機動戦艦ナデシコ パラレルストーリー

スーパーロボット大戦A After Wars

 

 

 

 

 

「大変だったみたいだね〜」

モニターの向こうの極楽トンボが気楽に言ってくれる

「あの・・・もしかして怒った?」

「・・・別に」

「いや、済まない。まさかネルガルSSの人間がこうもあっさりと全滅するとは。

 一般の警備員も壊滅、統合軍の女性兵士が手伝ってくれたが彼女も死亡・・・だったね」

「ああ、俺が頼んだばかりに・・・な」

「・・・ラトゥーニ・スポーン・・・元シャドウ・ミラーのマッドサイエンティストに連れ去られ、

 薬物や暗示により戦闘能力を高められた【被検体ナンバー0042】

 前大戦終了時に連邦軍第22中隊に救助されそのまま軍に・・・

 統合軍結成時に統合軍に移動し、そのまま月でマオ社製のPTゲシュペンスト量産試作機のパイロットに・・・」

「調べたのか・・・」

「いや、前からさ・・・ナデシコにスカウトしたい子だったんでね・・・感情が表現出来ない子だったから」

「・・・そうか」

 

 

 

第8話 月のアナハイム

 

 

 

ナデシコC第三格納庫脇・・・

そこに一部の人間しか知らない小部屋があった

 

そこに一人の男が縛られていた

その前には刀を抜いたナカムラがいた

 

「・・・気分はどうだ?」

「・・・」

男・・・

六連の一機から放り出されたパイロットは答えない

「だんまりか、まあいい・・・貴様が何を言おうが言わまいが関係ない」

「・・・捕虜としての正当な扱いを求める」

「何故だ?」

不気味な笑顔で呟くナカムラ

「!?南極条約が」

それに驚愕し、叫ぶ男

「条約ってのは正当な国家間でのみ通用する、つまり貴様のようなテロリストはどうしようと関係無いのさ」

「な!・・・」

「さて・・・人生アップダウンク〜イズ!

「な・・・何を」

ガン!

いきなり男を蹴り倒す

「っ!貴様」

ザクッ!!

首の脇に刀が突き立てられる

「さて、素直に話さないと段々刀が下りてくるぞ」

「ふん」

スッ

「そういう態度を取っても下がるぞ」

笑顔で刀を下げる

書類裁断機のように刺した刀先を軸に・・・

「さあ答えてもらおうか」

その目は笑ってはいなかった・・・

 

 

そして男が日の目を見る事は無かった

 

 

 

「・・・そうか、何も判らなかったか」

「ああ、最後まで話さなかった」

「ま、君の事だ・・・話しても斬ったろ?」

「まあな・・・公式には抵抗したため斬った・・・ってとこだろうな」

「まったく、この回線がAAAクラスでなかったらどうなるんだろうね」

「フッ、二人とも犯罪者だな」

にこやかに答えるナカムラ

「お〜怖!ま、僕も忙しい身なんでね。そろそろ切るよ」

「ああ」

 

 

回線が閉じる

 

 

「さて、後片付けが残ってるな・・・」

後ろに無造作に転がされているずた袋を一瞥する

「・・・首と胴体が離れた感想はどうだ?」

ナカムラの表情にはいつもの【優しいバカ兄貴】の表情を微塵も感じさせない・・・

暗殺者独特の・・・狂気に満ちた笑顔が浮かんでいた・・・

 

 

 

 

 

 

「これは・・・どうしたんですか?」

ナデシコに到着したルリの第一声がこれだった

(廊下にはあちこちに血痕が付着してるし、非常用の隔壁には穴が開いている・・・

 内部で戦闘でもあったんでしょうか?ナカムラさんもカタオカさんも姿が見えませんし・・・)

 

モニターに艦内の状況が映しだされる

「・・・仕方ありません、出航は遅らせましょう」

「いや、それは止めた方がいい」

「!?ナカムラさん・・・」

「このまま此処にいればまた奴等の襲撃がある可能性があるだろう・・・」

「奴等?」

「・・・墓で襲撃してきた奴等だ・・・これはリーダー格のやつ一人がやった・・・」

「・・・一人で・・・」

「ああ、幸い外装やエンジン系にダメージは無い、航行中でも修理は可能だろ?」

「それは・・・」

「可能だね」

そう言い放ちブリッヂへ入って来たのは

「ウリバタケさん」

「整備班長として言わせてもらえばドックでなくとも十分に修理は可能だ・・・ま、あんな奴等に襲われるのは二度と御免だし、ナカムラの意見に賛成だね」

 

「そうですか・・・では・・・」

ルリはブリッヂを見回し

「ナデシコC発進準備を開始してください」

 

「現在物資搬入率84%・・・エステバリスの修理パーツが不足しています」

ユキナが告げる

「えっと〜クルーは全員登乗しました」

瑠琉が報告する

その声にブリッヂの人間が一斉に振り向いた

「瑠琉ちゃんが・・・しゃべってる?・・・・・・・・・・ってユキナ!なんであんたがここに?」

「えへへ〜ばれちった」

「ユキナちゃん・・・いくらなんでもばれるでしょ・・・」

「またしゃべってる・・・瑠琉ちゃん声が出るように?」

「いえ、オモイカネに作ってもらってるんで〜す」

「・・・」≪オモイカネ?≫

≪なに?ルリ≫

≪なんで私にまで黙っていたんですか?≫

≪え?ルリ知らなかったっけ?≫

≪・・・そういえば・・・そんな事言われた・・・ような≫

 

 

 

その頃格納庫では

 

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!!俺のガンガーがぁぁぁぁぁ」

腕を亡くし、あちこちズタボロのスーパーエステバリスの前で崩れるヤマダ・・・

 

「さて、どうしたもんかね〜」

「どうしたんだい?」

「おや?影の薄いウラキ中尉じゃあないですか」

コウ・ウラキに尋ねられて振り向くカタオカ

 

「・・・なんか気になる言い方だな〜」

「はっはっはっ、気にしない気にしない、ところで何か?」

「いや、なんか悩んでいたみたいだからね」

「いや〜ウラキ中尉のMS・・・来ないんですよ」

「ゑ゛」

「遅れてるのかな〜今あるのはバニングさんのジム・カスタムだけなんですよね〜」

「ば・・バニング大尉が・・・ここに?」

「ええ、前の戦闘で救助した唯一の生き残りですよ〜」

「ははは・・・じゃ」

格納庫から去ろうとした瞬間

「ドコヘ行く!ウラキ!」

「た・・大尉」

「また今日からしごいてやるからな!」

「そ、そんな〜」

 

 

「・・・そうですか、MSの搬入が遅れてるんですか」

格納庫からの報告に悩むルリ

(・・・MSが無いとウラキ中尉が役立たずに・・・

 ただでさえ少ない戦力をこれ以上下げたくは無いですし・・・アナハイムに問い合わせてみましょうかね)

 

 

『はい、こちらアナハイム本社第62研究室付属MS工場です」

「こちらロンドベル所属ナデシコC、艦長のホシノです。ニナ・パープルトンさんは御在室でしょうか?」

『少々お待ちください・・・ニナ〜電話!外線の92番・・・

 はい、お電話変わりました』

「ニナさんルリです」

『あら、お久し振り・・・何かトラブルでも?」

「はい、この間注文したMSが未だ届かないんですが・・・」

『ちょっとまってね・・・あら?・・・・ごめんなさい、こちらのミスで発送が遅れているみたいなの』

「では直接受け取りに行きます。パイロットをそちらに送りますのでよろしく」

『わかったわ、本当に御免なさいね・・・』

「いえ、では」

(さて、コウさんを送るのはいいとして・・・やっぱり揚陸艇ヒナギクで送るのがいいですかね?

 ・・・ただ、敵と遭遇した場合を考慮すると・・・やっぱり・・・)

「瑠琉ちゃん、ナカムラさんに繋いで」

「はい・・・」

 

パッ!

 

「・・・ん?お!いつの間に・・・ちゃんとコール音鳴らしてくれよ〜」

「ごめん兄にい」

「ナカムラさんにお願いがあります。ウラキ中尉を連れてアナハイムまでMSを受け取りに行って欲しいのですが」

「・・・他のじゃ駄目なのか?」

「エステでは供給フィールド外になるためバッテリーの容量が戦闘でも起こった場合帰還不能になってしまいます

 カタオカさんの機体では単独での戦闘に向いてません

 揚陸艇ヒナギクは論外です。バニング機は修理中ですので出られません」

「なるほどね・・・ま、しゃ〜ないね」

「お願いします」

「じゃウラキ中尉を呼んでおくれ、後地図も送信しといてくれな」

 

 

 

無言で月面を疾走する機体・・・

ヒュッケバインGFが月面すれすれを滑るように走っていた

 

「あの〜ナカムラ中尉?」

「なんだ?ウラキ中尉」

「なんか雰囲気が暗いような気がするんですが・・・」

「別に」

(暗い・・・気まずいなぁ・・・早く着いてくれないかなぁ・・・ニナ・・・元気だったかな?)

(さっき・・・アカツキから送られたデータが本当なら・・・

 ラトゥーニを研究していた元シャドゥミラーの科学者がどこかに・・・

 しかもまた何かをしようとしている・・・それが本当ならどうにかしないと・・・)

コクピットの中はたいした会話も無く、気まずいまま時間が流れた

 

 

 

「ところでルリお姉ちゃん?合流が遅かったけど何かあったの?」

「え?」

「ナイス瑠琉ちゃん、俺も聞きたかったんだよな〜」

「カタオカさんまで・・・わかりました

 ロンド・ベル旗艦ラーカイラムに搭乗した後、私達はサイド・ロンデニオンに向かいました」

 

ルリが二人に話した内容は長くなるのでまたの機会にしようと思う

 

そこで起きた出来事を掻い摘んで話すとこうなる

 

ロンデニオンに着いて、コロニー内でシャアと遭遇

その際一緒に観光していたクエスがシャアに付いていってしまう

そして議会上層でシャアと取引が行なわれて、アクシズが譲渡された事がブライト艦長に伝わる・・・

 

「・・・と、言う訳です。

 今頃シャアと決着をつけるため、本隊がアクシズに向かっているはずです」

「そっか〜向こうは大変そうだね〜」

「何を言っているんです?補給等終了したら救援に向かいます」

「「ゑ!?」」

「当たり前でしょ?今ロンド・ベルには火力が絶対的に不足しています」

「前みたいに民間の協力は?」

「瑠琉ちゃん、今スーパーロボット達はみんな忙しいんだよ〜、それにしてもプリベンダーがいるでしょうに・・・Wゼロカスタムのバスターライフルの火力があれば・・・」

「ヒイロさん達は現在地球近辺にはいませんよ?なんでも木星で不穏な動きがあるとかで」

「・・・大火力の機体は無いと・・・」

「ええ、だからナデシコCが行かなくては、そして特例として武装の封印を解除されたネルガル所有大型ドック艦コスモスが合流する予定ですし」

(・・・誰が乗ってくるんでしょう、まああの艦は私達IFS体質のオペレーターを必要としませんから・・・アカツキさんあたりでしょうかねぇ)

 

 

アナハイム本社第62研究室付属MS工場

 

MS格納庫

 

「はいコウ、お待たせ。ここにサインしてね」

「ああ、・・・しかしニナも元気そうだね」

「ええ、コウも元気そうね・・・安心したわ」

書類を確認しながら笑顔で会話する二人

 

「では案内するわ、こっちよ」

二人が進む先には一機のMSが鎮座していた

「・・・ガンダム?しかしこれじゃぁまるで・・・」

「そう、F91のデータを元にしたアナハイム初の小型高性能MS『RXF91』通称シルエットフォーミュラよ」

「やっぱり、元はF91か・・・」

「ええ、ウチはいまだ大型高出力MSしか造ってない・・・いえ、造るノウハウが無いのよ、それでサナリィと提携して設計図を譲ってもらったの、それをベースに再設計した機体よ」

「すごいよニナ、これはすぐに動くの?」

「いえ、現在最終調整をしてるの。それにRXF91の責任者として同行することになったから」

「そっか・・・あれ?ナカムラ中尉は?」

「?一緒に来た彼なら『しばらくココを離れる、出発する前に連絡いれるように伝えてくれ』だって」

「な・・・いったいどこへ・・・」

 

そのころナカムラはアナハイム内の市街区(社員やその家族の為に創られた街)をぶらついていた

 

「・・・楽しむ気にもならんな・・・」

黒いジーンズに黒いシャツ、そして黒いジャケットといった黒尽くめの姿は市街区でも浮いていた

「・・・さて、どうしたもんかね〜」

さっきから後をつけてくる気配を気にしていた

(なかなか上手い穏行だな〜そこいらのパンピーなら目の前にいても気にしないだろうな〜)

気配を連れたまま路地裏に入っていく

 

「・・・さて、出てきなよ。用があるんだろ〜」

「・・・」

「わかってるんだからな、来ないならこっちから・・・行く!

その瞬間、男の視界からナカムラの姿が消える

「何!?」

男がナカムラを探そうと周囲を見回そうとした瞬間

「・・・遅い!」

周囲のビルを利用し、三角跳びの要領で後ろに廻り込んで背中に蹴りを放つ

「がぁ!」

堪らず前に吹き飛ばされる男

「さて、何の用だ?こっちは機嫌が良くないんでな、手加減をしようとは思ってないぞ・・・」

ゆっくりと近づきながら、懐からサイレンサー付きの銃を取り出す

「・・・話さないならいいんだぞ」

「くっ!・・・分かった・・・」

男は壁にもたれたまま答えた

 

「なんで俺を監視していた?」

「お前たち二人がネルガルのドックに戻らないように・・・だ」

「!?何を企んでいる」

「ふっ、今更帰っても間に合わないぞ?今頃は我ら統合軍が占拠しているはず」

「ちぃ!」

してやったり といった表情の男に当身を喰らわせ、踵を返す

「コウにも知らせないと・・・」

通信機を手にし呼び出す

 

『・・・はい、こちらコウ』

「ナカムラだ、ナデシコが襲撃されているらしい!急いで戻らないと」

『なんだって?わかった、最終調整を急がせる!先に戻ってくれ』

「了解」

通信を切る

(しかし・・・どうする・・・さっきの奴が言う通りならヒュッケバインで飛ばしても間に合わない・・・

 なら・・・手段はアレしかないか・・・)

苦笑しながらヒュッケバインのコックピットに飛び乗り、起動する

 

 

 

 

 

あとがき

 

どうも日光です

最近仕事でごたごたしていたため執筆状況悪化中です(TдT)

DAYさんはFF11をやるのに夢中で書いてないっぽいですがね(笑)

 

D「はっはっはっ・・・仕方無いじゃないか面白いんだから」

 

うぉ?びっくりした〜

いきなり出ないで欲しいな〜

 

今回はRXF91シルエットフォーミュラが出てきましたが、元々MSVでは軍上層部がアナハイムにデータを横流し(?)して、

それを元に製作した、小型MSの設計ノウハウを盗むためのデータ収集用です

パイロットはトキオ・ランドール

機体自体はF91と大差無いです

 

 

 

 

めるう゛ぃる:はっはっはっはー

 『人生アップダウンク〜イズ』ってそれ、前にやったTRPGで捕まえた盗賊から情報引き出すときに使った方法やんけーーーーー

 あの時の盗賊は素直に吐いたから生き残ったけど、こっちはお亡くなりになったんだね

 

 そう言えば最近TRPGやってないなー、会う暇ないから仕方ないんだけど、

 

 

 解説も何もしてませんが、今回はこのあたりで ・ ・ ・ さて第二次αやろっ

 

 

管理人の感想

日光さんからの投稿です。

・・・ガンダムに乗ってないコウは、只の役立たずですか(苦笑)

揃いも揃ってそう断言されるコウって(汗)

いや、まあニュータイプではないですけどねぇ・・・

 

さてさて、ナカムラが使う最後の手段は何でしょうか?