皆さんおはようございます、ナデシコ・オペレーターのホシノ・ルリです。
 現在はナデシコ艦内時刻で早朝の6:30・・けれど、私にとっては俗に言う夜勤明けの気だるいひと時に当たります。正確には「こんばんわ」と言うべきなのかも知れません。
 通常勤務はおおよそ9:00〜9:30からですけど、早朝勤務当番以外の人は殆どお眠の様子です。食堂も7:00からの営業ですので、まだ艦内には人気がありません。そう、食堂が開くまでまだ30分もあるのです!これは夜勤の人にとって、些か問題だと思いませんか・・?
 ナデシコ出航当初なら自販機でジャンクフード片手にさっさと自室へ引き篭もっていた私ですが、今や朝一番の静かな食堂でゆっくり食事するのを密かな楽しみにしつつあります。・・何故かって?それは美味しい物を噛みしめながらお笑いコントのような横島さんのパフォーマンスをじっくり眺めたり、横島さんからゴーストスイーパー時代の話をたまに伺ったり出来るからです。それだけに、オープンまでの30分はとても辛いものがあります!
 でも今日だけは、この30分が非常に有り難く感じるってもの皮肉な話ですね。だって・・・

「ほらルリルリ、早くいきましょ?」
「でも、ミナトさん・・」
「今更愚図ぐず言わないの!オモイカネとの約束でしょ?」
「それはそうですが・・」
<規則厳守!><約定尊守!><ルリ、往生際悪過ぎ。>
「そうそ、オモイカネの言う通りよ。いい加減覚悟決めちゃいなさい!」
「はァ・・・・仕方ないですね。」
「うん、よろしい!それじゃ食堂へ向けてレッツGO!」
<大変良く出来ました(♪)>

ここは女性共用更衣室。ミナトさんと2人で、あるとんでもない衣装に着替えたところです。幾ら人気がないといっても、こんな格好で通路をウロウロしたくはありません。先の会話は、私が外へ出るのを渋っていたと言う訳です。 すっかり乗りノリのミナトさんや、イヤに強引なオモイカネを前にして辟易しつつも、私は食堂行きを承諾してしまいました。何故そんなに嫌がるかって?この衣装を見れば一目瞭然です!コスプレイヤーじゃあるまいし、私少女ですからこんなの着て喜ぶ趣味はありません!
この場にメグミさんがいてくれたら・・・・喜んで着付けしてくれそうですね(汗)
はぁ、ほんと・・私の周りってバカば〜っか。

「流石にこの時間じゃ人通りがないわねぇ。」
「当たり前ですっ、人目に晒すなんて冗談じゃありません!」
「まだ言ってる・・ど〜せ食堂に着いたら注目の的よ?」
「うう・・・・」

何だか少し、泣きたくなってきました・・

「ところでさぁ、オモイカネってこのコスチュームどっから調達したのかしら?」
「なんでも、ウリバタケさんに発注したそうです。」
「ちょちょっと、それど〜言う事!?オモイカネったらルリのプライベートサイズ黙って教えたわけ!?」
「いえ、私の制服サイズと大まかな寸法をリークしたそうです。詳細なデータでなかった事は、この衣装が若干大きめである事からも推測出来ます。」
「あらそうなの?・・でも、こう言う事には十分気を付けなさいねルリルリ。」
「はいです、ミナトさん。」

意外に神経質なのですね。私の年齢を考えると気の回し過ぎのようにも思えますが・・・それとも、過去に何かあったのでしょうか?

「けどルリルリ、そのコスプレ見た目はピッタリしてるようにみえるけど、何処が大きかったのかな〜?」
「・・・・内緒です。」
「そんな事言わないでさぁ、こっそり教えてよルリルリ?女同士じゃない。」
「嫌です。それに、私少女ですから・・」
「あらら、拗ねちゃってもう・・可愛いんだからっ(♪)」

そう言いながら私をキュッと抱きすくめるミナトさん・・。
その抱き心地、いつもなら心が温かくなってとても嬉しいんですけど、今は背中にあたるタワワな双丘が嫌でもこの衣装のサイズ違いを意識させます(涙)
それに、歩きながらは勘弁して。

「そう言えばこのコスプレって、元ネタは何かしら?」
「さぁ?オモイカネは何も語ってくれませんので・・」
「あら聞き出せなかったの?どうして?」
「何でも、後のお楽しみだそうです。」
「ふ〜ん、何かのアニメキャラかしら?ゲキガンガーみたいな・・」
「違うみたいです。ウリバタケさんも知らないそうですし、艦内で放映されたTVやOVA全てチェックしたのですが、どれもヒットしませんでした。」

全く、オモイカネったらどう言うつもりでしょう?夜勤の退屈しのぎにゲームしてたら行き成り賭け事もちかけてくるし、罰ゲームはこんなだし・・(汗)
そりゃあ、横島さんのプライベートシーンとデータをこっそりリークしてあげるだなんて言葉につい乗ってしまった私も馬鹿だけど。
これ、絶対何か裏があります。それも多分、横島さん絡み・・態々早朝の食堂を選ぶ辺りが良い証拠です!一体、何を企んでるのオモイカネ・・?

「あら横島君?」
「おっ美神さ・・じゃなかったミナトさん!おはよーございまーっす!」
「うんおはよ〜。どうしたのこんな所で?とっくに仕込みしてる頃じゃない・・さては貴方、寝坊したわね?」
「やだな〜ミナトさんじゃあるまいし。ちょっと材料調達に倉庫へ行った処っすよ。」
「ちょっと、それど〜言う意味かしら?聞き捨てならないわね。」
「あれ〜?この間寝坊したとかで通路を爆走してたの誰でしたっけ。」
「うっ・・・・あ・あれは偶々よ、たまタマ!そう言う横島君こそしょっちゅうドタバタしてるくせに。」
「へへ〜ん、残念。誰かさんと違って俺まだ遅刻した事ないっすよ?」
「(むか!)な・中々言うじゃない貴方も。」
「(にやり)いやいやミナトさんこそ。」
「「ふっふっふっふっ」」

通路の出会い頭でミナトさんと横島さんが妙な掛け合いを始めました。
なんだか変わりましたね横島さん?火星での別離以前は、嘗ての雇い主にそっくりだとかで簡単に言い包められるかオタオタしてどっか落ち着きなかった人なのに・・。
今じゃそのミナトさんとタメを張るんですから大した変貌ぶりです。
ミナトさんもそれが嬉しいのか、ネタを振っては絡んでるみたいですし・・ほんと、私達と離れた9ヶ月間に一体なにがあったのでしょう?

「・・ところでルリちゃん、そんな処で何してんの?」
「アヴ・・(汗)」

気付かれましたか。咄嗟に通路脇へと下がったので見られたはずはないのですが・・

「う〜ん、唐突過ぎて逡巡しちゃったか。ほらルリルリ、もう逃げ場はないんだから出ておいで?」

ロングヘアの魔女様が手招きをしています(汗)
事ここに至っては仕方がありません、どうせ嫌でも衆目に晒すのですから大人しく出て行くとしましょう・・はぁ。

 



「(真っ赤)ど・どうもです。」
「ッて・・・・・・・・・・・・・・・・・ぶはぁああああああっ!!?」
ステ〜ンッどんがらがっしゃぁあああっんっ!!
「「・・・・(呆気)」」

物凄いリアクションです。
手荷物を盛大にぶちまけながらのうろたえぶり、これは予想外でした・・(汗)

「ルルルル・ルシオラっ!?偽ルシオラーっ!!?」
「あの〜・・横島さん?」
「・・って何じゃそりゃ〜っ!!?ルシオラが縮んだーっ!?ってああ、ルリちゃんか・・って違うーっ!!」
「(むか)・・失礼ですね横島さん。」
「そう言う問題じゃないと思うけど・・。」
「ルル・ルリちゃんっ、何処でそのコスチュームをっ!?」
「(プイ)知りません。」
「な、なんで・・なんでそんなカッコしてるんやーっ!?なんでやー!?ルシオラーっ!!」
「(ガクガクッ)ア・ア・わ・た・し・ルリ・で・すっ!」

両肩を掴まれて思いっ切りシェイクされてます・・横島さん、錯乱しまくってますね。

「ちょちょっと、横島君っ!?落ち着きなさい、ルリちゃんになにしてんのっ!?」
「あんまりやーっ元から無い乳バディが思いっ切り縮んでもたーっ!!?」
「(ガクガクガク)怒・怒・怒〜・言う・意・味・で・ず・かがっ!?」
「落ち着きなさい横島君っ!その子はルリルリよっルリルリっ!!」
「はうあ〜(涙)・・でもこれはこれでいいかも〜っ!」
むぎゅう〜・・すりすりすりっ
「き・・きゃ〜っ!!?」
「いきなり何しとるかあんたわーっ!!」
どげしっっ!!どしゃぁああああっ!!
「ぐはぁっっ!?」

突然シェイクを止めたと思ったら行き成り抱きついたり私の胸元でスリスリしたり・・(真っ赤)
ミナトさんが強引に引き剥がしてドロップキックをお見舞いしなきゃいつまでやって
たんでしょう、横島さん・・・。

「はっ・・お・俺は何を・・!?」
「あんたね〜、一体何のつもり!?ルリルリにあんな事するなんて、正気なの横島君!?」
「ちち・違う、あれはルシオラって・・あれ!?」
「ルシオラだかルリオラだか知らないけど、アンタ錯乱し過ぎ!・・それに「これはこれでいいかも」って何よっ!?」
「へっ?えっ!?いやあの・・」
「横島君?・・あんたまさか、その気が?」
「ちち・違うーっ違うんや〜っ!!何かの誤解じゃ〜っ!!」
「横島さんって・・そうだったんですか?」
「嫌〜っ見ないで、そんな白い目で見ないで〜っ!違うんじゃ〜ッ間違いなんじゃ〜っ!!」
「・・まさか横島君がねぇ。以外だったわ・・はぁ。」
「違うんや〜っ俺はロリコンじゃない〜っ!!」
ゴンゴンがんがんゴガンゴンッ

とうとう、鮮血を撒き散らしながら壁に頭を打ち付け始めました・・あ〜あ、ちょっと追い詰め過ぎたかも・・。
でも、私にあんな失礼な事言ったんですからこの位はね・・(ぺろ)

「ああもう!わかったから、ほらほら落ち着いて横島君!」
「ハァッハアッハァっ・・・・うう、分ってくれました・・?」
「はいはい、その位で勘弁してあげるわよ。ルリルリも、それでいい?」
「もういいです。(胸のことなんて)私、気にしてませんから。」
「「(胸・・気にしてたのか)」」
「と・処で、マジな話、その服何処で調達したのかなルリちゃん・・?」
「ウリバタケさんのオーダーメイドです。デザインや注文元は別ですが・・」
「そうそう、それなんだけど・・」
「はっ・・って事はそうかっ、さてはオモイカネお前かっ!お前なんだなっ!?」
「え・・っと、横島さん?」
「くぉらオモイカネーっ!手前ぇなんのつもりじゃこら〜っ!?」
「「!?・・!」」

横島さん・・耳元で思いっ切り叫ばれたらビックリするじゃないですか!
いきなり何事です!?そんな天井見上げて・・

<どうしたの横島さん>
<早朝から随分なご挨拶だね?>
「「!?」」

今度こそ驚きました!私同様、ミナトさんも息を呑む気配が伝わります。
これ程明確なコミュニケをオモイカネが私以外と交わすだなんて、一体誰が予想したでしょう!?

「やかましいわっ!オハヨーなら毎朝部屋出る時交わしとろーがっ!!」

・・そんな事してたんですか横島さん?貴方って一体・・

<それもそーだ>
<で、僕になんの用?>
「何じゃねぇっ!ルリちゃんにこんなカッコさせといてしばらっくれる気か!?」
<ふふふ、そうだね>
<お陰で貴重なデータが得られたよ>
「こら〜っ!!」
<ゴメンごめん>
<黙って実験したのは謝るよ>

実験?貴重なデータって、横島さんから引き出すのが今回の目的だったの?!
それに、あなたがこんなにスマートな会話を出来るだなんて私も知らなかった。
一体、何を企んでるのオモイカネ・・?

「お前なぁ・・俺をおちょくるためにこんな真似したんかいっ!?」
<おちょくるつもりはないよ?>
<純粋に先刻の反応が見たかっただけさ>
<事前に知らせると意味がなくなるからね>
「性質悪ぃぞほんまに・・第一、ルシオラの事なんてどやって調べたんじゃコラっ!?」
<IFSを通じて記憶の中から直接>
「なっっ・・それじゃ何かっ!?頭ん中覗いたってのか手前ぇっ!?」
「なんですって!?」
「オモイカネ、貴方っ・・!!」

横島さんの雰囲気と目つきが突然変わりました。でも、これは仕方ありません。
やっていい事と悪い事にも区別や限度があります。貴方にそんな真似が出来るだなん
て想像
もしませんでしたが、これはやり過ぎです。

<そんなに怒らないでよ>
<僕は唯知りたかっただけなんだから>
<心霊現象・・僕が知りえない唯一の事象>
<そしてそれに深く関わったと言う横島さんの記憶>
<どんな存在なのか?><生命なのか?>
<エネルギーなのか?><それとも物理現象の一種なのか?>
<僕は知りたい!><いや、知らねばならない!>
<物理化学と常識を根底から覆すこの事実>
<それを目の当たりにして解明出来ないなど、僕のアイデンティテイが許さない!!>
<だから夢の中を覗かせてもらったのさ>

そこまで思い詰めていたのですか・・成る程、オモイカネの知性が上がる訳です。
でも、オモイカネの気持ちも確かに理解できます。
私だって、横島さんの力をこの目で見なければとても信じ難い世界の話ですから・・。

「言いたい事は分ったわ。でも、其れで許される等と思ってないでしょうね?」
「・・ミナトさん?」
「心の中を覗かれるだなんて、どれ程の屈辱かわかる!?これは一種のレイプに等しいのよ!まだ子供だからって許される事じゃないわ。」
「そ・それは・・」
「やりたいからやる、見たいから見る。でも、周りの迷惑を考えない行為は最低よ!わかってるのオモイカネ!?」
「・・もういいっすよみか・・あ・いやミナトさん。」
「横島君っ、貴方・・!?」
「今更やっちまった事はしょうがないっすよ。」
「それで済ますつもり?それじゃオモイカネのためにもならないのよ!?」
「もちろん、もう二度と・・他のヤツの記憶も絶対覗かないと誓わせますって。」

怖い・・横島さんが怖い。こんなに感情を押し殺した姿は初めて見ました。

「当然、俺の記憶もお前ぇの胸の内のみに仕舞ってもらうかんな?」
<どうやって?>
<オペレーターでも艦長でもないのに>
<なんの権限で僕を制限するのさ?>
「ほぉ〜?一丁前の口聞くじゃねぇか、ええっオモイカネ?」

駄目、止めて!オモイカネそれ以上横島さんを怒らせないで!只じゃすまなくなるのよっ

「よ・・横島さんっ私が、私がこの子を言い聞かせますから!お願い、私がやりますからっ!!」
「ルリちゃん・・?」
「もう二度とこんな真似はさせません!横島さんの秘密も漏らしません!だから、私に任せてくださいっ!」
「ルリちゃん貴方・・そう。小さくても、やっぱりプロなのね。」

違うんです、ミナトさん、違うんです!
このままだとオモイカネが、あの子の心が消されちゃうっ!?

「・・何か随分失礼な事考えてない?ルリちゃん。」
「(ドキッ)えっ・・あの、それじゃオモイカネを本当に許してくれるんですか?」
「ふっふっふっ・・誰が許すかこん畜生めーっ!」
「ひっ!?」
「横島君?ちょっとあんた何する気!?」
「たぁっぷりと落とし前つけてもらうかんな〜くっくっくっ」
<・・どうするのさ?>
「・・こおするんじゃっ!!」
かこーんっ・・・・
ステーンッ!!ばたん・・・
「「<・・・・・(呆然自失)>」」

な・・・・・・なにをするかと思えば・・呪いのわら人形ですか(汗)
ミナトさん共々、思わず腰がくだけちゃいました。もう何をか況やです。

カコーン・・ココーン・・ガカーンっ・・・
「くっくっくっくっそぉれそれそれ思い知れ〜っわ〜っはははははっ」
こ〜ん・・ご〜ん・・かこ〜ん・・
「あの〜横島君?貴方大丈夫・・?」
「それより、壁面に傷をつけるのはどうかと思います。」

もしかして、それが落とし前ですか?五寸釘で壁に穴あけたって・・心配して損しました。

ビミュ〜ヴッ・・ヴ・ヴゥウウウウウンッ
「えっ?」
「何、何っ?どうしたの!?」

突然通路のライトやスクリーンが明滅を始めました!?警報や振動さえなかったけど、木星トカゲの奇襲でしょうか!?

<や・やめてっ!!><嫌だ>
<理解不能><分析不能>
<倫理回路の拒絶><拒絶ッ拒絶>
<否定・否定><助けてッルリ!!>
「わ〜っははっもがけッ苦しめっ思い知るがいいわ〜っ!!」
「そんなッ嘘!?こんな呪いが通用するの!?」
グラグラグラっズズズズズッ

信じられません!こんな馬鹿馬鹿しい悪戯がオモイカネに影響を与えています!?
しかもライトの明滅どころか、姿勢制御まで不安定になってきました!?このままではナデシコが太平洋に墜落します!

「やめて、もうやめてっ横島さん、これ以上はオモイカネが壊れます!ナデシコが沈んじゃいますっ!!」
「ふははははは〜っゴーストスイーパー横島様を舐めんなよっ!」
「ちょっともうやめなさいっ横島君!もうシャレじゃ済まないわ!」
「やめてーっ!!」
<い・や・・だっ><ルリっ・・僕は・消えたく・・ないっ・・!>
「そおれっ止めじゃーっわーっははははは〜っ}
「いやーっ!!?」

ボガンッッ!!!・・・・ずるずる、どしゃっ・・・。

「「はっ!?」」
「忠夫、やり過ぎ。」
「ラピスッ貴方いつのまに!?」

気が付くと、釘だらけの金属バットを抱えたラピスが佇んでいました。
・・何気に、ちょっと怖いです。

「そ・それより、オモイカネっオモイカネ、大丈夫なの!?」
<う・う〜ん><ルリ・・>
ヒュゥウウウウッンンッヴヴッ

どうやら大丈夫のようです。
ライトやスクリーン、姿勢制御も正常に落ち着いてきました。
・・よかった、オモイカネ、無事だったのですね。

「ありがとうラピス、貴方のお陰でナデシコが救われたわ。」
「私からも、お礼言わせて下さい。」
「?・?・・忠夫、中々食堂に戻らないから探しに来た。一体、何があったの?」
「そ・それは・・(汗)」
「貴方、分けも分らず横島君をどついたの?」

キョトンとした金色の瞳で小首を傾げるしぐさは、私でさえ妙に愛くるしく感じる事
もあ
りますが・・抱えた金属バットから滴る鮮血が一種異様過ぎます。

「よく分らないけど、忠夫、ちょっと正常じゃなかった。この艦の状態と忠夫の様子、無関係とは思えなかったし。」
「は〜・・・流石、義理の妹ねぇ。」
「理由はどうあれ、助かりました。ラピスさん、有難うございます。」
「・・それで、何があったの?」
「・・ご免なさい、私の口からはちよっと・・」
「私も、あまりに馬鹿ばかし過ぎて言葉に出来ません。」
「?・?」
「悪いけど、横島君から直接聞いて頂戴・・。」
「・・分った、そうする。」

疲れました、夜勤明けだけに、本当に疲れました・・。
もう食事する気力もありません、このままベットに倒れ込みたいです。

「・・処でルリ、聞いてもいい?」
「はい、何です?」
「その格好、貴方の趣味?」
「・・・・はっ!?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(汗)

結局、横島さんのルシオラ発言とコスチュームの関係を聞き出す事は出来ませんでした。
オモイカネも二度と思い出したくないのか、現場のシーンは完全に消去され、横島さんとの約束もちゃんと履行するそうです。
あまりの理不尽さに、ミナトさんも全部忘れるとの事でした。
・・でも、私のコスプレ趣味疑惑は今や艦内中に知れ渡っています(怒)
以来、ヒカルさんとウリバタケさんが時々部屋まで押しかけて来ては奇妙奇天烈なコスプレを着せようとします・・マジで、勘弁して。

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大変ご無沙汰しております、ヘタレ絵小僧のMr.JOEでございます!
半年以上のブランク明けで大変恐縮ですが、K−999さん連載:「GS横島 ナデシコ大作戦!!」の外伝作品ーナデシコ航海編ーを漸くお届け出来ました。
時期的には、大体クルスク工業地帯攻略編の数日前と言った処です。
この作品は、第18話「夢か現か幻か」の電脳世界戦にその端を発します。
何故オモイカネは、横島への心理戦でなく力押しの戦術を選んだのでしょうか?
私的には妙に引っかかりました。下らないとは思いつつ、閃いたのが今回の元ネタと言う訳です。
一種のトラウマですな・・(汗)あんなヘタレた手段で消されかかったんじゃ堪らんものがあるでしょう。
事件そのものはデータごと揉み消したものの、横島の記憶自体は流石に手放すのが惜しかったと言う事で、究極の魔神・電脳世界に降臨とあいなりました。
コスプレだけであんな目に遭うのだから、ルシオラ本人利用したら何されるかわからん!?
・・でも、他のキャラを力押しに使用する位ならひょっとして・・?とオモイカネ的には言った処でしょうね。
ぎりぎりまでちょっかい掛けなかったのも、その躊躇いあればこそ頷けると言うものです。
取り合えず、そうご理解・ご承諾頂ければ幸いです。
こんなしょもない作品ばかりの私ですが、どうぞ今後ともお目こぼしの上お気楽にお付き合い下さいませ。次回作も、一つ宜しく〜。

 

 

代理人の感想

う〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん。

横島の行動がちょっと腑に落ちないかなぁ。

基本的に甘い男だから最終的には今回のような決着になるにしろ、

ああ言う形でルシオラをネタにされたら間違い無く本気で怒りますよ?

下手をすればそれこそ完全に己を見失うくらいに。

そう言う意味で今回はちと失敗でしたかねぇ。