『あさ〜〜、あさだよ。朝ご飯食べて、学校行くよぉ〜〜〜』

 名雪から借りた、かえるの目覚ましがアキトに起きる時刻を告げる。

 カチッ

「な、なんなんだ?この聞けば聞くほど眠くなる目覚ましは・・・・?」

 アキトはその目覚ましを止めると、そう言った。

「もうこんな時間・・・・」

 ジリリリリリリリリリリリリリリリリリッ!!!!!!

 アキトが起きようとすると、隣の部屋から様々な目覚ましの音が聞こえてきた。

「今度は何!!!???」

 アキトは跳ね起き隣の部屋、名雪の部屋へと向かった。



NAKANO

第二話 日溜まりの町



「入るよ」

 ガチャ

 アキトは数回部屋の扉を叩いたが、応答が無かったので失礼と思いながらも名雪の部屋へと入った。この間にもますます目覚ましの音は大きくなっていく。

「げっ・・・・・」

 そして、部屋を見てアキトは驚愕した。

「なんで、こんな状況で寝れるの?」

 部屋にはありとあらゆる所に目覚ましが置いてあり、しかもそれらすべてが鳴いていると言うのに、この部屋の持ち主=名雪は平然としてかえるのぬいぐるみを抱きながら眠っていた。

「すぅ、けろぴー、お腹一杯」

 しかも、寝言まで言っている。完全に眠っているようだ。

「名雪起きろ!!!朝だよ!!!」

「はえ?・・・アキト、おはようございますぅ」

 名雪はアキトの大声で一瞬起きたものの、すぐさま寝てしまった。

「起きたなら、目覚まし止めてくれる?」

「はえ。なに、アキト?聞こえないよ」

「とにかく、目覚まし止めて!!!」

「すぅ〜〜〜」

 アキトの懸命の呼びかけにも関わらず名雪は再び寝に入った。



「ぬりぬり」

 名雪は目を閉じながら(寝ているのかどうかは不明)、トーストにイチゴジャムを塗りつけると、ちぎって口へと運んだ。

「あ、あそこまで手ごわいとは・・・・」

 アキトは朝食を食べながら、名雪を起した感想を述べていた。

「それにしても、珍しいわね。名雪がこんなに早く起きてくるなんて。これからは名雪を起すのはアキトさんに頼もうかしら」

「えっ」

 秋子さんが名雪を見ながらそう言うと、名雪は顔を赤くして過敏に反応した。

「勘弁してください」

「えっ、あ〜〜」

 アキトが鳴きそうな声で言うと、名雪は期待していたのか目を点にしてショックを受けた。

「アキト、酷いよぉ〜〜〜」

 そして、そのままアキトを恨めしそうな目で見る。



「はぁ、いいお天気だね〜〜〜」

 朝食を食べ終わったアキトと名雪は、そのまま家を出て学校へと向かっていた。

「それでも、結構寒いな」

 アキトは手をこすりながら言った。

「今日は暖かいほうだよ」

「これで?」

「うん」

「今度、どっかでコート買おう」

 アキトがコートを買う決心をした瞬間だった。

「ところで時間、大丈夫?」

「え〜と。あっ!」

 アキトに時間を聞かれて、時計を見た名雪は少し驚いた。

「遅刻?」

「まだ、大丈夫だけどちょっと走らないとダメかな」

「体が温まる程度にはちょうど良いかな」

「アキト、行くよ〜〜〜」

 名雪はすでに走り始めていた。

「あ、待って」

 二人は雪道を駆けて行った。



 ガラッ

「失礼します」

 アキトは職員室のドアを開けて中に入った。

 アキトは玄関で名雪と分かれた後、転入クラスを知るためここへ来たのである。そして、この中には知っている顔が三人もいた。

「(な、なんで、シュンさんとナオさん、それにプロスさんがここに!!?)」

「相沢 アキト君だね」

 そして、座っていた教師のうちの一人が立ち上がりアキトに近寄った。ついでに言っとくとナカザトの姿もある。また、ここにはいないが保健室にフィリスもいるのであった。

「あ、はい」

「君の担任の石橋だ。今日からよろしく」

「よろしくお願いします」

「さて、そろそろ時間だな。ヤガミ君、君も来てくれ」

「了解ッス」

「相沢君、うちの教育実習生のヤガミ・ナオ君だ」

「よろしく」

「相沢 アキトです。よろしくお願いします」

「それでは、行こうか」



「それじゃ、ここでしばらく待っていてくれ」

 石橋先生はそう言うとざわざわとしている教室の中へと入っていった。

「・・・・なんでナオさん達がここにいるんですか?」

 石橋先生が教室にはいるとアキトはナオを睨み、問い詰めた。

「俺とプロスさんはネルガルの会長命令さ。シュンさんは統合軍からの命令らしいな。ちなみに言うと保健室にはフィリスさんもいるぞ」

「・・・・・・・・」

 ナオの言葉にアキトは唖然となった。

「ま、これからよろしくな」

 ポンポン

『相沢君にヤガミ君、入ってきてくれ』



 ガラッ

「え〜と、こっちが今日からクラスメートになる、相沢 アキト君だ」

「相沢 アキトです。よろしくお願いします」

 ニコッ

 きゅぅぅぅぅぅぅぅううんっ!!!

 アキトが卓上でスマイルを浮かべると、ほとんどの女子生徒がアキトにくぎ付けになった。と、同時にこれまたほとんどの男子生徒の反感を買った。

「じゃあ、そこの空いている席に座ってくれ」

「はい」

 そして、アキトが席に座ったのを確認すると石橋先生はナオの紹介に入った。

「そして、こちらが今日から一ヶ月このクラスで教育実習を行うヤガミ・ナオ実習生だ。担当は男子体育だ」

「短い間ですが、よろしく!!」

 ナオは体育会系バリバリの大声で挨拶をした。

「先生、質問良いですか?」

 金髪をして、髪の毛が後ろから一本アンテナみたいに飛び出した髪形をしている男子生徒が質問した。

「ん、何だ?北川」

「何で今ごろ教育実習生が来るんすか?」

「うむ、ヤガミ君話して言いかね?」

「いえ、俺のほうから説明しますよ。本来の教育実習直前にバイクで事故ってしまって、直ったのがつい最近なんだよ。これでいいかな?アンテナ君」

「北川です。後、その格好は一体」

「何を言う。体育教師とはこの格好だろが」

「いまどきそんな格好の先生は居ません!!!!」

 ナオの答えに生徒全員が突っ込んだ。

 ナオの格好はと言うと、上下緑のジャージを着ており、なおかつ竹刀を前に突き刺していた。もちろん、トレンドマークの黒いサングラスも掛けている。はっきり言ってかなり怖い。この姿で歩いたら職質(職務質問)を掛けられること間違い無しだ。

 その後、ナオと生徒の間でくだらない論議があったが、それは置いて行こう。



「はぁ〜、疲れた」

 アキトはそんな事をぼやきながら、雑巾を絞っていた。案の定、休み時間のたんびに女子生徒(うわさを聞きつけた他クラス・多額年の女子からも)から質問攻めを受け、かなり疲れていたのである。

「アキトッ!」

「んっ?」

 名雪の声が聞こえたのでアキトは雑巾を絞るのをやめ、名雪のほうを向いた。

「わたしこれから部活だけど、アキト一人で帰れる?」

「来た道をも出ればいいだけでしょ、それくらい大丈夫だよ」

「迷ったりしない」

「しないしない。それよりも・・・」

「なに、アキト?」

「俺が名雪の家に居候してるなんて事は、誰にも言わないでね」

「どうして〜?」

「昼間のあれ見てわからなかった?」

「あっ・・・・」

 確かに昼間のあの様子では、暴走した女子生徒が名雪の家まで押しかけない。まぁ、そのときは秋子さんの謎ジャムが炸裂するだけのことであろうが、迷惑には違いない。

「ごめん!!・・・手遅れ」

「ま、まさか・・・・!!」

「皆に言っちゃった」

「ごめんね〜〜〜!!!」

 名雪はそう言うと走って去ってしまった。

「お、お〜い・・・」

 アキトは猛獣の群れ(アキトの場合は女の群れか?)に突っ込まれた気分になった。

「まぁ、大丈夫じゃない」

 アキトがそんな気持ちの中、一人の女子生徒が話し掛けてきた。長くウエーブがかかった髪を持っており、大人びた雰囲気を持っている少女―美坂 香里である。

 彼女はナオとクラスメートが論議を繰り広げている間に、名雪の紹介もあって知り合ったのである。

「なんで?」

 アキトがそう言うと、香里はビックリしたような顔をした。

「そう、まだ来たばかりだから知らないのね」

 そして、沈んだ面持ちで言った。

「だから、なに?」

 香里のその様子にアキトは冷や汗をかき始めた。

「知らないほうが良いわ、あれは」

 彼女はその後一切、その話題について口を開くことは無かった



「知らないほうが良いわ、あれは」

「なんなんだろうな・・・」

 アキトは香里の言葉を思い浮かべながら、商店街を歩いていた。

 タッタッタ

「ん、あれは・・・」

 アキトがふと横に目をやると、後ろを気にしながら走っているあゆがいた。

「おーい、あゆちゃーん」



「おーい、あゆちゃーん」

「えっ?あッ・・・」

 あゆは突然のアキトの声に気を取られ、足を滑らせ加速をつけアキトのほうへと向かっていった。

「どいて、どいて、どいて、どいてぇーーーーーーっ!!!!」

 そして、昨日と同じくアキトへタックルを仕掛けるのかと思いきや、さすがは漆黒の戦神、二度も同じ手は喰らわずしっかりとあゆを受け止めた。

「大丈夫?」

「うん、ありがと。あっ」

 あゆが後ろを確認すると、そこには昨日と同じエプロン姿のおやじが走っていた。

「あれ、あの人・・・・」

「ごめん、走ってッ!!」

 あゆはアキトがセリフを言い終える前に、アキトを引っ張り走り出していた。



「「はぁはぁはぁ・・・・」」

「こ、ここまで来れば、も、もう大丈夫」

「ど、どうして俺まで・・・・・」

「昨日一緒に食べたからだよ」

「いつの間に共犯者に・・・」

「はぁ、走ったらお腹すいちゃったよ」

 あゆはそう言うと持っていた紙袋を開け、タイヤキを一つ取り出す。

「ほら、君も食べなよ」

 そして、タイヤキをくわえると紙袋をアキトのほうへと向けた。

「これ食ったら、また共犯なんだよな」

「大丈夫、一匹も二匹も同じだよ」

「はぁ〜〜〜」

 アキトはため息をつきながらもタイヤキをくわえた。過去あれだけの大罪を犯しても、罪の意識はあるようである。

「・・・あゆちゃん、そのカチューシャ」

 アキトがふと隣のあゆを見ると、あゆの頭にある赤いカチューシャが目に入った。

「ん、これ?」

 アキトはコクコクと頷く。

「(なんだろう、何か懐かしい)」

「ありがとう」

「えっ」

 ふとアキトの耳にそんな言葉が聞こえた。

「?どうかした?」

「い、いや、なんでもないよ」

「?このカチューシャはね、ボクの大切な人に貰ったんだよ」

「大切な人?」

「そう大切な人」

 あゆは顔を赤くしながら、そのカチューシャと大切な人のことを言った。

「・・・・・ふってきたね」

「そうだね」

 いつの間にか、あたりには雪が降り始めていた。

「そろそろ帰ろうか?」

「そうだね」

「「・・・・・・・・・・・・」」

「・・・・・・・・・もしかして帰り道わからないとか?」

「うん、こんな所始めてきたよ。君も知らないの」

「俺、おととい越してきたばかりなんだけど」

「・・・・どうしようっか?」

「どうしよう」

 二人は途方にくれた。

「きゃ」

 ステン

 その直後、後ろから女の子の声が聞こえた。

 アキトとあゆの二人が後ろを見ると、そこには道路(雪)の上に座っている、ストールを羽織っている少女がいた。その少女の目の前には、なにやらいろんなものがまき散らかっている。

「大丈夫」

「あ、はい」

 アキトが手を差し出すと、少女は顔を赤らめその手を握った。

「拾ってあげるね」

「あっ」

 そう言ってあゆが、とあるものを拾おうとしたとき、少女は目の色を変えあゆがその品に触れる前に取った。

「あゆちゃん・・・・」

「うぐぅ、違うもん」

「すいません。そう言う訳では・・・・」



「それでは、どうもありがとうございました」

 その後、アキトとあゆはその少女の拾いものを拾うのを手伝った。

「あ、ちょっと待って」

 少女が一礼して去ろうとしたときアキトは少女を呼び止めた。

「はい?」

 そして、少女は顔を少し赤くしアキトのほうを向いた。

「商店街ってどっち?」



「うぐぅ、うぐぅ・・・・」

 あゆはさっきの少女と別れたときからずっとうなっていた。

「・・・ねぇ。どうしたの?」

「うぐぅ。君は本当に気づいてないの?」

「えっ、なにが?」

「(うぐぅ、あの子の目は一目惚れした目なんだよぉ)」

「?」

 何がなんだかさっぱりわかっていないアキトに、あゆは同じような人物を一人思い出した。

「わかった!!君はアキトだね!!!」

「はぁ?」

「うぐぅ。火星で・・・・」

「!!!あゆなのか?」

「そうだよ、アキト」

「あゆ!!」「アキト!!」

 二人は久々の再会を喜び、ぎゅっと抱きしめた。二人は火星開戦があるまで深い関係だったのである。



 ザワザワ

 ここはどこかの小学校の教室、まだ先生は来ていないので生徒はおしゃべりなどをするなどしてざわついていた。

 ガラ

 バタバタバタ

「起立ッ!!!・・・礼ッ!!・・・着席」

 そして、先生が入ってくると学級委員である生徒が号令をかける。

「は〜い、今日は転校生を紹介するわよ〜〜」

 ザワザワ

 先生のその言葉に再びざわめく生徒たち、それを先生は手を叩きながら静める。

「は〜い、静かに〜〜。それじゃ、月宮さん、入って」

 そして入ってくるのは、少年アキトがつい先日会ったばかりの少女。アキトは驚いた。

「つ、月宮 あゆです。これから、・・・よろしくお願いします!!」

 ちょっとたどたどしかったがあゆは自己紹介を終えた。

「それじゃあ、月宮さん。あそこの空いた席に座ってくれるかしら」

「あ、はい」

 あゆが先生が指した席に行くと隣にはアキトがいた。

「う、うぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅううう!!!!!」




 トントントン・・・

「おはようございます。名雪、アキトさん。和食にしますか、洋食にしますか?」

 アキトは昨日と同じく名雪を起すという大仕事をやり遂げ、食堂へとやって来た。もちろん名雪は、2/3は寝ている。

「イチゴジャム〜〜〜」

「はいはい、名雪は洋食ね。アキトさんはどうしますか?」

「あ、俺も洋食でお願いします」

「はい、わかりました」

 そして、秋子さんは二人の注文を受けると、キッチンのほうへと行き、数分後三人分の食事を持ってきた。

「「「いただきます(だぉ〜〜)」」」

「う〜、やっぱりイチゴは最高なんだぉ〜〜」

 名雪はトーストにイチゴジャムを『これでもか!』と言うくらいたっぷり乗せ口へと運ぶ。かなり身体に悪そうである。

「しかし、秋子さんの料理はホントに美味しいですよね」

 アキトはホウメイさん並の料理の腕を持つ秋子さんの料理を食べながら言った。

「そうですか?気に入ってもらって何よりです」

 そして、秋子さんは棚からオレンジ色のジャムを取り出した。

「だお!!」

 名雪はそのジャムを見ると顔が真っ白になり、冷や汗を流し始めた。

「あら、どうしたの名雪?」

 秋子さんはその名雪の様子を何かが違う笑顔で見つめながら、理由を尋ねる。

「わ、わたし、今日日直だから!!!」

 名雪はそう言うと脱兎のごとく水瀬家から逃げ出した。

「名雪、どうしたんしょう?」

「さぁ。それよりアキトさんもこのジャムいかがですか?」

「あ、すいません」

 アキトは秋子さんが進めるままにオレンジ色のジャムを塗った。

「へぇ、ママレードですか?」

 そして、アキトはそのジャムを口に運ぶ。

「!!*@“$#&%!!???」

「いかがですか?」

「すいません!!俺、急用が出来たのでもう出かけます!!」

「気を付けて下さいね」

「それじゃ」

 アキトは光速で水瀬家を出て行った。

「・・・・・・やはりアキトさんもダメでしたか」



「はぁはぁ、こ、ここまで来ればもう大丈夫ぅ〜〜」

 名雪は水瀬家を出てからひたすら走りつづけ、家と学校のちょうど中間あたりの地点まで来ていた。

「な、名雪!?」

「あ、香里。おはよう〜」

 名雪が挨拶すると香里はすぐさま腕時計で時間を確認する。

「・・・うそ、名雪がこの時間にここにいるなんて・・・・・今日は何かがある」

「酷いんだお〜」

「ごめんなさい。でも一体何があったの?」

 香里が理由を聞き出そうとすると後ろからアキトが追いかけてきた。

「な、名雪、酷いじゃないか!!」

「ごめんなんだお〜、でもあの邪夢(ジャム)には逆らえないんだお〜〜」

「なるほど、これで納得がいったわ」

「香里、まさかお前も」

「相沢君、お願いだから思い出させないで・・・」

 その後、三人は無言で学校に向かうのであった。



「おい相沢」

 現在は数学の授業中である。何を思ったのか北川が一生懸命ノートを書いているアキトに話し掛けてきた。

「外、見てみろよ」

 アキトが何か物を言う前に北川は外を指差していった。

 窓の外にはアキトが昨日、あゆとあった少女がいた。

「先生!ちょっとトイレ行ってきます」

 アキトはそう言うとすぐさま後ろの扉から教室をでて少女がいる中庭へと向かった。



 ゴゴゴ

 鉄製の扉がゆっくりと開く。

「あっ」

「こんなところで何してるのかな?」

 アキトは昨日の少女ににこやかに笑って話し掛けた。

「・・・人を待っていたんです」

 少女はニッコリと笑いそれに答える。

「そっか・・・・。でもここは関係者以外立ち入り禁止だよ」

「『以外』じゃないですよ。私はここの生徒です」

「・・・今日は学校がある日だよ」

「わかっています。私、今日は学校を休んでいるんです」

「サボリはよくないなぁ」

「サボリじゃないですよ。ちょっと体調を崩していてずっと学校を休んでいたんです」

「病気なのかい?」

「・・・風邪、です」

「だったら、早く帰ったほうがいいよ。その待っている人に会って・・・」

 キンコーン カンコーン

「・・・そうですね。今日はもう帰ります」

「その人には会わなくていいのかい?一緒に探してあげようか?」

 アキトは少女にそう提案したが、少女は首を振りいった。

「いいんです。もう会いましたから・・・」

 少女はそう言うと門へと歩いていく

「君の名前は?」

「栞です。美坂 栞・・・」

「美坂・・・」

「栞って呼んでください」

「わかった。俺の名前は相沢 アキト」

「それでは、本当にありがとうございました」

「美坂 栞か・・・」



「なっがいトイレだったなぁ」

 アキトが教室に戻ると北川がそう言って迎えてくれた。

「先生、怒ってたよ」

「まぁそうだろうな」

「ちゃんと後で謝っといたほうがいいよ」

「ああ、わかった。ところで香里」

「なに、相沢君?」

「妹っているか?」

「・・・・いないわ。どうしてそんなこと聞くの?」

「いや、ただ気になっただけ」

「そう、じゃ私部活があるから・・・」

「ちょっと待って」

「今度は何?」

「現実を受け止めないとその先には進めないよ」

「それだけ?」

「ああ、引き止めて悪かったね」

「・・・アキト今の言葉って?」

「さぁ?なんとなく言ってみたかっただけだよ」



 アキトは部活がある名雪と学校で別れ商店街を歩いていた。

 ガサ ガササ

 そして、その後ろを怪しげなダンボールがついてきているのだが、アキトは全くそれに気が付く様子が無い。

「ん?」

 しかし、さすがのアキトでも周りの視線には気がついたようで、視線が集まっている原因があると思われる後ろを向いた。

「やっと見つけた!!」

 そして、そのダンボールの中からおそらくは女であろう声が聞こえてくる。

「な、なんだ?」

「あなただけは許さないんだから!!!」

「おい、俺は人に恨まれるような覚えは・・・・」

 アキトは途中までそう言うと思い出した。

 ある、ありまくったのである。

「あるのかよ!!!」

 視線を浴びせている人たちが全員アキトに突っ込んだ。

「・・・ともかく私は絶対許さないんだから〜〜!!!!」

 そう言うとダンボールの中の物体はダンボールを宙に投げ捨て立ち上がった。

「長年の恨み・・・覚悟!!!」



第三話へ続く



作者の後書き

お待たせしました〜。NAKANO第二話ようやく完成です〜〜。

いや〜、思ったよりも時間がかかってしまいました。待っている人にはホント申し訳ないです。

とりあえず、後二回ほどでKANONヒロインが全員でそろうのでそっからは、本編に沿いつつオリジナルの部分も交えようと思っています。一体何話になるんでしょうね?

ちなみに、シュン、ナオ、フィリス、プロスペクター、ナカザトが教師陣として登場していますが、担当教科は以下のようになっています。

シュン・・・・・・・日本史

ナオ・・・・・・・・(男子)体育(教育実習生)

フィリス・・・・・・保険医

プロスペクター・・・教頭

ナカザト・・・・・・数学

おまけ

石橋・・・・・・・・現代国語

なお、今回の紹介キャラは『美坂 香里』さんです。



キャラ設定 その2『美坂 香里』

性別、女

年齢、16歳

生年月日、3月1日

出身地、不明

趣味、不明

特技、不明

部活、不明(演劇部、もしくは異種格闘技部と思われるが)

その他、特記事項、

基本的に原作と何ら変わることは無く、アキトに惚れることもないと思われる。

 

 

 

代理人の感想

>上下緑のジャージ、竹刀

・・・そーか、今時ジャージに竹刀の先生と言うのはいないのか・・・

中学にも高校にもいたんだが(爆)。