なぜなにナデシコ番外

〜結構知られていない事実〜

 

第一回「劇場版の機動兵器たち」

 

 

 

 

こん○○わ、はじめまして、音威神矢と申します。

日和見さまに許可を得て「なぜなにナデシコ特別編」の番外編を造ることにしました。

 

ActionのメインSS「時の流れに」も第二章で劇場版のシーンに突入しました。

第一章でも夜天光や六連といった劇場版の機動兵器が登場しました。

SSから『ナデシコ』の世界に入った人は知らない方も多いかと存じます。

ここで紹介したいと思います。

 

 

・劇場版に新登場した機動兵器

 

 

 

結構種類が出ていましたが、エステバリスシリーズはすでに紹介されていますので省略します。

今回は、ステルンクーゲル、夜天光、六連、積尸気を紹介します。

 

 

ステルンクーゲル

 

木連とクリムゾングループの技術提供によって開発された機動兵器でエステバリス2に変わり、統合軍に正式採用された全高7Mの機動兵器の名称です。

多数配備されていて火星の後継者側にも存在し、劇中の戦闘という場面では絶対といっていいほど登場していますが、さらりと流されていて覚えのない人が多いと思います。

「大型火器使用を前提にした小型機動兵器」というコンセプトの元に開発され、エステバリスと違い基より軍用として開発が進められました。

コンセプトからわかるようにエステバリスとは逆の中〜長距離戦を想定しています。
エステバリス月面フレームの設計思想を受け継いだ機動兵器なのです。(姿まで月面フレームとそっくりです。)

 

完成時期を明確に書かれた資料が見つからないため、はっきりとはわかりませんでした。

 

 

ちなみに、ステルン・クーゲルとはマツムシソウ科の越年草の『西洋松虫草』の園芸品種の『スカビオサ』の一種です。

花を観賞するより、球状の複合果をドライフラワーに使われるそうです。

花言葉は、風情・魅力・移り気・クール・変節……どれを当てはめていたのかなぁ?(汗)

 

 

ステルンクーゲルの特徴

 

  1. 重力波ビーム受信アンテナを持たず、内部動力を搭載したこと
  2. 脚部をスラスターにしたこと
  3. レールガンを標準装備
  4. 新操縦システムのEOSを採用
  5. ボソンジャンプシステムの搭載予定あり

 

 

 

1:バッタの出力系を発展させたジェネレーターを搭載し母艦からの行動制限をなくした。

クーゲル最大の特徴とも言えるもので重力波アンテナを装備していませんでした。

エステバリスは重力波アンテナによって動力を母艦に頼ることによって機体の小型化と反重力推進装置の搭載を可能にしておりましたが、クーゲルは内部機関に置いてもそれを可能にしました。

バッタのエンジンと聞いて、能力を見誤ってはいけません。

バッタはあの小さな体(軽自動車と同じぐらい)に反重力推進装置とディストーションフィールドを搭載していたのです。これは小さな体にサイズに見合わない大出力のジェネレーターが搭載されていたということです。

それを地球の技術で解析し、発展させたものを搭載されました。

この発展型のジェネレーターはレールガン(大型火器)を装備可能な高出力を誇りました。

レールガンは大戦中のエステバリス陸戦フレームの装備にもありましたが、それは反重力推進機関を持た無い陸戦フレームだからこそ可能になったものでした。しかし、それでも出力が足りずにレールガン専用のバッテリー&コンデンサを必要としてました。

重力波スラスターとレールガンの両方を稼動させるクーゲルのジェネレーターの凄さがご理解いただけるでしょうか?

 

2:両脚部に大型重力波ユニット

大型の重力波スラスターを脚にしています。足は着陸用と割り切ってかなり簡略化されています。

おかげで空間戦闘でエステバリス2を超える高機動を誇ります。

 

3:ハンドレールガン(俗称「物干し竿」)を標準装備

レールガンは従来の機体では出力不足のため採用を見送られていた装備であり、
高出力を誇るカスタム機のみ使用が可能でした。これを標準装備することでエステバリス2を火力の面で大きく上回りました。
(月面フレームは小型機動兵器とは言わないので除外)

レールガンは機体からのパワーケーブルで電力を供給し、マガジン内の実体弾をリニアバレルで加速させ撃ち出すという武器です。

コレを標準装備することによりエステバリスを次期主力兵器の座から引き摺り下ろしたのす。

 

 

4:EOS『Easy Operation System』

IFSに変わり採用された操縦方式で、学習機能の発達したコンピュータが基本操作を行う操縦システムです。

ガ○ダムなどのMSと同じような操縦法になったように見えます。筆者の私見:無人兵器のAIとジンタイプの操縦システムを組み合わせたシステム

操縦者がナノマシンを注入する必要がないため、地球でのパイロット新規採用に希望者が殺到したといいます。
安全が保障されているとはいえナノマシンを体内に入れることへの抵抗は根強いようです。

学習コンピュータの成長次第で、新兵でも熟練パイロット並みの動きが可能になるかもしれない優秀なシステムですが、パイロットの望む動きを学習コンピュータに登録された動きで再現しようとするため、
柔軟な運動性は、IFS採用のエステバリスに劣ります

おかげで近接戦闘は苦手と推測できます。劇場版ではEOSの成長が十分でなかったのかバッタに取り付かれて何も出来なくなってました。

 

5:ボソンジャンプ機能の付加を視野に入れ、相転移エンジンの搭載をにらんだ設計。

当時、ボソンジャンプ機能をもつ機動兵器は大型のジンシリーズ(30〜40m級)のみということになっていました。

クーゲルの完成時点では7メートルクラスの機動兵器にボソンジャンプ機能を付加することは不可能ということになっていたのです。

「夜天光やブラックサレナはどうした?」と言いたいでしょうが、その存在は表に出てきていませんでした。

将来的にジャンプ可能な『小型』機動兵器として運用も期待できるということが、採用の決め手の一つになったのでしょう。

次世代機動兵器の覇権は、既に単独ジャンプを可能にしたアルストロメリアのコストダウンが先か、
クーゲルのボソンジャンプユニットの開発が先かということにかかっていると言って間違いないでしょう。

 

スピード・出力・火力など、エステバリス2を凌駕する優秀な機体ですが主人公側に配備されなかったので、やられ役として認知されることの多い不幸な機体ともいえます。

 

 

 

・火星の後継者の機動兵器 

 

ご存知、劇場版の敵役達です。

これらの開発は蜥蜴戦争時にまで遡ります。

 

木連軍は地球軍にエステバリスが登場したことに驚嘆しました。わずか6M前後の人型有人機動兵器という発想は、彼らの中ではまったく存在していませんでした。

木蓮中将草壁春樹は戦争の長期化を想定し、小型有人機動兵器の開発を極秘裏に進めました。

コンセプトはジンタイプをエステバリスクラスまでダウンサイジングする事でした。

これが可能ならば、そのすばらしく高い戦略的価値を持つことになるでしょう。

草壁は戦争中から繋がっていたクリムゾングループとの取引で、人型機動兵器の開発及び製造技術のノウハウを手に入れます。

それを基に開発が進められ、その結果蜥蜴戦争の1年後に夜天光・六連が、その後量産型の積尸気が完成しました。

 

・火星の後継者の機動兵器群の特徴

 

1.ボソンジャンプシステムの搭載

2.燃料式のスラスター及びターレットノズルでの機動

3.無人兵器のものを改造したジェネレーター

4.コクピット周囲の小型ディストーションフィールド発生装置

 

 

1.ボソンジャンプシステムの搭載

コンセプトを見てわかるとおり火星の後継者の機動兵器はこれを前提に開発を進められました。

しかし、小型化に伴う出力不足に苦心したようで完成したものは回数制限付のものや一回限りの外部ユニットとなっています。

 

2.燃料式スラスター及びターレットノズルでの機動

燃料式スラスターを採用したのは、ボソンジャンプシステムにより戦場へ瞬時にいけることで
長距離移動が不要になること、構造を簡略化し量産性を高めるため採用されました。

ターレットノズルやターレットに固定したアームノズルを採用することにより重力波スラスターにも負けない機動性を有することとなります。

構造的に旧式機動兵器のデルフィニウムに近いです。

燃料式のスラスターを採用したことにより作戦行動時間は短いという欠点を持つことになりましたが
ボソンジャンプシステムはソレを有り余る成果を上げました。(詳しくは積尸気の項にて)

 

3.無人兵器のものを改造したジェネレーター

当時の木連の技術では相転移エンジンの小型化は不可能でした。
そこで高出力な無人兵器のものを改造したジェネレーターを搭載するというプランが採用されます。

草壁派が木連の技術で改造したものであり、ステルンクーゲルのジェネレーターとは別物です。

 

4.コクピット周囲のディストーションフィールド発生装置

胸部のコックピット周りに小型ディストーションフィールド発生装置を3基装備しています。

これは3基同時に機能するのではなく弾道によって1基ずつ瞬間的に発生する『盾』のようになっています。

これはジェネレーターの出力で機体全体を包む、十分な出力のディストーションフィールドを発生させることが
出来なかったための苦肉の策でありましたが、結果的に有用なシステムとなリました。
(ブラックサレナのハンドカノンを楽々弾く位強力で、前面すべてを覆う程度のDFを張ることが出来ます。)

新型バッタ(TV8話から登場した強化されていたバッタ)に採用された装置を改造したものが採用されていました。

高価なためなのか量産型の積尸気には装備されていませんでした。

 

では、各機体の説明です。

 

夜天光やてんこう

 

ご存知、アキトの宿敵北辰の駆る血のように赤い機体。
SSでもあっちこっちにブラックサレナの敵役として登場しているため有名かと思います。
回数限定の短中距離単独ボソンジャンプユニットを内蔵しています。
コクピット周り小型ディストーションフィールド発生装置を3基装備。

 

円形の足の裏はスラスターで、腰部に2基、後頭部から背中に向けて一基の可変バインダーノズルを装備し、両肩に回転ターレットノズルと合わせて「傀儡舞(くぐつまい)」と呼ばれる変則機動を行うことができます。

当初より燃料式スラスターによる機動を想定していたため機体剛性は極めて高く設計されています。

多くのスラスターを全身に持つためか操縦に高度な技術が必要と思われ、劇場版では北辰機しか確認されていません。

武装は、身長と同程度の錫杖と両腕部のミサイルランチャー。

また、膝の柔軟なギミックによりパイロットの乗降しやすい降着ポーズ(座り込みモード)をとることが出来ます。

名前の「夜天光」とは、夜の自然光、微かな光、俗に言う「月明かり」のこと。影の存在である北辰の機体らしいネーミングです。

 

 

六連むづら

北辰の部下達「北辰六人衆」の乗る機動兵器です。

丸っこい胴体に短い足(?)のだるまに長い手が生えたみたいな奴です。

空間戦闘を主眼において開発され、脚部をブースターにすることで高推力を得ることにました。

背に固定スラスター×1、両肩に回転ターレットノズルを持ち「傀儡舞」と呼ばれる変則機動を行うことが出来ます。

ボソンジャンプユニットは積尸気と同じく単発の外部ユニット式になっています。

コクピット周りには夜天光と同タイプのディストーションフィールド発生装置を装備。

武装は錫杖と腕部の多連装ミサイルランチャー×2。

名の由来は、昴と呼ばれる牡牛座の一部である「プレアデス星団(六連星)」から。

 

夜天光・六連は蜥蜴大戦1年後には完成しており、実戦テストを兼ねて破壊工作などに従事していたと推測され、夜天光・六連に対抗するためブラックサレナも類似したシステム構成(スラスターでの機動等)になっていたため、幽霊ロボットの目撃情報の何割かは北辰達の機動兵器ではないかという意見もあります。

 

積尸気ししき

火星の後継者側のボソンジャンプ強襲用の機動兵器です。

ボソンジャンプユニットを外部ユニットにして小型化に成功したがボソンジャンプは一回限りとなってしまい、
奇襲攻撃をかけても、単体で帰還方法が無いため敵の殲滅を前提となっている神風特攻隊的奇襲攻撃専用機です。

リスクは高いですが、劇場版では追い込まれていた火星の後継者軍を助けるため
奇襲をかけ17隻もの戦艦を落とし、戦況を逆転させました。

コクピット周りのディストーションフィールド発生装置は装備されていません。
肩と胴体の間のターレットで固定されたアームノズルをもち、重力波スラスター機にも負けない機動性能を持つに至りました。
アームノズルの反対側に各2基、計4基の対艦ミサイル用ハードポイント、背中にボソンジャンプユニット(高出力バッテリー)用のハードポイントを1基持ちます。

標準装備はハンドガン×1。色はライトグレーで統一されています。

六連をベースに構造を簡素化した強襲用量産機だとも、夜天光の量産型だとも言われていますが、
夜天光型の別量産機の存在を示唆する資料があるのと、名の由来の類似より六連の量産型だと推測されます。

名の由来は、蟹座の甲羅の部分にある青白く光る星団を鬼火に見立てた中国での呼び名、
縁起の悪い星座だといわれています。ラテン名は「プレセベ」。

 

感想、応援、ツッコミなど色々お待ちしております。

 

 

次回予告

ナデシコの主役は機動兵器だけではない!

地球式宇宙戦艦

既に公開済み

参考資料

NADESICO PLUS[HOBBY JAPAN MOOK]
ニュータイプ100%劇場版ナデシコGEKINADE ZENBU
デジタルムック機動戦艦ナデシコ1000%コレクション’99