「それが、お前が決めた生き方か?」


「ああ、そうだ」


「その生き方の未来はどうなるかわかりきっているぞ」


「それがどうした」


「……それでもお前は変えないのか?」


「俺にとってはこれだけが全てだ」


「…………地獄に堕ちるぞ」


「……なら俺は地獄に堕ちてもこの生き方をしてみせるさ」


「テツヤ…………」


「もう行け」


「………………………………」


「…………俺みたいには、なるな」










時の流れに  第零章






空の心に輝く夜月
















俺は何をしているんだ?

俺がしていることは一体何なんだ?

一部の人間の私欲の為に、これから必要とされる人達を殺す。

そんな命令が出るほどここは腐っているのか?

これが……人の闇なのか?


「なに難しい顔しているの?」


「……フィナか、どうしたんだこんな所で?」


考え事をしていて周りが見えてなかったみたいだ。

目の前には俺がよく知った顔の人物がいた。

その人物は俺の返事に心底呆れた顔をした。


「こんな所って、貴方ここがどこだかわかってないの?」


「は?…………そうか、ここは病院か」


「そうよ、なにボ〜っとしてるのよ?」


俺が辺りを見回すと白い壁が一面にあり、病院独特の臭いが鼻を刺激する。

いかんな、気持ちを切り替えないと。


「いや、何でもない。

 そんな事より病室から抜け出ていいのか?」


「大丈夫よ、別に怪我をした訳じゃないんだからね」


ニッコリと笑いながらそう言えるならもう大丈夫なのだろう。

強いな。

後ろを気にして前へ進めないのは悲しいことだからな。


「それでも病室にいろ。

 お前は一応入院しているんだからな」


「は〜い」


俺はフィナを病室まで連れて行くことにいた。

元々こいつに会いに来たので、連れて行くというのはちょっと違うがいいだろう。


しかし…………

こいつとこんな関係になるとはな。

一月前では考えられない事だ。

人生ってのはわからないものだな――――



















「もう次の仕事に向かった?」


あの『事件』から二日が経ったその日。

俺はその時の書類やらなんやらを出しに行った所、テツヤの事を聞いた。


「ああ、こっちに戻ってきたと思ったらアッという間にいっちまったぞ」


何を考えているんだあいつは!

まだ左腕が回復してもいないのに!


「何故止めなかった?

 あいつの左腕は見ただろう!」


「そんな事知るか。

 あいつがどうなろうと俺の知った事じゃないからな」


俺が問いつめると関係無しとばかりに受け流した。

そうだ。

ここでは他人のことなんか気にする者などいない。


他人より自分。


この弱肉強食の世界では当たり前の現実。

他人の事を気にしていては自分が死んでしまうかもしれない。

他人とは自分が上り詰めるための物。

そんな考えしかない暗澹あんたんとした世界。


それが、ここクリムゾンの裏の世界。


俺は上司がいる部屋へと走った。

こうなったら直接上へ抗議した方が速い。

あいつを、テツヤを止めるにはそれしかない。

そう時間もかからずに俺は上司の部屋についた。


「どうしてテツヤを行かせたんですか!?

 あいつはまだ怪我が癒えてないんですよ!!」


部屋についたと同時に俺は上司に向かって抗議をした。

しかし、帰ってきた言葉は信じられない物だった。


「……テツヤが自分でここに来て仕事を持っていったんだ。

 その場合、私は彼を止める権利はない。

 そう言う決まりがある」


その言葉を聞き、どうしようもない苛立ちを憶えた。

テツヤが自分の怪我を無視して次の仕事に向かったのもそうだし、このクリムゾンの決まりにもそうだ。

このクリムゾンは実力があれば上へ行ける制度になっている。

用は自分が仕事をこなせばこなすほど出世のチャンスがあると言うことだ。

そのため自分から進んで仕事を取りに来たら、どんな理由があろうと拒んではいけないといった決まりがある。


「くそっ、あいつは何を考えているんだ!」


俺は目の前にある机に拳を振り下ろした。


「…………すまないな、力になれなくて」


上司、エルイメルト・アズラムはこのクリムゾンの中では出来ている人だ。

部下思いで何事にも真剣に取り組み、自分が間違っていると思えばどんな事だろうと拒否する。

俺の数少ない理解者の一人だ。

ただ、そのせいで上の方では結構嫌われている。

本来ならもっと上の方へ行ける程の仕事をしているのに、いまだにこの地位にいるのが何よりの証拠だ。


「……いえ、貴女のせいじゃないですから」


俺はその言葉しか言えなかった。


「…………お前に一つ仕事をして欲しいのだが、いいか?」


暫くの沈黙の後、エルイメイトが真剣な表情で話しかけてきた。


「……どんな仕事ですか」


「この仕事は他言しないと誓えるか?」


その言葉で俺は重要な仕事なのだと悟った。


「ええ、誓いますよ」


一体どんな仕事なんだ?

帰ってきたばかりの俺にさせようとする仕事とは……


「…………日記を取ってきて欲しい」


「はっ?」


俺は思わず聞き返してしまった。

それ程さっきの言葉にあった単語には力があった。

冗談?

そんな考えも脳裏に浮かんだ。

しかし……


「日記を取ってきて欲しい」


冗談でもなく、マジな話だった。

















「しかし……俺が受けた仕事で一番のおかしな仕事だな」


夜の闇の中、俺は愚痴りながら進んでいた。

そりゃ愚痴の一つも言いたくなるよ。

危険を冒してまで取ってくるのが日記なんだから。

これで怪我なんかしたら一生の恥だな。

……絶対に気をつけてやろう、うんうん。


俺は目的の家につくと窓を開けて部屋に忍び込んだ。

暗闇の中俺は迷わずに進む。

なぜなら一度俺はここに来ているからだ。

その時は辺り一面血の海だったがな。

だが今は綺麗になっている。

とてもここで殺戮が行われたとは思えない。


目的の階段を見つけ、地下へ降りていく。

何か色々と機械があるが、俺はそれらを無視して本棚の方を目指した。

本棚にはあまり本が入ってなかったので速く見つけることが出来た。


「一体こんな物がなんの役に立つんだ?」


この仕事で唯一の結果であり、一番の不思議な物。


――――ザイラック=G=ラジュードの日記なんてどうするんだ?


















「持ってきましたよ、これをどうするんですか?」


俺は上司のエルイメイトの前に持ってきた日記を置いた。

しかし、一週間の間にモロッコを二往復は流石に疲れるな。

絶対に休暇をもらうぞ。

もらえなかったら訴えてやる。


「…………その日記をある所へ持っていって欲しい」


……おい。


「何をしようとしているんですか?

 幾ら何でもそれだけじゃもう動きませんよ」


流石に切れるぞ。

大体日記がなんの役に立つって言うんだ。

それももう死んでいる人間の。


「私の最後の命令でもか?」


その言葉に俺は驚いた。

最後って言ったか?

何故最後なんだ?

一体何をしようとしているんだ?


「……最後なら尚更聞きたいですね。

 一体何をしようとしているんですか?」


そうだ、最後なら何故最後なのか聞きたい。

それぐらいの権利はあるはずだ!


「…………一人の人間を救うためだ」


















「ここか…………」


目の前に大きく佇む建物。

一生の内で殆どの人は世話になろう場所。


病院。


ここに俺が訪ねる人がいる。





『どういう事ですか?』


『そのままの意味だ。

 一人の人間を助けるためにその日記が必要なんだ』


『…………最初から説明してください』





受付で病室を聞き、エレベーターに向かう。





『……今回の件でザイラック氏が私達クリムゾンが依頼した兵器以外の兵器を製造していることがわかった』


『…………あの子の事ですか』


『そうだ、そして上はその兵器『BMP』の製造を決定した。

 色々と変更はあるだろうが』





エレベータに乗り込み五階を押しドアを閉める。





『あっ、あの子みたいなのを作るって言うんですか!!』


『それが、決定事項だ』


『何を考えているんだ!!

 遺伝子操作が禁止されたら今度は肉体の改造なのかよ!!』


『………………………………』





エレベーターのドアが開き案内板を見にいく。





『……それがどうして最初の話に繋がるんですか?』


『私は……その案に反対したのだ。

 あれは、悲しみしか生み出さないと判断した。

 その結果が――――』


『クビ、ですか』


『そうだ、しかし私は後悔はしていない。

 それが私にとって最良の判断だと思っている』





暫く歩いて目的の病室についた。





『……最後の命令はわかりました。

 しかし、一人の人間を救うと言うのがわかりません』


『この案が確定したらまず初めに彼女が実験台にさせられる。

 ……口封じを含めてな』


『彼女?』





ドアにそっとノックをして俺は中に入った。





『そうだ、彼女だ。

 成功率も彼女なら比較的高い、何せ姉妹だからな』


『まさか……あの子を』





そこには――――





『ザイラック=G=ラジュードの孫であり、シルファーナ=G=ラジュードの姉、フィルサミナ=G=ラジュードを使うことも決定している』


『なんでだよ……なんであの子を!!』


『私もそう言ったが相手にされなかった』


『くそっ!!』





フィルサミナ=G=ラジュードが虚ろな瞳をしながらベットの上に座っていた。





『だから……お前に彼女の事を頼みたい』


『…………俺にどうしろというんですか?』


『上は情緒不安定な彼女を催眠で操るつもりだ。

 だから、彼女に全てを教えて欲しい。

 そして彼女を立ち直らせてくれ。

 そうすれば催眠もかかりにくいだろう。

 そのための日記だ』


『……日記には何が書いてあるんですか?』


『……読めばわかる。

 私も詳しいことは知らないが、大体はお前達が提出した書類に書いてあった。

 その事を教えてやってくれ』


『…………わかりました』


『頼んだぞ、これは私の上司としての最後の命令であり、私自身としての最初の願いだ』





彼女はこちらを振り向いて俺をそのコバルトブルーの瞳に映した。

その瞬間彼女の表情が変化した。

誰もがわかるほどの怒りを映し出す。


「なんの用なのよ、この人殺し!!」


俺は彼女の言葉を受け止め、それでも彼女に近づいた。


「寄らないで!!

 帰って!!出てって!!」


色々な物を手当たり次第に投げてくるがそれでも近づく。


「なんなのよ、いったい何の用なのよ!!

 私をどうするつもりなの!!?」


「…………真実を、知りたくないか?」


暴れ回っていた彼女は俺の言葉を聞き動きを止めた。


「……どういう、こと?」


「君の祖父、ザイラック=G=ラジュードが何故あんな事をしたのかだ。

 君にはそれを聞く権利がある」


彼女は暫く考えたようで、下を向いていたが顔を上げ俺の顔を正面から見つめハッキリと言った。


「…………聞かせて、全てを」


「わかった、全てを教えよう」


















「君の祖父、ザイラックは何故義手なのか知っているか?」


「そんなこと関係ないでしょ!!」


「関係あるから聞いているんだ。

 どうなんだ、知っているのか?」


「……知らないわ」


「そうか、ザイラックは青年時代に飛行機事故にあい両親と両腕を失ったらしい」


「そう、だったの」


「その後彼は義手で生活をしていたが周りは受け入れてはくれなかった。

 しかしそんな彼を受け入れた人がいた、それが君の祖母だ。

 二人は結婚し一人の娘を授かった。

 その頃からザイラックは富を築いていった。

 その頃が一番の幸せだったのだろうな」


「………………………………」


「しかし、その幸せも長くは続かなかった。

 一人娘が強姦に襲われたんだ。

 幸い軽い怪我だけですんだが、ザイラックはそれ以来彼女をとても大切にした。

 どこに行かせるにも人をつけ、学校の送り迎えもした。

 結婚もザイラックが決めた人としたらしい。

 そうして生まれたのが…………」


「私達姉妹…………」


顔色が悪いがそれでも彼女は一生懸命聞き入っている。

俺は頷き話を進める。


「そうだ、しかし……ある事件が起こった」


「まさか!」


「多分君が考えている通りのことだ、君のご両親と祖母がテロの被害にあい亡くなった。

 それが引き金になった。

 ザイラックは子供の頃から家族を亡くしていった。

 自分の大切な家族を、だ。

 そこで考えたのが…………家族を強くすることだ。

 どんな事故だろうが死なない、どんな事件に巻き込まれても大丈夫な家族を作ろうと。

 そこで最初に――――」


「もう嫌!!聞きたくない!!」


彼女は耳を塞ぎ首を振った。

だが、ここで話を止めるわけにはいかない!

彼女は全てを聞くと言った、それなら全てを教えるのが俺の仕事だ!


「耳を塞ぐな!どんなことをしようと何も変わらない!!

 全ては起こってしまった事だ!!」


「どうして……どうしてなの…………」


涙を流しながら繰り返す言葉。

それでも俺は、最後まで話す。


「君の妹、シルファーナに手が向かった。

 妹の方が幼く君より危険だと感じたのだろう。

 そして、俺達と出会った。

 これが……あの事件の真相であり、真実だ」


確かに真相は話したがこれが全てじゃない。

彼女の身体の危険や、ザイラックとクリムゾンの繋がりは話していない。

……この世の中、知らない方が良いこともある。


「ここにザイラックの日記がある。

 これに今話したことが書いてある。

 ……置いておくぞ」


日記をベットの隣のテーブルへ置く。


「これからどう生きようとお前の勝手だ。

 だが、悲観的になるな。

 ザイラックもお前達姉妹が大切だから……いや、大切だからこそああなってしまったんだ。

 それだけ愛されていた事だけは憶えておいてやれ」


死んだ人間は何も言わないし語らない。

全ては人の心の中にだけにしか存在しなくなってしまう。

その心の中で憎まれていたら……どちらも苦しい。


思いでは綺麗な方が幸せだ。

わざわざ苦しむことを教えることもないだろう。

ザイラックが歪んでいたとしても、孫を思う気持ちだけは誰よりも強かったはずだ。


「…………また来る」


涙を流している彼女に背を向けて俺は病室を出た。

ここからは彼女次第だ。

できれば、立ち直って欲しいな。


















「…………やっと会えたな、テツヤ」


「何の用だ」


「お前、大物の奴らを集中して狙っているそうだな」


「………………………………」


「そんな事をしていたら確実に報復が来るぞ」


「なら完膚無きまでに叩けばいいさ」


「無関係な人も巻き添えになるんだぞ!!」


「……なら聞くが関係者と非関係者との区別は何だ?」


「なにを……」


「そいつと知り合いは関係者か?

 そいつが企業を立てていたらそこで働いている奴は非関係者か?」


「それは……」


「この世の中関係ない奴なんかいないんだよ」


















おそいなぁ、何やってるんだろう?

女の子を待たせるなんてサイテーなんだぞ。

ああっ!もうすぐ時間になっちゃうよ!!

どうしよう、もう一本遅らせることは出来ないし……

あっ!来た来た!!


「はぁ、はぁ……わ、わりぃ、遅れた」


「遅い!!一体どれだけ待ったと思っているの!!?」


全く、女の子と待ち合わせするときは十分前には来るのが常識なんだから!


「ちょ、ちょっと仕事の方に時間がかかって……」


「そんな仕事後にしなさい!!」


「そ、それって理不尽……」


「女の子を待たせるのは銃殺刑と同じなのよ。

 それをこれだけですむんだから逆に感謝して欲しい位よ!」


「すいません」


「よろしい」


なんかどこか抜けているのよね。

変に勘が鋭いと思ったらこういうことにはてんで鈍いんだから。


「……これからどうするんだ?」


彼が息を整えてから私に話をふってきた。


「暫くはお祖母様の所にお世話になるつもりよ。

 その後はまだ決めてないけど」


「お祖母様って、たしか……」


「お父様の方よ、今の所私の最後の肉親なんだけどね。

 そっちの方は知らなかったみたいね」


「そうみたいだな」


ほら、やっぱり抜けてる。

まっ、私の家族構成を詳しく知っていたらス〜ッゴク怖いけどね。


「……よかったな」


「ええ、これも貴方のおかげよ」


そう、貴方がいてくれたから今の私がある。

それだけは断言できる。

赤の他人だった私に親切にしてくれて色々面倒を見てくれたから。


「言葉では言いあらわせないぐらい感謝しているのよ」


「そんな大層なことはしてないよ」


「ふふふっ、またまた謙遜しちゃってぇ〜」


私達は笑う。

ここだけ柔らかな風が吹くように。

自然に笑い、会話をする。

まるで今までずっと一緒にいた感じ。


「ふふっ……あっ、そうだ、これ……」


私は一冊の本を渡す。


「これはっ!」


「貴方が持ってて。

 今の私には必要ない物だから……」


やっぱり驚いてる。

そりゃ私だってどうしようか迷ったけど、こうした方がいいって思ったから。


「……いいのか?」


「勘違いしないでよ、これはあくまで預かってもらうんだからね」


「ああ、わかった」


その後アナウンスが入った。

もう時間がないみたいね。


「もう、貴方が遅れたせいでろくに話が出来なかったじゃない」


「……すまん」


今私達は空港にいる。

私がお父様の方のお祖母様の所に行くためにね。

それが遅刻なんてしてくるから……もう。


「遅れたお詫びに何かしてもらおうかなぁ」


「…………わかったよ」


う〜〜ん、なにがいいかなぁ?

…………そうだ!!


「では罰として何か一つ考えなさい!」


「は?」


「だから罰を貴方が考えるの」


うん我ながら良いアイデアね。

さぁ〜って、何を考えるのかしら。


「そう言われても…………

 う〜〜〜〜ん……今度会いに行くじゃダメ?」


「それは前言ってたでしょう、まぁいいわ、絶対よ」


時間も無いしそれぐらいかな。


「だったらおまじないでもするか?」


「なに、おまじないって?」


「結構古いんだがな。

 右手の小指を出して」


「こう?」


私は言われたとおりに小指を出した。

一体何をするんだろう?


「で、俺の小指と繋いで……」


「うんうん」


「『指切りげんまん嘘ついたら針千本飲〜ますっ』って言うんだ」


「なにそれぇ」


何だか凄いおまじないねぇ。

針千本なんて絶対に飲めないわよ。


「まぁそれだけ嘘をついたら酷いことをするぞって意味なんだけどね」


「だったら嘘ついたらホントに針千本飲んでもらおっと」


「い、いや、流石にそれは……」


ふふふっ、そんな事言った貴方が悪いんだから。


「それとも私との約束破るつもりなの?」


「そ、そういう事じゃなくてだな」


「ならいいじゃない。

 さ、速くやろう」


私達は小指を絡める。


「「指切りげんまん」」


それは別れの挨拶であり。


「「嘘ついたら針千本」」


出会いの約束だった。


「「飲〜ますっ!!」」


言い終わったと同時に指を放す。

だけど私達の約束は結ばれたまま。

この約束という紐が解けるのは出会ったとき。

それまでは絶対に解けることはない。


「あっ、そうそう、約束は一年以内ね。

 私から会いに行ってもアウト」


「なっ!ちょっと待て!!」


「ふふふっ、じゃあねワタル〜〜〜〜!!」


私はワタルに手を振りエスカレーターへと走る。

後ろでは何か言ってるけどそんな事は知らない!

待たせたお返しよ!!


私は強くなる!

大切な人を守れるだけの強さを手に入れてみせる!!

お爺様とは違った方法で私は守ってみせる。

その道は決して簡単じゃない。

それどころか一番難しいかもしれない。

だけど私は決めた!!

決めたからには最後まで成し遂げる!!



フィルサミナ=G=ラジュードは今生まれ変わるんだから!!






 













あとがき


え〜、こんな話でも読んでいただいてありがとうです。

これは「時の流れに翻弄されし者」の続きです。

前回の謎、って言ってもそんなに無いですが、とその続きです。

どうですか、考えていた通りの展開になりましたか?


あとこれはクリムゾンの視点での戦争を描くといった設定です。

クリムゾンから見た戦争ってだれか書いてないかな?

こんな風な設定が好きなんですよねぇ私。

ですから、「時の流れに」で出た他のクリムゾンの人間もでるかも!?


…………期待しないでくださいよ(爆)


後題の読み方は「空(から)の心に輝く夜月(よづき)」です。

間違っても変換ミスから生まれた題じゃないですよ(核爆)


さて、それでは前回読んで感想をくれた方々にお礼の言葉を。


ありがとです!感謝です!!

 

 

代理人の感想

読めませんよ、タイトル(爆)。

 

しかもテツヤの暗くてハードな話かと思ったらなんかほのぼのラブコメしてるし。

二重の意味で意表を突かれましたです(笑)。