ルリの「アキトさんお仕置き日記」

 

 

 

 

こんにちは、ルリです。

ここはナデシコ艦内某所にある秘密の部屋。別名、お仕置き部屋です。

誰にお仕置きするのかいうまでもなくおわかりですね。

この部屋の存在はTA同盟メンバー、ミナトさん、ホウメイさん、オモイカネしか知りません。

 

なぜ、ホウメイさんが知っているかは後ほどわかりますので待ってくださいね。

 

 

 

ミナトさんがぼやいています。

 

「いつも思うんだけど、なぜ私はここにいるのかなあ。」

 

それはミナトさん以外にこの役目をお願いできる人がいないからですよ。

メンバーにやらせると必ずズルをしようとしますから。

 

「では、ミナトさんお仕置きカードをシャッフルしてください。」

 

「了〜解。」

 

ため息をつきながらの返事と共にミナトさんの手の中でカードが踊り始めます。

いつもながら見事なカード捌きです。

ミナトさんが持つ資格の中に手品関連の資格もあるのでしょうか?

今度、調べてみましょう。

 

そうこうしているうちにシャッフルが終わったようです。

 

「さてと、じゃあアキト君カードを選んで。」

 

ミナトさんがアキトさんの前に、片手できれいな扇状にカードを広げます。

この段階になると、ミナトさんも楽しみ始めています。

でも、ミナトさんどこでそんな技を身につけたんですか?

 

アキトさんは別格にしても奥の深い人ですね。

 

「わかりましたぁ〜。」

 

がっくりとした感じでアキトさんがカードに手を伸ばします。

その様子を食い入るように見つめる同盟メンバー達。

毎度のこととはいえ緊張の一瞬です。

 

  すっ。

 

アキトさんがカードを一枚抜き取って、ミナトさんに渡します。

 

「は〜い、今回の人数は2人です」

 

カードを見ながらミナトさんが皆に告げます。

 

「2人かあ〜。」

「2人ですか。」

「2人...。」

 

それぞれため息をつきながら感想を漏らしています。

確かに、2人では少々物足りないものがありますね。

でも、1人でなかっただけ今回はこれでよしとしましょう。

アキトさんの懇願に負けて、公平に1〜15人までのカードを用意することに同意したのは

メンバー全員なのですから。

では、次のカードをアキトさんに引いてもらいましょう。

ミナトさんお願いします。

 

「はい、アキト君。次のカードを選んで。」

 

既にシャッフルの終わっていたカードを再びミナトさんがアキトさんの目の前に広げます。

それにしても本当に見事ですね、ミナトさん。

 

「はぁ」

 

さらに力の抜けた様子でカードに手を伸ばすアキトさん。

先ほどのお仕置き人数カードを選ぶときよりも緊張の度合いが高まります。

私も肩に力が入っていますね。ちょっとリラックスしないと。

 

    しゅっ。

 

アキトさんが選んだカードをミナトさんが裏返しにして皆に見せます。

その内容は

 

[恋人同士の甘い一時。ペアでパフェをお互いに食べさせあうこと。]

 

こっ、これは!

 

リラックスどころではありませんね。

これは絶対に他のメンバーに譲ることはできません。何としても2人の中に入らなくては。

周りの様子をうかがうとこれまでの雰囲気がまるで子供だましだったかのうようにすごい

ことになっています。メンバー全員が背後に炎を背負っています。

心なしか室温も上昇しているような気がします。

 

「アキト君もたいへんねぇ〜。」

 

「そう思うなら助けてくださいよ、ミナトさん(泣)」

 

「だ〜め。まだ、私も命が惜しいから。それにこれは自業自得でしょ、アキト君。

 観念して次のカードを選ぼうね(ニッコリ)」

 

「・・・・・・・・・鬼(ボソッ)」

 

「何かいったかな、アキトく〜ん。」

 

「いいえ、とんでもない。」

 

むうっ。何かよい雰囲気ですね。

これ以上同盟のメンバーを増やすことは許しませんよアキトさん。

まあ、ミナトさんには白鳥九十九さんというお相手がいますから大丈夫でしょうけど。

 

 

メラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラ。

 

 

でも、他のメンバーはミナトさんに相手がいることをしりませんから、思いっきり嫉妬の

炎が燃え盛ってますね。

まあ、とりあえずそれは置いておいて肝心の品物を注文しないと。

 

   ピッ。

 

コミュニケを開いてホウメイさんにつなぎます。

 

「ホウメイさん。カップル専用チョコレートパフェデラックスを2つ、いつもの部屋までお願い

 します。」

 

「あいよ。十五分ほど待ってておくれ。」

 

今の時間帯は食堂は暇です。

ホウメイさんのことだから、実際はもっとはやく作ってくれるでしょう。

そうそう、最初にいったホウメイさんがこの部屋の場所を知っている理由がこれです。

これまでにも度々お仕置きに必要な品物を作って頂いていますので、ここまで持って来て

もらうため、この部屋の場所をご存知なわけです。

もちろん、某組織にばれないようオモイカネにきちんと監視させています。

 

さて、最後のカードの選択を開始しましょう。

 

「ミナトさん、お願いします。」

 

「は〜い。」

 

再びカードが踊り始めます。でも、周りの緊張の度合いはこれまでの比ではありません。

 

当然ですよね。

 

「さてと、シャッフルはこれぐらいでいいよね。じゃあ、いつものように並べるとしますか。」

 

その言葉と同時にミナトさんの手の中でカードの動きが変化します。

 

「それじゃいくよ。」

 

     シュッ。

            シュッ。

                           サー。

カードがいったんミナトさんの手の中にしまわれたかと思うと、あっという間にアキトさんの

目の前にカードが規則的に並べられます。

3行5列の長方形。

 

アキトさんの前に展開されているカードの状態です。

 

「さーて、アキト君は誰と一緒にパフェを食べるのかな〜。」

 

     ギンッ。

 

ミナトさんの一言で空間が一瞬凍結します。楽しんでますねミナトさん。さっきは言いません

でしたけど、だからあなたがこの役目には最適なんですよ。

他の人ではこうはいきませんから。

 

「今回は2人だから、アキト君、2枚カードをめくってね。」

 

「ううっ。」

 

アキトさんが悩んでいます。

いつもならばアキトさんを苦しめる人間は即座に抹殺するのですが、この部屋では別です。

だって、これは お・し・お・き ですから。

 

「さあさあ、アキト君。選んで選んで。」

 

「うううううっ。」

 

うなり声と一緒にアキトさんの手がカードに伸びます。

 

       ドキドキドキドキ。

 

私の鼓動も早鐘のように打ち始めました。

おそらく他のメンバーも同様の状態になっているでしょう。

 

アキトさんの手が1枚目のカードにかかります。

 

                  ドキドキドキドキ。

 

ううっ。緊張で胸が痛いです。はやくめくってください、アキトさん。

 

   パシッ。

 

覚悟を決めたのか手にかけていたカードを一気にめくるとテーブルの上に置きました。

そっと、手をどけるとそこには...

 

[コードネーム:天真爛漫]

 

「きゃ〜、やったあ。」

 

ギンッ。

 

はずれたメンバーの視線が一斉にユリカさんに突き刺さります。

かくいう私も氷のような視線を送っていることが自分でもわかります。

 

「ふ〜ん、一人目は艦長かあ。やっぱり艦長とアキト君て赤い糸でつながっているのかもね。」

 

            ギラリンッ。

 

今度はミナトさんに視線が一斉に突き刺さります。一部の視線は殺気を纏っています。

ミナトさんも自分の失言に気づいたようであわてて何か言いかけますが、そんなことに全く

頓着しない人がそれをぶち壊しました。

 

「あ〜、やっぱりミナトさんもそう思う(はあと)。そうだよねえ、やっぱりアキトは私の王子様

 なんだ。だから、今のうちから恋人として楽しみなさいという天のお告げだよね。

 うん。きっとそうだ、そうに違いないよ。」

 

ユリカさんが何か言う度に、部屋の温度がすこしづつ下がって行きます。

認めませんよユリカさん、そんなことは。

 

「えっ、え〜と、じゃあアキト君二人目を選んでくれる(汗)。」

 

「こっ、この状態で選ぶんですか、ミナトさん(涙)。」

 

「この状態を解決するために選ぶのよアキト君。まだ、凍死したくないでしょう?」

 

「わっ、わかりました。」

 

いつのまにか話が進んでいますね。

 

「はーい、皆さん二人目を選びますよ。注目!」

 

ミナトさんが力を振り絞って呼びかけると、ようやく殺人的な視線の応酬が止み、テーブルの

上に視線が戻ります。ただし、若干1名は精神が別世界に飛び去っていますが。

 

「アキトと一緒、アキトと一緒、アキトと一緒・・・・・・・・・・」

 

くっ。今は我慢です。二人目の方が重要だと自分に言い聞かせます。

 

「じゃあ、アキト君カードを選んで。」

 

「・・・。」

 

アキトさんが無言でカードに手を伸ばします。そして、そのアキトさんに向かって先ほどとは

段違いの迫力を持った視線が集中しています。私もですけど。

 

  トン。

 

アキトさんの手が2枚目のカードにかかりました。いよいよです。

 

クルッ。

 

目を閉じたままアキトさんがカードを返します。そこには

 

[コードネーム:妖精]

 

    ブスッ、ブスッ、ブスッ、ブスッ、ブスッ。

 

私に突き刺さる視線の音です。

 

でも、全然気になりません。

アキトさんと一緒。

アキトさんと一緒。

アキトさんと一緒。

アキトさんと...

アキトさんと...

アキトさんと...

アキトさん...

アキトさん...

アキトさん...

アキト...

アキト...

アキト...

...

 

「ねえ、ルリルリ?ねえってば。ちょっと、ルリルリ。ルリルリ、聞いてる?」

 

どこからか人の声が聞こえます。

 

「ルリルリ、ホウメイさんがデラックスパフェを持ってきてくれたわよ。

 アキト君と一緒に食べるんでしょ。」

 

はっ。アキトさんの名前が聞こえたとたん意識が正常に戻りました。

どうやら私も精神が一時、別世界に旅立っていたようです。

こんなことでは、ユリカさんのことをあれこれ言えませんね。

 

「ええ、もちろん食べますよ。」

 

「良かった。ルリルリがこっちの世界に帰ってきた。」

 

ミナトさんが安堵のため息をもらしています。

そんなに長い間別世界に旅立っていたのでしょうか?ちょっと、恥ずかしいです。

 

「そんなことよりはやく食べようよ。」

 

一人マイペースなユリカさんは、丸テーブルにアキトさんと一緒に座っています。

手にはスプーンを持って、まだかまだかと動かしています。それにしてもいつのまに。

こういう時は行動が迅速ですねユリカさん。

 

「わかりました。はじめましょう。」

 

そうユリカさんに答えると私も丸テーブルに座りました。

その途端、ユリカさんが待ってましたとばかり行動を開始します。

 

「はい、アキト、あーん(はあと)」

 

むっ。負けませんよユリカさん。

 

「アキトさん、あーんして下さい(ぽっ)」

 

 

メラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラ。

 

 

今回の選からもれたメンバーがアキトさんの後ろで一斉に嫉妬の炎を燃やし始めます。

その炎にあぶられたせいか、アキトさんの顔色も蒼白になっていきます。

 

「アキト、あーん。」

 

「アキトさん、あーん。」

 

 

ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!

 

 

嫉妬の炎が猛り狂っていますね。こちらも暑いくらいです。

観念したのかアキトさんがおずおずと口を開きます。

 

「だめだよアキト。ちゃんとあーんと返事して。」

 

「その通りです、アキトさん。」

 

その台詞を聞いたアキトさんが目線でミナトさんに助けを求めます。

 

「これも運命と思ってあきらめなさい、アキト君。」

 

ミナトさんはあっさりと救いの手を引っ込めました。

 

「アキト、あーん。」

 

「アキトさん、あーん。」

 

「あっ、あーん。」

 

ぽっ。私とゆりかさんの頬が朱に染まります。

自分達で要求したことですが、実際に返事をされると照れますね。

ただ、その返事を聞いたアキトさんの後ろのメンバーは

 

ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ

オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ

 

 

よりいっそう嫉妬の炎を燃やしています。いいえ、嫉妬の劫火といったほうがよいでしょうか。

でも、今回は私とユリカさんの番ですから。

 

「アキト、あーん。」

 

「アキトさん、あーん。」

 

「あ、あーん。」

 

私とユリカさんのパフェの乗ったスプーンが同時にアキトさんの口の中に消えます。

出てきたときにはきれいにパフェが消えていました。

 

「おいしいアキト?」

 

「おいしいですか、アキトさん?」

 

「おいしいよ、ユリカ、ルリちゃん。」

 

ぽぽっ。

 

蒼白な顔色ながらも至近距離でアキトスマイルを見せられた私とユリカさんは、

赤面状態になってしまいました。でも、それを見た他のメンバーから

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・

 

 

地鳴りのような迫力をともなう黒い劫火が見えます。

アキトさんの顔色も蒼白を通り越して白くなっています。

 

「じゃあ、今度はアキトからやって(はあと)」

 

「そうですね、お願いします(ポッ)」

 

アキトさんの背後の劫火がさらに燃え盛ります。

 

「本当にやるの?」

 

アキトさんが顔中にこれまで以上に冷汗を浮かべながら私たちに確認します。

むろん、その言葉の裏には「お願いだからもう許して」という懇願があることは私もユリカさん

も理解しています。

でも、まだまだ許してあげません。

 

だって、これは お・し・お・き ですから。

 

「ええ、お願い(します)。」(にっこり)

 

 

...こうしてアキトのお仕置きはデラックスパフェが完全になくなるまで続いたらしい。

なお、デラックスパフェがどれくらいの分量があるのかはその後の調査でも未確認である。

また、このお仕置きの後、アキトの体重が数キロ減っていたというのは完全な余談である。

 

 

 

 

 

管理人の感想

 

 

鳥井南斗さんからの投稿です!!

おお、これがアキトのお仕置きか(笑)

確かに、胃が痛いぞ・・・絶対に(爆)

これはストレスが溜まる筈だな(苦笑)

でもミナトさん・・・すっかり同盟の方々と仲良くなっちゃって。

ホウメイさんも、さり気無く出演してるし。

でも、近頃はエリナさんの出番が少ないな〜

こんど、自分で書いてみようかな。

 

それでは、鳥井南斗さん投稿有難うございました!!

 

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