)」

「あら、大丈夫よ、あなたの大切な人を取るようなまねはしないわよ。

 その方が何かと便利だからよ、ふふふっ」


その時俺の足は全速力で動いていた。


ココハキケンダ。


ココニイタラヤバイ。


そんな俺の中の命じるがままに走っていた。










俺の背後から何か声が聞こえるがそんな事は知らない。

そう、振り向いたら負けなのだ。

例え俺の走りが車を超えていたとしてもそれは仕方のないことだ。

俺は今、風になる!

風を超え光を超えるのだ!!(壊れた)


「まちなさ〜〜〜〜い!!」


「テンカワさん何故逃げるのですか!!」


「そりゃ逃げるわ〜〜〜〜〜!!!」

 

 

 

 

あとがき

え〜、どうもすいません!!

いえね、最初はルリとのラブラブの話を書こうと思ったんですけど……こうなってしまいました(汗)

何故かルリのお母さんかとてもいい味だしています、はい。

もしかしたらとても気に入ってしまうかも知れません(激爆)

だから迷惑メールはやめてください(涙)


あと一応他のキャラも考えていますがどうでしょうか?

一応この続きと言う形になると思いますが……。

ご意見のほどよろしくお願いします。

続けてくれ!って言う意見が来れば続けます。


ではでは。
 

 

 

 

代理人の感想

 

・・・・・・・・いや、十二、三の女の子が裸で立っていても

欲情する男はどっちかって〜と少数派なんじゃないかと思うんですが(汗)。

少なくとも私は違うぞ。