逆行者+突破者

第十五話「再会÷祭事」

 

 

 アキトはナデシコへと旅立っていった。

 ファルやシュンさん達もシャトルで後を追っかけている。

 しかし、俺他一名は訳が有って別行動をする事になった。

 

 

 

 俺は今、日本のネルガルの研究所に来ていた。

 目的はマシンチャイルド二名の誘拐。

 人聞きは悪いがアキトからの依頼だしな。

 

「………なあ、ツバキ」

 

 呼ばれて一緒に来ていたナオさんの方を振り向く。

 なぜかナオさんは異様に疲れているようだった。

 

「その格好………どうにかならないのか」

 

 なにか変なのか?

 ちなみに今の俺の格好は、

 黒いスーツにサングラス。

 雰囲気で言うとMIBだな。

 ……若干、背が足りないのは致し方ない。

 

「こういうのはノリが大事なんだぞ」

 

「………俺はついていけん」

 

 何を言ってる、似たような格好のくせに。

 

 

 

 そうしていると、

 

「ねえ、あなたたちがナオさんとツバキさん?」

 

 そういわれて振り返ると、

 金色の瞳の二人の子供がいた。

 

「ああ、お兄ちゃん達がそうだよ」

 

 ナオさん………先手を打ったか。

 

「そっか、おじちゃんとお兄ちゃんがそうだったんだ」

 

 桃色の髪の女の子が微笑みながら、

 ナオさんにピンポイントガードクラッシュを放った。

 まあ、6、7歳と28歳じゃあ、仕方ないだろう。

 ナオさんは崩れ落ちてさめざめと泣いている。

 

「あの〜、早く逃げた方がいいですよ」

 

 黒髪の男の子が言ってくる。

 

「うーん。ちょっと手遅れだな」

 

 俺が気配のした方を見てみると、

 すでにガードマンと研究員らしき人物達の姿があった。

 

「さて、軽くひねりますか、ナオさん」

 

「おいおい」

 

 俺の言葉にナオさんは肩をすくめるが、

 そうこうしているうちに彼等が目の前までたどり着いた。

 

「おい!!貴様等、その実験体を返せ!!」

 

 ふーん、実験体と来たか。

 俺はある程度予想していたが、

 ナオさんの方は今の言葉に頭に来たようだ。

 

「大人しく返せば……グハァッ!!」

 

 最後までセリフも言えずに、研究員その1はナオさんに沈められた。

 

「全部やっちゃっていいよな?」

 

 確認するまでもないがとりあえず聞いておく。

 

「うん、アキトもナオさん達ならわかってくれる、って言ってた」

 

 なるほど、それじゃ遠慮なくやれるって事か。

 そういやこの子、アキトとリンクしてるんだっけ。

 気をつけなくちゃな。

 

 

 

 まあ、ただのガードと研究員達で俺とナオさんに対抗できる訳もなく、

 全員、地面で気絶していることのなった。

 まっ、殺さなかっただけ、ありがたいと思ってもらおう。

 さすがの俺も子供の前の殺しは気が引ける。

 

「さてと、それじゃ行きますか」

 

「もうちょっと待って、もう直ぐ花火が上がるから」

 

 なに?

 俺とナオさんが疑問に思ったその時……

 

 ドゴォォォォォォォォンンンンン!!

 

 ……俺の背後で研究所の一部が爆発した。

 呆然としている俺とナオさん。

 爆破した張本人たちは無邪気に笑っている。

 

 ラピス ラズリ、マキビ ハリ。

 なるほど、伊達に逆行しちゃいないって訳か……

 

 

 

 

 車でヨコスカベイ地球連合宇宙戦艦ドックに向かっている途中なのだが、

 二人の俺を見る目は厳しい。

 

「あなたが、アキトが言ってたツバキさんなんだ」

 

「そう、そのツバキだ」

 

 俺はアキト達が逆行していることまで知っているからな。

 この子等としては十分怪しい人物なのだろう。

 

「………その格好、変」

 

 ………前言撤回、どうやら俺の外見を怪しんでいたようだ。

 しかし、変とはなんだ、変とは!

 特殊工作員といったらこれがオフィシャルな格好だろうが!

 現にナオさんがそうだし!

 

 そんな事を俺が物々考えていると、

 いつのまにか話題がアキトへのお仕置きに変わっていた。

 

「………肉体的な罰は却下。

 もっと精神的なお仕置じゃないと駄目」

 

「じゃあ、俺に一つアイデアがあるぞ?」

 

 ……邪悪な笑みを浮かべてナオさんがアキトを売ってるし。

 まあ、こんな仕事を俺達に任せたのもアキトだしな。

 だから、別に俺も止めはしない。

 

 

 

 

「パパ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

 

「お父さ〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!」

 

「何ぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」

 

 ラピスちゃんとハーリー君が発した力ある言葉により、

 もはやナデシコは収拾がつかなくなっていた。

 

「アキトーーーー!!!貴様ーーーーーー!!!」

 

「まだ、子供がいたのかぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 まあ、これも試練だ。諦め………、

 ……あれ?今、変な事誰か言わなかったか。

 

「おいーす、お帰り、ツバキくん」

 

「おう、ファル。なあ、今誰か変な事言わなかったか?」

 

「ああ、今シャトルから密航者が見つかった所でね。

 その子の事をみんなが誤解している時に丁度、来たから」

 

 ファルは面白くってしょうがないって顔で話してくる。

 しかし、なんだよ。密航者って。

 そう思って周りを見渡した時、

 

「メティス!?」

 

 大声をあげて注目を集めるが気にせず問い詰める。

 

「お前、なんでこんな所にいるんだ!?」

 

「えっ!?ツバキ、なの?そ、その、アキトを、追いかけて、来て…」

 

 赤い顔をしながらそう反論してくる。

 

「…ったく、ミリアさんになんていえば良いんだよ」

 

「あっ、それは大丈夫。

 お姉ちゃん、説得してきたから」

 

 なにぃ?そんな事、メティスに出来るわけ…………!!

 ある考えが思い当たり、目を光らせながらファルの方に振り返った。

 

「お前か……妙な入れ知恵をしたのは……」

 

「なんのことかな〜。私はただメティちゃんに、

 私が旅で強引な説得をしたとか、

 船に密航した体験談なんかを、

 詳細に話しただけだよ〜♪」

 

 このやろう……人をもてあそんで、そんなに楽しいか。

 

「それに、賭けは正当にやらなくちゃ勝負にならないでしょ?」

 

 くっ、確かにその言い分は一理ある。

 ……しかたない、面倒だが我慢するか。

 

「ねえ、ところでさ…」

 

 メティスに呼ばれて振り返る。

 

「その変な格好………何?」

 

 むかっ!!

 漢心がわかると思ったお前までそんな事を言うか!

 

「フッ……、どうせお子様にはわからんさ」

 

「……………………」

 

 ん?メティスは無言で近づいて来て……、

 

 ドゴッ!!

 

 ぐはっ!!

 いきなり虎砲を放ちやがった!

 

「子供扱いしないでよ!

 それに子供じゃなくたってわからないわよ!」

 

 そんな事をいいながら、メティスはどこかに走っていった。

 くっ!ヒット・アンド・アウェイとは卑怯な!

 

「ふ〜ん。ツバキ君ってそうだったんだ」

 

 いきなり呼ばれたので振り向くと、

 なぜか納得顔の女性陣と、

 殺気をまとった男性陣がいた。

 

「……アキトと親しくてもお前は違うと思っていたのに」

 

「こんな形で裏切られるとはね……」

 

 セイヤさんとアカツキさんがそんな事を言う。

 

「おい、いったい何を言って………」

 

「問答無用!!こうなったら貴様から粛正してやる!!」

 

 そういって現れるリリーちゃん。

 

「いくぞ!!リリーちゃんXの力!!

 サテライ○キャノン!!」

 

 月が出ていないのにどうして撃てる?!

 ならば!!

 

「エンタイトルツーベース君X!!

 グラン○ヴァイパー!!!」

 

 同じXでもこっちはギルギアだ!

 この技は地面すれすれを移動する為、飛び道具は当たらん!

 そして、セイヤさんに肉薄し、炎を纏ったエンタイトルツーベース君を振るう!

 

 ズガガガガァァァァン!!!!

 SLASH!

 

 

 

 

 はてさて、

 嵐の再会劇から一日が過ぎ、

 今日はクリスマスパーティー。

 まあ、深夜の水面下では色々有ったようだけど…。

 私とツバキはパスさせてもらった。

 私らがいたら余計ややこしくなるからね。

 

 

 パーティーは概ね順調に進んだ。

 もっとも、アキトくんが新クルーに女装して挨拶したり、

 その女装したアキトくんにツバキくんが、

 

「女装を、するなぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 とか、いいながら突っ込んだりとそれなりに面白かったけど、

 今回のメインイベントは……、

 

 ビー!! ビー!! ビー!!

 

 ………やっぱり、これかな。

 

 

 

 

 ジンシリーズ。

 見た目ゲキガンガーなんてこってるよね〜。

 アヤトくん達はその強力なディストーション・フィールドに苦戦している。

 あっ、ちなみにさっきのツバキくんの暴走の時に変わったのだ。

 DFSなら破れちゃうから、都合良かったんだけど。

 そうこうしているうちにアキトくんが一体を行動不能にする。

 勿論、中の白鳥さんを殺さないようにね。

 もう一体も集中攻撃を受けて追い詰められる。

 そして自爆しようとした時、アキトくんがその機体ごとジャンプする。

 

 月に向かって………

 

 

 

 

 再会を果たす者………

 新たな出会いをする者………

 故に時は二つの皮肉を用意する………

 ……一つは望まぬ再会、一つは在りえざる邂逅………

 

 

 

 

後書き

無識:メティちゃんを勢いで乗っけちまった!

アヤト:ほんとに行き当たりばったりで進むよね。

    いつか皺寄せが必ず来るよ。

無:いや、今回もかなり難産だったぞ。

  ちょうどこの辺りの構想、すっぽり抜けてたから。

ア:ふーん、それで、メティスはどれくらい強くなるの?

無:何を言う。

  メティちゃんはちょっとツッコミの厳しい普通の女の子だぞ。

  これでもギャグとシリアスは切り離すと決めてるからな。

  まあ、ギャグならク○ダ流交殺法くらいは………。

 

 

 

代理人の感想

 

あれでちょっとかい(爆)。

あのツッコミの嵐を一体誰が仕込んだんだか(笑)

 

 

ク○ダ流・・・・妙に似合うかも(爆)。