逆行者+突破者
第十二話「暗躍×日常」
立ち上る煙。
火薬の匂い。
人々の焦燥。
始めてこの世界に来た私の感想は、
あまり、良いとはいえなかった。
戦争は昔を、よく思い出させるから……
「すいませーん。ちょっと遅れちゃって」
アヤトくんの声を聞いて軽く寝ていたことを自覚する。
「いいよー別に。時間はたっぷりあるし」
協力の依頼を受けてから私は早速情報収集を始めた。
チューリップなどの木連関係については結構入って来ているが、
予想された謀殺、最悪だと周りの人を巻き込むような、
凶悪なものは今のところ入ってきていない。
まあ、入らないに越した事はないんだけど。
「そっちの方はどう?現場でしかわからない事ってあるじゃない?」
「ああ、こっちは変わった事はまるでなし。
日がなアキトさんが所構わず落としてる以外はね。
この前も、前言ったサラさんの妹さん、アリサさんって言うんですけど、
苦もなく落としましたから」
「アキトくんのそういう噂はゴロゴロ入ってくるからね〜、
しかもほとんど当たり。
今度まとめて渡してあげようか?」
「いただきます!是非とも!」
怪しい色に眼を輝かせながら言ってくる。
なーに企んでるんだろ。こいつは。
「それにしても私の存在をアキトくんにも話さないんだね」
別にアキトくんぐらいなら話しても良いと思うけど。
「敵を欺くにはまず味方から。
切り札は隠しとかなくちゃ、クレアちゃん」
ジャキッ!!
「は〜い。今後、その名前で呼ばないように」
アヤトくんの眉間をポイントしながら感情の無い声で言う。
「了解ッス、すいません。ファルさん」(汗)
その答えに満足してリボルバーをホルスターに収める。
まったく、今度言ったら速射だぞ!
「しかし、ずいぶん古そうな銃ですね」
「まあ、この世界じゃ骨董品みたいなもんだけどね。
それでも使い古した相棒だから」
「そういうもんですかね?」
「そういうもん!」
こういうのは言い切った者勝ちなのだ!
「そういえばアキトくんは今、なにしてるの?」
「さっき言ったサラさんとアリサさんの祖父、
西欧方面軍の総司令なんですけど、その人に会うみたいです。
ただ、アキトさんの軍嫌いも根が深いですから……、
ちょっと不安ですね」
「それなら大丈夫だよ。その人なら根は良い人だから。
そうなるとヤガミくんも関わってくるか〜」
「ヤガミ?」
怪訝そうな声で問い返してくる。
そっか、アヤトくんは会ってなかったっけ。
「テ二シアン島でアキトくんと戦った、
元クリムゾンのシークレットサービス。
今はその総司令のガードをやってる。
多分だけどこれから関わってくると思うよ」
「そうですか……要チェックやっ!!」
バカなこと言ってるアヤトくんを無視してベンチから立ち上がる。
「じゃ、私は帰るから」
「ハイ、おやすみなさい」
そう言って私達は、
子供達がはしゃぐ公園を後にした。
「なななななななななななななな!!!!」
………うるさい(怒)
いきなり聞こえてきたアキトらしき人物の悲鳴で目が覚めた。
まったく、一言文句言ってやらんと気がすまん。
そう思って、自分の部屋を出てアキトの部屋を目指す。
来てみるとちょうどマスターキーを持ってきた、
シュン隊長一同と出くわす。
「おっ!ツバキも来たか!俺も突然アキトの部屋から悲鳴が、って……」
はあ、なにを慌てているんだろうか。
少し考えれば思いつきそうなものを。
こういうときに真っ先に来る人達がいないことに。
そして……シュン隊長がパンドラの箱を開く。
「おい!!アキト、大丈夫か!!
お前の部屋から悲鳴が、聞こえる、っ………て。」
俺にとって予想どうりの光景は他の人達には衝撃だったようだ。
「アキト………ほどほどにな」
とりあえず言いたい事言ってここから離脱する。
「誤解だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」(泣)
後ろから魂の黒魔術が聞こえたが気にしない♪気にしない♪
ほとぼりが冷めたかなっと思った頃に食堂に来てみると、
なぜかアキトは居ずにサラさんとサングラスをした男性がいた。
「あれ?何でこんな所にガキんちょが?」
「これでもアキトと同い年でれっきとしたパイロットだよ」
うんざりしながら言う。
相手はびっくりしているようだ。
「そ、そうか。悪かったな。
俺はヤガミ ナオ。只今の役職は一応ガード。
そういや今の口ぶりだとアキトの知り合いか?」
なるほど、この人がヤガミさんか。
「ええ、俺もナデシコから来ましたから」
その時、基地の非常警報が鳴り響いた。
「詳しいことはまた後で、ですね」
そう言って俺は出撃準備をしにいった。
まあ今回も、危なげなく終わった。
チューリップが二つなら俺でもバーストモードで落とせるだろう。
途中のアキトとヤガミさんの漫才は一見の価値はあったがな。
「か、軽い冗談のつもりだったんだよ!!」
「………」
「アキト、特別に貸してやろう」
「………」
ブオンッ!!ブオンッ!!
「ちょっとまて!どこから出したそのバット!?」
「企業秘密だ」
「………」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
部屋で徹夜で作業してから食堂に来てみると、
なぜか全身打撲のはずなのにいるヤガミさんとアキトと、
……姉妹みたいな子供と女の人がいた。
ふむふむ、軍の基地ってこうなってんだー。
只今私はジャーナリストと言うことで基地に潜入している。
やっぱりここは外せないからなー。
さっそく情報を集めようとしたところ……、
「ふーん、メティちゃんと言うのか」
食堂の方から聞き覚えのある声がした。
なんかおもしろそうだな………行って見よう!
来てみるとやはり面白いことになってた。
「だからな、悪いことは言わん。あきらめろ」
ツバキくんが女の子(多分メティス テア)に諭すように言う。
「なんでよ!!そんなのわかんないじゃない!!」
猛然と反論するメティちゃん。
……なるほど、事情は読み込めた。
おこがましくもツバキくんが人の色恋沙汰に口はさんだのか。
「だからな、アキトは子供は好きだがロリコンじゃない……と思う。
それにな古今東西、年上への初恋は破れると決まって……」
「メティちゃんキィィィィィック!!!」
おお!むこうずねにローキックが決まった!
これは痛い!悶絶している!!
「は、はは……いつつ。ねっ、メティちゃん?」
おっ!アヤトくんに切り替わったようだ。
しゃがんで目の高さをあわせる(元から身長低いけど)
「まだ先は長いんだ。今は悲しいけどまだまだチャンスはあるよ」
あああっ!!切り替わってもバカモノにかわりなし!!
さすがは基本的には同じだけあるな。
「メティちゃんアッパカァァァァット!!!」
決まったぁぁぁ!!たぶん元はタ○ガーアッパーカットだね。
さすがのアヤトも……おおっ!!踏み止まった!!!
「ふっ……ふふふ。いいだろうメティちゃん!!」
あっ!ツバキに戻った。
「ならば賭けようじゃないか。
俺が負けたらこのエンタイトルツーベース君をやろう!」
「なら!私が負けたら誕生日に貰ったくまのぬいぐるみをあげる!」
「いいだろう。ハイリスク、ハイリターン望むところだ。
逃げるなよ!!」
「そっちこそ!!」
あっ!さすがに止めに入るみたいだ。ミリアさんやアキトくんたち。
「ね、いいかげんにやめましょ」
「止めないでお姉ちゃん!!これは男と女の勝負!!」
「なあ、ツバキ。いいかげんにやめないか?」
「そうだぞ、さすがに大人気ないぞ」
「止めるな!アキト、ヤガミさん!この闘いは誰にも止められん!!」
「「くっくっくっくっくっくっくっくっ」」
ふう、久しぶりに面白いのを見た……、
さてっ、次は仕事に頑張りますか!
変わらない日常………
心地良い騒がしさ………
掛け替えの無い暖かさ………
……嵐は全てを奪うのか………
後書き
ファル:やっちゃったね……。
無識:は……ははは。
フ:メティちゃんは壊すし、ツバキ達はひどい事言うし。
無:その……あそこの部分は見逃がしてください。
ちょっと、本当にちょっとですが、後に関係してくるので。
フ:それじゃ次回はどうなるの?
無:「時の流れに」で有名なあの部分、私だとこうなります、みたいな。
代理人の感想
ロリコンでしょう。
ええ、それはもう。
某所では「真性」とはっきり断言されちゃってますし(爆)。
ところで私だとこうなります、と言うことは・・・・やっちゃうんですね(核爆)?