「作者公認裏話2(後編) 忠夫の懊悩・明乃の告白:野望崩壊編!」

 

時刻は夕暮れ少し前。西の空が少しずつ赤み差し始めた頃、珍妙奇天烈なオープンカーが我が物顔でサセボシティの街中を跋扈(ばっこ)していた・・!

 

ああ〜っ何てこったい!才蔵さんも無茶苦茶な課題を出してくれたもんjじゃホンマ・・。

そりゃ明乃ちゃんは可愛いけど、本気(マジ)になったら益々元の世界へに帰れんようなるやんか!

いやそれ以前にだっ、下手な事すりゃ明乃ちゃんに殺される・・・!!

嗚呼・・けど、明乃ちゃんとくんずほぐれつ退廃的な新婚生活も・・・おおっこれぞ現世の桃源郷!!!

イヤいやあかんっ!んな事したら美神はん等に呪殺されかねんっ!!いや本気で。

 

「・・横島さん、先刻(さっき)から変ですよ?才蔵さんに何か言われたんですか?」

「はうわっ!?あ・いやイヤなんでもないっす!」

 

うわヤバっモロに顔に出てたみたいやな。突然じゃから、一瞬考え読まれたか思うたわ。

 

「あからさまに怪しいですよ?・・・・まさか、私に関係ある事ですか?」

「ないっす!(キッパリ)全然ないッス!完璧っす!!」

「あの、そこまでスッパリ否定しなくても・・」

「い・いやあのっ(あわわわ)・・じ・実は先刻、才蔵さんに突然宿題言い渡されちゃって・・そう、今度戻るまでにちょっちね(汗あせ)。」

「戻るまでに、何です?」

「いや〜それが・・その、えと・・」

 

突っ込んじゃイヤ〜っ!この場をどないしたらええっちゅうんじゃ〜!?何か、何か ないんか上手い言い逃れはっ!?

「??どうしたんです?」

「りょっ料理でっ、そうっ!コックの腕で明乃ちゃんを負かしてみろと・・・」

「まぁっそんな事言われたんですか!?酷い!」

「いや酷いって・・」

「それって男女差別発言ですよ!男が女の下にいちゃいけないなんて、才蔵さんらしいけど・・私たち女を馬鹿にしてます!」

「あっ、そ〜言う事ね(安堵)」

 

た・助かった・・。我ながら上手い事言ったもんだわ。・・にしても、200年後の未来で男女差別なんてチープな言葉聞く羽目になるたぁ思わんかった・・。

 

「<そう言う事>とは何ですか横島さんまで!」

「あっ違うちゃうっ!」

「じゃなんですか!?」

「え〜・・ってその、実は俺ってさ、ぶっちゃけた話成り行きでコック見習いしてたもんだからさ。今の今まで明乃ちゃん程真剣に取り組んでなかったんだ、コック修行 ・・・。」

「ぇえっ、横島さんが?」

「ん〜みっともねぇ話やけど・・、記憶も判然としてなかったしね?」

「そうだったんですか・・だから才蔵さんに具体目標を上げて喝入れしてもらったんですね?

「ま・まぁそ〜言う事かな?わはっうわははははははっ(汗)」

 

あ・危な〜・・何とか誤魔化せた様やな。ばれたらマジで洒落にならんし・・!

 

「わかりました!私で好ければコック修行のお手伝いさせて頂きます!」

「はへっ!?」

「先刻の様子じゃ、宿題出来なかった時はかなりのペナルティが待ってそうですしね。」

「いやでもっ、明乃ちゃんの修行はどうすんの!?」

「大丈夫です!一人より二人の方が効率いいに決まってます!」

「明乃ちゃん・・ううっアンタ、ええ娘や(しみじみ)」

「何言ってんですかもうっ・・。兎に角、一緒に頑張りましょうね横島さん!」

 

真っ赤になっちゃって・・ほんま殊勝で可憐で気さくな娘や。これでも少し・・手が 早くなきゃ、言う事ないんじゃがな〜(云々)

 

「よっしゃーっ本気になった俺の実力見せまくったるーっ!」

「うふふ、その調子です。(♪)そしていつか、皆の処へ胸を張って帰りましょうね。」

「胸張って・・・!」

 

うおおっ相変わらずええチチしとる・・(生唾)

 

「・・何処見てます?」

「ハッ!?あいやっその〜・・兎に角頑張ろう、うん!」

「全くもう・・本当にちゃんとして下さいよ!?」

 

あかんアカン、つい目が行ってもうた(汗)。けど、いずれはあのチチを俺のもんにしたいなぁ・・うん。

いやイヤそりゃやばい!美神さん等の霊感は時空を超えかねんし・・!!

かと言って、あのチチをゲットせにゃ雪谷食堂へは戻れんし・・・(溜息)

んな事言って、あのチチ(の持ち主)をどうにか出来んのか俺・・?

いやしかぁしっそんな弱気じゃめくるめくチチパラダイスは夢のまた夢・・!!

あわわわっ何考えとんじゃ俺は・・!?元の世界を諦めんのかコラ!?

でもな〜、明乃ちゃんと所帯持てば店が出せると・・ん、待てよ?

それって、一国一城の主!?うおおっ元の世界じゃ考えられんステイタスじゃ〜っ!

ハッ!?だ・駄目じゃダメじゃ、下手すっと七代祟るぞあの人等・・・・(悪寒)

 

「・・・・先刻から何考えてます横島さん?」

「ななな・何もなんもっ!」−ブンぶんブンー

 

こりゃあかん・・刺激が強すぎてど〜あっても煩悩全開してまう!

 

「いやあの・・今度の職場でもみんなと仲良く出来たらええな〜って・・」

「え?そ・そうですねぇ・・ええ、本当に。」

 

当分、才蔵さんや常連共考えんのよそ・・俺のこったから変な連想癖がついて過剰暴 走しかねん!

 

「才蔵さんや、常連の皆さんの様な方とご一緒出来たらいいですね。」

 

そういや才蔵さんて独りモンだったな〜。んじゃ仲人は町会長にでも・・って違う わっ!!

・・・・あかん、まじでヤバ過ぎる(汗)

 

「ところで横島さん・・」

「えっ何?何っ?」

「中央街通るのやめません?・・・・周りの視線がとってもイタイんですけど(汗)。」

「・・・・そだね。」

 

実は先刻から道が混んでて、周囲のドライバーはおろか歩行者からも奇異な視線に晒 され続けて気分はもう素顔(すっぴん)のチン問屋・・地獄じゃ(汗)

夕暮れに差し掛かった忙しない街中をのんびり走るオープンカー・・。それは丸で、市中引き回しの刑に処された罪人の様に力なく俯く男女を乗せながら、威風堂々たる存在感を無闇にアピールしていた。

 

「けど、コース変更なんて出来んのかこの車・・?」

「う〜んどうでしょう・・取り合えずアクセスしてみますね。」

 

横島さんの質問に無難な答えを返しつつ、私は早速アクセスボードに接触してみました。

こう言う時IFS方式はとても便利です。思っただけでAIが適宜検索・掲示・施行してくれるし、そのための入力作業も全くないんですから(♪)

地球じゃ遺伝子をいじるのは禁忌だとかで全然浸透してないけど、ほんと、馬鹿みたいな話です。

 

「・・・・あれ?」

「どったの明乃ちゃん?」

「何かこれ、幾通りかルート選択出来るようになってるみたいなんですけど・・?」

「ぬおっ・・・・してやられたか〜っ!?」

「えっ?えっ?どうしたんです?」

「初歩的なトラップじゃ!最初にちゃんと確認しとけば人気のないコースを選択出来 たんじゃ〜っ!!」

「ああっそう言う事だったんですね!?」

 

酷いです、小馬鹿にされたみたいで納得出来ません!お陰で掻かなくてもいい恥を掻いたじゃなしですかもう!・・仕方ないですね、さっさと他のルートにアクセスしま しょうか。

 

「ぁ・・・・・・」

 

この時、私の目に飛び込んできたのは幾つかあるルートの中に一つ、若干近道に当たる河原沿いのコースでした。

 

「どぉ?上手く路線変更出来そう?」

「ええ大丈夫・・次の角で別ルートに移りますね。」

 

そしてこのルートは、私がサセボで初めて目覚めた河原へと続きます・・。

同じ日本語圏とは言え、星をも隔てた全くの異国に突然放り出された私が、横島さんと出会い、横島さんに伴われて雪谷食堂へと踏み入れる事が出来たあの日・あの時の河原・・。

 

「ねぇ横島さん、私と・・初めて出会った時の事、覚えてます?」

「え・・ああっ!そ〜言やこの先の河原だったっけ、明乃ちゃん拾ったの。」

「拾ったって・・・・まぁ、そうなんですけど。」

「そっかぁ、あれからもう一年近く経つんやなぁ・・(しみじみ)」

 

なんだか随分物思いな表情ですね?嫌な予感がします・・。

 

「あの頃の明乃ちゃんて、えらく頑なで排他的で寄らば殴るぞってな雰囲気してたけど・・」

 

ヴ・・随分な言われ様だけど、事実なだけに文句が言えない・・!

多分、火星にいた時もずっとそんな感じだったと思うし、本当に心許せる人なんて何処にもいなかったし・・。

 

「それが今じゃ素直で元気で、何事にも一生懸命な熱血パクワフル少女だもんね〜(♪)

たった一年で変われば変わるもんじゃ・・!(うんうん)」

 

私が変わった・・!?そうなのだろうか・・判らない。けど、火星にいる頃に比べると確かに変わったように思う。何だか、パパとママが側にいた頃に戻ったような・・おかしな、けど、嫌じゃない気分・・。

 

「私・・時々思うんです。

あの日、横島さんと出会わなかったら今頃どうしていたのかなって・・。」

「へっ?」

「あまり、好い想像出来ないんですよね・・。

才蔵さんがいて、横島さんがいて、憧れのコック修行しながら常連の皆さんと笑い会って・・」

「こんなに充実した毎日を過ごすだなんて、ほんと、火星にいる頃は考えもしなかったです。」

「火星・・!そっか。」

「この戦時下・・身寄りも宛てもない私じゃある種いかがわしい職に就くか、最悪路傍で野垂れ死にしてても可笑しくないんですよね・・。」

「おいおひ、そりゃちと悲観的過ぎるんじゃ・・?」

「ぅうぅん、此れまでの一年が恵まれ過ぎたんです。

現実(それ)が分らない程、私、子供じゃありません!」

「はりゃ〜、えらいシビアな見方してんのね明乃ちゃん?ちと以外やったなぁ、俺や才蔵さんにゃあれだけ甘えてたっつ〜か頼り切ってたみたいやのに・・?」

「私も、それが不思議なんです。

誰かを頼ろうなんて、昔は思いもしなかったのに・・ここに来てからの私ってかつての調子がほんと狂いっぱなしです。」

「ん?その言い方だと、火星じゃえらく肩肘張ってたみたいやな〜。」

「仕方ないです、そうでなきゃ独りで生きて行けなかったから・・。」

「独り?・・なんで?」

「まだ、言ってなかったですね。私・・実は孤児なんです。」

「・・・・えっ!?」

「8歳の頃、両親がテロに巻き込まれて・・・・。以来、施設と寄宿舎を転々と過ごしたんです。

私立の中等部を出て後は定時制に移って、働きながら独り暮らししてました。」

「うそっ!?明乃ちゃんが・・!」

「別に、隠してた分けじゃないけど、何となく話そびれちゃって・・。」

「ほんとなんだ・・。そっか、悪ぃこと聞いちゃったか・・な?」

「ぅうぅん、私の方こそ黙っててご免なさい。」

「はぁ〜・・なんつーかさ、火星の陥落といい、両親の事や生い立ちといい、メッチャ苦労してるはずやのに・・

始めの頃こそ取っ付き難い面もあったけど、今じゃ全然それらしさを感じないもんなぁ、ほんま、明乃ちゃんは芯が強いんやね。」

「そんなっ、そんな事ありません!私なんて・・」

「いんや、ぞれだけの目にあっても尚、前を向いて歩ける明乃ちゃんは立派なもんじゃ!」

「そんな事ないんです・・・・でも、」

「ん?」

「もし、そう感じてもらえるなら、それは全部横島さんのお陰ですね。」

「へっ俺!?」

「生意気で、意地っ張りで、可愛げの全然なかった私が・・もし横島さんの言う様に変われたとしたら、それは全部雪谷食堂での暮らしあればこそです!」

「いやそれは、俺じゃなくて才蔵さんのお陰じゃ・・?」

「・・一番初めに私を保護してくれたのも、その雪谷食堂へと誘ってくれたのも、ずっと傍らにいてくれたのも・・・・そして今この場にいてくれるのもっ!全部横島さん、貴方じゃないか!?」

「はひ!?・・・・・・(呆気)」

 

話している内に昂る感情を押さえ切れなくなった私は、最早言葉を紡ぐ以外、零れ落ちそうになる涙を収める事が出来なくなっていました・・。

 

「私、ずっと謝りたかったんです。初めの頃、火星での事で余裕がなくて・・周りの人が誰も信じられなくて・・何かしてくれる度に裏があるんじゃないかと疑ってっ・・!」

「だけど、誰かに頼りたかった・・誰かに縋りたかった・・!火星のみんながっ、血 を流して死んで行くのを目の当たりにしながらのうノウと安全な処で生きてる自分が許せなかったから・・!」

「あ・明乃ちゃん・・!?」

「なんとなく、今なら判る気がするの。あれだけ思い切り暴力振るってるのに、いつも平気な顔で受け止めてくれた横島さんの思い・・。」

「私、それに甘えてたんですね。ずっと横島さんの好意に縋りついてたんですよね・・。判ってて、何一つお礼の言葉も口に出来なくて・・でも、初めてだったんです!私の我侭に辛抱強くつきあってくれた人って・・私の思いの丈を真正面から受け止めてくれた人って・・!それを失うのが怖かったんです。手放すのが惜しかったんです・・だから、だから何も言えなかったんです!!・・ほんと、これじゃまるっきり子供ですよね。」

「あ・あの〜・・(汗)」

「横島さん、本当に・・この一年本当にご免なさい!迷惑ばっかり掛けて感謝の一つも言えなくて・・本当にご免なさい!だけど・・こんな私だけど、もし嫌わないでいてくれるなら・・こんな私でも許してくれるなら、どうかこれからも宜しくお願いし ます!!」

 

間もなく河原沿いに差し掛かった頃・・半ば呆気に取られた俺を前にして、明乃ちゃんは丸で堰を切ったようにその胸の内を打ち明け始めていた。

何だか滅茶苦茶善意に取られてるよな〜俺のスキンシップ・・(汗)

けどここまで真っ直ぐに誠意をぶつけられた事ってあっただろ〜か・・いや無いっ!

全然ないっ!しっかりとないっ!!

ううっほんまにええ娘や明乃ちゃん・・何処ぞの名うての雇い主に爪の垢でも飲ませてやりたいわっ!!

出来る分けないけどな・・はぁ〜現実って、悲しい程無慈悲なのね・・。

なんか、元の世界に帰りたく無くなってきた・・いっその事、こっちに永住しちゃろ〜か?

んでもって明乃ちゃんと朝までしっぽりと・・・・

っておひっ、又繰り返しかいっ!?

けどな〜、無理して帰って一体誰が俺の事優しく迎えてくれるっちゅ〜んじゃ!?

学校は当然退学になってるだろ〜し、親父とお袋にばれたら半殺しの上赴任先の国の学校に押し込められかねんし・・。

のこのこ事務所に顔出そうもんなら・・・・やば過ぎる!!いや本気にやば過ぎるっ!!

生存本能が足を向ける事をとことん拒否しとるような処へノコノコ帰れるか〜っっ!

!?

でも帰らんかったら益々・・・・うう、どしたらええんじゃ俺(涙)

そりゃ明乃ちゃんはええ娘や、こんな子とただれまくったお付き合い出来りゃ言う事ないわいっ!・・けど、んだけど、明乃ちゃんと間違いは犯したいがっ、まだ死にとーないんじゃーっ!!」

 

「・・誰と間違いを犯したいですって?」−わしっー

「ぐはっ!?な・ななっ!?」ーぐぐぐっー

「おまけに、何で死にそうになるんですか?」−ぐぎぎぎっー

「あがががっっイ・痛いっ!明乃ちゃんっ、やめ、アイアンクローやめっ・・」

「答えになってませんよ横島さん?(ニッコリ)」−ギリギリギリッー

「イギギギッな・何の話じゃ明乃ちゃ・・・・あぎゃ〜っ!?」−ミシ、メキメシッー

「・・横島さん、考え事を突然叫び出す癖、早く治した方がいいですよ?」−メキャッ!−

「ぎひぃいいい〜っ!?やめで〜、許しで〜、男の本能や〜仕方なかったんや〜(涙)」−ぷし〜っ!ー

「真剣な話してるのに・・思いの丈を打ち明けたのに・・変な事考えてるからですっ!大いに反省して下さいっ!!」 −ぐぱっー

「いぎゃっ!!」−びくんっビクンッびくん・・−

 

こ・このままでは身がもたん・・!この際、手段なんぞ選んどれるかひっ!!

 

「分りましたか横島さんっ!?」

「ヴぁい、思いっ切り反省じでまずでず・・」ーだらダラだら・・−

「着いたら早速料理の特訓ですからね!思いっ切り覚悟しといて下さいっ!!」

「ヴヴ、おまがぜじまず・・」

 

これじゃ文殊が幾つあっても足らんわ(涙)・・・ん、文殊・・?

おおっそじゃ、文殊!!これで雪谷食堂絡みの記憶、当分思い出さんよう暗示掛けりゃええんじゃ!!

着いたら早速トイレに駆け込んで即実行したるっ!最早一刻の猶予もならん・・。

先日の晩みたいに・・正気に返るなんて奇跡二度と起こせるもんじゃなし、もし、本気で間違いでも起きようもんなら洒落にもならん・・!!

煩悩にまかせて事に及んだりしちゃ、真剣に生きてる明乃ちゃんに申し訳ないし、思いっ切り失礼だよな・・

まさにその時、オープンカーは河原に達っしようとしていた。

 

「・・・・横島さん?」

 

先程の、懺悔を込めた私の告白をいつもの不謹慎な妄想でお茶を濁した横島さんに、正当なる報復処置を施しつつ気分を落ち着けていた私は、視界一杯に開けた夕日を前にして気配を変えた横島さんにふと気付いた。

 

「第一、あいつ等にも顔向け出来なくなっちまう・・!」

「・・・(ハッ)」

「そうだろう、なぁルシオラ・・・・」

 

一瞬、その横顔に見惚れてしまいました・・。何を口にしてたのかよく聞き取れなかったけど、横島さん、貴方ってそんな表情も出来たんですね・・。丸で何かを懐かしむような、慈しむような、けど、柔らかな表情の裏に潜む痛切な哀しみ?を含んだ微かな微笑み・・。

 

「・・何だか、ちょっと得した気分です。」

「ん、何?」

「ぅうぅん、何でも有りません(♪)」

 

横島さんは記憶喪失だそうだけど・・きっと、私より辛い経験をしたに違いありません。

そうでなきゃ、あんなに綺麗な微笑み出来るはずないもの・・!

それを乗り越えたかどうか知れないけれど・・この間の晩のうなされ方を見るととてもそうは思えないけど、この一年私をずっと支えてくれた人だもの。

いつか、笑いながら語ってくれますよね?今日の私みたいに・・。

 

「さっ、頑張りましょうっ横島さん!!」

 

今なら判ります。私、家族愛に飢えていたんですね。無条件に優しい処のある横島さんにかつての両親・・いいえ、兄弟のような親近感を・・依存心をもってたんだって・・。

横島さんだってきっと誰かに頼りたかったはずなのに、私がそれを邪魔してたんだろうな・・。

けど、私に出来ることって料理以外にありません。だから、横島さんにはコック修行のお手伝いくらいしか、恩を返す手段がないんです!せめて、精一杯それに尽くしますから横島さん、これからも私と一緒にいて下さいね?本当に、側にいて下さいね・・!

 

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皆さん、どうもです。裏話2の後編、いかがでしたでしょうか?あち こちの方から頂いた有り難いアドバイスに従って、文体を会話文オンリーから心理描 写・背景描写などの間接文を加えた小説に思い切り変更してみました。

今回、K−999さんよりご指摘頂いたのですが、今迄感想掲示板をご利用された皆 様には心よりお詫び申し上げます!実は存在そのものを完全に失念しておりました。

今後はきちんとお返事させて頂きますので、どうぞお見捨ての無きようお願いします。

さて実は私、コミックを描いていた頃の癖で会話のみの文章を執筆する悪習が身についてて、中々間接文を書けずにいました。今回のみなさんのご指摘は、悪癖を正す好い機会となりましたが、不得手な処は何卒お目こぼし下さいませ。

ところで、肝心の本文はどうでしたでしょう?文殊で暗示をかけると言う落ちにガッ カリされた方も中にはおいでになった事でしょうね。しかし、こうでもしないとプロスさんとの会話の流れで、故郷に帰る事を強行に主張した横島の態度に不信感を抱かざるを得なかったのです。才蔵さんの事もそうですが、一年近くも敷居と職場をともにした明乃ちゃんをすげなく袖にするような、否、見捨てるような発言を、果たしてあの横島がするでしょうか?・・少なくとも私は有り得ないと感じました。ではどうしてこれ程酷薄な態度が取れたのか?後に木蓮で雪谷食堂の事をどうして念頭に置かなかったのか?それを解決する手段として、文殊はある意味実に便利な道具でした。煩悩の暴発を防ぐ止むを得ない処置、それが私の出した結論です。ご愛読(?)の皆様にその旨ご理解・ご了承頂ければ幸いです。

ところで、今回のお話は明乃ちゃんの告白が随分目立った事と思います。

実際、当初はこんなに長文化するはずじゃなかったのです。雪谷食堂の前半がメインで2人の会話は軽いギャグで流す予定でした。しかし書き進む内に後からあとから明乃ちゃんが自己主張をし始めて、気が付いたら愛の告白と紙一重の激白文と化していたのです。明乃ちゃんがどういう育ち方をして、どういう考え方をした人物なのか、この際はっきりさせて上げたくなったと言った方がいいかもしれませんね。

異論もあることでしょうが、これが私の中で昇華した明乃ちゃんの素の姿です。気が強くて意地っ張りで、けど誰かに甘えたくて、環境がそれを許さなくて・・。

そんな複雑な思いを内包したまま火星の終焉を目の当たりにした明乃ちゃんが、地球に来た当初、どんな思いで過ごしてたのか・・きっと、横島は無意識の内に明乃ちゃんの危うさを何処か感じていたんでしょうね。

多分、初めの頃は明乃ちゃんに猛烈なセクハラ攻撃をかましたんだと思います。内に抱えた懊悩と過度のストレスを発散させてやるために敢えて殴る蹴るなどの暴発行為を促したのでしょう。勿論、素でやった事に違いありませんが・・(汗)

それはやがて身を結び、すっかり打ち解けた様子の明乃ちゃんですが、手癖・足癖の悪さと言う誤算が生じ、日々身を持って後悔するハメになるとは夢にも思わなかった事でしょうね。それが殆ど日常茶飯事となった食堂名物ドツキ漫才の経緯と言う分けです。

明乃ちゃんにしてみれば、それは新鮮で強烈な驚きだったはずです。親兄弟でもないのに、ここまでされても自分にアプローチしてくれる他人が果たして火星時代にいたでしょうか?恐らく答えはNONです。そんな相手がいたら、あれほど横島に遠慮なく懐いたりはしなかった事でしょうから・・。

明乃ちゃんにしてみれば、嘗て両親から惜しみなく注がれた家族愛を、形は違えど同じく底抜けに与えてくれる(?)横島に兄のような憧れと依存心を少しずつ育んでいたとしても、決して不思議ではなかったと思います。

今回の激白は、そうした感情の流れから生じた必然の出来事として受け入れてもらえれば幸いです。

残念ながら、異性間の恋愛感情とは今ひとつ違います。まだ明乃ちゃんの心はそこまで成長の域に達していないからです。

精神年齢が低いと言う分けではありません。先程も書きましたように、環境がそうした心の余裕を許さなかったに過ぎないのですから・・。

今本編では、まさに明乃ちゃんの心が揺れてます。この先どう流れるにせよ、明乃ちゃんの悲しみに歪む泣き顔はファンの一人として出来ればみたくないものです。

些かいつもの本文よりも長くなりましたが、私の「なでしこ大作戦!」に対する思いを改めて書きつつりました。

皆さん、どうぞこれからも宜しくお願いします。

 

 

管理人の感想

Mr.JOEさんからの投稿です。

なるほど、ナデシコに乗る前にこれだけのイベントが発生していたんですかw

いやいや、照れ隠しの一撃で血だるまにしてたとは・・・本当に手加減してなかったんだな(汗)

それにしても、ナデシコに到着した後、このデコレーションカーは何処にいったんでしょう?

 

ナデシコの格納庫に保管してあったら、凄いだろうな(汗)

 

 

 

 

>下手すっと七代祟るぞあの人等・・・・(悪寒)

 

達って・・・・複数に心当たりがあるのか横島よ(笑)