………………しかし、この辺りがブラックサレナの限界か………
今のままでは鈍い。セイヤさんにでも今度言ってみるか。
黒い王子の黄昏―或いは神々の平凡(?)な日常―
3話 Aパート
……補給を終えたユーチャリスで、また航行を始めて、数時間が経った。
今のところ何事も無く順調に航行を続けている。いつもと違う所と言えば、
艦長席が広くなっていて、ディアとラピスがひざの上に居る事と、
なぜか、ユーチャリスの内装が、かなり変わっていた事か?
部屋数が増えていたし、食料等も無駄に多い。
ナデシコ並みに広いが、男女に別れていない風呂や妖しい道具類などを入れた倉庫。
そして、いつのまにか俺の部屋の扉に付けられていた鬼畜王の間と書かれたプレート。
アカツキ、たかが一日の間にいったい何をした?こんな事をしてまたエリナに叱られても俺は知らんぞ?
それとも、これもあの大魔王とか言う奴の仕業か?
まあ、それはいい。使い方がわからない物も別に無いしな。仕返しもあとでするとしよう。
それは、いいのだが。
「やはり、ブロスにも一言いっておくべきだったか?」
膝の上に乗り、俺の持つグラスにアカツキが無駄に多く積んだ酒を注ぐディアに言ってみる。
「う〜ん。別に良いんじゃない?どうせ、連れてこなかったんでしょ?」
「それはそうだが、一応、な」
「ブロスがいてもどうせ邪魔になるだけだよ?
あ、でもユーチャリスの操作を任せれば良かったかな?」
ブロス、少しだけ同情するぞ。そんな事を思いながら注がれた酒を飲み干す。
「……まあ、いいか」
「そうだよ、アキト兄には、私が居るし」
「ちがう」
「?何が違うって言うの?ラピ姉?」(怒)
「アキトと居るのは、私!私は、アキトの眼、アキトの耳、
アキトの手、アキトの足、アキトのアキトの……アキトは私の全て!アキトの全ては私のもの!!」(怒)
「アキト兄には、五感が戻ったし、そんなの関係ないよ!!」(怒怒!)
「アキトはそう言ってくれた!!」(怒怒!)
……そこまで言った憶えは無いと思うが?
「アキト、言ってくれたよね?」
「アキト兄!違うよね?」(怒怒!)
……俺にどう言えと言うんだ?
…………ラピス、潤んだ眼で俺を見ないでくれ……
……………ディア、そんなに怒る事でもないだろう?……
……考えるんだ!この場をうまく切り抜ける方法を!
こんな所で、過去に戻った俺と同じ過ちへの道など開くわけにはいかない!!
あんな尻に敷かれ自由の無い道など俺にはふさわしくない!!
そんな道は、アカツキやブロスにこそふさわしい!!
*注 この間0,1秒
『アキト、そろそろ予定していた地点に着くよ』
ダッシュ!すばらしいタイミングだ!
「すぐに攻撃できるようそろそろブラックサレナに乗っておく。
ラピス、ディア、ユーチャリスの操艦は頼んだぞ」
アキトは、そう言うと素早くブリッジから出ていく。
「アキト!」
「アキト兄、話はまだ終わってないよ!」(怒怒!)
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格納庫のブラックサレナに乗り込み、出撃準備を進める。まあ、あと20分は必要無いだろうけど。
ブラックサレナなら回線を閉じておく事も出きるからな。
さて、火星の後継者の残党が見つかるまでにどうするか考えておくか。
ラピスとディア、各個撃破は簡単だ。二人同時に撃破することもそう難しい事ではない。
むしろ、今後の事を考えるとラピスとディアの二人くらい軽く撃破しないとな。
問題は、どうやって撃破するかだ。
……………………………………よし、あの手で行くか……………
……?…待てよ?……俺はさっき二人から逃げたのか?…
この俺が?…エリナとイネスの二人相手に同じような状態に何度もあっても
何時もその場で切り抜けてきたこの俺が、なぜあの位のことで逃げなければならないんだ!?
……ま、まさか、過去に戻った俺のトラウマが俺にも植え付けられたとでも言うのか?…
ビシッ…アキトは固まりひび割れる……
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ふう、やっと新しい隠れ家の完成だ!
ここなら、代魔王も気付かないだろう。さてアキトめ、どうやって仕返しをしてやろうかな?
まずは、観察して、奴のアキレス腱を見つけないとな。
奴の事だからどうせ複数名になるんだろうが、
その方が、好都合と言う物。
ふっふっふっふっふっふ。
_……こいつ、ほんとに危ない人だな。我等を後押しすると言う事を条件に
協力することにしたが、早まったかな?
しかし、これも全てはあの方の為だ。でも…………
この頃代魔王率いる真○の○○が不穏な動きをしているらしいし。
……何時でも手を切る事が出きるように準備をしておくか。
おい、白い鉄。
_!?なんです?
アキトの周辺調査をしてきてくれ。アキト報復作戦にどうしても必要なんだ。
_わかりました。それでは、行ってきます。(さて、その間に同志達と連絡を取り、今後の事を決めないとな)