注:これは、Fateとナデシコのクロススオーバーです。
どちらかの作品を知らない方、または、どちらかの作品に愛を持っている方には、薦める事が出来ません。
それでも良いと言うなれば、どうぞお進み下さい……。
Nadesico/stay night
古城
そこには、4人の、正確には、2人と2体のサーヴァントがいた。
1体は黒髪をオールバックにし、顔を半分ほど覆うバイザーをつけ、黒いマントを羽織っていた。
もう1体は、2mほどはあろう大男で、その手には、アニメで使われているような、大剣が握られていた。
2組のマスターとサヴァーントは睨み合い、硬直状態が続いていた。
いつまでもこの状態が続くと思われた時、
漆黒のサーヴァントがそのマスターの前に出て言った。
「……ここは私に任せて、先に行くんだユリカ」
「……でも………アーチャーさん、わたし……」
何かを言いかけるユリカ。
「……ところでユリカ。一つ確認していいか?」
それを、場違いなほど平然とした声で、アーチャーが遮った。
「………なんですか?」
伏目でアーチャーを見るユリカ。
アーチャーはバーサーカーを見据えたまま、トンデモナイ事を口にした。
「ああ、時間を稼ぐのはいいが―――
別に、アレを倒してしまっても構わんのだろう?」
(!! この人は……)
「……アーチャーさん――――はい、遠慮はいりません。
がつんと痛い目にあわせちゃってください、アーチャーさん」
そう言われると、漆黒の弓兵とても愉しそうに口元を歪めた。
「そうか。ならば、期待に応えるとしよう」
それを聞いて、ユリカは振り返り、駆け出した。
彼女は後ろを決して振り向かなかった。
それが、彼女のサーヴァントに対する最高の敬意だったから……。
「哀れね、アーチャー。犬死しろだなんて……。とんでもないマスターもいたものね……」
そう言い、無謀にもこの場に残った漆黒の弓兵を桃色の髪の少女は、クスクスと笑った。
「……フ…、――確かに、まともに召喚をしないわ、他のマスターと仲良くなるわ、
料理が■■■わ、家事がまったく出来なくて私に任せるわで、とんでもないマスターだ」
そう愚痴りながら、彼は、自身の半身ともいえるオートマチックの拳銃をとり出した。
「だが! 必要なときに、迅速かつ適切に判断し、行動する。
迷うことも、躊躇することも、―――後悔することも無く!
最高のカードを手にいれた、どこぞの甘ちゃんの半端者より遥かに優秀なマスターだ!
――それに私にもまだ、やらねばならん事があるのでな……この様な所で死ぬ気はサラサラない!!」
少女は哀れみの視線をアーチャーに向けながら言った。
「………アーチャー……悪いけど、その冗談はまったく笑えないわ。
私の最強のサーヴァントを倒す? 冗談もほどほどにしてよね。
あのセイバーだって、打ち合うのがやっと。
それなのに、セイバーより劣るアナタがバーサーカーをどうにか出来るとでも、アーチャー?」
アーチャーは拳銃を持ち直立不動のまま言った。
「……ふむ、確かに。私は彼女に劣っているだろう。それは認めよう。
……だが、ラピス・ラズリよ、間違ってもらっては困る。
それは決闘をした場合だ。――――これは、戦争だ――――」
ダダダダダダダ……
[そこには、正義も悪も、何も無い。ただ、あるのは、ただ一人、立っていた者が勝者という結果のみ]
アーチャーが言い終えると共に、彼女に10発近くの銃弾が迫って来ていた。
それに気づくと、バーサーカーは床を蹴り、瞬時に彼女の元に向かい、
10発近くの魔力でできた銃弾を、その手に持った大剣で叩き落した。
「■■■■■!!!」
ガガガガガガガ……
「きゃっ!」
ラピスはあまりの事に驚き、しゃがみ込む。
(流石だな、正義の味方に憧れし男………だが!!)
バサーカーの反応と、狂っているとはいえ、その判断の速さにアーチャーは内心驚いていた。
しかし、彼は、その手を休めることなく、次の攻撃に移っていた。
ドゥン、ドゥン
「言うなれば――」
「――――え?」
ラピスが見上げると、大砲のような音ともに、バーサーカーの左半身が消滅していた。
「敵対するモノを――私の前に立ちはだかるモノを、殲滅する事だけならば、
能力の優劣などつまらぬ事だ。…つまり、君の目の前にある現実が全てを物語っている。」
――炸裂――
アーチャーがそう唱えると、バーサーカーの頭は、跡形も無くはじけ飛んだ。
「!! うそ! バーサーカーを二度も殺すなんて……
……フフフ、やるわねアーチャー。でも分かってるんでしょう。
たかが、1回や2回殺したくらいでバーサーカーは倒れないって。」
「分かっているとも。そのバーサーカーは限りなく不死に近い。
ならばどうやって倒すか? 答えは簡単だ。ラピス・ラズリ、君を――」
――殺す――
そう言うや否や、アーチャーは、ラピスに対し何十発もの魔力でできた銃弾を放った。
だが、銃弾は彼女に届くことは無く、またもバーサーカーの手によって全て叩き落されていた。
「■■■■■■!!!」
「クッ!!」
「……確かにアナタの言う事も一理あるわ。
でもね、アーチャー……絶対的な格の違いの前には『そんな事』は無意味よ」
そう言い彼女は唱える。自身の身を守っている狂戦士の強さをさらに絶対的なものにする一言を……。
――狂いなさい、バーサーカー――
「■■■■■■■■!!!」
(これはまずいな。やはり少々無茶をしすぎたか。
だが、こうなったからには、真っ向勝負と行こうかバーサーカー)
そんな事を考え、漆黒の弓兵は絶体絶命だというのにも関わらず、
口元に、歪んだ笑みを貼り付けながら、愛用の拳銃を握り締め、床を蹴った。
最強最大の敵を殲滅するために……。
「ネタがないよ〜、暇もないよ〜、そして、(作者に)実力がないよ〜、ドラゑもーん(旧)」(爆)
と言う中で、試験的に作ったこの一本。
アナタにとって、この作品が面白かったのなら幸いです。
感想、評価ともに待っています。
場面説明
セイバールート 十一日目 「遠い背中」 だったかな?
のアーチャーが一人残ってバーサーカーと戦うところ。
やっぱ、アーチャーって漢だよなぁ……
代理人の感想
うーん。これも「だから?」という感じですね。
話の一部分を切り取っただけでは短編にならないんですよ。盛り上げてオチつけないと。
この場合なら、戦闘シーンや心理描写で盛り上げてから、ラピスなりアキトなりが何らかの「結論」を出して終らせるのが一番やりやすいでしょうか。
この結論というのはやるだけやったという満足感でもいいし、アキトがラピスを殺してしまった時の感慨でもいいし、
反対にラピスの驚愕とかガイの信念の表明(バーサーカー流のね)とかでもいいわけです。
ともかくエンドマークが付かないのはお話じゃなくてただの文章。これ鉄則。