これは・・・サイドストーリー(笑)
ナオ、その誓いの為に・・・
やれやれ、強いなこいつら。
内心そうごちながらも俺の身体は動くことを止めない。
正面の編笠マントが右の抜き手を突き込んでくる。
わずかに身体を反らし、左腕を外側に回転させつつ編笠マントの抜き手を受け流す。
腕の円運動で方向をそらされた右腕が、俺の顔すれすれを空気に穴を空けつつすぎていく。
間髪入れずに左膝が鳩尾めがけて跳ね上がってくるのに右膝を合わせる。
ガシッ
お互いの膝にはじかれて間合いが開く。
少しは攻撃するとしますか。
はじかれた状態から跳ね上がった右膝を降ろさず、左脚のバネだけで一気に踏み込む。
踏み込んだ速度を腰をひねり前進する力に変えながら肩に伝え、さらに右腕をひねり込み全ての力を
上乗せする。
むろん、相手も白兵戦のプロ。
俺が攻撃に出たのを察知し、しっかりとガードの姿勢をとっている。
が、かまわず相手のガードの上から、上乗せされた力ごと拳を叩き付ける!
ズザザザザッ
編笠マントがガードの姿勢のまま後ろに吹き飛ぶ。
よしよし、上出来、上出来。
自分で自分を誉めながら、深追いは避け周囲の状況に気を配る。
くっ、やはり俺以外はだめか。
俺の視界には、苦戦するゴート、ジュン、カズシ、リョーコさん達が写った。
ゴートも戦闘のスペシャリストだが、白兵戦よりも銃撃戦の方が得意だしな。
ジュン、カズシも良くやっているし、リョーコさん達もパイロットにしてはたいした物だが本物にはかなうまい。
いや、むしろよく善戦しているというべきか。
だが、後どれだけもつか時間の問題といったところだな。
そう、冷静に評価を下すと俺は再び正面の編笠マントに意識を戻した。
北辰と呼ばれた男はまだ戦闘に加わっていない。
そして俺は北辰に勝てない。
編笠マントに意識を合わせつつも、その一部で思考を進める。
残念だが、現時点で奴の腕前は俺よりも上だ。
それくらいは戦わなくてもわかる。
さてさて、どうするヤガミ ナオ。
あまり時間は残されていないぜ。
まあ、この状況で打てる手といったら一つしかないがな。
「茶番はもうよかろう。」
ユラリ・・・
俺の決断を待っていたかのように北辰が動く。
最初に狙われたのはゴートだった。
それまでゴートと戦っていた編笠マントが引くと同時に北辰がゴートの前に立ち、そのまま無造作にゴートに
向かって歩を進めていく。
近づく北辰のプレッシャーに危機感を覚えたのだろう。
ゴートがこれまでの中でもっともスピードの乗った攻撃を仕掛ける。
だが、
ズンッ。
一撃。
たったの一撃だった。
それでゴートは崩れるように床に沈んだ。
ゴートの攻撃は決して遅くはなかった。
ただ、北辰のスピードはそれよりもはるかに速かっただけだ。
ゴートの攻撃を紙一重で躱しての急所へのカウンター。
やっぱ、こいつ強えわ。
軽口をたたきつつも、冷汗が出ることを止められない。
さらに、俺の耳に別の音が伝わる。
ドサッ
ドサッ
見なくても分かる。
リョーコさん達が沈んだな。
これで残るは俺とジュンとカズシの三人...
ドサッ
ドサッ
...前言訂正、残るは俺一人っと...
「残るは汝のみ。無駄なことはやめて大人しくするがいい。
さすれば、命だけを助けてやろう。」
ニヤリと笑いつつ北辰が告げてくる。
あー、やだやだ。
いるんだよなぁ、こういう奴。
守る気もないくせにそういうことをいってくるんだよな。
こんな奴、まともに返事しても意味ないし。
よし。
「あいにく俺は仕事熱心でね。そのお誘いには応じかねるぜ。」
俺のふざけた回答に北辰は目をすがめた。
へっ、これでこそ俺だぜ。
「ふっ、ならば死ぬがいい。」
その台詞が終わった瞬間に北辰は俺との間合いを詰めていた。
速い!
喉元への抜き手を斜めにスウェーすることでかろうじて躱す。
だが、躱し切れずに皮膚が裂け首から血が溢れ出す。
一瞬だが北辰の目に驚きの感情が宿る。
躱されるとは思っていなかったんだろう。
確かに、アキトに出会う前の俺だったら今ので間違いなく沈んでいた。
だがな、ミリアとの約束を果たすためにも俺は強くなる必要があったんでね。
そう簡単に負けはしないんだよ!
さらに踏み込んできた北辰の至近距離からの右の掌打を更にスウェーすることでかわしつつ、北辰のこめ
かみに向けて左のショートフックを放つが、北辰は右腕を引き付けたやすくショートフック防ぐ。
だが、それはこちらも予測済み。
防がれた反動を利用して距離を稼ぎつつ、奴の真下から蹴りを放つ。
これも躱されるが、間合いは稼げた。
崩れた体勢を立て直す。
今度はこっちの番だ。
姿勢を低くしつつ、再び間合いに飛び込む。
同時に左右の正拳のコンビネーション。
はじかれた。
が、はじかれた両腕を引き付けつつ右の膝!
これも防がれるが、今度は引き付けた腕を利用しての死角から肘打ち、これでどうだ。
ちぃ、こいつも躱された。
本気でアキト並みの白兵戦能力を持っているのか?
まずい、反対側から北辰の左回し蹴りがくる。
だめだ、こいつは躱せない。
咄嗟にガードを固めつつ自分から左方向に飛ぶことで衝撃を緩和する。
それでも骨の髄まで響く衝撃が俺を襲う。
くっそー、痛え。
それでも痛みをこらえつつ、牽制の下段蹴りを放つ。
追撃しようとしていた北辰がわずかに間合いを広げる。
ハアハアハアッ
俺の呼吸音だけが静かに場を満たす。
「これほどの手練れがテンカワアキト以外にもいるとはな...」
北辰が静かにつぶやく。
全くよくいうぜ。呼吸一つ乱していないくせに。
呼吸を整えつつも、内心ぶちぶち文句を垂れる俺にさらに言葉が紡がれる。
「だが、まだまだ未熟者よ。滅!」
その言葉と同時に踏み込んでくる北辰。
くっ、やはりさっきのは本気じゃなかったか。
さらにスピードを増した北辰の攻撃に俺は防戦一方に追い込まれる。
ガードしてもガードを貫いて衝撃がくる。
ガッ
北辰の連続攻撃にガードがこじ開けられた。
そこへ図ったように北辰の掌打が迫ってくる。
狙いは、肝臓!
まずい、いれられたら終わりだ。
ガードは間に合わん。
咄嗟に、わずかだが身体を沈めた。
ゴキッ
ぐうっ。
あばらを2、3本もっていかれた。
さらに追撃がくる。
だめだ、ここらが潮時だ。
これ以上ダメージを食らったら、最後の手段が使えん。
俺は決断を下すと疑われない程度に徐々にガードを甘くする。
そして、北辰の決定的な攻撃を待つ。
待つこと数秒、とどめの攻撃がきた。
ドゴッ
ガシャァァァァァ
ドスッ
北辰の攻撃がクリーンヒットし俺は吹き飛んだ。
そのままブリッジの壁に激突し、反動で床に崩れ落ちる。
同時に意識もブラックアウトした。
...
...
...
うっすらと視界が戻る。
だが、身体はぴくりとも動かさない。
北辰がアキトの機体のデータを要求しているのが聞こえてくる。
どうやらうまくいったようだ。
最終手段、死んだふり(笑)
アキトの野郎に何度も叩きのめされて身についた技(?)だ。
正確には死んだふりじゃなくて蘇生だけどな。
アキトとの訓練で本当に死ぬかと思うほどのダメージを食らってる。
あの野郎、男には手加減しねえからな。
だが、それほどのダメージから回復している俺だ。
医療室の主ほどじゃないにしても、尋常な回復力じゃない。
それを活かしての時間稼ぎといざという時のために奴等の意識外にうつること
を狙ったんだが...それにしても...
「アキト...
早く戻ってこい。
いくらなんでもハードすぎるぞ、この仕事...」
倒れたままの状態で事態を注意深く見守りつつ、俺はそう内心ごちていた。
独り言
鋼の城さんの「邂逅」を読んだ。
かっこいいなあ(じーん)
感動中...
感動中...
感動中...
再起動!
よし、私も白兵戦ものを書いてみよう。
そして、PCに向かうこと数分...
「しちゅえーしょんが思い浮かばない(泣)」
そこで、困ったときの本編頼り(笑)
チャカチャカチャカ...
「なんだ、15話で白兵戦が可能じゃん。」
シチュエーション決定。
主人公は一撃で沈まなかったナオに決定。
さあ、後は書くだけ(笑)
結果、こうなりました(爆)
鋼の城さん、「邂逅」へのオマージュとして、
Benさん、「北斗異聞」の封印の早期開放を願って、
この作品を献上します。
ご迷惑でなければ受け取ってください(爆)
管理人の感想
鳥井南斗さんから4回目の投稿です!!
う〜ん、鋼の城さんの影響を受けましたか(笑)
Benも次の話では格闘シーンを書きますが・・・自信が無くなりました(爆)
はははは、どうしましょうかね?
まあ、それでも書くしかないんですけどね(苦笑)
でも、ナオさん格好良い(笑)
この軽い雰囲気が大好きさ〜
まあ、今回は相手が悪かったよな(笑)
それでは、鳥井南斗さん投稿有難うございました!!
あ、今回も題名はBenが付けました。
・・・意味は、不明です(爆)
題名の変更を望まれるのでしたら、またBenにメールを下さいね。
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