最初軽い気持ちで私はこのナデシコに乗ろうと思ったのよ。

前の仕事はそりゃ給料は良かったけど、なんて言うかやり甲斐が感じられなかったのよねぇ。

それでネルガルからの引き抜きに応じてこのナデシコに乗り込んだの。

そりゃあ少しはいい男がいないかな、って期待もしたけどやっぱりそうそう上手くはいかない物よねぇ。

だけど、その代わりにある子を見つけた。

なんか……ほっとけないと言うか何というか、上手くは言えないけどそんな感じのする子がいたの。

妹みたいな感じがするからかな?

私がこの船に乗っている間は色々と教えてあげようかな。

――――後でお見舞いに行くからね、ルリルリ。

 

 

 

 

 

 

 

夢視ぬ星々の創世曲

 

SESSION 5 騒ぎ

 

 

 

 

 

 

「カザマは格納庫の方を頼む、俺はブリッジの方に行く」

「わかったわ」

俺達は手短に言葉を交わし部屋から出ていこうとした時、メグミが慌てて声をかけてきた。

「ちょ、ちょっと待って下さい!!

 もしかして軍人さんにケンカを売りに行くんですか!!」

「ケンカではなくて取り返すんですよ。

 元々このナデシコは私達の船ですから」

「そ、それでも危険ですよ!」

カザマの言葉に納得はしているみたいだが、それでも食い下がってくる。

「それだったらこの船に乗り込んだときから危険は付き物だろうが。

 それに俺は火星へ行くことには賛成だからこんな所で諦めたくはないんでな」

そう言うとやっと納得したのかそれ以上は言ってこなかった。

「おいゴート、お前も手伝え。

 一応ネルガルの社員だろうが」

「…………あっ、ああ、わかった」

なんだこいつ?

この場で放心していたみたいだが大丈夫か?

腕はそこそこだとは思うが……

「ゴートはカザマについていってくれ。

 それじゃあ、行くぞ!」

あの馬鹿キノコからこの船を取り返すとしようか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「弱すぎるぞ……」

俺はそう呟かずにはいられなかった。

この船を占拠するならもっと凄腕の奴を連れて来るべきだな。

確か『性格に多少問題があっても腕は一流』で集めたのは知ってるだろうが。

それなのにこんなド素人だけでわざわざ……

そうか!だからこの船に乗っている奴等は変な奴が多いのか。

なにが『多少』だ、おもっきり変な奴らだ!

「……さっさと終わらせて休むか」

いい加減疲れてきたのでさっさとこいつらを片付けるか。

俺はブリッジのドアの前にいた二人を軽く気絶させて中に入った。

「なっ、何よあんたは!!」

なにやら喋っているが早く終わらせるために顔面に拳をくれてやった。

「!!ッ…………バタン……」

ふう、これで休めるだろう。

さてっと、部屋に戻るとするか。

 

ビィーー!! ビィーー!!

 

「なんだ、いったい?」

いきなりの警報に驚きながら確認してみると、ナデシコの近くにあるチューリップが起動し始めたと出た。

そして近くにいた連合軍の船を吸い込んでいる所だった。

「おいおい、なんでこんなにタイミング良く動き始めるんだよ」

そう呟かずにはいられなかった。

出航の時といい、なんか憑いてないかこの船?

「……格納庫へ行くか」

俺はそのまま入ってきたドアを後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

格納庫の方も既に軍の奴らを黙らせたみたいだな。

「おう!来たか。

 エステは準備できているぞ!」

ウリバタケがやけに気合いを入れて作業していた。

「なにそんなに気合いを入れているんだ?」

「一度でいいからこのマニュアル発進とか言うのをやってみたかったんだよ!

 く〜〜〜!やっぱりこの船にのって良かったなぁ!!」

……何か違う世界に感動を味わっているウリバタケを無視することにした。

「カザマは出たのか?」

「はい、先程行かれましたが」

俺のエステを整備している奴にカザマの事を聞きながらエステに乗り込む。

「お〜〜〜い!カタパルトは動かないから走って出撃してくれ〜〜!!」

元の世界に戻ってきたのかウリバタケが大声を上げている。

「馬鹿か、エステにはフライホイールが付いているだろうが」

ウリバタケの言葉を即却下して俺はカタパルトへ向かった。

「マニュアル発進は走ってと言うのが基本なんだ〜〜〜!!」

……かなり先が不安になる船だな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外に出るとチューリップから触手らしき物がカザマのエステを捕らえようとしていた。

「さて、どうしたものかな?」

エステでチューリップを撃墜することはほぼ不可能だ。

何よりこちらはエステが二機しかいない。

これじゃあ牽制しかしようがない。

そんな事を考えていると通信が入ってきた。

『あ〜〜〜〜!!アキトだ!!

 やっぱり私を助けに来てくれたのね!!

 さすが私の王子様だね!!』

なんでこいつから通信が入るんだ。

こいつの声は体に悪いぞ、絶対。

「いやはや、助かりますよテンカワさん。

 いきなりチューリップが活動を始めるものでして。

 私達はこのままナデシコに向かいますので、その間チューリップの注意を惹きつけておいてください」

そう言えばあいつ等は軍の船へ行っていたな。

仕方がない、あいつらが戻らないと船は動かないからな。

「おいカザマ、俺達でチューリップの注意を惹きつけるぞ」

『わかったわ』

その後、暫くしてあることに気が付いた。

「そう言えばオペレーターがいなかったんじゃなかったか?」

『そう言われれば……』

なんか……嫌な予感がするぞ。

『ハ〜〜〜〜〜〜〜ハッハッハッハッハッ!!!

 待たせたな諸君!!』

誰も待っているもんか……

『このビッグゲキガンガーZが来たからにはもう大丈夫だぞ!!

 さぁ木星蜥蜴よ、どっからでもかかってこい!!』

「おい、お前確か全身包帯を巻いていなかったか?」

それに俺が沈めておいたはずだ。

そんな簡単に復活されたら嫌だぞ。

『そんなもの戦いへの気力俺の正義友との友情ビッグゲキガンガーZへの愛で治した!!!

………………………………

こいつ、人間か?

『何なんですか、この非常識な人は……』

カザマも不思議な生き物を見る目で奴を見ている。

あの船にはこんなのだらけなんだろうな。

…………嫌すぎる。

『さぁ食らえ!! ビッグガンガーミサイル!!

ナデシコからミサイルが発射されチューリップへと飛んでいく。

しかしチューリップはビクともしなかった。

『ヤマダさん、チューリップにはミサイルは効かないのは知っておられるでしょうが』

プロスが眉間に皺を寄せながら抗議している。

『違う!!俺の名前はダイゴウジ・ガイだ、って なにぃぃぃぃぃ!!!そうだったのか!!?』

『……貴方、本当に軍にいたんですか?』

プロス、お前が軍からスカウトしたんじゃなかったのか?

『……ふっ、ふははははははっ!!!これも作戦の内だ!!

 必殺技は最後に使うから必殺技なのだ!!!』

開き直りやがった。

『あの〜〜、私何も指示してないんですけど……』

通信の奥の方ではユリカがなにやら呟いているがそんなのは無視だ。

これ以上うるさくされてたまるか。

『さぁ!!今こそみんなの力を一つにして木星蜥蜴を倒そうではないか!!!

 みんなで叫ぼう!! 必殺ビックガンガービーーームと!!!』

なにやらふざけたことを言っているがそれも無視だ!

『必殺!!ビックガンガービーーーーム!!!』

『………………………………』

『声が出てないぞ!!もう一回!!

必殺!!ビックガンガービーーーーム!!!』

『ビックガンガービーーーーム!!』

プロス達が無理矢理叫ばされている。

何考えているんだ、一体?

まぁチューリップが落とせたのは落とせたが何かが違うぞ絶対。

『……私達って結局、何しに出てきたんだろう』

それを言うな。

この先こいつ等と数ヶ月は一緒にいなければいけないのに……

悔やんでも仕方がないか。

「とにかく船に戻るとするか」

俺達は全然戦ってもいないのに疲れて船に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……おい、なんで誰もいないんだ?」

格納庫に戻ってきたら整備士達が全員いなかった。

「さぁ、どうしてだろう?」

カザマも首を傾げている。

暫くしたらゾロゾロと整備士達が戻ってきた。

何かを引きずっているみたいだが。

「おい、お前等何やっていたんだ?」

「ああ、テンカワか。

 いやなにちょっとある奴に用があったからな」

ウリバタケがそう言っている後ろでは身体を縛られた……そう言えば名前知らないな……熱血馬鹿がいた。

「俺が何かしたのか!!

 どうして俺はこんな仕打ちをうけるんだ!!」

「うるさい!!

 いいか、お前が船を動かすのは緊急の事だから大目に見る。

 だがな……コンソールをおもいっきり叩くな!

 あれはナデシコ全体に繋がっているんだぞ!!」

「俺は少し力を入れただけだ!!」

「どこがコンソールに亀裂が入るのが少しだ!!

 お前にはその辺の事でじっくり話す必要がありそうだな……」 

「やっやめろ!放せ、放すんだ〜〜〜〜!!」

なにやら叫きながら引きずられていく奴の姿を無視して俺達は戻ることにした。

火星まで行く間に色々ありそうな船だな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

う〜ん、あの人達は一体何者なんでしょうか?

特にサヤバ社から来たテンカワ・アキトさん。

テンカワさんの履歴を見ますと火星に住んでいた所まではわかるのですが、その後どうやってこの地球までやって来たのでしょうか

いえ、それ以前に火星でのテンカワさんの履歴が何故か白紙になっているのがおかしいですね。

あのテンカワ博士夫妻の事件以降全ての事柄が記されていません。

いったいテンカワさんに何があったのでしょうか?

あの時私が手を差し伸べれたら良かったのですが………

それとイツキ・カザマさん、この人も注意しなければいけませんね。

今回イツキさんが軍の人達をあらかた片付けたと聞いたときは驚きましたよ。

軍の成績ではそんな事を出来る成績ではなかったですからね。

イツキさんはエステの操縦だけを見込んでスカウトしましたから。

それにテンカワさんとイツキさんはなにやらお知り合いのようですし。

 

『これは……注意した方が良いみたいですね……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

222万2222HITおめでとう御座います。

ふう、書くのも疲れるなぁ……って何、今回少ないって?

と言うか話が進んでいない?

……はい、その通りです。

本当は前回のと合わせて一つのお話にしようとしていたのですが、如何せん間に合いませんでした(汗)

ですので今回は少なめでした。

こんなのでも読んでくださると幸いです。

 

P・S

代理人(さん?)今回ガイの見せ場を出しましたよ。

さぁ、どうですか?

 

 

 

 

 

代理人の感想

 

 

ビッグガンガービィィィィィムッ!

 

ビッグガンガービィィィィィムッ!

 

ビッグガンガービィィィィィムッ!

 

 

も一つオマケに

 

ビッグガンガービィィィィィムッ!

 

 

 

うむ、例え文章の上であっても思いっきり叫ぶのはやはり気持ちがいい(笑)。

ガイも再び活躍してるし言うことなし。

なに?

何かが違うって?

 

いいや、これでいいのだ(爆)!