歩を進めると同時に、見えてくる道の先。
正しい道であるかはわからない、どこに繋がっているかもわからない。
でも、この道こそが求める道だとただ信じて――――――今を、歩む。
The Prince Desire Peace
Kusakabe Akito
とりあえず天川に戻って数時間・・・・・俺の執務室に通信が入った。
『どうも。会談の件、承諾だそうです。一応身の安全も保障するそうですよ』
「ありがとう御座います。それといい忘れてたんだすが、ネルガル会長に『イメージングのデータを送って欲しい』と頼んでいただけませんか?そうすれば、これ以上そちらに御迷惑をかけずに直接ネルガルにいけますので」
プロスペクターとかいったか。・・・・・・明らかに本名じゃないよな。
『?・・・・よくわかりませんが、とりあえず伝えておきますよ』
「ありがとう御座います。ではまた」
『隊長、ナデシコの艦長から通信が来ていますが、どうされます?』
「わかった。まわしてくれ」
『アキトッ!私達と一緒にいかないってほんと?』
「ああ・・・・プロスペクタ―さんから聞いたんだね?木連も長く空けてると問題あるし、一度帰るよ」
『でもでも、ナデシコに乗るでもしないと地球に入れないよ?チューリップから出てきても大騒ぎになっちゃうし』
「チューリップ?次元跳躍門か。大丈夫、そういうものが無くても俺一人なら簡単に地球にいけるよ。ちょっと危ないけど・・・まぁ機体も持っていくしね」
『危ないって、だめじゃない!!それに・・・う〜もっとアキトと一緒にいたいのにっ』
「ま、また今度ね。じゃッ」そういって回線を強制遮断する。まともにやっても疲れるだけだ。
・・・・・天真爛漫も結構だが、確か俺の二つ上だから今二十四か。なんだかな・・・再会したばかりの時の雰囲気ならまだ納得がいくんだが。
ピンポンッ。「秋山です。入ってもいいですかね?」
「ん、いいよ。何の用?」今のところ問題は無いはずだが。
「隊長は地球に行くそうですが、跳躍貴石はどうされます?や、火星の遺跡にも有ったでしょうから、そこを研究してた地球側にも跳躍貴石ぐらいはあるんでしょうが。帰ってくるのはそれでよくても行きが辛いですよ?今は次元跳躍門も増産中ですから早々入手できません。しかも・・・・リュウゲツももって行くんでしょ?」
「ま、ね。・・・・ちょっと火星極冠遺跡を調べてみたい。ほんとに調査だけね。どうせあの場にあった次元跳躍門十六の内、少なくとも四つには完全に捕捉されてる。識別信号は出さなかったから、ほかはまだいいけどさ、あの四つにはたぶん画像も取られちゃってるしね。日に一回の木連へのデータ送信の前に叩かないとまずい。後はそれから貴石をとって、ついでに遺跡周辺からも少し頂く・・・・それだけあれば、当分跳躍貴石に困ることも無いだろう?」
火星には探索用は配備されていても偵察用の無人兵器はないし、次元跳躍門もデータリンクの機能は無い。
「隊長・・・最初から謀っていましたね?」
いやいや、目を鋭くしないでくださいよ秋山君。・・・ちょっと怖いから。
「指導者の行動って言うものは、いつも二手三手先を考えて行うものだよ。所詮俺のことだから、大ポカもあるけどさ、それを補ってくれるのが君たちの役目だろ?」苦笑しながら誤魔化すように言う。
「本当にそう思うなら相談くらいしてくださいよ、全く・・・。ナデシコでしたっけ?あれを攻撃したのだって、そりゃ脅迫した方が早いことは早いですが。相談くらいはして欲しいものですな。心配で目が離せないじゃないですか」
いや、そう思わせるのも目的の一つだったりするけどさ。
・・・・・結局俺も義理とはいえあの兄貴の弟ってことか。対抗する為とはいえかなり毒されちまってる。死んだ両親や義父が知ったら嘆くな、多分。
Tukiomi Genitiro
バキッ、ゴガ、ゴd
次元跳躍門はやはり頑丈だな・・・いいことだ。
軽く現実逃避しながら、その次元跳躍門の解体に勤しむ。
ナデシコとかいう艦は天川の予備パーツで直せるだけ直した後、地球へと送り返した。隊長は跳躍の為のデータを手に入れたようだ。ちなみにあちらにはこちらも木星圏に直帰するかのように言ってある。
最終的な目的は同じようだし、下手にばらしても軋轢を生むだけだろうという隊長の意見だ。
今は、隊長の指示でまず次元跳躍門を出力を抑えた重力波砲で破壊、機動兵器でその残骸から源八郎と共に跳躍貴石を引っぺがしている。十六有った次元跳躍門の内、十二は距離の関係から完全に捕捉されておらず、また既に移動していた為に無視した。
ちなみに隊長は火星極冠遺跡の調査をしており、九十九はその遺跡周辺から跳躍貴石を集めてきている・・・・北辰殿と一緒に。ご愁傷様と思ってやろう。
黙々と作業を続けていたが、時計を見ればいつの間にやら三時間もたっていた。
辺りを見ても、もう大体終わったようだ。
「源八郎、もういいだろう」
「そうだな。ほかももういい頃かも知れん、俺はちょっと北辰殿と九十九のほうをみて来る。お前は隊長の方へいってみてくれ」
「わかった」
通信すればよいものを・・・怖いもの見たさか?
私の方は普通に隊長に通信しようと思ったが、
「む、繋がらん」ノイズが入りすぎてとても使えたものじゃなくなっている。
天川に通信を繋いでみたが、天川からも隊長に通信が通じないらしい。
機体信号そのものはこの遺跡の最深部にあるらしいので、単に距離か、展開されている時空歪曲場のせいで通信波が届かないのだろう。
「むぅ・・・・仕方が無い、私が直接呼んでくる。万が一の為に、北辰殿が帰還したら、後を追ってくれるように言ってくれ」
可能な限りのの小型化を施した無人兵器のジェネレータ、重力波による母艦からのエネルギー供給。二つのエネルギー系統を持つゲツ型だからこその瞬間最大出力・・・・それをもって無理やり極冠遺跡の時空歪曲場を突破していく。
幾重もの歪曲場をこえ、やっとのことで最深部にいる隊長を見つけた。
「たいちょうっ、もういい時間です。ご帰還を」
隊長はリュウゲツを降り、積んでいた検査機器を使い中央の黒い箱を調べていた。
「ああ、わかった。でも、あと五分・・いや十分待ってくれ」
「早くしてください隊長。・・・・それが例の、次元跳躍の演算装置、ですか?」
隊長は集中しているようで、答えが返ってきたのは一、二分後のことだった。
「ああ・・・・単なる箱にしか見えないが、確かに今も稼動し、跳躍を管理している。・・・って、北辰も来たのか」
隊長の視線を追えば、なるほど紅い機体が降下してきているのが分かる。
「北辰ッ、すぐ終わるからちょっと待っておけッ」
隊長が叫ぶと、北辰殿のセキゲツがうなづいたのが見えた。そのまますこしづつ降下してくる・・・。
八分ほど経っただろうか。隊長がようやく機器を納め、リュウゲツに乗り込んだ。
『じゃあ、ちょっと跳躍して帰ってみるか。両親のデータに寄れば、此処の周囲は全て跳躍貴石と同じ組成らしいから』
「・・・まぁ時間もくってしまいましたし、わかりました。歪曲場を同調させますので展開してください」
『わかっている』
私はリュウゲツの肩を掴み、歪曲場を同調させた。同調させた一個の歪曲場で空間を隔絶することで、戦艦で跳躍するように複数の物体を飛ばすことができる。セキゲツも反対の肩を掴んでいた。
『じゃあ、跳ぶよ』
Kusakabe Akito
イメージ・・・イメージ・・・イメージ・・・目を瞑り、事前に憶えておいた天川の着地地点のすぐそばを思い出す。見ることは出来ないが、今俺の身体はパターンを浮かべ、光を放っているはずだ。
跳躍場を展開し、
「跳や」
キュイィィィィン
突然、頭が痛むほどの耳鳴り。イメージが途切れるのを感じ、急いで跳躍をキャンセルする。
耳鳴りは益々強くなる一方。
『主、いかがなされた』北辰の言葉に応える余裕も無い。
左手で頭を抑え、それでも痛みを振り切ろうと頭を振りながら目を開くと、目の前にまるで歪曲場のような、いや跳躍してきているかのような空間の歪みが見えた。
虚ろな意識のままにハッチを空け、タラップを降りる。
『隊長っ?!』
そして地に降り立ち・・・歪みに手を、伸ばす。
シュン・・・
耳鳴りは始まりと同じく唐突に終わった。
俺は、手に握った【金属片】に目を送ると同時に、意識を手放した・・・。
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どうも。ナガレツキです。どうにも筆が動かなくて、かなり間があいてしまいました(汗。
話が長くなる上に、結構内容も変わるのですが、話数の関係なんかも有って、その1です。多分その3位までかと。
今回はちょっとアキト君の腹黒さが出てたりしますが・・・ま、かわいいもんですよね?
ちなみに最後の金属片は、言わずもがなアイちゃんが渡してくれたやつです。この話だとアイちゃんがジャンプしないので(イネスさんは出しますが)。
あとエネルギーですが、これはジャンプを視野に入れた上での遠距離移動と、安定した高出力を得るための手段です。小型化のためにジェネレータ単体の出力が結構落ちてるのも有りますが(それでも充分では有るんですけど)。てことでこいつらは素でレールガン使えますw
小型化できたのはご都合主義ということで(核爆)
・・・・・・空けすぎたせいで、フォント忘れてしまいました(死
批評、ツッコミ、どうかよろしくお願いします<(_ _)>
代理人の感想
腹黒いというか、何をやってるんだか分かりません(爆)。
思慮ぶかそうに見えて、やっぱり何も考えて無さそうなんですが(更爆)。