英雄無き世界にて…

(過去編)

〜〜血に飢えし狂犬〜〜

 

 ゲートを犬河照一達が、潜った直後。

 足を砕かれた人影も静かに立ち上がっていた…

「ウゴゴガァギィ! るわぁぁぁずるぅぅぅぅどろぉぉぉぉぉ!」

 もはや、言葉にすらなっては居ない叫びをその人影は上げる。

 人影は、何かを求めるようにその場から歩き出す。

 ガズう ガズう ガズう

 塩を含んだ土が奇妙な音を立てる。

 誰がこんな太い音を足音だと思うだろうか…

 パァ

 偶然に通りかかった車が、ライトと言う光源をその人影に向けた。

 そして、光源に照らし出されたその姿は、もはや人間では無くなっていた…

 

 皮膚の殆どが剥がれ落ち、筋肉や神経… 毛細血管が剥きだしになっている…瞳の色は暗い赤に染まり、アンバランスな胴体… 手の爪は、1m程達しようかと言うほどに長い… 全身から滲み出ている黒い血… それを、一目見たときに通りすがりのドライバーは直感した… これは、人間の手に負える物では無いと… だが、そのドライバーは、そう気付いた1秒後に首と胴体が離れていた…

 そして、その人影は、歩き出す… 何処とも知れぬ港へ向かって…

 ウォォォォォォォォォォォォォォン

 何処かで犬の様な声が大きく鳴いていた…

 それは、仲間に危険を知らせるように… 慟哭のように… さらには、怒りのように…

 その鳴き声は、海に響いていた…

 

犬河照一、現在逃走中。

はあ、はあ、はあ。」

疲れが全身を食らい尽くす… 疲労は限界をとうに越え、体中が筋肉痛で痛む。

 だが、俺は… いや、俺達は走るのを止めない。

 足を止めると死ぬかもしれないと言う恐怖があるためだろう。

 だが、流石に体力の限界が近づいた…

 天が我に与えた奇跡だろうか… 正面に緑色のコンテナがある。

「あれの死角でちょっと休もうな…」

「賛成。」

 楽花も俺の提案に肯定する。

 俺達は、コンテナの影が、入口の死角になる位置へ移動すると膝を地面に付かせて、肩を軽く下ろした。

「ふぅ、ふぅ、ふぅ〜」

 呼吸を整えながら港の周りを見渡す。

 結構な広さがある。大体500uほどの広さだ。

 こんな大層な設備がある港が、地図にも載ってないなんて…

 ふと、気になりコンテナの鍵を壊し、中身を拝見する。楽花の再度の制止が聞こえたが、無視。

 中は居たって普通だった。お菓子の箱が大量に入っているだけで…

 一つ拝借し、開ける。

「なるほど…」

 中身が白い粉末だった“お菓子箱”を見て俺は納得する。

「合法的な港じゃねぇのか…」

 最近の日本人は、建物が、国が作ったものなのか、それとも個人で建てたものなのかも分からない人間が多い。

 そんな中で、突如大きな港を建設したとしても、怪しむ者は居ない。警察でさえそうだ。

 全く… こんな世の中に誰がしたんだが…

「やば過ぎだっつーの。」

 俺は、正直にそう思う。

 俺は、とりあえずそれは見なかった事にしておいた。

「ふぅ… 大分落ち着いたか…」

 しばらく休むと、汗は全身をつたっているが、呼吸は整っていた。

「じゃあ、行きますか…」

 俺は、そう言って再度出発しようとした時だ。

 グオワァァァン!

 爆音…

「ギュリョギュリャァァァァァギュジョォォォォォォ。」

 奇妙な音が響く…

 俺は、コンテナの影から爆音がした方を向く。

 ものも100mも離れていない所に“何か”が居た…

 ――― あれは… なんだ…

 俺たちが追われていたものは、少なくとも人語を話し、姿も人の形をしていた。

 だが、アレは違う。人語を解せず、人間の形など欠片も見えない。

 いや、注意して見れば、それがかつて人間であった物だと言う事が分かるだろう。

 だが… それは、余りにもおぞまし過ぎた…

 ガクゥ

 全身から冷や汗が吹き出る。膝が笑う…

 なけなしの力を振り絞る…

 自らの足を叱責する。

 こんな所で震えるな… と。

 だが、震えは止まらない。

「う… お…」

 呻き声が漏れる。

 アレが存在しているだけで、人の2、3人は殺せそうなほどの重圧を感じる。

 糞、糞、糞、糞、糞、糞、糞、糞、糞、糞、糞、糞、糞、糞、糞、糞、糞、糞、糞、くそぉぉぉぉぉぉぉぉ!

 俺は、自らの足をブローニングのグリップで殴りつけた。

 ガツ ガツ ガツ ガツ ガツ

 痛みは良い。自分が此処に存在している事が分かる… 今の状況を忘れられる…

 だから、今俺は、痛みを欲していた… 痛みを… 此処に存在し今の状況を忘れられるだけの痛みを…

 叩きつけた所から血が滲み出る。ズボンを赤く滲ませた。

 俺は、構わずブローニングのグリップをもう一度足に叩きつけようと振り上げ… 振り下ろした。

 ガツ

 だが、ブローニングのグリップは何かによって阻まれた。

「あ…」

 白い手…

 それによって、俺が振り下ろしたブローニングのグリップは俺の足に叩きつけられる事は無かった。変わりに白い手に、そのグリップは振り下ろされ、その箇所から、赤い筋が流れ出た。

 俺は、ハッとする。

「あ、あ、あ。」

 命の危険がはらんでいるので大声は出さない。

 何も言わずに楽花は俺に向かって微笑んだ。

 俺は… 糞!

 俺は、ブローニングに最後のマガジンを叩き込んだ。

 楽花の血が、グリップに付き、さっきまでとは別の暖かさがグリップに浸透していた。

 助けてやる…

 助けて… 守ってやる…

 俺は、そう自分に言い聞かせた。気が付けば足の震えは止んでいた…

「戻ってくるぞ… お前の所へ…」

「え?」

 俺は、そう言った。楽花の呆気に取られた声が聞こえた。

「出来るだけ遠くへ… 逃げろ。」

 俺は、そう言って立ち上がる。

 死ぬ覚悟は… 出来ていた…

 

 俺は、コンテナの影から身を曝け出した。

 …いない。

 何処へ消えた…

 俺は、手の平のグリップの感触を確かめる。

 心もとないが確かな灯が、俺の心を照らした。

 辺りに神経を集中させる。

 何時もよりも五感が研ぎ澄まされ、精錬される。

 何処だ…

 俺は、イラツキもせずにその場に佇む。

「おい、鬼ごっこの次は缶蹴りか… 遊び好きな奴だ…」

 かくれんぼと言わなかったのは、(かん)がかかっているからだ。

 蹴られれば終わり、正しく缶蹴りだろう。

 まあ、こっちが見つけても終わりとは限らないけどな…

 銃では奴を殺すことは適わない。じゃあどうする…

 暫しの沈黙が、思考と現実に響く…

 それを打ち破ったのは、第三者の声である。

「貴様! そこで何を… ぎゃあ!」

 この港の社員の様な仕事をしている人だろう… 今出てくるのはタイミングが悪かった。

 一瞬にして首が千切れ飛ぶ。

 刃物の様な切れ味を発揮したのは、俺がA○MSと証した奴の右腕だ。それが刃物の様な形状になり、不運な人の首を跳ね飛ばした。しかし、左右反対だな…

 鮮血が飛び散る。

「う…」

 背後から息を呑む声が聞こえた。続けざまに響く足音。

 俺とは違って、楽花は血を見慣れて居ないのだろう。だが、それを攻める必要など有る筈が無い。むしろ喜ばしいくらいだ。そして、アイツは逃げてくれた…

「おいおいおい。俺とは別の奴切ってどうすんだ? 俺を切らなきゃいみねぇだろ。」

 俺は、事も無げにそう言う。

「ぐ、ぐひゅひゅぅ! ぐがひゃぁ!」

 痺れを切らしたのか奴は、俺に向かって飛び掛ってくる。

 ブオン!

 凄まじい風きり音が鼓膜を振動させる。

 はやい…

 俺は、そう思った。

 ガンガン

 俺は、ブローニングを撃つ。

 ぎゅじゅじゃぁ!

 着弾の音が変だが、当たった… だが、まるで意を返さずに突進してくる。

 無駄と分かっていて無駄弾を使えない。

 俺は、左に身を泳がせる。

 ググォォォォォォォォォォォン

 太い音… それが、右腕を振り下ろした音だと誰が思うだろうか…

 しかもそれは、大地には当たっていないのだ… 空を切っただけで、この音である。

 まともに食らわなくてもお陀仏だ。

「冗談じゃない。」

 俺は、そう叫ぶと別なコンテナの陰へと移動する。

 ズパァ

 影に隠れた瞬間、コンテナの半分が、斜めに落ちていく…

 切られたのだ…

 およそ約1tは有ろうかというコンテナを…

 だが、その直後に隙が出来た、俺は固まった奴目がけてブローニングの引き金を引く。

 ガンガン

 二発… だが、それは的確に奴の頭蓋骨… らしき所を打ち抜いた。

 だが、直ぐにそれは再生していく…

 ―――どうする。

 俺は、何度も自分に繰り返した質問をまた言う。

 ―――どうやって殺す。

 それの乱舞が俺の頭の中の大半を占める。

 パッ

 !!

 突如目の前に球体が出現する。俺は、これをどういう物だかを知っている。

 身を隠すまでの暇が無い。俺は、身を捻り、その球体に背中を向ける。

 バババババババ

「がぁ!」

 全身に針状の細胞が突き刺さる。

 激痛―――

 痛みが俺の体を駆け巡る。

 全身から力が抜け落ちていく…

 がつ

 足を踏ん張らせて崩れ落ちることだけは避ける。

 俺の格好は、針状の細胞が、背中に隙間なく突き刺さり、ハリネズミの様な状態になっていた。

 間髪居れず、斬撃が繰り出される。

 俺に避ける術を模索する暇も与えずにその刃は振り下ろされる。

 ザスゥ

 俺の胸板がパッと裂け、鮮血が噴出した。

「いってえ… な。」

 息が上がり、血が落ちていく。

 俺は、その刃に向けて、ブローニングの引き金を絞る。

 ガンガン

 刃は砕けた… だが、直ぐに再生していく…

「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 バキィ!

 俺は、拳を奴の顔面に突き立てる。

 何発も… 何発も…

 拳が切れて、そこからも血が流れ落ちる。

 ザン

 突如、足から力が抜け落ちる。

 奴が、俺の右足に刃を突き立てた為だ。

 踏ん張らせようと努力する…

 だが、俺の体は自らの血の海に沈んでいく…

 バシャア

 舌を自らの血が濡らした…

 そして、俺は、浮遊感の様な物を味わう…

 だが、死んではいない。

 それは、絶え間なく響く激痛で分かる。

 突如、激痛が止んだ…

 なんだ…

 何が起こった…

 そして、去っていく足音…

 どういう事だ…

 俺を殺しに来たんじゃなかったのか…

 俺をこの激痛の中に置いていくなんて…

 苦しませて殺す気か…

 苦しませて…

 !!

 俺は、無理矢理五感を覚醒させる。

 アイツが… あぶねぇ…

 強烈な危機感を感じ、俺は、地を這うようにして移動していった。

 

 飯井川楽花。

「はあ、はあ。」

 逃げろといわれて此処まで逃げてきたが、不安感は拭いきれない。

 さっき銃声が響たが、それからは何も音が響かないのも、その不安を大きくさせる。

 照一…

 不安と心配が、脳裏を掠める。

 かぶりを振るだけの力も無い。

 どうする…

 それの乱舞が頭の中の大半を占めていた。

 コンテナの陰に座り込む。

 体力と精神力の限界が来ていた。

 どうにか心を落ち着かせようと大きく深呼吸する。

 ガサ

 背後から気配が響いた。

 ビク、と身を震わせる。

「照… 一?」

 コンテナの陰から、顔を見せてそう言う。

 言い知れぬ不安感が脳裏を乱舞する。

 人影があった… いや、かつて人影だったものと言うべきか…

「う…」

 血臭が花をつんざく。

 照一ではない、照一は、ああではない。

 つまりだ… アレが此処に居ると言う事は… つまりだ…

 認めたくは無い、そう、事実を認めたくは無い。

 ―――アレが此処に居ると言う事はつまりだ…

 照一は…

 ガダァン!

「ひ!」

 突如正面にかつての人影が現れた。

「ぐぉぉぉぉぉう… うごぉぉぉぉぉぉう…」

 人語を解さない意味不明な音が声帯から発せられる。

 なんで… なんで…

 かつての人影が笑った様に見えた。

 ザン

 制服のスカートを裂かれる。白い脚があらわになった。

 つまりだ… 殺す気はまだないのだ…

 そう、その前に…

「ぎぃぃぃぃぃぃぃ…」

 いや、いや、いや。

 顔の様な部分が接近してくる…

「う… あ…」

 異常なほどに熱い吐息が喉元にふりかかった。

 意を決して目を閉じた。

 キィィィィィィィィ

 ブレーキの様な音… だが、人語を解さないアレが、発した声かもしれない。硬く瞼を閉じる。

 ドガァァァァァァ!

 !!

 眼を開く。

「ったく、読者サービスはこれまでだっつーの。このSSは、全年齢対象だぞ… しかし、こうもご都合主義に決まるとは、な…」

 突然正面に出現した大型のダンプカー… それに乗っているのは…

「よぉ… 戻ってきたぜ…」

 少年は、相変わらずの馬鹿を目前で披露していた…

「くの… アホォ!」

 

 犬河照一 車内。

「くの… アホォ!」

 叱責の声が聞こえる。

 激痛が走るが、気にせずにドアを開ける。

「ようこそ…」

 俺は、そういって楽花を招き入れた。

「どこから持ってきたのよ… こんなも…」

 言葉が途中で途切れた。

「ちょ… ちょっと照一! あんた怪我しているじゃ…」

「ああ、重傷だな。」

 俺は、そう言う。

「ちゃんと手当てしないと…」

「もうした。」

 モルヒネ(コンテナの中のヤク)一本打っただけだがな。

「止血は!」

「止まってる。」

 俺は、そう言う。

 シガーライターで焼いたんだけどな…

「はあ…」

 ため息をつくと、楽花は助手席に座った。

 今思えば、こいつを連れてくる必要なんて無かったな…

 逆に連れてきたから危険に巻き込んじまったか…

 でも、あの時の俺… いや、今でも…

 と、そこまで思考した所でやめる。

 俺は、アクセルペダルを踏みつけた。

 かつて人間であった物にダンプカーの正面フレームをぶつける。

 ガァン

 およそ約、15mは吹き飛んだ。

「うらぁ! もう1丁!」

 ガツ

 ぶつけ様としたが、逆に取り付かれてしまった。

 時速60kmでか…

 俺は、ジクザグに運転して、奴を振りほどこうとする。

 ガシャアン

 フロントガラスが割られた。

「ぐぉぉぉぉぉぉぉぉ。」

「よう… もう一発正面衝突と行くかぁ!」

 まあ、こんどは電柱じゃなくて…

「整備用のオイルタンクだけどなぁ!」

 そう、この時代でも機械整備のためにオイルは使う。

 オイルは即ち可燃物である。

「おらぁ!」

 そちらへ車体を向ける。位置は把握してあった。

「飛び降りるぞ!」

 俺は、楽花の腕を引っ掴んで、ドアをぶち破り車外へダイブ。

 アスファルトに背中を打ちつけた。

 だが、俺自身がクッションとなって、楽花への衝撃を軽減出来ただろう。

 ん? まて、接近しすぎか… いろんな意味で…

 ドガシャァァン

 衝突音。燃え上がる炎。

 オイルタンクへの正面衝突じゃ幾らなんでも…

 俺は、そう思い、視線をそちらへ泳がせようとすると…

「い!」

 正面に楽花の顔があった。

 まて、この体制はマズイ。

 動かない所を見ると気を失っているようだ。

 俺は、素早くその状態から逃げると、再度視線を向けた。

 人影らしきものはあった。だが、それはピクリとも動かない…

「殺った… か…」

 俺は、そう呟く。

「う〜ん。」

 楽花も気付いたようだ…

「終わった… みたいだな。」

 俺は、そう言う。

「ホント…」

 楽花はそう問い返す。

 ガザァ

 突如、オイルの炎の中の人影が立ち上がる。

 まだ… 生きているのか…

 俺は、どうするか迷う… あれでも死なないのか…

 辺りを見回した…

 !!

 上に黒い影が見える。それは、何かに吊り下げられ、船へと積み込む途中のようだ。何かは、徐々に此方へと近づいてきていた…

「なあ、楽花… まだ終わってねぇみたいだ…」

「やっぱり…」

「こういう時に言う台詞ってさ… なんて言うべきだろ…」

 俺は、そう言う。

 炎に巻かれた人影が一歩ずつこちらへと向かってくる。

「ちょ、ちょっと! それは、生き残ってから…」

「そうだな… やっぱしこれか…」

 俺は、そう言う。

 あと、10m程の所にかつて人であった物が来ていた。

 俺は、言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「地獄で会おうぜ… ベイビー!」

 

 ガンガンガン

 

 俺は、ブローニングに入っていた3発の銃弾を撃つ。

 最初の二発は、奴の脚へと吸い込まれていく。奴は尻餅をついた。

 最後の一発。

 それは、上にあったコンテナを吊り下げていたクレーン車のワイヤーロックを壊した。

 なぜロックを壊したかと言うと、ワイヤーはタイヤと同じで、ブローニング程度では千切れない可能性があるからだ。

 ガシャァ!

 1t近くはあるコンテナが落下する。奴の頭上へと…

 脚をやられている為に、避けられるはずが無い。

「ルワァァァァァスゥゥゥゥゥゥドォォォォォォォォォォ!!!」

「あばよ! シックス! あの世で会えたら元カリフォルニア州知事とやり合って来い!」

 俺は、そういい捨てる。

 奴の頭上に1tはあるコンテナが被さる。

グジャァリィィ!

 それは、奴の肉を潰し、内臓を潰し、骨を砕いた…

 ……………………

 しばし時間が経つ… 起き上がってくる気配は… 無い。

「終ったぜ… 今度こそ…」

 俺は、そう楽花に言う。

「まてぇ! 貴様らぁ! 何をしたぁ!」

「やべ…」

 違法な港で働いている人が来た。

 捕まるとマズイな。

「逃げるぞ!」

「おお!」

 俺は、楽花の手を引き、逃げ出した。

「駐車場に確か無用心にも鍵をつけたままのバイクがあった… それを盗んで逃げようぜ!」

「ぬーすんだ、ばーいくで、はーしりだすー、って一年早いけど…」

 ファンファンファンファン

「おうおうおう! 遅くなったが警察も来ました!」

「もう、時効まで逃げるしかないよ!」

「じゃあ、逃げよう。」

 俺は、駐車場へと辿り着くと、無用心にも鍵をつけたままのバイクにまたがる。

 ブォォォォォォォン

「うぉ! ガソリンエンジン車か… 珍しいぜ!」

 俺は、吼えたエンジンの振動を感じて身震いする。

「2ケツって、こう言う事…」

「みたいだな…」

 楽花も後ろにまたがる。

「行くぜぇ!」

「おお!」

 ギャルブァァァァァァ!

 タイヤが大地を咬み、バイクは何処とも知らぬ海岸線沿いの道路を登っていった…

 

 これより、4年後… 彼らは、ある戦艦へと乗り込むことになる…

 

英雄無き世界にて…

第11話 下

END

第12話へと続く…
 



あとがき


(ダレモイナイ… スキカッテスルナラ、イマノウチ…)

………

 君たちに、最新情報を公開しよう!

テンカワ家は、英国の名家である。
そのテンカワ家に、一人の少年がやってきた。

「紹介するよ、ハーリーっていうんだ。」
その少年に向かい愛犬ハーリーを紹介する、テンカワ家の一人息子、プロス。

バキィ!

「ハーリー!!」
「な、何をするだぁー! 許さん!!」(注、誤字に非ず)

出会い頭に、愛犬を蹴りつけた少年、彼の名は、ゴート・ホーリ。
この物語は、テンカワ家とゴートの、一世紀半にもわたる戦いの歴史である!


”嫌”動戦艦ナデシコ外伝
ナデシコの奇妙な冒険

‐第三部‐


自分に悪霊がとりついていると主張する青年、テンカワ・アキト。
彼は第二部の主人公、テンカワ・コウイチロウの孫である。

波紋の代わりに使う能力は、幽波紋(スタンド)!
その名は……

「アイアン・キャッスル!!」

銃弾を掴むほどの正確な動き、
圧倒的なスピード、
そして、強力無比なパワーを誇る。
そして、隠された能力も…

炎を操るスタンド使い、ムネタケ・サダアキ。
そのスタンドの名は…

「マジシャンズ・レッド!!」

その必殺技は、アンク型の炎を自在に操る荒業。
「クロス・ファイヤー…… ハリケェェェェェェン!!」

第二部の主人公、テンカワ・コウイチロウ。
そのスタンドは…

「ハーミット・パープル!」

念写を基本とするその能力と、年により培った経験則で、パーティーをリードする。

ゴートの呪縛から逃れ、アキトたちと共に戦うスタンド使い。
その名は、アオイ・ジュン!

「ハイエロファント・グリーン!!」

全スタンド中、最も広範囲に使用可能なその能力。
その破壊の奔流は、まさに防御不能!
「エメラルド・スプラッシュ!」

妹を辱めた相手に、復讐するため。
男、ダイゴウジ・ガイ(本名、ヤマダ・ジロウ)は戦う!

「シルバー…… チャリオッツ!!」

そのスピードは、光をも捉える!

そして、最強の敵……

「絶望ォォォォォォォォに身をよじれぇ、虫けらどもォォォォォ!」
「最高にィィィィィィ、「ハイ」ってやつだぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「貧弱ゥゥゥゥ、貧弱ゥゥゥゥ!」
「WRYYYYYY!!」
「無駄ァ、無駄ァ、無駄ァ、無駄ァ、無駄ァ、無駄ァ、無駄ァ!!」

その名は……

最悪の狂信者、ゴート・ホーリ。

そのスタンド…

「見せてやろう、神の力を…… ゴット・ベン!!」

その能力は、全てが謎!

アキトは、この最悪の敵に勝つことが出来るのか?
そして、ルリを救うことは出来るのか?
今、誰も見たことの無い(嘘)冒険が始まる……

ナデシコの奇妙な冒険
第三部
COMING SOON……

………




「……やれってか、兄者?」
「問答無用。」



































勿論、全部冗談です。

 

 

 

代理人の感想

趣味に走ったなぁ・・・・・・・・・・・・本気で世界が違うや(苦笑)。