暗く広がる闇、果ての見えない宇宙。今、ここに、一つの命がついえようとしていた・・・






〈アキト〉
ユーチャリスのシートの上で、俺は待っていた、死の時を。

「ラピス・・・、すまない」

満足に動かない手で、ラピスの頬をなでる。残り少ない命、分かっていた・・・、分かっていたはずなのに・・・、

俺はラピスを立ち合わせてしまった・・・。俺の心は、無念でいっぱいだった。

「ヤダ、ヤダ、シナナイデ、アキト、ワタシヲヒトリニシナイデ…。」

俺の胸に手を置いて、ただ泣きつづけるラピス。もう一人の俺の妹。



突如、通信が入る。ハッキングだろうか・・・、こちらが応対する暇もなく、つながる。

「アキト、死なないで。」

「アキトさん!?」

ユリカ・・・、ルリ・・・。

俺は、目を閉じ、一言、そう一言、残る力のすべてで・・・。

「みんな、ごめ・・・ん・・・。」

俺の意識は、無へと拡散した。



〈ラピス〉
ユーチャリスコックピットに、私はいた。

(アキトガ、イッテシマウ…。)

怖かった。北辰につかまった時の比じゃない。

アキトの手が・・・、頬をなでてくれていた手が力なく落ちる・・・。



私のサポートAI、ダッシュが、淡々といった。

『テンカワアキト・・・死亡を確認。これより、基地に帰還します。』



私は拒否した。現実を・・・、すべてを・・・。

「イヤ、イヤ、イヤアアアアアアアアアアアアアアアアアア。」





青い光がアキトとラピスを包んだ。




そして、ユーチャリスから人はいなくなった。






〈ユリカ〉
ルリちゃんと私がナデシコCでその場についた時、そこには誰もいない戦艦があった。ルリちゃんが、AIのダッシュに聞く・・・。

「ダッシュ、二人はどこ?」

ダッシュは、一瞬ためらったが、

『現在地不明、ランダムジャンプの可能性98%。』

私は、ルリちゃんを見た。

「還ったのよね、きっと・・・」

「はい・・・。」














静寂が包む。心を殺し、戦いつづけた戦士は、今、還った・・・。











未来を、君に・・・




PRINCSS OF DARKNESS





新たなる時代


プロローグ0 闇の公子 帰還する









俺は、変な・・・懐かしい音を耳にした。

階段を昇る音。

「死刑台へと続く・・・道か・・・。」

俺が、一人考えていると・・・



「アキト、アキト、起きなさい、アキト。」

懐かしい声に、耳が一気に覚醒する。頬を、涙が・・・つたう。

「母さん・・・。」

幻聴・・・だと思った。



ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリ



目覚ましの音が鳴った。

「・・・・・・ん!?」

俺は、目を開く。・・・・・・天井に見覚えがあった。

「・・・見える、・・・何故だ・・・。」

俺がゆっくりと上半身を起こすと・・・・・・変だ。体が・・・小さい。

ドアが開く、母さんがいた。

「何寝ぼけてるの、休みだからって、そろそろ起きなさい。」

俺は、現状が把握できていなかったが、

「あ、・・・うん。すぐ、おきるよ。」

母さんは、その言葉を聞くと下に降りていった。

「五感が・・・もどっている!? 俺は・・・・・・。」

















『ア・・・キ・・・ト、ア・・・キト、アキト、アキト。』

俺は、はっとする。

「ラ、ラピス・・・か!?」

『ヨカッタ、ツウジタ、アキト…ワタシケンキュウジョニイルノ、…・・・ナンデ?』

俺は、自分の手を見た。小さかった。

『それに私、赤ちゃんまで・・・・・・戻ってる。』

俺は、今ある疑問をラピスに尋ねた。

「ラピス、今日の日付、わかるか?それとお前が生まれるのはずっと先じゃないのか?」

『ウン、2186年×月×日。コノトシジャ、ワタシハ、ウマレテナイハズ…。デモ、…アキト!!』

俺は、笑った。

「平行世界なのか・・・やり直せる・・・ということか!? すべてを・・・。ラピス、すぐ・・・と、いいたいが今すぐは無理だ、

だが北辰が来る前に必ず助ける。」

『…ウン、ワカッタ。マッテル。キットダヨ…アキト。』

「ああ、必ずいく。」


手に入れた。未来を変える力を・・・。

「今度こそ守って見せる。すべての力で・・・・・・。」

俺は、決意を固め、父さんと母さんの待つ階下へと向かった。









「おはよう、アキト。」

一階に降りて、聞こえてきたのは父の声・・・。

不覚にも涙が出そうだった。

「おはよう、父さん、母さん。」






「ごちそうさまでした。」

「お粗末さまでした。明日、ユリカちゃん達が地球へ行くんでしょ。空港に行かないなら、ご挨拶してきなさいな。」

内心俺は、あせった。

(準備の期間は、ほとんどないな)

「父さん、母さん。大事な話があるんだ。」

俺の切羽詰った表情に、まず、父さんが反応した。

「どうしたんだ改まって、・・・重要な話か?」

父は、何か感じていたようだ。昨日までの息子の気配じゃないことを・・・。

「時間が・・・、時間がないんだ。」

「時間って・・・、アキト?」

「分かった、聞こう。」





「率直に言うよ。俺は16年後の未来から知識、記憶、魂だけが帰ってきたんだ。」

母さんが笑う。

「そんな・・・。」

「待ちなさい、キヨカ、すぐに信じろというのは無理だぞ。アキト。」

母さんが何か言うのを、さえぎる父さん。分かっていた・・・。それも・・・。

「ボソンジャンプ。」

一瞬にして二人の顔色が変わり、場が凍る。




「アキト、ど、どこでそれを・・・。」

「キヨカ。」

優しく諭すように父さんが、母さんに言った。

「俺は、生体ボソンジャンプが出来る。・・・見せるよ。」

そう言うと二人にはなれているよう言って、父さんにもらったCCをてにもつ。




「ジャンプ。」




俺は、台所から居間へでる。台所に戻ると二人が言った。

「「アキト、お前(あなた)を信じよう(るわ)。」」






「これが俺のたどった未来のすべてだよ。」

俺は、すべてを、そう、この世界のアキトを消してしまったことも包み隠さず言った。

母さんはただ泣き、父はうつむいて黙っていた。

俺が罵倒、拒絶の言葉を待って目を閉じていると、突然俺は抱きしめられた。母さんだった・・・。

「か、母さん!?」

「つらかったでしょう。ふがいない親でごめんね。」

「やめてくれ、俺にはそんな資格なんて・・・。」

俺の言葉をさえぎるように父さんが大きな声で言う。

「馬鹿者。アキト、お前が何歳であろうと、この世界の人間でなくとも私達の息子に変わりは無いんだ。この世界に来た瞬間からな。」

「と、父さん。ごめんなさい、そして、ありがとう。」

嬉しかった、否定されないことが。拒絶されないことが・・・、俺はこの世界に来て始めて・・・、泣いた。









「それで・・・、アキト、おまえはどうしたいんだ。」

父さんの目が俺をまっすぐに見ていた。

「すべてが守れるなんて傲慢なことは言わない。せめて、目に映る者を守りたい。今度こそ、すべての力で・・・。」

父さんは頷き、母さんは俺をきつく抱きしめた。

「それで、私達は何をすればいいの?」

俺は、父さんを見ていった。

「地球に逃げて隠れていて欲しい。それとMCの仲間がいるんだ。俺と同じ世界から来た存在が・・・、父さん達、MCについての知識はある?」

父さんは頷き、

「一通りはな。しかし、MCか・・・。研究を止めさせたはずなんだがな。駄目だったのか、クソ!!」

母さんが父さんのつらそうな顔を見たあと、俺をみて言う。

「で、その子はどこに?」

「とりあえずは大丈夫。それより、父さん達のほうが時間がない。手配しにいってくる。心配しないで、必ず助けて見せるから。」

とは、言ったものの実際はどうするかだ。隙を突けば子供の俺でも十分に殺れる。が、血にまみれる俺を見て父さんと母さんが

どう思うだろう。まてよ、確か、いい人がいた。彼なら救ってくれるかもしれない。ネルガル研究所火星支部、支部長の彼なら

俺の頼みを聞いてくれるかもしれない。














ネルガル研究所火星支部 支部長室


「・・・どなたですかな?」


プロスさんがこちらに気付く。


「失礼しますよ、プロスペクターさん。」

「・・・ふむ、子供ですか。どうやってここまで? SSが10人程いたはずですが?」

「邪魔されたんで、ちょっとおねんねしてもらいました。」

「ほう・・・」

プロスさんの目が、鋭くなる。

「そう殺気立たないでください。ここに来たのはあなたにお願いがあったからです。」

俺は苦笑しながら言った。



「失礼ですが、あなたのお名前は?」

「テンカワ アキトといいます。」

「テンカワ・・・ということはキョウヘイ君の息子さんで?」

「はい。で、お願いというのは3日後に殺されることになっている両親を助けてもらいたいんです。」

「なっ・・・キョウヘイ君が3日後に殺されるとはどういうことですかな?何を根拠に?詳しく聞かせてもらいましょう。」


よし、のってくれた!


「そうですね。では、まずこれを。」

そう言って、書類を渡す。

「これは、ネルガルのホストコンピューターにハッキングして調べました。ネルガル会長の決定はテンカワ夫妻の暗殺。

理由はあくまでCC(チューリップクリスタル)の公表にこだわったから。会社の不利益になると判断したんでしょう。」

「ふむ、確かなようですね。それで、私はどうすればよいのですか?」

「地球行きのチケットを2枚用意していただけませんか? 出来るだけ早いものを。」

プロスさんは目を細め

「しかし、SSはどうするのです? 彼らはプロです。すぐに探し出しますよ。」

「大丈夫です。始末は俺がつけます。ネルガル会長への脅しも含めてね。」

「ふむ、君の目、世界を達観したその目、教えてもらえませんか。君のその目の理由を。」

「(さすがに無償では無理か。) わかりました。俺のことを話しましょう。しかし、耳と目止めていただけませんか。俺のことは、

あまり人に知られたくないんです。」

プロスさんは、椅子から立ちあがり壁にある絵をずらし、そこのスイッチを押した。

俺は、気配を探り耳と目が止まっているのを確認する。

「では、お話しましょう。ある一人の男の一生を。」










「そうですか。君は二度目なのですね。」

「はい。俺は、俺の目に映る人達に幸福を与えたいんです。お願いします。俺に力を貸してください。」

俺の目をじっと見ていたプロスさんは

「いいでしょう。君の見る未来、私も見てみたくなりましたよ。ですが、君がSSの始末をつける必要はありません。私がやりましょう。

そのかわり、君には私の息子になってもらいます。そのほうが、いろいろと都合がいいでしょう?」

「しかし、それではプロスさん、貴方に迷惑が。父さんと母さんを救ってくれるだけで十分です。」

「キョウスケ君のことは、私が始末をつけねばなりません。わたしはSSの統括責任者なんですよ。つまり、私を通さぬ仕事はあっては

いけないんです。ならば、テンカワ博士という優秀な科学者を守るのも私の仕事だと思いませんか?」

俺はじっとプロスさんを見た。そこにあるのは、表の顔の支部長ではなく、裏の顔のSS責任者だった。

「わかりました。方法についてはプロスさんにまかせます。」

「当初の予定どうり、テンカワ夫妻には空港に行ってもらい、そこで始末をつけます。心配なら貴方も来てください。」

俺は、目を閉じプロスさんを見た。

「プロスさんを信用しないわけがありません。父さんと母さんについてはまかせます。では、俺はこれで失礼します。そろそろ、

他のSSの方が目覚めるころですから。」

「ええ、では、約束の日に。」


俺は、支部長室をあとにした。



「キョウスケ君達や、キョウスケ君の息子の未来があんなことになってしまうとは。彼に感謝しなければいけませんね。

友の命を救えるのですから。しかし、会長にも困ったものです。お仕置きが必要ですね。とりあえず、キョウスケ君達を襲ったSS

の首でも配達しましょうかね。そのまえに、SSの鍛えなおしですね。技術差はともかく子供にのされるようでは話になりません。」

そういうと、プロスは意気揚揚と起きぬけのSSを捕まえてトレーニングルームへと歩いて行った。

SSの絶叫が聞こえたりしたが、それは別の話である。










「ただいま。」

「おかえり、アキト。」

「おかえりなさい、夕食できているわよ。」

「うん、父さん、母さん。」

食後ののんびりした休みの中、俺は切り出した。

「プロスさんに会って、協力を取り付けてきたよ。父さんと母さんのことは、心配要らない。」

父さんは俺を見て、

「プロスか。わかった。彼なら安心だ。で、私達は地球でどうすればいい?」

「地球で俺の知り合いのMC、ラピスって言うんだけど。その子と一緒に計画を実行して欲しい。その計画は……。」










「ふむふむ。わかった。やれるだけやってみよう。なあ、キヨカ。」

「もちろんです。息子の頼みですもの。母さん頑張るからね。」

「ありがとう、父さん、母さん。」

そう今回は、今回こそは自分の目に映る者に幸福を与えたいから・・・・・・。

俺は、父さんと母さんの目を見てそう決意をあらたにした。















火星空港内 ロビーにて

「すまないな、プロス。」

キョウスケ君が、私に頭をさげた。

「いえ、友の命を救えるのです。こんなに嬉しいことはない。これが新しい戸籍と住所です。それと、少ないですが当座の生活費です。」

「何から何まで、ごめんなさいね。プロスさん、息子のこと、アキトのことよろしくお願いします。」

私は二人を見つつ笑いながら

「大丈夫ですよ。アキト君のことは、私に任せてください。」

「ああ、頼む。」

キョウスケ君達は、そう言うと私に再び頭をさげた。

私は、二人がシャトルに乗るまでじっと見つづけた。













私のそばにSSの一人が駆け寄る。振り向かずに尋ねる。

「終わりましたか?」

「はい、やはり、会長の手の者のようです。」

「ごくろうさまでした。今日の私は機嫌がいいので、私宛で飲みたいだけ飲んでくれてかまわないと作戦に参加したSSすべてに言っておいてください。」

男の顔に笑みがこぼれ、おどけた調子で、

「よろしいのですか? 破産するかもしれませんよ?」

「かまいません。(どうせ、会長に請求するつもりですしね。)」

私は笑顔で、続けた。

「いいんですか? 今日が終わるまで6時間ちょっとしかありませんよ?」

男は、腕時計を見て私にお辞儀をすると足早に去っていった。

「さてさて、アキト君の養子縁組の書類を作らねばなりませんね。」

私は、シャトルが火星を飛び立つのを見送り空港出口へと向かった。






私の足取りもまた、軽くなっていった。

















父さんと母さんが地球へ降りて、1ヶ月がたった。

(そろそろ父さん達も落ち着いたかな。ラピス、今から行くぞ。)

(ウン。ワカッタ。マッテルヨ。アキト。)





地球 ネルガル社 秘匿研究所


「侵入者あり、侵入者あり。侵入したのは一名、黒衣をまとった、き、貴様、ぎゃあああああ。」

研究所内に警告音が鳴り響く。

「侵入者? まったくSSは何をしてるんだか。おちおち、研究も出来ないよ。」

「まっ、どうせ。SSにやられるだろうさ。ここのSSは一流だからね。」

「まあ、そうだろうさ。ここを攻めるなんてよほどの馬鹿だろう。」

研究者達が笑い合う。

「残念だったな。」

研究者が入り口を見る。黒の服に同色のバイザーをつけた、黒衣まとう少年がいた。両手には一つずつナイフが握られている。

「君が侵入者? こんな子供なんてな、SSは何をして

彼はそれ以上しゃべることが出来なかった。しゃべるための首が落ちたから。

研究者がそろって青くなる。そう、彼らは勘違いしていた。少年は、馬鹿でも何でもなくプロだったのだ。

「何も言わずに死ね。」

少年の姿がかききえ、一人一人と研究者が倒れていく。

「待たせたな。次は貴様らだ。命をもてあそんだ罪、その身で受けるがいい。」

「僕らが作ったこいつらをどうしようと僕らの勝手じゃ・・・・・・

最後まで言うことなく、そいつは息絶える。

「ヒィィィィィィィィィィィィ。」

研究者の一人が腰を抜かす。

「た・・・たすけ・・・。」

「・・・・・・。」

無言で俺はそいつらを殺した。

(待たせたな。ラピス。)

(アキト。待ってた。)

俺は、ラピスの入ったカプセルごと抱き上げる。周りを見ると、研究者の血だまりの中、二人のMCがいた。一人は緑がかった銀髪、

もう一人は青みがかった銀髪の子だった。彼らと目が合う。

はじめてあった時のラピスのような、無気力で無表情なその子達に対して手を差し出す。

「俺と共に行こう。」

俺が手を差し出すと、ためらいながら俺の手に彼らの手が乗せられた。











「いらっしゃ・・・・・・違うわね。お帰りなさい、アキト。」

母さんが微笑みながら俺を入れてくれた。

「アキト、その子達がお前の仲間か?」

優しい表情でラピス達を見る父さん。

「うん、このカプセルに入っているのがラピス、俺と同じ存在、・・・・・・この二人は、俺とは直接関係ないが、見捨てられなかった。

名前も・・・・・・まだない。」

俺の後ろに二人が隠れる。

父さんと母さんは、俺の言葉を聞くと、二人のMCに近づき手を広げた。

「「おいで私達と家族になろう(りましょう)。」」

おずおずと二人のMCが父さんと母さんに近づく。二人は優しく腕の中に包み込み抱きしめた。

初めての経験だったのだろう。人の暖かさに触れたのは、二人は泣き出してしまった。そんな二人を苦笑しつつも父さんと母さんは

抱きしめていた。

(・・・・・・アキト。)

(ん!? なんだい、ラピス)

(アキトノ、パパトママアタタカソウダネ。)

(安定期になったら、ラピスも好きなだけ甘えるといい。父さんと母さんはラピスの父さんと母さんでもあるんだから)

(ウン、タノシミ、エリナミタイニアッタカカナァ。アキトドウオモウ?)

(な、なぜ、俺にそれを振る?)

(ダッテ、アキト、ワタシトイッショニネテクレナイトキ、イツモ、エリナトネテルッテ、イネスガイッテタヨ。)

(イ、イネスゥゥゥゥゥゥゥ。)

俺が、イネスにやつ当たりを考えているうちに二人の名前が決まった。

緑がかった銀髪がヒスイ、青みがかった銀髪がサファイアと、彼女達の未来を決める大事な大事な名前が決まったのだった。




















<おまけ>


「会長、実は、テンカワ夫妻が何者かに襲われまして、SSが何とか救出したんですがね。」

「そ、そうか。で、テンカワ夫妻はどこに?」

「いくら会長でもそれはお教えできませんな。すでに、身の危険を感じたテンカワ夫妻には安全な場所をご用意していますよ。

それと、襲撃者何名か、捕縛したのですが妙なことを言っておりました。何でも会長命令だとか何とか。」

「そんなことは命じていない。」

「そうですな。会長ともあろうお方が私との契約を破るわけありませんでしたな。裏の契約を破ることは、即、死に繋がりますからな。

それはそれとして、テンカワ博士を救うのにいささか装備を使いまして、予算のご一考願えませんか?」

「わかった。その件はすぐにやろう。」

「ありがとうございます。よろしくお願いします。では、失礼します。」



「くっ、道化師め。いらんことをする。だがやつのことは手放せん。まあ、テンカワ博士を表舞台から消したことでよしとしよう。」






ちなみに、この会長2週間後に心筋梗塞でポックリ逝くのだが、ただひとり道化師だけは、

「契約書は絶対なのですよ。」と、追加予算を受け取って言ってたとか言ってないとか。


事実は闇の中?













<あとがき>

はじめまして、PAMUと申します。

お読みくださった方、つたない文章で恐縮でしたがありがとうございます。

さて次回ですが、しばらくナデシコには乗らず、ヒロインその他のエピソードを出していくつもりです。

ヒロインは、オリキャラを考えています。

 

 

 

代理人の感想

・・・・えーと。

取り合えず本編の様子見って事で。