アキトにやっと会える。
目が覚めた時、私はネルガルの研究所にいた。
そこは昔いた所だった。
身体もアキトに会う前の大きさになってた。
暫く、何がどうなったかわからなかった。
その内、人が来て私をどこかに連れて行こうとする。
その人達の話の中に『ナデシコ』という所へ連れて行くのだとわかった。
『ナデシコ』
アキトが乗っていた船。
そこに行けばアキトに会えるの?
夢視ぬ星々の創世曲
SESSION 7 もう一人の妖精
何故俺はこんな所に出なくてはいけないんだ。
大体自己紹介なんて物はこの船では必要ないだろう。
……実際、俺が知らない奴など沢山いるんだからな。
「初めまして!新人パイロットのアマノ・ヒカルで〜〜〜〜っす!!」
「おおおおぉぉぉぉっ!!」
なに自己紹介で叫んでいるんだ、こいつ等は。
俺はそんな奴らとは離れた所に立ってそいつ等を見ている。
そいつ等の叫び声でそれからの自己紹介は聞き取れなくなった。
「自己紹介する意味があるのか、あれで?」
「う〜〜ん、どうなんでしょう?」
俺の横ではカザマが俺の独り言に答えた。
まぁ、いるのはわかっていたから驚かないが。
「なんでお前は敬語とタメグチがゴチャ混ぜになるんだ?」
こいつとあった時は敬語だったが、その内にタメグチになったんだが、それが混ざって話すときがある。
前々から聞きたかった事だ。
「さぁ?どうしてだろう。
あんまり気にしていないんだけどね」
そう返すか。
ま、本人が気にしないのならそれでいいか。
俺達は今、サツキミドリとかいうコロニーの前にいる。
本当はそこでパイロットの補充があったんだが……
何でもコロニー内で事故があってみんな外に避難したらしい。
暫くしてそれが誤報だとわかって戻ろうとした矢先、蜥蜴達がコロニーを襲って来たらしい。
そのせいでコロニーは使い物にならなくなり、俺達はこうしてここで漂っている、っと。
その時の蜥蜴は乗りこんできたパイロットが片付けたらしい。
そのおかけで死者はいなかったらしい。
っと、俺は聞いた。
あと、ここに漂っている理由は、コロニーで補給をしている間に新しいオペレーターと揚陸艦を補充しようとしたが、そのコロニーが無くなったのでこうしていると言うわけだ。
オペレーターは俺達より後に地球から来る予定だったので自然に待つしかないという事だ。
揚陸艦はあのキノコ達が逃げるのに使ったらしい。
あのキノコは何から何まで迷惑をかけていくな。
「ん?なんだ」
周りが静かになったので見回したら何故か全員固まっていた。
その中不気味な笑いをしている奴がいた。
「……なぁカザマ、何が起こったんだ?」
「さ、さぁ、私にも……」
何故か本能がこれ以上追求してはいけないと警告しているので、それ以上の詮索はしなかった。
「なぁ、テンカワ、ちょっといいか?」
俺が声のした方へ振り向くとさっき自己紹介していた奴らの一人がいた。
「時間はとらせないからよ」
そう言って俺の手を掴んでそのまま歩きだした。
「ちょ、ちょっと、待て!」
俺の抗議も虚しく、角の方へ連れて行かれた。
「一体なんだ?」
「テンカワ、やっと会えたな……」
俺の目の前にいる奴は目に涙を溜めていた。
「何言ってるんだ?」
少なくとも俺の知り合いにはこんな奴はいない。
それだけは断言できる。
なんなんだ、一体?
「お、俺だよ、スバル・リョーコだよ!
そりゃあ、未来とは髪の色なんかが違うが……まさか忘れたってんじゃないだろうな」
涙を溜めながら睨んでくる。
そんな顔じゃ怖くとも何ともないが……今、こいつ『未来とは』って言ったな。
じゃあ、こいつもあのルリとか言う奴と一緒か。
「悪いが俺はお前が知っているテンカワ・アキトじゃない」
「なっ!何、言ってるんだよ、アキト……」
見るからに困惑しているがそんな事は構わず俺は続ける。
「あの子供といい、お前といい、貴様等は何で過去に戻ってきた?」
少しずつ声に殺気がこもってきた。
それだけ……こいつ等が、身勝手に思えてしまうせいだろう。
「アキト、お前…………」
「いや、そんな事はどうでもいい。
今お前がこの場所にいるのはその分、一人の人間の人生を消してここにいる、という事を憶えておけ!」
つい声が大きくなってしまったみたいで、他の奴らが俺達の方を見ている。
俺はそのまま、スバル……だったか、に一瞥して背を向けた。
暫く歩くと後ろから声が上がった。
「ほっ、本当にアキトじゃないのか!!?」
「……くどい、何度も言わせるな」
震えるような声だったがその問いにキッパリ答えて俺はその場を後にした。
「え〜、この度ホシノ・ルリさんに変わり新たにオペレーターを努めて頂く、ラピス・ラズリさんです」
「…………………………」
ブリッジではついさっき到着したシャトルに乗っていた新たなオペレーターの紹介をしていた。
そのオペレーターを見た他の奴らの反応は、全て驚愕だった。
何せ5〜6歳の子供だからな、無理もない。
俺も驚いたからな。
しかも相当の無口らしい。
挨拶の一つもしないみたいだからな。
……いや、感情を出す術を知らないのかもしれないな。
「こんな子供を乗せるんですか!!」
「いくらなんでもちょ〜っとヤバイんじゃない?」
ま、こんな答えが返ってくるのは当たり前か。
「大丈夫だ!!
この俺様がいるかぎりこの子供は守ってみせる!!」
約一名、馬鹿が何か吠えている。
「かっわいい〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
……訂正、二名だ。
「こんな子供を乗せるなんて僕は反対だ!」
否定派の方が多いみたいだな。
あのガタイのいい奴は何も言わないし、フクベは呑気にお茶なんかを啜っている。
……そう言えばフクベに用があってこの船に乗ったんだったな。
こいつ等が濃すぎてフクベの存在感が感じれないな。
「そう言われましてもこれは上からの決定なので……」
プロスはしきりに汗を拭きながら喋っている。
何あんなに汗をかいているんだ?
「…………アキト」
ふと服が引っ張られているのに気が付き下を見てみると、ラピスが俺の服を引っ張っていた。
「なんだ?」
「アキト、やっと会えた……」
ラピスはそのまま俺の足にしがみついてきた。
「おや?ラピスさんが懐くとは珍しいですな。
他の人には余り懐かないというのに」
違うな。
こいつは懐くとか言うもんじゃない。
……こいつもか。
「俺はお前の知っているアキトじゃない」
ラピスの目線に合わせてしゃがみそう言う。
しかしラピスは俺の予想とは違った反応を示した。
「?……アキトはアキト」
そう言い、俺にもっとしがみついてくる。
こいつ、わかってないんじゃないのか?
「だから俺はお前達と一緒に未来から来たアキトじゃない」
こういえばわかるだろう。
「…………眼」
「はっ?」
ラピスは俺の顔を見ながらそう言った。
一体何なんだ?
「眼がいつものアキトと一緒」
「……眼、ね」
何がどう一緒なのか知りたいところだな。
とにかく結論はラピスは俺から離れようとしないと言ったところか。
まっ、いいか、別に懐くだけなら害はないからな。
「あ〜〜〜〜っ!ラピスちゃんだけずるい〜〜!」
「お前はそんな歳でもないだろうが」
「え〜〜〜〜、どうしてぇ!」
ホントにこいつは……
精神年齢が低すぎないか?
「で、どうするんだ一体?
こいつをこの船に乗せるのか?」
俺がラピスを指しながら周りに意見を求める。
実際はここまで連れてきてしまったからには乗せるしかないと思うが。
「しかたありませんよ。
今オペレーターがいないのですから」
「そのオペレーターのルリルリはどうするのよ!?」
プロスの弁解に食ってかかるハルカ。
そう言えばコロニーで降ろすとかどうとか言ってたな。
肝心のコロニーは宇宙の塵と化したが。
「それはしかたがないのでこのままルリさんも連れて行くほかありませんな」
そう言われると言葉に詰まるハルカ。
ま、それ以外に方法がなさそうだからな。
「どんな敵が来ようとこの俺様が守ってみせるさ!!」
一人やけにテンションが高いな。
殆ど騒音の域に達するぞ、その声は。
「いえ、ヤマダ・タロウさんは暫くの間オペレーターは結構です」
そんな奴につっこみを入れるプロス。
「だから俺の名はダイゴウジ・ガイだ!!」
こいつらは漫才をやっているのか?
前もこんなやり取りしてなかったか?
「ミスター、一ついいか?」
ミスターとか呼んだのはやけにガタイのいい奴だ。
そういえばこいつの言葉を聞くのは初めてじゃないか?
前に聞いているかもしれないが、その時は大勢で喋っているときだろうからな。
「なんですか?」
「確か……ヤマダの名前はタロウじゃなくてジロウではなかったか?」
その瞬間プロスは固まった。
そして急いで携帯端末を調べはじめた。
「……いやはや、申し訳ありませんなヤマダさん」
「だから俺の名はダイゴウジ・ガイだ!!」
どうやら見間違いでもしていたらしい。
「ミスター、暫く休んだらどうだ。
このナデシコに乗り込んでからの仕事量は明らかに労働法から見ても多すぎるぞ」
「いえいえ、まだやることがあるのでそう言うわけにはいきませんよ」
そう言われればどことなく疲れている顔をしているな。
俺みたいなイレギュラーや、オペレーターが倒れるといったアクシデントがあったせいで忙しかったんだろうな。
「それではラピスさん、船の中を案内しますので」
しかしラピスは俺から離れようとはしない。
「大分懐いているわねぇ」
「いやはや困りましたなぁ」
俺もあんまり懐かれるのは御免だな。
どうやってラピスを引き離そうか。
「だったらそこの青年に案内してもらったらいいじゃない?」
俺が考えていると入り口から声が上がった。
「おや、シャトルの収納は終わったのですか?」
「ええ、そんなに難しい事じゃないですから。
それとさっきの話の案内私もお願いしてもいいかしら?」
そいつはいかにもしてやったというような顔をしながら俺に問いかけてくる。
「お前、どうやってここまで来たんだ?」
俺は心底驚きながら聞いた。
「決まってるでしょ、シャトルよ」
「そういう事じゃなくてだな!」
「ふふふっ、冗談よ、話は案内しながらでお願い。
じゃプロスさん、ゆっくり休んでくださいね」
まったく、何時も自分のペースで話を進めやがって。
他の奴らなんか呆然としているぞ。
「ほら、速く」
「わかったよ、ったく」
そうして俺は足にくっついているラピスを連れて船を案内する事になった。
「で、どんな理由でこの船に乗ったんだ、想香」
緋乃舞 想香、それが俺の目の前にいる奴の名前だ。
「理由?アキトに会いたかったから……じゃダメ?」
「…………………………おい」
「冗談に決まってるでしょう、もう」
こいつは何時もこんな感じであまり関わりたくない奴の一人だ。
「ラピスちゃんを送りに来ただけよ。
だけど……なんか面白そうだからこのまま乗ろうかなって思ったの」
「……そんな簡単に乗れるもんなのか?」
いくら何でもそんな理由で乗れるもんじゃないだろう。
「なんかプロスさん私がそう言ったら「……そうですか」って言ってそのまま行っちゃったのよ。
だから私で勝手に決めたの」
「……おい」
「まっ、細かい事は気にしない気にしない」
笑いながらなんかとんでもないことを言ってるなこいつ。
プロス……余分に仕事が増えたな。
あの人その内過労で倒れないか?
「というわけでこれからよろしくねっ、ラピスちゃん」
「…………………………うん」
首を縦に振りながら答える。
流石に動く足には捕まれないので、俺の袖に掴んで歩いている。
……もしかしてずっと俺にくっついているつもりだろうか?
はぁ、これから賑やかになりそうだな。
あとがき
240万HITですねぇ。
投稿作家も160人を超えいまだに増え続け一体どこまで大きくなることやら。
あっ、この話に出てくるラピスは大体こんな感じですのでお気をつけ下さい。
熱血もしませんし、赤い槍も持ちませんので(爆笑)
いや、ちょっと他の人とは反対にしてみようかなって思ったもので。
代理人の感想
いやまぁ、劇場版どおりならこれが本来のラピスではないかと思うんですけどね(苦笑)。
なんでActionではことごとくアニメにはまったりなんだりしてるんでしょう?
・・・あ、その方が面白いからか(爆)。