逆行者+突破者
第七話「狂気+凶器」
気づいたら八ヶ月もたっていた。
その間にネルガルでも色々あった様で、
ナデシコの二番艦、コスモスが出来ていたこと。
ナデシコが軍の極東方面に編入されるということ。
新パイロットにアカツキ ナガレ、副操舵士にエリナ キンジョウ ウォン、
提督にキノコ(自的呼称)が来たこと。
……他にも色々あったがとりあえずこんなことがあったと思い返していた。
「あれ?ツバキくん、なにぶつぶつ言ってるの?」
「いや、ちょっと状況確認をしていただけ」
隣りに座っているヒカルさんに返事を返す。
只今ナデシコは救出作戦と言うものをしている真っ最中だ。
北極に居る親善大使を救出しに行くのだが移動中はパイロットは暇なのだ。
それで皆、食堂に居るわけである。
「やあ、テンカワ君。
今暇ならちょっと付き合って欲しいんだ、け、ど………そんな意味じゃないよ君達」
アカツキさんがそんなことを言った。その言い方はヤバイって。
「ちょっとトレーニングルームまで来てもらおうかな」
「お、そう言えば良い機会だな。
俺もテンカワと模擬戦をやってみたかったんだ」
「あ〜、私もアキト君と模擬戦してみた〜い!!」
「………私も興味があるわ」
三人娘さんも一気に話しに乗る。
「お、男同士の話しがしたかったんだけどね………」
「じゃ、俺も行っていいよな。男だから」
そう言って全員でトレーニングルームに向かった。
目の前のスクリーンでアキトVS三人娘の試合を映している。
三対一でもまだアキトに余裕があるようだ。
「いや〜、凄まじい強さだねぇ」
「たぶん、五対一でも勝てないだろうな」
俺とアカツキさんはその様子を観戦している。
「しかしアヤトくんの方だったら勝てるんじゃないの?」
「無理だな。勝っても所詮まぐれだろうな、そんなのは面白くないだろう?」
そんなことを話してるうちに佳境に入ったようだ。
「さてと、俺は戻るか」
「あれ?ツバキくんは戦っていかないのかい?」
「負けるのは目に見えてるからな。それに男同士の話しがしたかったんだろ。
だったら邪魔者は消えるさ」
そう言って俺はトレーニングルームを出た。
「おう!ツバキ、いいところにいたな」
自室に戻る途中セイヤさんに呼び止められた。
「実はな、お前これに入るきないか?」
そして一枚の紙を渡してきた。
書いてあった内容は、……ある組織への勧誘だった。
「………遠慮しときます(どうなるか先が見えてるからな)」
「うむむ、どうしてもダメか?お前の戦闘力は捨てがたいが」
「まあ、必要なときに取引などによって協力するって形でなら…」
そして俺は某組織のスーパーバイザーになった………
そして北極に着いたのだが、
艦長がポカやらかしたらしくてすんなり行けなくなった。
それで敵襲に遭っているのだが、
「おおおおおおおおおおおおおお!!!」
アキトが光る剣(DFSと言うらしい)で敵を片っ端から切り刻んでいる。
リミッターを外し、強力なGに耐えながら、
己を守る鎧すら刃にして戦うその姿を、
………俺は直視できなかった。
戦艦8隻と無人兵器600匹を葬ったアキトが格納庫に戻ると、
セイヤさんが詰め寄って殴ろうとしていた。
だがそれよりも早く、
エステを飛び出した俺がアキトを殴り倒した。
「アキト!お前、あんな戦い方で死ぬことを考えなかったのか!!」
「別に………、死ぬつもりはなかったし」
「死が怖くないってか。はは…」
その一言で俺は……、本当にキレた。
「ならば今すぐ死んでしまえっ!!そこまで無知ならいっそ不快だ!!!」
俺の声が格納庫に響き渡る。
そしてアキトに背を向けて捨て台詞をはく。
「ナデシコを守りたいんだったら自分という者の意味を、死の意味を考えろ。
それもわからないような馬鹿者は、
少なくとも俺は見ていて嫌になるんだ」
そう言って俺は格納庫を出て行った。
ここまで無防備になったのに殺されなかったってことは、
アイツも同意見だったってことか。
そんなことを考えながら一つの危惧も思い当たった。
「アキトは………、突破するかもしれない」
身を切り裂く刃………
心を引き裂く刃………
どちらも凶器という意味では変わらない………
……どちらも己を傷つけかねない諸刃だということも………
後書き
ツバキ:今回はかなり過激なことを言ったな。
無識:私の考えとしては切れて見境ない奴はたいしたことないと思うからね。
ツ:そういや今回もアレ出てなかったな。
無:それについてはちょっと言いたい事がありまして………
前回出さなかったので今回は出そうと思って書いてみたんですけど、
出番が不自然で面白くなかったんです。自分で見ても。
シリアスな所であまり出すのもなんか変ですし。
だからといって前みたいに後書きで出すと
いかにもとってつけましたって感じだし。
そんなわけで少なくとも自分で納得できるネタが思いつくまで出しません。
自分でもお気に入りなんで自分の力不足で潰すの嫌ですから。
もしも期待してくれた方がいたら本当に済みませんでした。
ツ:そんな事を言いながらすぐにネタを思いついて次回に出てたりしてな。
無:うん。それでもいいと思うんだ。
自分で納得できなきゃ人様に見せらんないってだけだから。
代理人の感想
むう。出ないことそれ自体は残念ですが、作者の方が考えた上での決断なら読者としては何も言うべきことはありません。
・・・・・・・・・・・・・・・いえ、ひとつだけありましたね。
納得できるネタを思いついて早く出して下さい(核爆)。